問おう、どんな女が好みだ   作:でかすぎ史郎

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アタランテファンにとっては閲覧注意です。


6話

 骨が平原に散らばる。

 骨から竜牙兵が生成されミレニア城塞に向けて進軍する。夜空に浮かぶ『虚栄(ハンギング・)の空中(ガーデンズ・)庭園(オブ・バビロン)』も後ろから進軍する。

 だが竜牙兵だけではない。もちろんサーヴァントもいる。

 

 ユグドミレニア側は小手調べにゴーレムとホムンクルスで迎え撃たせる。

 竜牙兵はいともたやすく蹂躙された。歩兵の質の差は歴然だ。

 無理もない、天草四郎側は城塞の建築がメインタスクであり歩兵の整備には余力を割きずらかった。一方のユグドミレニア側は前々から用意してあるホムンクルスに加えてゴーレム専用の英雄(アヴィケブロン)がいる。

 

 だが天草四郎側も負けてないサーヴァントや『虚栄(ハンギング・)の空中(ガーデンズ・)庭園(オブ・バビロン)』によってユグドミレニアの歩兵は蹂躙された。

 

「あの白髪はランサー、ライダーにアーチャー…む、サーヴァントの数が少ないな。様子見というわけではないな」

 

 遠見の魔術で英雄を観察している東堂は独り言をつぶやく。

 それに応えたのは黒のランサー、ヴラドだ。

 

「だろうな。お前からの情報でランサーとセイバーは何かしらの理由で情報共有ができていない。この様子を見るに決戦の連絡すらわたってないと見た」

 

「いえそう思わせての罠かもしれません。まあいずれにしろこれほどの大きな決戦、連携の取れてる取れれ無いに関わらず決戦の情報自体は伝わったでしょう」

 

「さようか黒のアーチャー」

 

「キャスターは城塞に立て籠もって庭園を操作しアサシンは潜伏してる可能性が高そうですね」

 

 この判断は誤りだ。実際にはキャスターはほぼ役立たずでありアサシンが操作している。

 だが普通に考えてキャスターにシェイクスピアという非戦闘員を召喚する方がおかしいから黒のアーチャー、ケイローンの考察には責める謂れは全くない。

 

「なるほど、それでは指示を下す。ライダーは自らの宝具で巨大庭園の魔術を防ぎつつ威力偵察」

 

 黒のライダーはジークの一件で処罰を受け収監されていたが決戦を受けて収監から解放された。

 

「キャスターはゴーレムの制御、黒のバーサーカーは雑兵の排除、黒のアーチャーは赤のライダーを抑えに行け、東堂と黒のアサシンは捕縛した赤のバーサーカーを連れて赤のアーチャーを相手しろ」

 

「なるほど俺の不義遊戯(入れ替え能力)で誘導しろということか」

 

「そうだ。奴の反骨精神は頑強だ万が一もある気をつけろ」

 

「問題はない。それより赤のランサーが浮いた駒になるがよもやMr.ランサーが相手を」

 

「さよう…ジークフリートがいなくなった以上、余しかあ奴を相手できるものはいまい。さあ行くぞっ!黒のサーヴァント達」

 

 こうして戦の火蓋が切って落とされた。

 

「オオオオオオオオオオ!!!」

 

「おかあさん、これって逆に面倒じゃあない?」

 

「かもな。だが貴重な戦力だ。上手く使うまでがオーダーだ!」

 

「パンッ」という音が夜空の戦場に響く。

 サーヴァントは神秘の塊、つまりは不義遊戯(ブギウギ)の対象だ。呪力を籠めた石を投げて、不義遊戯発動し、赤のバーサーカースパルタクスと石を入れ替える。この要領でバーサーカーを移動させているのだ。

 

 そうして遂にアーチャーの射程に近づいてきた。矢が空を切る音が聞こえる。

 東堂はそれをバーサーカーと入れ替えて対応する。矢は地面へと突き刺さった。

 

「危なっかしいな」

 

「お母さんを攻撃するなんて!あのおばさん嫌い!」

 

「言ってやるなブラザー。これは殺し合いなんだ。そりゃそうする。それよりブラザー、霧を張ってくれ」

 

 そう言われて黒のアサシン、ジャックザリッパーは霧を発生させ3人が霧の中に包まれる。こうすれば狙撃はできない。子供であるジャックに誤射してしまうかもしれないからだ。赤のアーチャー、アタランテは子供を大切にする英雄なので絶対に打つことはない。アタランテが子供が好きだというのはジャックから既に聞いているのでこういう対策が出来たのだ。

