超昂大戦SS さらばエスカレイヤー! 胸の鼓動は不協和音?! 〜レジェンド戦士よ、また逢う日まで〜   作:環 藍河

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※検索で直接お越しの方へ。時系列は原作第1部完結直後となります。ネタバレ懸念の方はご注意を。


第3章 知られちゃった…! さよならの理由、アカリのナイショ

全ての私物が引き払われた沙由香の部屋で、別れを悟ったアカリは、止まらない涙もそのままに、自らの行いを悔い続け、肩をふるわせ続ける。

(沙由香さん…、私…間違っていました…。

こんなことに、なるくらいなら…!)

 

 

「…アカリちゃん?」

 

(えっ…あれっ…?!)

 

「えっ…? 何でアカリちゃんが、私の部屋で…?!」

潤む瞳で見上げた先には、何よりも会いたかった…会って詫びたかった、憧れの先輩。

 

「沙由香さん…っ、ごめんなさい…! ごめんなさい…!」

 

一方、何も思い当たる節が無いまま、涙ながらに謝罪される沙由香は、ただおろおろ、うろたえるしか無かった。

「ア…アカリちゃん、ちょっと、落ち着こう? ねっ?」

 

……

ポットもマグカップも片付けてしまった部屋ではお茶も出せず、沙由香は居住棟の自販機で買ったホットコーヒーの紙コップをアカリに差し出す。

「…それで、私に用事があったんじゃないの?」

「(あっ…!!)そ、そうです! 沙由香さん、沙由香さんが、元の世界に帰るって聞いて…! それで直接お話を聞こうと思ってここに来たら、お部屋が全部片付けられていて…!」

「えっ? あ、そ、それは…?」

 

アカリの勢いに気圧され、一つずつ整理しながら、沙由香はアカリを諭す。

 

「えっとね、私が帰るのは、要するに一時帰省。戦いが一段落ついたし、今のアカリちゃんたちなら、ちょっとぐらい強い敵が復活したって、安心して任せられるから。

もちろん、新たな強敵が出現したら、また来るよ。

ビートポータルの運用エネルギー…ダイナライト鉱石のストックにも余裕があるから、帰って英気を養ってほしい、って長官さんの勧めもあったし、ね。」

「そ…それじゃあ…?」

「たぶん、今アカリちゃんが思っている、今生の別れみたいな『帰る』じゃあないわね。」

「えええっっっ!!!」

 

自らの誤解に赤面しながら、アカリはもう一つ気づき、問う。

「じゃ…じゃあ、このお部屋を引き払うのは…!?」

 

「引き払う…? なんで?」

沙由香は当惑しながら、アカリの誤解の原因を推し量る。

「…あ。」

沙由香が、こみ上げる笑いをかみ殺す。

「こ…このお部屋ね…、メンテナンスと模様替えをお願いしているの。

ダイビートの戦士居住棟ではいちばん初めから使っていた部屋だから、帰省で使わない期間、ついでに空調メンテナンスを、ね。エアコンなんか、本当に調子悪くて夏に修理したくらいだったから。壁紙や床も、デザインを指定してあるから、今度戻る直前に張り替えてもらうんだよ。」

「えええーーーっ!! じゃ、じゃあ、沙由香さんの私物は…?!」

「かさばる物は倉庫、さっき最後の段ボールを運んだばかりよ。工事スタッフさんの都合で工事開始が前倒しになって、帰省までゲスト用の滞在ルームで寝泊まりになっちゃったから、寝具やアメニティは今、そっち。」

 

「そ…そんな…、じゃ、私、ぜんぶ、カン、違いで…?!」

アカリは、この小一時間を振り返り、自分の所行を脳内リプレイした。

憧れの先輩の部屋で、独り相撲で永遠の別れと思い込み、泣きじゃくって詫び続けた自分。

…控えめに言って、みっともない…!

 

さっきは引いた血の気が今度は逆流し、赤面してのぼせ上がる。

だが。

(沙由香さんと…悲しいお別れじゃ、なかった…!!)

体の底でぬくもりを確かめながら、アカリは再び涙する。

羞恥が半分、そして安堵が半分…その胸は、不思議な共鳴で高鳴り続けた。

 

「…落ち着いたかな? じゃあ、聞いていい?

アカリちゃんが勘違いで、私とお別れだって思い込んで、泣いたのはわかったわ。

でも、アカリちゃんが言ってた『ごめんなさい』は、どういうこと?」

「…ほへっ?」

「何か、黙ってお別れすると私にやましくて、心の底から謝らなければいけないようなこと…何があったのかなあ~?」

「あっ…あ、ああっ…!?」

 

恭平ゆずりの虐め口調で、沙由香の追及が始まった。

「…かくかく、しかじか…。」

「なるほど…。…それで、他には?」

「ぜ…全部、話さなきゃ…ダメ、ですか…?」

にこにこ。

「あ…あの、日を改めて、ってことでは…?」

にこにこ。

「も…もう、許してください〜っ!!」

「ダーメ。私だって、自分のことで可愛い後輩に泣かれて、心底胸が痛かったんだから。」

「えっ…!?」

 

どくん。

ばくん、ばくん。

沙由香の不意打ちに、高まる鼓動。

 

「ほ…本当に、すみませんでした…!」

「だ、か、ら。

こんなことが二度と無いように、今日はアカリちゃんととことん、腹を割って話さないとね?」

「は…はうう〜っ!!」

完全に逃げ場を塞がれたアカリは、赤裸々に自らを晒し続けるしかなかった。

(こ…これ、羞恥プレイだよお〜!?)

……

「そっか、あの実験失敗のとき、アカリちゃんはそんな気持ちだったんだ。」

「…はい…お恥ずかしい限りです…あううっ…!」

敢えなく陥落し、耳たぶの先まで真っ赤になりながら全てを吐露したアカリが、ようやく沙由香の追及から解放される。

「もう、それくらいでアカリちゃんのこと、嫌いになったりしないよお。誰だって、知られたくない感情の一つや二つくらい…ねえ。」

「はい…返す言葉もありません…。」

 

「…ん〜…」

「…沙由香さん? あの…」

少し考えた後、沙由香が告げたのは。

「いいわ、許しちゃう。その代わり、アカリちゃんは今日一日、私に付き合うこと。」

「…はい?」

尋問、のち。

デートが始まった。

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