ジョジョの奇妙な冒険 輝く刃は砕けない 作:deltaanya
皆が決意を固めたのとほぼ同時に、黒い外車がそばに停まり、中から30代くらいの黒服の男が出てきた。
黒服「探しましたよMrジョースター」
ジョセフ「君は…SPW財団の者じゃな?ちょうどよかった、頼みたいことが…」
黒服「それは承知しますが!それどころでは無いのです!」
承太郎「ちょい待ちな。こっちが最優先事項だ。こいつを野放しにしとけば、この世界が終わっちまうかもしれんぞ」
ジョセフ「その通りじゃ。再び動き始めてしまったのじゃよ!60年前の因縁…柱の男がの!」
ジョセフは事の一部始終とカーズの状態を黒服に伝えた。彼はSPW財団の特殊部門の職員であり、もちろん60年前のことも全て知っている。だからこそ彼は青ざめていたのだ。
黒服「なっ…まさか…だとすると…」
黒服「…なるほど。どうやら私の用件とだいぶ深く関係しているようです」
黒服は携帯を取り出して何やら連絡をとった。先程とは打って変わって冷静な様子だ。非常に優秀な職員であることが窺える。
黒服「今連絡を取りました。SPW財団の下でこの畑を買収、半径50mを封鎖します」
ジョセフ「うむ、助かるよ。ありがとう」
承太郎「で、よっぽど急いでいたようだが…用件はなんだ?」
露伴「話の流れや態度からして…柱の男に関連することじゃあないですか?」
黒服「そ、その通りです。…Mrジョースター、彼が柱の男について知っているということは…」
ジョセフ「さっき彼らにはわしから喋った。彼らは全面的に協力してくれると言っておったよ」
黒服「そうですか…ならコソコソする必要はないということですね」
黒服の男は一度顔を引き締め、深呼吸し、一同を見つめる。拳を握り、冷や汗を流して…喋るにも相当の覚悟を必要とするようだ。
黒服「…これからあなた方が聞くことは、それを聞いた瞬間恐怖の疼きを味合わせることでしょう…」
億泰「ゴクッ…」
康一「(や、やっぱり…ちょっぴり怖くなってきたなァ…)」
仗助「も、勿体ぶらずに教えてくださいよォ!」
黒服「…2日前のことです。メキシコのとある財団施設で事故が起きました。ほんの些細な事でした…たまたま前日に台所で怪我をしていた新人調査員の傷口が、作業の時ほんのちょっぴり開いて、包帯に染みた血がほんの1滴だけ、石柱に落ちました。たったそれだけでした。」
黒服「しかし落ちた先がいけなかった…作業の場所がッ!運が悪かったのです!なぜなら!その石柱こそが…柱の男が眠る石柱だったのですッッ!」
ジョセフ「バカな…じゃ、じゃあ…奴が蘇ったというのか!?」
黒服「……奴は我々が知らないうちに血液を接種、蓄えていたようです。そうです、そうなのです!蘇ってしまったのですッ!奴が!あの恐ろしい男が!我々に柱の男の恐ろしさを植え付けたあの男が!」
黒服「奴の名は『サンタナ』ッ!奴は蘇った瞬間近場の作業員を惨殺し血で紫外線照射ライトを防ぎ、瞬く間にその施設の職員、研究員を全員捕食し、脱走したのですッ!!」
ジョセフ「お、お、お」
ジョセフ「Oh nooooo!!サンタナが!?サンタナが蘇っただとォ!?」
一同は驚愕した。もう既に柱の男は動き始めていたのだ。ジョセフから話を柱の男の生態について聞いてすぐのことであり、特に学生陣は狼狽気味であった。しかし1番慌てているのはジョセフだった。
ジョセフ「クソッタレが!奴は今どこにおるんじゃ!?」
黒服「現在行方を捜査中です。先程連絡があり、メキシコのとある海沿いの村で村人と駆けつけた警官1人が全員消える事件が発生したようです。まず間違いなくサンタナに捕食されたのでしょう」
億泰「お…おいおい、まさかそいつ人間全員を食う気じゃあねェだろうなァ!?」
康一「も、もしかして…あってほしくはないけど…ここに向かってきてるのでは…」
黒服「…サンタナの被害に遭ったと推測される場所は研究所からどんどん太平洋側に向かっています」
承太郎「なら、ほぼ決まりだな。野生の勘かそういう能力かは知らんが、奴は確実に杜王町…いやここにいるカーズを目指して来ている」
ジョセフ「奴はカーズの忠実な下部であり、また高い知能を有しておる。無策で来るということは無いじゃろう」
