しょこたんさんと話をした後、博士の発明品が直ったので引き続き実験台として『ポケモン色々いえるかな?』でタイプ相性などの問題をやらせてもらった。
しょこたんさんの言っていたトレーナーとしての目標はまだわからないが、今後旅を続けていくには最低限の知恵をつける必要があると思い、自分でも驚くくらい真剣に取り組んだ。
問題に取り組んでいた間にしょこたんが持ってきてくれたお茶にヤミラミが大量のワサビを入れそれを飲んだゴルゴさんが悶えたり、またタライが落ちてきて博士にまた当たったり、ピチューとヒコザルが遊び疲れてお互いに寄りかかって眠っている様子を見てしょこたんが「尊すぎでは・・?」とトリップに入ったりなどいろいろあったが割愛させていただく。
そんなこんなで問題の正答率が7~8割に上がったあたりで窓の外を見ると日が傾き始めているのに気が付いた。
ずいぶん長い間集中していたらしい。しかし、これ以上遅くまでいたらはポケモンセンターの宿泊用の部屋が満席になってしまうかもしれない。変な人たちだがそれ以上にいい人たちなので別れるのは少し名残惜しい気もするが出発することにした。
出発の際、全員が正面玄関まで見送りに出てきてくれた。
「コウキ君。今日は本当にありがとうな!」
「いえ、僕はおやつ食べて、博士のなくした部品を見つけただけなのでお礼を言われることは何も…」
「そんなことはない。君はヤミラミがなぜいたずらをしてしまうのか考えて、わしに教えてくれただろう。わしはただ、いたずら好きなだけだと思っていたから君の話を聞いた時、目からうろこが落ちたと思ったよ。君が教えてくれなければ、わしはヤミラミのことを誤解したままだった。感謝してもしきれないよ」
ゴルゴさんがお礼を言ってきた。
僕としては思ったことを言っただけでそんなに大層なことをしているわけではないのでお礼を言われて少し戸惑った。
ゴルゴさんに肩車されているヤミラミも「ヤミヤミ」と言いながら手を振っている。何と言っているかはわからないが、なんとなくお礼を言っているような気がした。
「私にもお礼を言わせてください。なくしていた部品を見つけてくれてありがとう少年。次はもっとすごい発明品を見せてあげるから楽しみにしていたまえよ」
レッドさんがしたり顔をしながら言った。
…この人の場合実験体が欲しいだけではないかと一瞬頭によぎったが、さすがに失礼だよな。それはないと思うことにしよう……ないよな?
「コウキ君、よかったらこれ持ってって」
そう言いながら遊び疲れて眠ってしまったピチューを抱きかかえていたしょこたんさんが僕に1冊の本を差し出した。
「これは…?」
「私が昔使ってた冒険ノート。シンオウを旅するのに役立つ情報色々がまとめてあるから持ってると便利かなって」
「あ、ありがとうございます」
本を受け取ってみてわかったが、所々紙が劣化していたり、つぎはぎだらけだったりと、年季が入っているのがわかる。
自分が旅をしているときにまとめたのだろう。
きっとしょこたんにとっても大切な思い出の品だろうに、今日会ったばかりの僕が貰っていいのだろうか。
…多分僕の役に立つ、というそれだけのことで大切な思い出を託したのだ。
これは“たいせつなもの“にしまっておこう。
「みなさん、今日は色々あったけど楽しかったです。ありがとうございました!」
「おう! またいつでも遊びに来いよ!! 次はゴルゴさんなんてよそよそしく呼ばずに気軽に『所長』とでも呼んでくれ!」
「あっ、じゃあわたしも部長って…いや、ルカリオ部長と被るな…うん、『しょこたん部長』って呼んでよ!」
「私のことは、尊敬の念を込めて『博士』と呼んでくれたまえ!」
そうゴルゴさん…いやゴルゴ所長たちは言ってくれた。
今日初めて会って一緒にいた時間も短かかったけど、ずいぶんとフレンドリーに接してくれる人たちだ。
正直付き合っていて気持ちがいいと感じる。
ゴルゴ所長は情熱的な男でまさに『所長』の名にふさわしと思う。
しょこたん部長は時々変になるけどポケモンに関する知識は豊富で他の人とは1歩下がった視点で物事を見ている感じがする。1つの部署をまとめる長としてはもってこいであろう。
博士は…まぁ尊敬の念とかは込められないけど博士って呼ぼう。あだ名的な意味で。
そんなことを考えていたらふと、まだ教えてもらっていないことを思い出した。
「そういえば、結局この会社って何の会社なんですか?」
「おぉ!そういえば色々あって説明できていなかったな!」
ゴルゴ所長が咳払いをし、姿勢をピンッと伸ばす。
