本当に申し訳ない。
「それで捕まえるのか?ゴルド」
「当たり前だ!」
ゴルドルフは鼻息荒く返答する。
彼らの目の前には逃げ出した
「い、いやだ」
「待った!3人ともこのアストルフォが…グエッ」
「ちょっ、君、人間なのに力強すぎ。そこの君!僕がやられてる間に速く逃げるんだ!僕ならなんとかなるから」
アストルフォが止めようとするが東堂に組み伏せられる。東堂は容赦はしない。今の彼は、魔術の世界に揉まれたせいで本来いるべき
それを見て
「
ジークが反撃としてゴルドに魔術を行使した。
そしてそれに激昂しないゴルドではない
「ふざけるなッ!ホムンクルス如きがぁ!
ジークの左胸に鋼鉄の腕がめり込む。「ブチュリ」という鈍い音が響く。心臓がつぶれた音だ。
「なに!?Mr.ゴルド?殺さず捉える指示ではなかったか?」
「こ、殺されていた。そうだ殺されていたんだ!あのままでは仕方なかったんだ。だから」
ゴルドが嘘でしかない言い訳を重ねて表情が歪む。
それに同じようにサーヴァントのジークフリートの感情も歪んでいく。
「ああ、なんで!なんてこと!なんで止めたんだセイバー、アサシン!英雄たる振る舞いを忘れたか!?生前の慈愛と勇気を忘れろというのか!ボクらはサーヴァントだけどそれ以前に英雄のはずだ」
「わたしたちは英雄なんかじゃないしぃ」
「…マスター、アサシンのマスター彼に治癒を施せないか?」
「残念ながら俺は反転術式を会得していない」
「なっ!貴様、勝手に口を、いやそれは無理だ役立たずの使い魔如きが意見するな!」
瞬間、ジークフリートの脳内に溢れた存在した記憶。
「ジークフリート様お願いします」
「助けてください。ジークフリート様」
「ジークフリート様」
存在した頼られる英雄としての記憶。それは彼の熱意そのもの。英雄としての源泉。
「マスター今一度問う、彼に治癒を施せないか」
「断る!それに心臓がつぶれてしまえば蘇生は出来ぬ!「そうか」ガッ!」
ジークフリートがゴルドを殴り気絶させる。邪魔者を排除する意図は明らかだ。
「俺は道をたがえてしまった。目の前の命を見捨てた。ともすれば非業の運命をとげるかもしれない。だがそれでも」
そう言ってジークフリートは自分の左胸に手を入れた。左胸からは血が噴き出る。
「まさか…Mr.セイバー。自分の心臓を彼に与える気か!」
「そうだ。君は止めるか?」
「いや止めるほど野暮じゃないさ。ブラザー、そこの
「なんでおかあさん?」
「俺が潰れた心臓と彼の心臓を入れ替える。体の一部は本来ならできないが切り離されればそれは叶うからな」
「感謝する。トウドウ」
「そんな、セイバー!」
「1人の犠牲で1人が助かる。公平な取引だろう」
こうしてジャックによって
「ブラザー、縫合を頼んだ」
ジャックには外科手術(E)がある。見た目は保証できないが縫合程度なら可能である。
ジャックが
「なっ、これは!」
「丁度いいところに、ルーラー。事情は以下の通りだ。願わくば彼に自由を与えてくれ。そしてライダー、俺のマスターに謝罪を我がマスターには
「わかりました」
「いくなよ!いくなよセイバー!」
そうしてジークフリートは塵となって消えた。
「見事だ。Mr.セイバー、いやMr.ジークフリート。お前ほど高潔な英雄はいないだろう」
東堂が思わずつぶやいた。
「ウッ!ここは?」
「良かったぁ!生きてたよぉ!」
アストルフォが
だがそれも長くは続かない
「ライダー、東堂、アサシン。何が起こった。つまびらかに説明してもらおうか」
ダーニックが来た。全てのサーヴァントとマスターを引き連れて。
「セイバーはどうした?」
「死んだよMr.ダーニック。ここの
「…なんということだ。いや炉心として使えるかキャスター?」
「使えるだろう。サーヴァントの心臓を持つ分、並みの魔術師よりも性能は良くなるはずだ」
「ならば決定だな」
「それは拒否します」
「なぜかねルーラー?それは我々の資産だが」
「俺からも1ついいか?Mr.ダーニック」
「なんだねトウドウ?」
「ここでルーラーを怒らせるのは得策ではない。サーヴァントである以前に彼らは英雄だ。彼らの矜持を穢すとMr.ジークフリートのように思わぬ反逆をされるやもしれんぞ。見逃すべきだ」
思わぬ反逆、それは令呪のことだ。
ルーラーには聖杯戦争に参加するサーヴァントへ絶対命令を下せる令呪を全員に対して2画保有している。聖杯戦争の序盤で彼女を敵に回して消耗させるのは避けたいところだ。
それを察してダーニックは黙った。
「ではライダーよ」
「なんだいランサー」
「自らの行いを恥ずべきだと思っているか」
「思ってない」
「ライダーを捕らえよ、罰を与える。ルーラーと
「しかし領王!」
「他に選択肢があるのかね?」
「い、いえ」
こうして
そして彼らはそれぞれの帰路につく。
このひと騒動は決着した。
「決戦だ。ブラザー」
「けっせん♪けっせん♪」
事態はジークフリートの死から数日後、戦力の減衰を察した赤側が領土ごと突貫を開始した。
今はミレニア城塞を前に静止して兵を進軍させている。
それを受けて黒側は集まり事態の対応への会合を開いている。
「まさか領土ごとせめてくるとは」
黒のアーチャーがそう言うと東堂はニヤリと笑った。
「なぁに、かえってやりやすくなっただろうMr.アーチャー。こちらにも領土が攻撃してくる英雄も神であった英雄もいる。Mr.ジークフリートがいなくても十分に対応はできる」
現在の戦力状況は赤側がバーサーカーが捕縛されたが天草四郎がいてサーヴァント7騎。黒側がセイバーを失ったものの赤のバーサーカーを捕縛し手駒にし、正史と違いサーヴァントに匹敵する個人の東堂、さらにはアサシンもいる。合計で8騎だ。地の利も合わせれば盤石なのは明白だろう。
その事実(天草がいることは知らない)があるからこそ黒陣営のドンたるダーニックは不敵に微笑む。
そして余裕そうに東堂に語り掛けた。
「もはや魔術師では対応が不可能な領分だ。トウドウを除いてな。セイバーの時のような醜態は晒すなよトウドウ」
「ああ、任されたMr.ダーニック。不義遊戯で暴れて見せよう」
決戦が始まる。
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