 

「ア!ア!圧政者ぁ!!!!!」

 

 スパルタクスの攻撃は別だ。奴は矜持も何もかも穢され目の前の者(東堂とジャック)を破壊する殺戮人形と化していた。

 このままでは此方がジリ貧になると思われた時、東堂の頭脳がある1つの考えを弾き出した。

 

「ブラザー、霧から出ろ」

 

「わかった」

 

 ジャックが霧から出た。これによって霧の中にはスパルタクスと東堂と大人しかいない。つまり誤射(子供に直撃)を気にする必要がない。だが霧の中では狙いはつけられない。

 アタランテが選ぶ選択は1つ。矢の雨だ。

 

「『訴状(ポイボス・)の矢文(カタストロフェ)』」

 

 これは狙い通りだった。東堂は柏手を連続で打ち鳴らした。

 東堂は術式を発動し矢を躱す。どうしても躱せない矢は東堂が自分で開発した呪術、落花の情で撃ち落とした。東堂は血を少し流すだけで無事であった。

 スパルタクスには直撃した。つまり怒りの矛先が変わったのだ。

 

「■■■■■■■■■―――!」

 

 言語ではない叫び声を上げてアタランテがいる方向に近づく。

 

「これで厄介者の処理はできたわけだ」

 

 そう東堂はつぶやく。しかしそう上手く事は運ばなかった。

 

「大変だよおかあさん。バーサーカーがルーラーと戦っているよ」

 

「なんだと!偶然ぶつかったのか。いや、そういうスキルでも使った可能性もあるな」

 

 これは赤のアーチャー、アタランテのスキルのおかげだ。

 アタランテの持つスキル:追い込みの美学(C)、敵に先手を取らせ、その行動を確認してから自分が先回りして行動出来る。彼女は先回りしてスパルタクスの進行方向にジャンヌが来るように調整していたのだ。赤側としてはジャンヌは排除する対象。排除する対象同士がぶつかるという最高の仕事をしたのだ。そういうわけで世界の強制力とでもいうべきか正史通りスパルタクスはルーラーと鉢合わせてしまった。

 これでアーチャーvs東堂&ジャックの構図になってしまった。

 

「どうする、おかあさん?」

 

「そうだな…ん?アタランテが近づいてきただと?」

 

 アタランテが近づいてきた。距離の優位を放棄するほどではないが(東堂)に声が届く距離まで。

 

「アサシンのマスターよ。なぜ子供を戦場に出す」

 

「ブラザーとは高校からの付き合いだからだ、つまり友達を超えた関係だ」

 

「うんそうだよ!おかあさんだから家族なんだ」

 

「高校?サーヴァントとマスターはせいぜい数週間程度だろう!ふざけたことをいうな!」

 

「ふざけてなどいないさ」

 

「まあよい。アサシンのマスターよ。アサシンを解放しろ。彼女は子供だ。戦争に巻き込んではいけない」

 

「俺はブラザーの夢(母胎回帰)を応援する。それには聖杯が必要だ。それを邪魔させん」

 

「ならば。返答は1つ。貴様を倒してアサシンを解放する」

 

「おかあさんを殺すなんて許さないよ!」

 

「ならばアサシンのマスターにマスター権を放棄させるだけにしよう!」

 

 アタランテが矢を放つ。それを東堂は術式で回避する。

 

「今のは殺しに来てただろ赤のアーチャー」

 

「あのライダー(阿呆)の攻撃を生き延びた貴様がそれくらいで死ぬと思ってはいない」

 

「おほめに預かり光栄だ。ブラザー霧だ」

 

「はーい『暗黒霧都(ザ・ミスト)』」

 

 アサシンはそう言われて霧でアタランテを包む。この霧は敏捷のランクがさがる霧である。

 

「む?動きにくくなる霧か。だが問題はない。むしろ都合が良い。近接戦闘で倒してやる」

 

 アタランテは伝承で英雄ペレウスとのレスリングで勝利しているほどの腕前である。霧の中で穴熊されるくらいなら近接で仕留めたいと思うのは道理だろう。だがこれは悪手だ。

 