「我々ポケサンカンパニーは
人とポケモンがもっと仲良くなるための組織だ!!」
想像していた会社の説明よりあまりにも抽象的過ぎてポカンとしてしまった。
そんな僕の反応を知ってか知らずか、所長は話を続ける。
「この世界は人とポケモンが共存している。しかし、中にはポケモンは危険な生き物と決めつけ距離を取ろうとする人間、ポケモンを道具か何かと思いこんどる人間など様々な理由でポケモンから離れようとしたり、悪用したりする人間も少なくない…まぁ、ポケモンにもいろいろいるし、まだまだ未知の部分が多いからそこに恐怖を感じたり、可能性を感じて我欲に走ったりする気持ちもわからなくないがな…。ポケモンから見て人間もそうだ。自分たちとは違う高度な文明を持った生き物なんて怖いに決まってるからな。このように人もポケモンもお互いに離れようとする場面も多いんだよ。でもな」
所長は自分の胸にそっと手を当てる
「わしが思うに、せっかく同じ世界に生まれたのだから仲よくしたほうが絶対に楽しいんだよ!だからわしらはそんな人間やポケモンにもっと互いを知ってもらい、少しでも仲良くできるような世界を作りたいんだよ!!」
話の内容は、子どもが自分の夢を語るような幼稚な内容、悪い大人が他者をだますときに使うような綺麗ごと、まだ10年そこらしか生きていない僕でも胡散臭いという感想を持った。
しかし、ゴルゴ所長、レッド博士、しょこたん部長、ヤミヤミの顔つきはそれが本気で実現できると信じているものであった。
この人たちは、本気でそんな子供っぽくて、漠然とした夢をかなえられると信じているのだ。話だけ聞いたら笑われそうな内容。
だけど、その夢を語る姿は、すごく『かっこよく』見えたんだ。
「行ってしまったな…」
ポケモンセンターに向かうコウキ君の背中が見えなくなった後、わしはポツンと言った。
今日はいい日だった。今日から旅立った初々しい後輩トレーナーに出会って、ヤミラミに抱いていた誤解も解け、博士も発明品を見てもらって自信を取り戻した!
それにしても、ヤミラミの気持ちは本来であればトレーナーであるわしが気付いてあげなくてはいけなかったのに、まだまだ新人のトレーナーにそれを指摘されるとは…これも若さという奴だろうか。
うーむ、年は取りたくないものだ。
「あっ、所長今『若いっていいなぁ』って思いましたね?」
「むっ!なぜわかったんだ博士!心を読む機械でも発明したのか!?」
「何年も一緒にやってきてんだから、嫌でもわかりますよ。あーあ、こんなしみったれた人でもできるなら私が所長になっちゃおっかな~」
「なんだと!!わしはまだまだ現役だぞ!なんならこのあとバトルタワーにだって挑戦できるからな!!!」
「…やっぱり所長はそのくらい元気なのがお似合いですよ。若さなんてなくても私たちが信じてついてきた所長はあなたなんですからいつも元気でいてください」
「博士…」
…そうだな!わしもまだまだ現役だ!!若いトレーナーに負けないよう、精進しなくてはな!!
「コウキ君、これから大丈夫でしょうか…」
しょこたん部長が不安そうな顔をする。
「なーに心配いらないさ!今の若い子はわしらが思っている以上にしっかりしている。それになにかに困ったら手助けしたり、折れそうなときは後ろからそっと支えるのがわしら大人の役目だろ!!」
「……そうですね。よし!次に会ったらもっとバトルについて教えてあげないと!」
「その意気だぞ、しょこたん!!」
うむ、どうやら博士も部長もコウキ君のことが気に入ったらしい。やっぱり先輩として後輩が頑張っているのを見るのは応援したくなるな!!
「よー―――し!!!後輩に負けないように我々もはりきっていこう!!!」
「「ラジャーーーーーーーーーー!!!!!」」 「ヤミーーー!!!」
「ビィぃぃぃぃヂュウうぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」 「ヤミイィィィィ!!!」
大声を出したからか、しょこたんの腕の中で寝ていたピチューが「うるさーーい!!」というように電撃をわしらに浴びせてきた。うーむ、いまいち締まらんな…
・「はりきっていこう!!」「ラジャ―!」
ポケモンサンデーの締めと言ったらこれ。所長の掛け声で、隊員たちが右手を左肩に持っていき「ラジャ―!」と叫ぶのは普通にかっこいいと思う(小並感
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