霊媒師が金のたm……ゲフンゲフン、平和のために戦うのは間違ってるだろうか 作:幽霊です。
『でね、でね』
「うん」
『もー、ちゃんと聞いてるの?』
「聞いてる、聞いてる」
『あの人ったら、初対面の姉さんに殴られたのよ?気色悪い顔を妹に見せるなって!まあ、男神様と何やら悪巧みしてたらしいけど』
「自業自得とも取れるね」
『でもね、でもね!彼は優しいの!病気で寝てた私に、色んな冒険を聞かせてくれてね、勇気をくれたのよ!』
「好きなんだね、その人のこと」
『もちろんよ!』
俺は今、隣にいる女性の惚気話を聞かせられている。周囲から見たらそんな女性いない。俺の独り言。ヤベー奴じゃん。
それは何故?
答えは単純。
彼女がお化けだから。
『悩み事?ならお姉さんに任せなさい!』
「なら少し黙ってくれない?
俺はとある教会に住み着く地縛霊に呪われた。こんなこと一度もなかったし、そもそも自我がこんなにはっきりしている霊を視たことがない。
俺は考えることを辞めて、現実を受け入れた。
【霊魂憑依】
・魂の変更
・霊から呪われることで可能とする。
「正義とはなんだ?」
「金」
『あの人と私達の息子』
「正直だな」
怪しげな男神の問い掛けに答えた。近くにいた【疾風】にドン引きされた。
「じゃあ失礼します」
男神に関わるとロクなことがないし、この神には関わっちゃいけない雰囲気が漂っている。
早々に立ち去るのが吉だ。
あとメーテリア。そんなに満足気にしてるが、お前の声は聞こえてないぞ。
「今から闇派閥に関する会議を始める……と言いたいが、フィン」
「なんだい、ロイマン?」
「なんだい?じゃあないわ!何故お前のファミリアの子どもがそこにいる!」
「どーぞ、よろしく」
自派閥である【ロキ・ファミリア】の団長、副団長を始め、【フレイヤ・ファミリア】の団長であり都市最強の【猛者】オッタル。そして最速の【美神の戦車】アレン・フローメル。
良い印象を持たれてないらしく、子どもの俺に舌打ちと罵詈雑言を容赦なく浴びせてくる。
「私の立場から言わせてもらうと、子どもを巻き込むのは賛同しかねる」
「私もよ!でも【勇者】のことだから、何か考えがあると私は見たわ!」
【ガネーシャ・ファミリア】団長の【象神の杖】シャクティ・ヴァルマ。そして、【アストレア・ファミリア】団長の【紅の正花】アリーぜ・ローヴェル。両派閥ともに、オラリオの治安を守る有名な派閥である。
前者については、闇派閥の一派を壊滅させた際に、トラウマになるレベルで怒られた。交流のある妹さんに慰められたのはいい思い出だ。
後者は知らない。同じく治安維持派閥であることしか知らない。
「君達も知ってるね?彼が一人で闇派閥を壊滅させたこと」
「もちろん知ってるとも。私の派閥で保護して叱ったからな」
「ひいっ」
反射的にリヴェリアの後ろに隠れる。メーテリアが頭を撫でつつ、『そんな危ないことしたの?めっ!』て叱ってくる。まあ、撫でられる感覚がないんだけどね。
「闇派閥の居場所を特定する術が彼にはある。今回呼んだのは、敵幹部の居場所を教えてもらうためさ」
「本当か!?」
「もちろん」
大半が目を見開く。俺が闇派閥を壊滅させたことについて半信半疑だった人は、特に驚いているようだった。
『あ、この紙に書いてある枝知ってる』
(枝?)
『ええ。私と姉さんの薬として使われていた物だもの。そう言えば、姉さんは今オラリオに居たわね』
(その姉さんの名前は何だっけ?)