 聖杯戦争で大事な要素は2つある。情報の収集と隠蔽である。

 例えばジークフリートなどが良い例であろう。彼は竜属性を持ち背面が弱点になる。だからこそ竜殺しの英雄と当たらないように情報の収集を、背面をつかれないように情報の隠蔽を行う。

 

 ジャック・ザ・リッパーの宝具、『解体(マリア・ザ)聖母(・リッパー)』は例外(ジャンヌ)もあるが夜、女、霧が出ているの3条件で相手を死体にする。

 戦場は夜空で、相手(アタランテ)は女、霧は自分で出した。

 

 揃ってしまったのだ。条件が。

 

(まだ宝具は発動するなよブラザー。次の柏手が合図だ)

 

(了解、おかあさん)

 

暗黒霧都(ザ・ミスト)』の効果で敏捷のランクが下がっているとはいえアタランテはAランクの敏捷に加えてスキル:追い込みの美学(C)による先回り術もあるので攻撃は躱されてしまう。

 

 宿る神秘が違う。いくら相性が良くても近代の英雄では紀元前の英雄を討ち取るのは難しいだろう。

 だが、ここには東堂がいる。

 

 東堂は弱い呪力を籠めた石礫を数個、アタランテに投げた。

 東堂には呪力による探知能力があるので霧で視界が悪くても的確に相手に向けて投げれる。

 

「こざかしい!」

 

 アタランテはよけなかった。そこで「パンッ」という音がした。

 普通のサーヴァントには弱い神秘を感じ取る力はない。だから受けてしまったそれが命取りだった。

 

「『解体(マリア・ザ)聖母(・リッパー)』!!!」

 

「殺人」が発生し標的に「死亡」が発生する。

 つまりアタランテは死んだということだ。

 

「ガッ、そんな。バカな!私は!」

 

「すまんな赤のアーチャー。これは戦争なんでな」

 

 アタランテは塵となり消え去った。

 東堂達の勝利だ。

 

「やったねおかあさん」

 

「ああ、ブラザー」

 

 彼らは束の間の勝利を喜んだ。

 だがまだ大戦は続いている。

 

 右からはスパルタクスが光の奔流を放とうとする様子が見えた。

 左からはフランケンシュタインの怪物の全力の雷が見えた。

 後ろからは大量の杭と太陽を幻視する焔が見えた。

 そして前からは

 

「突貫だと!?」

 

 空中庭園がミレニア城塞に突っ込んできた。狙いは1つ、城塞に隠されてある大聖杯である。

 庭園の迎撃兵器、『十と一の(ティアムトゥム)黒棺(ウームー)』が魔力砲を持って掘削する。

 ミレニア城塞にはサーヴァントがいないので防ぎようがない。

 そうして大聖杯がむき出しになった。

 それを空中庭園が飲み込んだ。

 

「まずいな。行くぞブラザー」

 

「うん!」

 

 こうして2人は、いや戦場にいる動ける強者達は空中庭園へと向かった。




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下にあるのは自分で妄想した東堂のサーヴァント風ステータスです。異論は認めます。

東堂葵
【ステータス】
筋力:B+ 
耐久:C+ 
敏捷:EX 
魔力:B+ 
幸運:EX 
宝具:不義遊戯を宝具とするならC

敏捷は不義遊戯使用時、素の素早さはD+相当
幸運は高田ちゃんに出会えたから幸運は無限大らしいですが実際はD
筋力、耐久、敏捷、魔力は黒閃時のみ+される


【スキル】
精神汚染:D
高田ちゃんとブラザーへの愛が昇華した結果、精神干渉系魔術をシャットアウトできる。存在しない記憶で告白し振られているなど少し現実が見えているためかランクは低め。同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができないので精神汚染Cのジャックとは少し会話がかみ合わない。

信仰の加護(アイドル):A
1つのアイドルに殉じた者のみが持つスキル。加護とはいってもアイドルからの恩恵ではなく、自己の信心から生まれる精神・肉体の絶対性。

呪術:B+
呪力による身体強化、不義遊戯という呪力を纏う物の位置を入れ替える術式、簡易領域という結界術、落花の情という呪力操作を扱う。領域や反転術式は使えないので能力はB+

紳士的な愛:A
高田ちゃんとブラザーへの愛がスキルへと昇華された。妄想とはいえ告白する辺り紳士的な愛でない気がするが妄想だけで留めるあたり紳士なのだろう。東堂は文武両道で身だしなみに気を遣ういい匂いがする男子なので紳士である。
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