黒服「柱の男達の知能や学習能力は異常です。おそらく既に完璧に人間の言葉を話し、巧みに一般人に擬態できるでしょう。身体能力も異常です。跳躍力は優に5mを超え、指の力は975kg/㎠にもなります。また確認できているものは全て破壊、管理しているはずですが、石仮面を持っていた場合、吸血鬼を引き連れてくる可能性もあるでしょう」
露伴「吸血鬼か…ジョースターさんの話では柱の男ほどでは無いが高い能力を持っているんでしたね」
仗助「でも、俺らが知っている吸血鬼とは違うっぽいっスよね。俺らのイメージだと十字架、ニンニク、流水、太陽とかが弱点って感じっスけど」
承太郎「そんなに弱点が多かったら、苦労はしなかったろうぜ…実際完全に倒すにはやはり太陽のエネルギーしかない」
億泰「確か体バラバラにしてもくっついて再生すんだっけか?」
康一「たまに変わった特技を持ってるのもいるって言ってましたよね?」
ジョセフ「そうじゃのォ…わしの知る限りでは『目から液体を圧縮して光線のように発射する』だとか『体から無数の鉄棘を出して相手を串刺しにする』なんて奴等もいたかのォ」
仗助「ウゲェ…実質スタンド使いと変わんねぇっスね…そんな奴等が食料って…マジかよ」
ジョセフ「しかしやはり1番の懸念は…『波紋』について…じゃの」
波紋…もとい波紋法!別名仙道とも言われる。特殊な呼吸法により、体を流れる血液の流れをコントロールして血液に波紋を起こし、太陽光の波と同じ波長の生命エネルギーを生み出す秘法である。そしてこの波紋を流すことを『
ジョセフ「基本的に奴らを倒すには波紋しかない!日の出ているうちに我々に仕掛けてくることなどほぼありえんからなァ!」
承太郎「しかしジジイよ、確認なんだが…俺も波紋についてはスージーばあちゃんから聞いたことがあった。俺の家に遊びに来た時にな。その時に『波紋を使えば肉体を若いまま保っておくことができる』と言ってたぜ」
ジョセフ(あのアホ言わんでもいいことを…)
承太郎「だがジジイ、てめぇ特にスージーばあちゃんと…普通の人間と一緒のように老化して行ってるじゃあねぇか!まさかもう波紋が使えなくなってるんじゃあねぇだろうな」
康一「そ、そんな!もしそうだとしたら僕たちの少ない勝ち筋がまた一つ無くなっちゃいますよォ!」
ジョセフ「…わしはな、普通の人間のように老い、余生を過ごしたかったのじゃ。確かに波紋法で若さを保つことはできる。じゃが若さを保っているわしと一緒に並ぶスージーのことを考えると、そんな気も起きんかったのだよ」
ジョセフ「しかしそんなことを言っている場合ではない。単刀直入に言うとわしは波紋を使うことはできる!わしの波紋は生まれつきじゃからな」
だが承太郎はそれだけで安心できるほど楽観的ではなく、極めて冷静で思慮深い性格である。その疑問を持ったのはおそらく承太郎と露伴だけだろう。
承太郎「どのくらいだ?どのくらいの強さの波紋を練れる?」
露伴「ジョースターさんは先程『サンタナを消滅させられなかったのは当時の波紋が弱かったから』と仰っていましたが…当時以上の波紋は練れるのですか?」
ジョセフ「うむ……」
仗助「ど、どうなんだよジジイ!」
しばらく考え込んだ後、ジョセフは口を開いた。
ジョセフ「…1日じゃ」
康一「…え?」
ジョセフ「1日だけ完璧に集中できる日を設けてくれれば、再び十分波紋法を使えるようになる!」
承太郎「そうか…なら明日だ。明日中に使えるようにしてくれ。部屋は324号室のままでいいか?」
ジョセフ「ああ、だれも入れないのならあのままでいい」
承太郎「決まりだな。まず俺と露伴は情報集めだ。俺はSPW財団と一緒に、露伴はそっち独自のコネを使って柱の男の目撃情報を調べてくれ。ないかもしれんが我々がまだ知らない柱の男の弱点なんかもあるかもしれないからな。連絡してくれればSPW財団の協力もできる」
露伴「わかりました。海外のオカルトとか難事件に強い漫画家などを中心にあたってみます」
承太郎「康一君は街のスタンド使いの皆と情報共有だ。ただしスタンド使いでないなら自分の親族を含め他人には喋るな」
康一「はい!」
承太郎「仗助と億泰はジジイの護衛だ。誰も部屋に入れさせるな」
黒服「一応一日中SPW財団が警護に就きます。皆さんが学校にいる時はさらに増員しましょう」
