___マシュ・キリエライト
「下がっていなさい!人類最後のマスター!そして、その旅路を共に進む者たちよ!ここでなら……ウォタガ!!」
「彼のクラス何なんだ?セイバーでは無いのかな?」
「う~ん……それが見えないんだよ、ダ・ヴィンチちゃん」
『そうだね、彼のステータス。第一特異点の時とは大違いだ。まったく見えない』
「オルレアンですか、あの時の彼は………」
「………むぅ」
私達は先輩と、ダ・ヴィンチさん、アルトリアさんと共に山の翁という存在に同盟を持ち掛けるために歩いていました。
しかし、私達の出番がまったくないのです。
「お前は前に出るな!」
「そんなの」
「マシュ、大丈夫だ。お前とその仲間なんて簡単に守れる」
その言葉通り、幻創種が出てきてもランスロット卿は容易く仕留めて行きます。
「うっ……」
「水か、ウォータ」
掌から水を出し、先輩に飲ませています。
『しっかし、キャスター顔負けだよ。あんなのキリストでも』
ドクターもそんな事を言います、不満ばかりです。
「……ランスロット卿は異界の神すら呼べる。さらに、自身の姿すら変えられる。何故、それを利用しないのか」
「ガレスが居たのにするはずないでしょう」
「……そうでしたか」
ランスロット卿、史実では裏切りの騎士と記載されていますが、それはすべて謀だった。
アーサー王の統治を完璧な物にするために邪魔な存在を鏖殺したというのが真実だと、話していてわかりました。
円卓の闇のすべてをその両肩に載せ、たった一人で汚名を浴びながらもランスロット卿は忠義を尽くした。
「……ランスロット卿!」
「マシュ・キリエライト嬢、どうし」
「そんなに、そんなに私達が信用出来ないのですか!私達は」
「マシュ?!」
先輩も驚いています、でも、言わなければいけない。この、私の中のギャラハッド卿が、伝えたがっている。
「信頼しているさ、君たちは必要だ。だからこそ無駄な消耗は」
「良いえ!貴方は本心を隠しています!私も、先輩も、皆さんそんなに弱くありません!」
私の言葉でランスロット卿が下がり、私に手を伸ばしそれをしまいました。
それが、どう見ても、苦しそうで、悲しそうで…
「失いたくないのだ、お前を……息子、娘、そんなのは関係ない。私は、二度も私の家族を失うなど耐えられない。頼む、ギャラハッドいや……マシュ、お前を……お前を護らせてくれ。父親でも、なんでもない、時代すらこえた存在。だが、それでも、私はお前を失いたくないのだ」
「……ランスロット卿」
慈愛の目、私は、私の中のギャラハッド卿は知っているのでしょうか、私は無意識にランスロット卿の頬に手を当てていました。
「大丈夫です、お父さん。私は……負けません」
「……ギャラハッド」
ランスロット卿はその場にしゃがみ込み、何処か泣いているようでした。
「ねぇ、ランスロット。マシュは大事なの?」
「人類最後のマスターよ、私は……息子を私から離せば騎士にする必要はないと思っていた。だが、だが、それでも息子はいつの日にか見た騎士に憧れ、私を叔父さんと呼び剣を教えてくれと頼んだ。まるで、騎士になるためかの如く。
私は、会うべきでは無かった。
私は教えるべきではなかった。
息子を死する運命に引き込んだのは私だ。
騎士になりたい、ギャラハッドの意思を尊重しつつ、私は他の騎士なら音を上げる訓練を施した。なのに……なのに、ギャラハッドはそれを糧とした。嬉しかった。だが」
「違うよ!マシュもそう、ランスロットさんを恨んでないし、ギャラハッドさんもきっと恨んでない!ランスロットさんは自分が許せないだけなんだよ!」
「知っているさ!何が悪い!俺は自分が許せない、騎士王を憎む自分が、ギャラハッドを殺し、ガレスを殺した自分が!だが!小娘一人に何がわかる!」
「わからない!でも、スッキリさせてあげる!!アルトリア!マシュ!ダ・ヴィンチちゃん!」
「ランスロット卿……こうしてまみえるか」
「……敢えて言います。貴方は私のお父さんです、例え血が繋がらなくても、私の魂がそう言っています!!」
「かのランスロット卿とは……だが、立香ちゃんの頼みだからね!」