『アルフィアよ』
意識を会議に戻せば、大人達が何やら口論している。怒鳴ってばかりの大人になりたくないね。
「ねえ、リヴェリア」
「ん?どうかしたか?」
「
「「「「!!」」」」
「その名前をどこで…!」
聞こえていたのか、古参勢が口論を辞めてこちらを向く。有名人?
「見たって人がいる」
「……それは本当かい?」
「うん。間違えようもない確かな情報だよ」
「ば、馬鹿な!!奴は、ゼウス・ヘラの派閥は!黒龍に敗れて死んだはずだ!!」
「ぜ、ゼウス?へ、ヘラ?」
『そう言えば、私と姉さんは【ヘラ・ファミリア】所属だったような……。まあ、私は病気で寝てたから半分以上穀潰しだったけどね!』
こ、コイツ…!しかも微妙に反応しづらいし…!
「しかし合点がいく。我々を倒したあの魔法は、かの【静寂】のものだと考えればな」
『そう言えば』
(まだあるのか?)
『黒い鎧を着た、大柄の男の人もいたわね。それに正義とは?って聞いた神も』
(それだけじゃあ分から……ん?ちょっと待て。あの神が一緒にいたなら、間違いなく邪神じゃねーか!!)
「フィン、まだあるんだけど……」
「?」
「
「「「「!!」」」」
「あの男神様が!?そう言えば、リオンも同じ質問されたわね……」
「名前は分かるかい?」
チラリとメーテリアを視る。ぷかぷか呑気に浮いてやがる。
『ん?ああ、ザルドって姉さんは言ってたわ』
「
「! ありえない話じゃない。城壁を破壊したのはLv.6以上の戦士。充分当てはまる」
【猛者】が拳に力を入れる。因縁がある?
「おい」
「どうかしたかい?」
「このガキ、闇派閥と通じてるんじゃねえか?」
「取り消せ【美神の戦車】!」
「リヴェリアの言う通りじゃ。流石にそれは見過ごせんわい」
リヴェリアとガレスから怒気が発せられる。額に冷や汗が流れる。
「俺たちでさえも掴めなかった情報を、何故冒険者になって日も浅いガキが知ってる?どう考えても怪しいじゃねえか」
【美神の戦車】が言っていることは的を得ている。幽霊から教わったなんて、事情を知らない他派閥の人は考えもつかない。疑って当然だ。
そう。事情を知らないのなら。
「この子は、【金の亡者】は闇派閥ではない」
口を開いたのはシャクティ・ヴァルマ。
「ああ?何か根拠でもあるのか?」
「
あのガネーシャが判断した。一般人を陥れる神ではないことを、皆は知っていた。
「疑う気持ちは分からないでもないが、彼は僕たちの仲間だ。次はないよ」
「ちっ」
舌打ちする。謝罪して……いや何でもないです。
『何この子、感じ悪い!』
多分年上だよ、この人。
「まあ、よしとしよう。今日招いたのは特定するためだ。いいね?」
やっと本来の目的を果たせる。これで終わったら、疑われただけになるとこだった。
「これは敵幹部が使用していた武器だ。拾って随分年季があるけど……使えるかい?」
渡されたのは折られた長剣。見た感じ怨恨が迸ってるので、
「充分。問題ないよ」
「よし、じゃあ始めてくれ」
「この地図使うよ」
俺は懐に仕舞っていた御札を、腕と長剣と地図に貼り付ける。これで繋がった。
全員が興味深く眺める。
地図を指でなぞる。北、南、西、東となぞって、
「見つけた」
「ここは……
アラヤ・宗徒を知らない冒険者は、
何の変哲もない子どもから、只者ではない冒険者へと評価が覆った。
オリ主の能力を知っている人。ロキ、フィン、リヴェリア、ガレス。シャクティ、アーディ、メーテリア。
メーテリアは地縛霊として教会にいたが、憑依先(オリ主)を見つけて呪ったので行動範囲が広がった。テンション爆上げ。1児の母なのに少女化。
結末はダンメモと同じ。ただし、本来なら不在のオリ主がいる。