問おう、どんな女が好みだ   作:でかすぎ史郎

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4話

「さて…俺の前に立ちはだかったって事は負けたいって事だよな?アンタら」

 

「気をつけろライダー、お前らならば余裕だろうがあのチョンマゲ筋肉は人間でありながらセイバーと互角に渡り合った」

 

「分かってるよ姐さん。入れ替えの呪術だろ。あの胡散臭い男にさんざん言われたからな。さてと、来い現代の戦士、真の戦士というものをその身に刻んでやろう」

 

「それは光栄だ。だが、その前に問いたいことがある」

 

「聞きたいことだと」

 

「どんな女が好みだ?」

 

「俺は姐さんみたいな人が好みだぜ」

 

「冗談はよせライダー」

 

「そうか、残念ながら趣味が合わないようだな」

 

「ふん、安い挑発だな」

 

「ハッ、残念がることはねぇさチョンマゲ野郎。お前らはこの大戦でテルシーテースのように俺に殺されるんだからな」

 

 赤のアーチャー、アタランテと赤のライダー、アキレウスが4騎と1人の前に立ちはだかる。

 事の次第はこうだ。東堂がジャックの願いを聞いてから数日後のこと赤のバーサーカー、スパルタクスが命令を無視しミレニア城塞に突撃した。マスターの天草四郎は止めるのは不可能と思いアキレウスとアタランテにスパルタクスを捨て駒に敵に内情を探れと指令を出した。そしてそれを迎え撃つために黒の陣営総出で迎え撃っている。

 構成としてはスパルタクスにヴラド三世・アヴィケブロン・アストルフォ、アキレウスとアタランテにはジークフリート・フランケンシュタイン・ジャックザリッパー・ケイローン・東堂葵。マスターは東堂葵を除いて後方で待機している。

 

(令呪を以て命ず。セイバー、宝具を発動せよ!)

 

「なっ!」

 

 戦いが始まろうとしたその時、ジークフリートのマスターであるゴルドが突如として令呪を切った。通知のない令呪の使用にフラン・ジャック・東堂の3人は連携を乱す。

 そして数秒後にゴルドは重ねてもう一度令呪を使った。

 

(れ、令呪を以て命ず。セイバー、宝具の発動をと、止めろ!)

 

「『幻想大(バル)ッッッ!』」

 

 この令呪はダーニックが真名の露見を恐れた為にゴルドに宝具を止める用に命令した為だ。

 ジークフリートはいきなりの矛盾した指令のせいで態勢を大きく崩した。

 その隙を見逃すほどギリシャの大英霊は甘くはない。

 

「隙ありィ!」

 

 アキレウスの槍がジークフリートの喉元を掠ろうとしていたその時、「パンッ」という炸裂音が辺りに響いた。

 

「間一髪といったところだな」

 

「チッ、入れ替えか。思ったよりも混乱するな。それにしてもセイバーのマスターは愚かだな。どうせなら真名も言えばよかったが」

 

 東堂の不義遊戯(ブギウギ)によってセイバー退場という最悪は避けられた。

 だが初っ端から令呪を2画も失うのは痛手であることには変わらない。

 

(皆さん、念話が聞こえますか?話は省きますが赤のライダーは神性を持たない相手の攻撃を無効化します)

 

 ケイローンからの念話が黒陣営に聞こえる。彼はアキレウスの師匠なので赤のライダーの真名がアキレウスであることを知っている。

 

(ありがたいMr.アーチャー。ならば俺らは後方のアーチャーを狙った方がいいか)

 

(いえ、私だけでは赤のライダーは止められないでしょう。セイバーが盾になり東堂は術式で攪乱してください。他2人は後方のアーチャーを頼みます)

 

(了解した)(ウゥ)(了解!)(…)

 

 

 念話を打ち切り、それぞれが行動を開始した。

 

「姐さんのとこに向かう気か?そうはさせねぇよ!」

 

 アキレウスが止めようとしたその時、腕に矢が刺さった。

 

「黒のアーチャーか。見事な弓の腕だ。してやられた」

 

(すまん、姐さん。2騎ほどそちらに向かった)

 

(了解した。こちらで迎え撃つ)

 

「じゃあ、早いとこお前らを倒さねぇとなぁ」

 

「奥義、簡易領域」

 