仗助「了解っス」
億泰「わかったぜ!」
黒服「最後にサンタナが確認された時間と場所から、今想定しうる限り最速で杜王港に着くのは…約2日後です!」
承太郎「それまでにできる限りの準備をするぞ!」
一同「応ッ!」
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〜杜王グランドホテル324号室〜
皆が解散してから数時間後、自室に戻って来たジョセフは、ある場所に電話を掛けた。
???「はーい、もしもし?空条でございます〜」
ジョセフ「やあ、こんばんはホリィ」
ホリィ「あらパパァ?こんばんは〜。どうしたの?」
ジョセフ「スージーはおるか?」
ホリィ「ええ、こたつに入って蜜柑食べてるけど…」
ジョセフ「代わってもらえんか?」
ホリィ「はぁーい。ママー?パパから電話よ〜」
スージーQ「はいはい代わりましたよ。どうしたのジョセフ?今承太郎と杜王町に行ってるんじゃなかった?」
ジョセフ「元気そうじゃなスージー。そうじゃ。今ホテルから電話をかけとる。大事な話があるんじゃ」
スージー「まさか…」
ジョセフ「うむ…わかるか…」
スージー「まぁた浮気で隠し子がいたんじゃあないでしょうねェ!!」
ジョセフ「違うわい!…ハァ。深刻な事態じゃ。60年前の因縁が今更になってやって来よった…」
スージー「………なるほどね。言いたいことは分かったわ。気にせずに頑張ってね。そもそも私は昔から波紋で若さを保つことに反対してなかったでしょ?」
ジョセフ「…ありがとうスージー」
スージー「気を付けてねジョセフ…おやすみ」
ジョセフ「ああ、おやすみスージー。ホリィにもよろしくな」
ちょうど電話が終わると同時に承太郎が携帯電話を持って部屋に入ってきた。
承太郎「電話だぜジジイ。SPW財団からだ」
ジョセフ「おお、ありがとう」
ジョセフ「もしもし、ジョセフ・ジョースターじゃ」
SPW職員1「夜分遅くにすみませんMrジョースター。どうしても貴方と連絡を取りたいという者が居まして…」
ジョセフ「なに?どこのどいつじゃこんな忙しい時に…」
職員1「SPW財団特別科学戦闘隊の長官、フリッツ氏です。今代わりますね」
ジョセフ「え(あ、あいつか…わしとあんまり歳変わらんのにうるさいんじゃよなぁ…)」
フリッツ「よォ!ジョースターァァ!少し久しぶりじゃあないか!元気にしてたかァ!?」
ジョセフ「ああ、元気じゃよ。お前も相変わらずじゃのォ…ところでどうしたのじゃ」
フリッツ「ンン?予想はついているだろう?聞いたぜ。カーズが戻って来て、サンタナが復活したそうじゃあないか!ここは我々特別科学戦闘隊の出番ではないかと思ってなァ!」
ジョセフ「なるほどのォ…なら、サンタナはどうやらここ杜王町に向かって来るつもりのようなんじゃが、そっちで来る前になんとかならんか?」
フリッツ「それはァ…無理な話だなジョースター。奴について最後に確認できたのは形跡だけだ。今どこにいるかわからんし、探す前にそっちに着いてしまうだろう」
ジョセフ「そうかぁ…やはりここで迎え撃つしかないのか…」
フリッツ「我々はいつでも行けるぞ。柱の男との戦いの後も、色々な化け物を相手にしてきたからなァ!腕が鈍ってるなんてェ事はないぜ!」
ジョセフ「そうか…なら…援軍を頼めるかの、シ…フリッツ。数や人員選びは任せたぞい」
フリッツ「まァかせろォジョースターァァ!我々特別科学戦闘隊とォ、貴様の言う黄金の精神が合わさればァ!勝てぬものなどなァい!」
ジョセフはこれ以上ないドヤ顔を浮かべているだろうフリッツの姿を想像して微笑した。先程の電話までの何かが吹っ飛んだように、清々しい顔だった。
ジョセフ「ふふ…そうじゃの!今回ばかりはその高慢な性格に助けられたわい!では、杜王町で待っとるぞ」
フリッツ「ああ!またな!」
電話を終えたジョセフは、彼から溢れ出る勇気を貰った代わりに非常に疲れていた。本体からだいぶ離れていた承太郎にも大体聞こえるくらいの音量だったのだ、当たり前である。承太郎はやれやれといった表情でジョセフに近づいた。
ジョセフ「ふう…相変わらずうるさい奴じゃわい」
承太郎「おいジジイ、さっきの相手は誰だ。SPW財団のものということはわかったが、俺はいつも関わっている部門で、あんな声量の職員は見たことねェぜ」
