憑依転生ランスロット(偽)   作:影後

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歩み進むもの

「それで、理解できないがお前は」

 

「この姿か?20代ぐらいとだ、若い頃の俺ってばイケメンだろ?」

 

「……嫌な思い出だな、冬木では」

 

「アーチャーよ、冬木の記憶なんてどうでも良いんだよ。過去は過去、持ち出すな」

 

お父さんは何処か苛ついた様子でエミヤさんの肩を叩いています。

 

「まぁ、お前たちの父親なのだ。きちんとした見てくれにはなるさ」

 

そして普段の40代程の渋い男性に、でも私と先輩を撫でる時はなんというか子煩悩なお父さんです。

ですが、前とは違い私達に合わせるように動いて共に戦ってくれます。

 

「死んでも安心しろよ、細胞全てが吹き飛んでも、10分以内なら死者蘇生の魔法もあるから!」

 

「ランスロット卿!生前何故それを」

 

「だって聞かれなかったし、こんな力持ってるなんて教えるな。そう親父様に言われたし…それに、ガレスにかける時間なんて無かったんです。それに……俺のギャラハッドとガレスを奪ったのは円卓なんですよ。何故、奴等に!」

 

「お父さん!ヤメてください!!」

 

「そうだよ、お父さん!マシュが泣いちゃうよ」

 

「あっ……いや………その、アーサー王、すみません」

 

「いえ、私も……」

 

お父さんとアルトリアさんにはやっぱりまだ、蟠りがあるようです。

主に、私つまりギャラハッド卿とガレス卿関係で。

 

「ねぇ、ランスロット。君は他に何が使えるんだい?」

 

「神降ろし、黒魔法、白魔法」

 

「黒魔法と白魔法?」

 

「ダ・ヴィンチ、黒魔法は主に敵に攻撃する際に使用する魔法を言う。燃やしたり、毒にしたり、眠らせたり、さっきウォーターを使ったがあれも本来は敵に攻撃する黒魔法の一つだ」

 

「ならなら、白魔法は!」

 

「味方を回復したり、補助したりする魔法だ。みてろ」

 

そう言うとお父さんは半透明な剣を何処からか取り出すと、自分の指を傷つけました。

 

「うわ、バッサリ行った」

 

「ケアル」

 

「傷が一瞬にして!?」

 

「後は……悪いな」

 

「は?」

 

エミヤさんの後に急に立つと、その霊格を抉り即座にエミヤさんを退去させてしまいました。しかし

 

「消える寸前か、リザレク」

 

「……ゴブッ」

 

衰弱しきったエミヤさんが……ありえません、確実に退去して

 

「ケアルガ」

 

「ランスロット、お前は」

 

「とまぁ、こんな感じで蘇生魔法だけじゃなくてこれと同じ事ができるフェニックスの尾や…これあげる、立香」

 

「お父さん、これって」

 

「半径50メートルに落雷を降らせる挙げ句、相手を灰にする使い捨て魔法」

 

「こっちは?」

 

「その魔法を5回連続で放つ使い捨て魔法」

 

「酷くない?!」

 

「じゃあ、あたりを一面を氷河期に変える」

 

「………ランスロット卿、もしかしなくても聞くぞ。その力があればブリテン守れたか?」

 

「……まぁ、無理っすね。少なくともアグラヴェインが俺の敵対者なんで。やる気ない、守る守れるなら守れるけど、裏切られるのは目に見えてるし」

 

「……」

 

「護る気なし、モードレッドの小娘も反抗的だし、俺の話聞かない奴多すぎだし、貴方も俺を待てば良かったものを、勝手にカムランの丘で死んでるし、救いようないですな」

 

お父さんは本気でそう思っているのか、真顔でアルトリアさんを見ています。

 

「とにかく、行きましょう。あと…立香。もし、俺が危なくなっても助けるなよ?俺は所謂テレポーテーションが使えるから逃げられる。危なくなれば俺をおいていけよ?良いな」

 

「お父さん、どういう意味ですか!それは」

 

「…いや、イヤーな予感がな。とりあえずだ、急いでも仕方ない。ここらへんでキャンプにしよう」

 

「ほぉ、円卓の騎士である君はその手の心得があるのかい?」

 

「ダ・ヴィンチ、喋らなかったろう。俺が嫌いじゃないのか?」

 

「いくらボロボロにされても、仲間になれば……ね?」

 

「私は忘れていないぞ!ルイー○」 

 

「……スター使ってやるか?」

 

ふざけた会話の後、私達は砂漠で夜を明かす事になりました。

お父さんが何処から出したのかキャンプキットを用意していて、しかも全員が寝れる大きさでした。

 

「そうだ、レオナルド・ダ・ヴィンチ。使い捨てだが、当たり一面を落雷の雨あられにする魔法か、灼熱の炎に包みこんで地面をガラス化させる魔法か、当たり一面を氷河期に変える魔法、リッカとマシュにもたせるならどれが良いと思う?」

 

「馬鹿なのかい!」

 

「馬鹿とはなんだ」

 

「いや、おかしいだろ!君のそれは私達のいう魔法とは違うが、威力が」

 

「……なら、自身の魔力を使って魔法を放てるアイテムならどうだ?お前も使うか?」

 

「なっ!そんなのがあるのかい?」

 

「お父さん、私も使えますか!」

 

「マテリア穴、空ければ良いだけだし」

 

お父さんは緑色の球体を渡してきました。

私達が知る物よりも遥かな魔術が

 

