東堂は夢を見ていた。
「酷い匂いに酷い霧だ。ここはどこだ?」
新聞が彼の顔に引っ付いてきた。彼はそれを取り、新聞の中身を読む。
「The London Telegraph JACK THE RIPPER?まさかここはブラザーの生得領域?」
聖杯戦争のマスターは契約しているサーヴァントの生得領域や過去の風景を見ることがある。今回の夢はそれだ。
「綺麗は汚い、汚いは綺麗。ここでは子供は只の餌食に過ぎない。生まれた子供も生まれなかった子供もテムズ川に流れていく」
子供の死体が急に東堂の前に現れた。そして死体たちは一斉に喋り出す。
「ねぇ、私達を暖めて。とっても寒いの」
「救われなかった命か。なんと残酷な。ああ分かった。暖めてやる」
「本当?」
「ああ、本当だ」
東堂は死体を抱きしめる。
次の瞬間には東堂は夢から覚めた。
「…ブラザーと遊んでやるか」
東堂は支度をすませてジャックの下に向かう。
ジャックはミレニア城塞のある庭の一角にいた。
「ねぇ、おかあさん」
「なんだブラザー」
「本当に怪我は大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。戦闘は出来ないが援護くらいはできる。ほら安心しろ」
「わ~♪入れ替えブギウギゴーランドだー♪」
「パンッ、パンッ、パンッ」と軽快な拍手のリズムが庭に響く。これは彼があらかじめ円状に置いてある呪力を籠めた石を置いてジャックを色んな場所に入れ替えまくる遊びだ。ジャック曰く景色がコロコロ変わって不思議で楽しいらしい。
「俺からも質問していいかブラザー」
「なぁに、おかあさん?」
「その、おかあさんってなんだ?」
「おかあさんはおかあさんだよ」
「それを言うならお父さんではないか?」
「お父さん?なにそれ?」
彼女は水子の霊の集合体。それゆえに父という存在を知らないのだ。
「そうか。願いを果たしたら色々と勉強する必要があるな」
「うん!」
「じゃあとりあえず。次はピアノでも弾くか」
「いいねおかあさん!」
ジャックは元気一杯の返事をした。
こうして彼らが廊下に来た時、ジーク達と会ってしまった。アストルフォとジャンヌとも一緒だ。
「おや、お前は確か」
「貴方がトウドウか。確かそこのアサシンと共に治療をしてくれたんだよな。ありがとう。改めて礼を言わせてくれ」
「礼を言う必要はない。俺はあのまま、お前を殺そうとしていた。礼ならきっかけとなったジークフリートに言ってくれ」
「そうか、気を使わせて逆にすまない」
ジークと東堂はあまり絡みがないコンビである。つまりあまり話してない間柄だというわけだ。
ならば問うことは1つ。東堂はニヤリと笑った。
「話は変わるがジーク。問おう、どんな女が
「なっ!なんてことを、というか何の意味が!」
ジャンヌが顔を真っ赤にして東堂に詰め寄った。だが東堂は持ち前の精神力からか全く意に介さない。
「ちなみに俺は
「なっ!また破廉恥な!」
「んー僕はマスターみたいな男の子かな?」
「ライダー!貴方も乗らないでください」
「なるほどなMiss.アストルフォ、俺は男の趣味は自由で良いと思うぞ。それでおまえはどうなんだジーク?」
「俺は…わからない。まだ人間を知れてない」
ジークは生まれて間もないホムンクルスだ、ゆえにまだ恋愛の機微も理解できてない。だからジャンヌをヤキモキさせているのだ。
「そうか、ジークよ。女の
「…?そうなのか。すまない。なんとか考えておこう」
「いや絶対に違いますよ」
「じゃあな。ジーク。託されし
そうして東堂達はピアノを弾きにいった。
◆
場所は変わり、ここは『
そこには槍を振るう戦士がいた。
「精が出るなライダー」
赤のアサシン、セミラミスがそう言うとライダーことアキレウスはそれに返答する
「ああ、最終決戦はいつ来てもおかしくないからな」
「…それはいいこころがけだが。英雄は鍛えても強くならんぞ」
「俺の気分の問題だ」