ジョセフ「奴はフリッツというわしの旧友じゃよ。名前はドイツ人っぽいがアメリカ国籍じゃ。悪いやつじゃあないし、勇気のある男なんじゃが…まあ…承太郎とは合わんタイプかもな」
承太郎「…だろうな」
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〜アメリカ テキサス州 某所〜
SPW財団関連の施設は世界中に存在する。特にアメリカ合衆国には変わった施設が幾つもあり、彼らSPW財団特別科学戦闘隊の施設もそのうちの一つである。そこでは日々、非日常的な現象や異常な事案などを研究・対処している。特別科学戦闘隊長官であるフリッツは彼の部屋でコーヒーを飲みながら満足げな表情を浮かべ、書類を確認していた。するとドアの向こうからノックする音が聞こえた。
少尉「失礼します、大佐。作戦決行の是非を伺いに参りました」
フリッツ「うむ。先程ジョースターから申請があった。我々特別科学戦闘隊は全戦力の半数をもって明日に杜王町へ向けて出発するッ!異論はあるかね?」
少尉「いえ!ありません!」
フリッツ「うむ。装備や人員についてはこちらに一任するそうだ。1時間後に会議を開く。客員に通達しておいてくれ」
少尉「はッ!」
フリッツ「それと少尉」
少尉「はっ、なんでしょうか?」
フリッツ「今は大佐ではないぞォ!長官と呼べィ長官とォ!」
少尉「申し訳ありません長官。いかんせん慣れないものでして」
フリッツ「慣れてくれよォ?私は今はアメリカ人であり、別人であるのだからなァ」
少尉「以後気を付けます!長官!」
フリッツ「うむッ!下がってよォーし!」
少尉「失礼致しました!」
遠ざかる足音を聞きながら、既に冷めてしまったコーヒーを飲む。60年前、彼は実質的にサンタナに一回殺された。リベンジの機会を得た悦びで自然と口角が上がる。彼に恐れの心は無い。そう、サンタナに対しては。
フリッツ「ハァ…サンタナはまあ俺がなんとかするとしてェ…(カーズ…か。ジョースターはあの時のような波紋を練れるのだろうか、いや練れまい。一応赤石を持って行くことになっているが、正直あれで増幅した波紋で奴を倒せるかと言われると…)うむむ…やはり希望は現地の
革手袋をつけた両手を握りしめて、彼は決意する。
フリッツ「最悪、覚悟を決めねばならんな…スタンドを発現させることを…」
力みすぎてコーヒーのカップがバリンッと割れ、コーヒーをこぼして焦ったのはまた別の話である。
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〜???〜
サンタナ「フゥ…とりあえず準備は整った。では向かうとしよう。カーズ様のいらっしゃる、杜王町へ」
サンタナ「情報ではここから約10000km程…普通に行けば1日かそこらで着くが、俺の動向は追跡されているようだ。そいつらも準備含め2日くらいで来ると予想しているだろう…ならば!」
サンタナは意気揚々と夜の海へ飛び込んだ。彼は泳いで行く気なのだ!
サンタナ「(フフフ…まさか船を使わず泳いで行くとは思うまい…海の中はよほど深く潜らん限り太陽光で石化してしまうから泳がない…そう思っているだろうなァ。その思慮の浅さが命取りよ!原始人共が!)」
サンタナとの決戦の時は近い…。
ということで第3話でしたがいかがでしたでしょうか?今回は私がジョジョで1番好きなキャラの登場回ということで、少々長くなってしまいました。名前の由来はおそらく7部を読まれた方にはわかるのではないでしょうか。前書きでも述べましたが、次回から戦闘回の予定です。波紋を扱えない仗助たちはどう立ち向かうのか期待ですね。因みに今回の独自解釈はジョセフが老けた理由についてとSPW財団(特に特別科学戦闘隊)についてです。ジョセフについては僕はこの解釈結構好きで、しっくり来てるので採用しました。
実はほぼほぼ処女作なのですが多くの方々に見てもらえているらしく、非常に嬉しいです!モチベにも繋がるので、お気に入り登録や気軽にコメントしていただけると幸いです。またTwitterもやってますので気になる方は是非そちらも見てください。それでは次回もどうぞよしなに。