 アキレウスはまずは落としやすそうな東堂に狙いをつけ死角から首を落とそうと突貫した。

 東堂はアキレウスに対抗するべく簡易領域を展開する。

 

 東堂の術式、不義遊戯(ブギウギ)は神秘を纏ったものではないと入れ替えできないという制約の他にもう1つの制約がある。それは東堂が認識しなければ入れ替えの対象にできないという点だ。弱点と言っても本当に些事でしかないが英雄はそれすらも弱点に変えてしまう。

 アキレウスは天草から持ち前の戦闘センスで、死角から攻撃すれば入れ替えできないと見抜いていた。

 東堂は人間の中では超人だが英霊と比べれば並みのサーヴァントより少し強い程度である。トップサーヴァント級であるアキレウス相手では分が悪すぎる。

 普通ならそのまま首を落とされて終わりであろう。だがそうはならなかった。

 

「パンッ」という炸裂音が辺りに響く。東堂がいた場所にはゴーレムがいる。そのゴーレムはアキレウスによって跡形も無く消し飛ばされた。だが東堂も首の薄皮が切れて血が出ている。

 

「なにッ!」

 

「危なかったな」

 

「まさか回避するとはな。素晴らしいぞアオイ・トウドウ!」

 

 簡易領域、九十九由基がいない世界線の東堂が我流で編み出した結界術。東堂が本来いる世界線の後輩、三輪霞は簡易領域内に侵入した物をオートで迎撃するように設定していた。今回の回避も原理は同じ、簡易領域内に侵入した時点でオートで不義遊戯(ブギウギ)を発動して回避できるように設定している。

 このような原理で東堂は俊足の英雄の高速の一撃を補足できたのだ。もっともアキレウスが速すぎたせいで拍手がギリギリ間に合わず少し血を流してしまったが。

 

(ブラザー。こっちは上々だ、そっちはどうだ)

 

(大丈夫だよおかあさん。なんか赤のアーチャーはおかあさんのことをバカにしてて嫌いだけど)

 

 一方のジャック達の戦場ではアタランテが激昂していた。

 

「おのれ、アサシンのマスターめ。見た目だけではない、本物の、本物の子供を戦争に駆り出すとは」

 

「おかあさんをバカにしないでオバさん」

 

 アタランテは子供が慈しまれる世界を望んで聖杯戦争に参加した。ゆえにある意味で純粋な子供であるジャックを戦わせる東堂葵(マスター)に嫌悪感を抱いている。

 

「ナアアアアアア!!!」

 

「グッ、邪魔だ!」

 

 アタランテはフランの突進を喰らい吹き飛ばされる。アキレウスはまだ余裕を残しているがアタランテは苦戦している。純粋に2対1であることに加えてジャックに碌な攻撃をしていないからだ。

 

(姐さん、そっちはどうだ。マスターによればバーサーカーが捕縛されたそうだが。令呪を2画無駄にさせて黒のアーチャーが神性持ちだと分かった今、そろそろ撤退するべきだと思うが)

 

(…仕方あるまい。業腹だが撤退とする)

 

 そうして赤陣営の2騎は撤退を開始した。黒側はそれを止めようとしたが赤側の彼らは揃って俊足の逸話を持つ英雄、失敗に終わった。

 

「クソッ、ユグドミレニアめ!」

 

「どうしたんだ姐さん、アンタらしくもない」

 

「子供がいた」

 

「ん?」

 

「黒のアサシンが子供であった」

 

 アンデルセンのように子供のように見えるサーヴァントも中にはいる。だがジャックの場合は水子の霊、つまり正真正銘の子供サーヴァントだ。

 

「子供を戦わせるアサシンのマスター、トウドウめが許せぬ。一度問い詰めなければ」

 

 アタランテは東堂に思慮を巡らせる。

 

「トウドウか、この時代の人間にしてはかなり強かったな」

 

「それは否定しない。奴に交渉か打ち倒し必ずやアサシンを解放する」

 

「…まあ、どうせ敵だ。倒すのは変わらない」

 

 そうして2騎は拠点へと撤退した。

 噂の東堂はというと。

 

(ダーニックの爺さん。こちら東堂、黒のライダーと脱走したホムンクルスを発見した)

 

「解体しよう!解体しよう!ホムンクルス!」

 

「バカ者!コイツは黒のキャスターのゴーレムの炉心に使うのだ」




 2023年4月26日19時47分
 アキレウスとの女の好み問答を追加しました。
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