「……殺さない程度には痛め付ける。弱ければ、この特異点を俺が一人でやる」
「セイバー!宝具展開!」
「させると思うのか」
ランスロット卿はエクスカリバーに向かい、小石を投げました。アルトリアさんの腕に辺り、エクスカリバーが地面に、すかさずランスロット卿はエクスカリバーを魔術で凍らせます。
「ブリザラ」
「なっ!それは」
「魔法だよ、お前達の魔術とは違う別種の物だ。お前達、魔術師よりも使い勝手はいいぞ?」
「くっ!」
「どうした騎士王、エクスカリバーだけが貴様の宝具か」
そう言いながらランスロット卿は粗悪な剣を投げてきます。
「ランスロット卿……舐めるな」
「俺から一本でも取った事があったか、貴様に」
「やぁぁぁ!!!」
「その盾、大ぶりだな。最小限の動きに抑えろ、このようにな!」
「あぐっ!」
「ダ・ヴィンチちゃん!」
「任せ給え!」
「ちぃ…ウォール」
ダ・ヴィンチさんの攻撃も光の壁に阻まれ、ランスロット卿には届きません。
「ふふっ……」
「何故笑う」
「楽しいんです」
「……不愉快だな」
ランスロット卿の瞳に冷酷さがましていきます。
しかし、私は今こうして打ち合えている事に喜びを感じている。
「マシュ!」
「アルトリアさん!!」
「ぐっ!!!」
武器がだめなら拳で殴る。
私とアルトリアさんの攻撃でランスロット卿が下がります。
「私も行くよ!ガンド!」
「ぐつ……体が………動かん」
「マスター!良く!!」
「ダ・ヴィンチちゃん!!令呪をもって命ずる!宝具展開!!!」
「ん、本気を出せ?よろしい!そのオーダーに答えましょう!」
「東方の三博士、北欧の大神、知恵の果実……我が叡智、我が万能は、あらゆる叡智を凌駕する!『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』!!」
「舐めるなァァァ!!!」
ランスロット卿が叫ぶと何でしょうか、何処か聞いたことのある音楽とゲーミングに光る何かが現れました。
「……My name is Lui」
「だめです!」
筋肉質で、何処かの配管工みたいな服装になり、何かを持っています。
そして、担いでいるのは巨大なハンマー。
振り下ろされれば人一人死んでしまう様な。
「hei!」
赤いキノコをランスロット卿?が食べるとその姿が一回り大きくなり、筋肉が膨張していきます。
「……hello」
振るわれたハンマーを盾で受け止めようとしますが、できずにはげしく吹き飛ばされました。
「……Arthur!!!!」
「くっ!巫山戯た服装のくせに……強い!」
「立香ちゃん、下がっ」
「here!!」
「むぐ?!」
「嘘だろ!立香ちゃんがちっちゃくなった!」
「何で!!!」
「私も冗談では」
「FIRE BALL!!」
私が戻る頃には地獄でした。
先輩は……その、小さくなって、ダ・ヴィンチちゃんとセイバーさんは燃やされつつ、ハンマーの一撃を防いだり、いなしたり、
『マスター一時的だ!私を召喚しろ!!』
それはカルデアの管制室で待機しているはずのエミヤさんでした。
「来て!エミ……何で?!」
「舐めるな!この姿で、貴様にリベンジする!ルイー◯」
「Brother」
「おい待て、それははんそ…、というより!貴様は円卓だろうが!」
「マリ◯のコスプレして来てて言えないよ!」
「先輩、それよりも!」
「あれって…」
「冗談じゃないよ」
「そんな恐ろしいものなのですか」
「少なく言えば、どんな敵も当たった瞬間即死だ」
「Fuuu!!!」
ランスロット卿は目の付いた星を握りつぶしました。
「Aa!!!」
ランスロット卿の拳がアルトリアさんのエクスカリバーにぶつかり、激しい衝撃が起こりました。
「こんなの……ヘラクレスよりも」
「セイバー抑えていろ!」
「アーチャー!!」
「沈め!ル◯ージ!」
「?」
エミヤさんの矢はその肉体に弾かれ、アルトリアさんもハンマーで横から弾き飛ばされました。
「強すぎないかね……彼」
「エミヤ!宝具使って!」
「わかった……何?」
先程までの服装は消え、黒のジャケットを着た青年が立っていました。