セミラミスの指摘も無視して彼は槍を振るう。
「アーチャー、いやアタランテが負けたせいかの。奴を討ったトウドウめを恨んでおるのかの?」
「別にトウドウの事は恨んではないさ、姐さんは戦士でこれは戦争だ。ただ次、トウドウと戦場であったら容赦はしない。それだけさ」
「そうか…嘘が下手な奴め。恋煩いか?」
セミラミスはカラカラと笑いながらアキレウスをからかった。それをみたアキレウスは呆れた表情で返答した。
「お前に言われたかねーよ。」
「なっ!何をっ」
セミラミスは一転して動揺する。まるで初めて恋を知ったばかりの少女のように。
「マスターのことだよ」
「我はマスターの事を利用してるだけ。彼奴めが利用価値がなくなれば裏切り殺すだけよ」
「お前には殺せないだろ。愛しい相手を殺す性癖でもあるまいし」
アキレウスが軽口でセミラミスの恋愛感情について指摘する。
罰が悪くなったセミラミスは魔術を駆使して脱兎のごとく逃げ去った。
「図星かよ。まあいい、トウドウ。英雄としてアイツは俺が討つ」
そこには覚悟を決めた1人の戦士がいた。
◆
アストルフォが男であったことが判明したことや、フィオレの魔術刻印がカウレスに受け継がれるなど色々と事件は起きならがら時間は進んだ。そして新月の日の昼になった。決戦の日だ。
そこには天草を倒すべく集った英雄とそのマスターが集合している。
「それではゴルドおじさま。後のことはお願いします」
「…ああ、お前たち。生きて帰って来いよ」
ゴルドは気恥ずかしそうに返答する。
「彼ら、ホムンクルス達のこともお願いしますね」
「ご安心をゴルドはこう見えて慈悲深い男なので」
「お、おい!こう見えてとはどういうことだ!」
問答を終えて彼らは空港へと向かった。
そして空港でフィオレは口を開いた。
「作戦の内容を確認しますね。まずジャンボジェットで空中底辺に向かいます。セミラミスの迎撃術式が迎撃に来ると思いますが…」
「まっかせて!ばっちり思い出したよ。僕の宝具、『
「そうですか。残った問題は空駆けるアキレウスの戦車ですが、頼みましたよアーチャー」
「了解。弟子とはいえ容赦はしません」
「残りの皆さんで庭園に乗り込んでください。まだ姿を現してない赤のキャスターなど不確定要素はありますが皆さん、全力で戦ってください」
彼らは世界の破滅の危機を食い止めるべくジャンボジェットに乗り込む。そうして時間が過ぎた後、遂に見えた。最終決戦の地にして大聖杯が鎮座する地、『
「いくよぉ!」
アストルフォはヒポグリフの乗りながら迎撃礼装、『
「はぁ!」
アキレウスが空駆ける戦車、
「まだまだぁ!」
アキレウスが他のジャンボジェットに攻撃を仕掛けようとしたその時、矢が放たれた。
「それ以上は」
「先生か。トウドウとも戦いたかったが相手に不足はねぇ!」
ケイローンとアキレウスの戦いが勃発した。そしてこれは空中庭園には防御機構が無くなったことを意味する。ジャンボジェットに乗った彼らは空中庭園へと乗り込んだ。
「おい、ついてくんじゃねぇよチョンマゲゴリラ」
「心外だな。1人よりは4人の方が敵に出会った時に対処が楽になるだろう」
「おかあさんの言う通りだよ。頭悪いんじゃないのセイバー」
「おい、俺達は味方同士だろう。喧嘩すんじゃねぇよお前ら」
モードレッド、トウドウ、ジャック、獅子劫の順で口論をする。
ジークがカルナとジャンヌが赤のキャスター、シェイクスピアと戦っている間、彼らはその隙をついて庭園の建物内部に入り込んでいるのだ。
口論しながら建物内を探索してるとひときわ広い部屋、玉座の間に出た。部屋の中心にある玉座には赤のアサシン、セミラミスがいた。
「よう!
「王になれなかった叛逆の騎士よ。図が高いな」
「ハッ!お前を玉座から引き釣り落として俺が王になるだけだ!」
闘いが始まろうとしていた。
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