超昂大戦SS さらばエスカレイヤー! 胸の鼓動は不協和音?! 〜レジェンド戦士よ、また逢う日まで〜   作:環 藍河

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※プロローグを飛ばしてお読みの方へ。時系列は原作第1部完結直後です。ネタバレ懸念の方はご注意を。



第1章 閉ざした心! ADDD、エナジー供給不能!?

沙由香とアカリの突然の別れ。その発端となったのは、昨日の実験。

 

【…よーし、テレメトリーOK、ADDD、超DDDともコンディション・グリーン! 2人とも、調子はどう?】

「うん、大丈夫。いつでも行けますっ!」

「はいっ、変身前ですけど、異常ありません!」

【了解っ。じゃあ、変身よろしくっ!】

 

ダイビート本部トレーニングルームでは、2人の超昂戦士による実験が始まろうとしていた。

 

「『フラックスプロージョン・ビート・エヴォリューション!』」

ユニゾンする変身コードと共に、2色の閃光が戦士を包む。

真珠色と真紅の閃光に包まれ、現れたのはエンジェリック・エスカレイヤーとエスカルビー・アステライズ…ダイビートのツートップとも言える超昂戦士の揃い踏みである。

 

……

「エナジー供給元が、もっと広がるといいんだけどなあ…。」

さやかが戦闘記録の解析から検討したのは、エンジェリック・エスカレイヤーに力を与える超昂戦士のバリエーションを増やし、発展的運用をするための、各戦士の相性チェック。

 

他の超昂戦士のパワーを受け容れ、普段以上の力を発揮する超(スーパー)DDDだが、エナジーを分け与えた戦士はエネルギー不足に陥り、ほぼ戦闘不能となる。

現在はその場を素早く離脱できるマッハやスケートル、そして…

 

「ああ〜ん、お姉さまのパワーアップに私のエネルギーが役立てるなんて、至福の極み、いっそ本望です〜っ! お姉さまぁ、むしろ他にもっと、私が差し上げられるものはありませんかあ〜っ?!」

 

…エスカレイヤーに身も心も、その他何でも捧げられるななかが供給者となっている。

 

だが、①柔軟な戦略を組める、②エスカレイヤーの戦闘可能時間を延ばす、③何らかの原因で3人が出動できないときの備え…から、さやかは新たな運用法を模索していた。

 

ADDDユーザーである超昂戦士だけでなく、神騎からも供給は可能であり、さやかは当初、ダイビート所属の戦士と地上神騎をありったけ集めて実験を敢行するつもりだったが…

 

  「トキサダが、枯れちゃうでしょ。」

 

実験に用いるD2エナジーも、当然トキサダのチャージが必要。よってユーノに滅茶苦茶、止められた。

 

「ぐぬぬ〜っ、全員でなくてもいいっ!

誰か、誰か一人いねえがぁ〜、成功可能性の高い奴はいねえがぁ〜?」

なまはげの如く実験体を求めるさやかだったが、遂に。

 

「…あっ…、あああ〜〜っ!! 

いたっ、いたじゃないっ、パワーが有り余っている超昂戦士がっ!!」

灯台下暗し、とばかりに思い浮かべたのは。

 

……

「わ…私のエナジーを、エスカレイヤーさんに? そんなことが…できるんですか?!」

さやかの白羽の矢が立ったのが、バージョンアップしたADDDの適性を唯一持つ、エスカルビー・アステライズ。

超昂戦士や久世が用いるADDD…アドバンスDDDは、発生するD2エナジーの全てを供給しきれず、異空間からの転送時に余剰エネルギーが浪費されてしまう。これを集約してパワーアップに用いることに成功したのがルビーのアステライズ・フォームだった。

しかし、その過剰なパワーは持て余す状況の方が多く、結果としていざという時を除き、普段は従来のエスカ・ルビー形態で戦っている。

 

パワーの供給源を増やしたいエスカレイヤーと、過剰なパワーの出力先に困っているルビーが共闘したら、補い合うはず…!

それがさやかが着想を得た、この実験のコンセプトであった。

 

「や…やります! 私がエスカレイヤーさんのお役に立てるなら、是非!」

 

……

「それじゃルビー、あなたのエナジー、借りちゃうね。」

「は…はいっ! よろしくお願いします!」

エスカレイヤーがルビーに合図を送ると、ルビーは固唾を呑み、構える。

(…あまり緊張しなくてもいいんだけどなあ…)

端末が表示するメーターを注視しながら、さやかが苦笑いする。

 

シュウウウ…ッ…

 

(あっ…!)

(くうっ…す、凄い…。

 これがアカリちゃんの…ルビーのエナジー…!)

 

ルビーが分け与え、エスカレイヤーに注がれるエナジー。その湧出量は、いつもの3人から受け取るエナジーに匹敵する勢い。

(おおおっ、アステライズ・フォームの生成エネルギーだから…やっぱりもう、溢れるくらいの勢いになるよねえ〜。…我ながら、末恐ろしいものを造ってしまった…!)

自らの発明の成果にほくそ笑むさやか。

 

「あふっ…ふああっ…!」

エナジーを抜き取られていくのを感じなから、しかしルビーは、自らを包むアステライズ・フォームから湧き上がる、それ以上のエナジーを同時に感じる。

(…これなら…!)

 

3人が実験の成功の手応えを掴みかけた、次の瞬間。

 

「あ…あああっ…! ふあっ…!」

(…えっ? ルビーのエナジー出力が低下っ…!

 エスカレイヤーへのエナジー伝達量も波打ってる…!

 どうして!? 著しく不安定になってる…?!)

「ルビー? どうしたの?」

 

「ひっ…い、嫌っ…」

ふらっ。がくがくっ。

さっきまでの手応えから一転、ルビーは立つ力を失って崩れ落ち、震える身体を両手で抑え、うずくまる。

 

「ルビー!?」

「あっ、あああああーーっ!!」

びくっ、びくびくっ、びくんっ!

どくっ、どくん。

…どさっ。

 

拒絶反応を示し、膝をつきながら大きくのけ反り、激しく痙攣。

次の瞬間、糸の切れたマリオネットのように卒倒するルビー。

【わわわっ、中止ーっ! 実験中止いーっ!】

強制シャットダウンをかけるさやか。

「ルビー!」

駆け寄るエスカレイヤーが、青ざめながら、ルビーを抱きかかえる。

 

「…うっ…あ…。」

(良かった…意識はある…。)

ルビーを抱きとめ、安堵の溜め息を一つ。

「エスカレイヤーさん…すみません…」

実験失敗を悟り、ルビーは詫びる。

「いいのよ、実験なんだから、想定外の出来事は付き物! …でしょう、さやかさん?」

【う…うん!】

辛うじて応えるさやかだったが、メーターが示すエネルギーの推移に、さやかは疑念を抱いていた。

(この異常…ちょっと、根が深いかも…。)

 

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