「…お前が悪いんだ、俺を本気にさせたな」
「……うそだろ、アレはランスロットだ。でも、そんなの」
ランスロット卿の見た目が20代程の青年になり、空が曇り始めました。
「まずい…I am the born of my sword. So as I pray, 『Unlimited blade works』!!」
「選ばれし王よ、我が力を持って敵を打ち払え」
「つっ……うっせぇ……良いから……来いよ!!」
固有結界のハズだった、しかし…空が曇る。
「アレは………英雄王を倒した」
それは遥か上空にいる、そして微笑んでいる、
〘風の八衝〙
全てが失われんとする一撃、神話の神の一人の一撃。
「……これが………ランスロット」
「死んでしまうかと思ったが……良く生きてたな」
「勝てない……こんなの………英霊なんて器じゃ」
「お前が万能の人と呼ばれたなら、俺は再び名乗ろう。俺こそが…魔法使いだ」
藤丸のサーヴァント達は既に戦意はない、元々戦う必要のない相手だったのだ。
勝てない、固有結界すら破壊されたアーチャー。
ダ・ヴィンチも目の前の本気のランスロットに勝てるヴィジョンが見えない。
「それでも!」
「人類最後のマスターよ、所詮…英霊も人間なのだ。勝てないと思ったら折れてしまう、彼等は折れた。俺に、俺という絶対強者に」
「まだだ……私は……負けていない」
「私も…セイバーさんと同じです」
「止めるんだ!これは……必要のない戦いなんだよ!」
「マシュ!セイバー!マスター、止めさせろ、勝てるはずが」
「信じる、私は……私のサーヴァントを」
「……」
ボロボロになりながら立ち上がる、
「マシュ、行きますよ」
「はい!セイバーさん!」
賢王の剣で二人の攻撃を防ぎ、シフトブレイクでマシュの円卓を弾き飛ばす。
「もう止めろ……止めてくれ……立たないでくれ」
ランスロットは泣いている。
自身が傷つけているから、だがこれは戦いなのだ。
「ランスロット卿!」
「何故だ……何故…お前は私の近くに居てくれない。何故だ、何故、アーサー王の近くに……お前を抱き上げられなかったからか、お前と共に生きれば違ったのか…………」
「ランスロット卿!ギャラハッド卿は」
「私は!先輩のサーヴァントで!後輩なんです!私は!先輩を護りたい、でもそれと同じぐらいに苦しそうなお父さんを見たくない!」
「なら武器をおけ、お前達は」
「お父さん……私は騎士に成ったことを不満に感じたことは有りません!私は、お父さんと戦えて、話せて、嬉しかった!だから、私をお父さんの隣にいさせてください!」
「マシュ!」
「はぁぁぁぁぁ」
マシュはセイバーから約束された勝利の剣を受け取ると、賢王の剣と鍔迫り合いを行う。
「これは……そうか………」
ファントムブレードが砕け、その刃はランスロットを切り裂く。
「まったく………負けだな」
ランスロットの上半身が一閃され、血が吹き出す。
「そんな……違う私は」
「コンテニューだ」
「は?」
斬り裂かれたはずのランスロットは傷一つなくたっている。
「魔道具にな自分の死を無かったものにできるのがあるんだ。蘇生のルーンに似たものだな」
そして、ランスロットはマシュを抱きしめると頭をワシャワシャと撫でる。
「俺を殺せるなんて流石俺の娘だ!流石だ!まったく……お父さん、鼻が高いよ」
「え?」
「お父さん、俺が…お前のお父さんだ。今年でいくつかなぁ、まったく……誕生日プレゼントからクリスマスプレゼントまで沢山買ってあげるからな!君にもだ、人類最後のマスター!マシュのマスターなら俺の娘も同然だ!」
「え?あの、ランスロット卿」
「お父さん」
「ランスロット卿」
「お父さん」
「お父さん」
「うん、認めるさ。君たちは強いな、共に行こう」
「はい!お父さん!!」
「ランスロットパパ!」
「ほう、早速か!よーし、お父さん、娘と一緒に張り切るぞ!」
ランスロットはいつの間にか若い見た目から40代程になっていた。
「……あの、お父さん」
「マシュ、そしてギャラハッド。俺の宝だ、お前たちはな」
ランスロットはそう、微笑みつぶやいた。