篠ノ之束は不本意ながらも凡人達に合わせて動く 作:クローサー
引き続き震災に関する描写があります。不快だと思った方や刺激を感じる方は直ちにブラウザバックをお願いします。
震災が発生した瞬間、彼女は学校の教室にいました。
天才である彼女にとって、学校の授業はとても酷く退屈でつまらないものです。それでも学校に彼女が出席している理由は、親友である
今日の6時限目は国語。皆んなが国語の教科書を開き、先生が話しながら黒板に書いてあることを各々がノートに書き留めている中、彼女だけは物理学や最新技術に関する資料を開いて勝手に自習していました。
しかし誰もそれを咎める事はしません。彼女が天上天下唯我独尊な事は皆んな知っている為、わざわざ指摘する理由も無いのです。
いつも通り、何の変哲もない日常。震災が発生するその瞬間までは。
学校に地震の
初期震度とは思えない程の揺れに、彼女も普段の怠惰な表情は消え失せ、真剣に全身の感覚で地震の情報を直感的に収集、分析しています。
当然ながら彼女は即座に、「数十年に一度の頻度でしか起こり得ない規模の大震災」だという確信を得ます。
学校の構造は最近の工事によって耐震構造になっていて、多少の被害はあっても崩壊する心配は無さそうに見えています。
けれど。
(………箒ちゃん………!!)
両親と小学校入学前の妹がいる篠ノ之神社は、唯の木材建造物です。
当然、耐震構造なんてものがある訳がありません。最悪の場合、崩壊……
人生の中で初めて、彼女の表情が青褪めました。どれだけ否定したくても、考えている今も尚激しく揺れ続ける大地が、崩壊の可能性を0%に引き下げてはくれません。
漸く地震が完全に収まった瞬間には、彼女は担任の静止を振り切り、窓から飛び出しました。
2階から勢いよく飛び出した身体は、あっという間に地面に向けて落下を始めて行きます。普通なら大怪我間違いなしの勢いでしたが、見様見真似で習得していたパルクール技術の
そのまま全力疾走で、篠ノ之神社を目指しました。学校から篠ノ之神社までの距離は、決して遠い訳ではありません。
歩きならともかく、彼女の全力疾走ならばそんなに時間も掛かりません。しかし今日のこの時は、その時間さえも酷く長く、そして酷く遠く感じました。
漸く篠ノ之神社の入り口に辿り着き、鳥居をくぐって石階段を駆け上がり、篠ノ之神社をその目で見る事になります。
篠ノ之神社は、それ相応の被害こそ受けても、しかし崩壊は免れていました。
「お姉ちゃん!!」
「ハアッ……ハッ……箒ちゃん、良かった……!」
ずっと走り続け、汗を流して息を切らしていた彼女の元に、彼女を見つけた妹が駆けつけます。その後ろから余震に気を付けながら被害の片付けをしていた両親も、同様に束の元に駆け付けてきました。彼女はそうでなくても、両親にとっては彼女も大切な娘である事は変わりありません。
全員の無事をこの目で確認して漸く安心する事ができた彼女は、満面の笑みで駆けつけてきた妹を抱き締めました。
…
兎にも角にも、まずは余震に備えなければなりません。
彼女は妹と両親を実家近くに建造していた地下研究所に連れていく事にしました。地震対策?彼女が忘れているわけありません。しっかりと施設全域に免震構造を取っています。
研究所の制御AIからの報告によれば、被害は最小限で運用には問題無く、4人の居住にも十分対応可能で避難場所として一番最適だったのです。
両親はいつの間に
神社に向けて派遣していた運搬ドローンが到着すると、早速それに乗り込んで地下研究所に入ります。入場権限はドローンに乗っている間にしっかりと両親も含んでいましたので、セキュリティの誤起動の心配はありません。
一息ついた所で、彼女は早速情報の収集を始めます。
インターネットは当然ながら大混線を極めていましたが、自家製の超最先端の設備を揃えているこの研究所なら、その影響を和らげる事は出来ます。
TV、ニュースサイト、スレッド、etc。とにかく思いつく限りの電子手段で震災の情報を掻き集めます。
地震被害、津波被害。規模こそ桁違いですが、良くも悪くもこれらは通常の地震の被害です。
原発事故。これだけは彼女も無視出来ない物です。他のを捨て置く程の勢いで、原発事故の情報を集めます。必要ならば国家機関へのハッキングも。
そうして集まっていく情報に、彼女も動かざるを得ない状況になっているのはすぐに分かりました。
最悪のケースを辿るならば、此処も放射能汚染に曝される。それだけは絶対に避けなければなりません。
幸い、つい最近開発した放射能除去技術があります。彼女の計画とは大幅に異なりますが、早速この技術を実際に使う時が来ました。
次回は天災中学生が良くも悪くも大暴れ。