「これはマテリア、霊脈(ライフストリーム)のエネルギーが凝縮されたものだ。ほのお、いかずち、こおり、かぜ、どく、今渡せるのはこれぐらいと……あと、ででーん。星を滅ぼす黒マテリア!これがあれば俺以外でもメテオ使えるぞ!ちなみに落ちてくる隕石の大きさは地球を永久的に死の星にできる程度だぜ?誰か使う?」

 

「巫山戯るな!なんてものを!」

 

「ちなみに俺自身はそのマテリアが無くても簡単に同じ事ができる」

 

「何故、貴様にアラヤとガイアが動かんのだ!」

 

「簡単な事、俺を倒すことは不可能だから。俺はまだ死んでない。座に肉体がある、謂わばこれは……分体だ。それにいったろ?俺をお前達は殺せない。俺に勝てないんだよ」

 

お父さんはエミヤさんを必要に煽った後、腰の剣に手を伸ばしました。

 

「やらかしたな、面倒なのが来た」

 

「………ランスロット卿、それにお久しぶりです。陛下」

 

「ベディヴィエール卿」

 

アルトリアさんは何処か涙ながらにベディヴィエール卿と呼ばれた男性の手を取り、お父さんは気まずそうにしています。

 

「…色々と調べていましたが………随分と暴れ回ったみたいですね」

 

「…うっ……うむ、いやはや………卿にそう言われるのではな……」

 

「あの、ベディヴィエール卿!お久しぶりです!!」

 

「……貴女は…………まさか………そうですか、ランスロット卿が無条件で守るわけですね。お久しぶりです、ギャラハッド卿」

 

「なんとも……円卓の騎士が今ここには4人も居るなんてね!」

 

「そのうち一人はサーヴァントの枠組みではないがな」

 

ベディヴィエール卿と合流し、夜になりました。

お父さんがキャンプキットを取り出して、焚火を何処からともなく準備して………

 

「それで、ベディヴィエール。お前は獅子王にはつかないのか?」

 

「私が使えたのは騎士王ですよ、聖罰といい無垢な民を殺す事を是とする。かの王に仕えるつもりはありません。それに、我等の王は此処に居られる」

 

 

モキュモキュモキュモキュ

 

 

「あの、お父さん。お父さんは獅子王に勝てますか?」

 

「勝てるさ、俺は絶対強者。円卓最強の男だよ?負ける事はない」

 

「もう遅い、マシュ。リッカは寝なさい。それとも、子守唄でも」

 

「私達はそこまで子供ではありません!」

 

お父さんのそう言うイジリは嫌いです。

 

「先輩!いきましょう!」

 

「ちょっと、マシュ?!」

 

 

 

 

 

_______

 

 

マシュが居なくなったから話す事ができる。

 

「アーサー王、此方には来ていただけますか?」

 

「……わかりました、ランスロット卿」

 

他のカルデアのサーヴァントに気取られない様に3人で集まり、会話を始める。

 

「ベディヴィエール卿、何故だ。何故、卿が約束された勝利の剣を未だに持っているのだ」

 

「…陛下、やはりお気付きでしたか。ランスロット卿は」

 

「なんか隠してると思ったが、約束された勝利の剣か。厄ネタ持ちやがって」

 

ベディヴィエールは俺とアーサー王に申し訳無さそうにしながら身の上を話し始めた。

 

「……私は陛下の最後の命令を遂行できませんでした。約束された勝利の剣を泉に戻してしまえば、陛下は真に亡くなってしまう」

 

「お前、そんな理由で」

 

「ランスロット!……ベディヴィエール卿、貴方はそこまで私を」

 

「……陛下、ランスロット卿の言う通りです。私はできなかった、貴方を眠らせる事が………この、特異点ですか。あの、獅子王という存在を作り出してしまったのも私なのです」

 

「ベディヴィエール卿、どういう」

 

「…眠る事ができず、魂となり亡霊として未だに存在し続ける。それが今の獅子王なのです」

 

「出会った時の違和感はソレか……獅子王には人間らしさが無かった。全てを道具としてしか見ない、そんな奴だったな」

 

「ランスロット卿……そう言えば何故貴方は………その、モードレッドに」

 

「モードレッド?」

 

「ベディヴィエールは知らなかったか。別世界のモードレッド陛下だよ、男児であり、寿命も人間と同じ、それだけでなくブリテンを最後まで守り続けた叛逆の王」

 

「…アーサー王の話をするように言いますね。それで………」

 

「その、世界線の俺は絶望していたんだ。ギャラハッドは円卓の騎士に配属された最初の任務が聖杯探索。いくら優秀とはいえ結果は目に見えていた。俺は父親として…ギャラハッドを守る為に何とか動いた。だが………」

 

「父さん、信じて下さい。必ず帰ります」

 

「ギャラハッドはそう言い残し帰ってこなかった。帰ってこれなかった、ギャラハッドの姿は戻る頃には変わっていた。辛く長い道のりだったのだろう。ボロボロになり、死体となって帰ってきた」

 

「……」

 

「ガレスはピクト人との戦闘時、殿を務めることとなった」

 

「ランスロット卿!私は必ず帰りますから!だから、その時に、私の本当の気持ちを聞いてください」

 

「……その時、私は指揮官であり民を守りながらの撤退戦には殿が必要だった。私がすれば良かったものを……ガレスか引き受けた」

 

俺は2つの武具を地面に出現させた。

処々装飾が剥げ、傷だらけでボロボロのラウンドシールド。

槍先が曲がり、赤く錆びついたランス。

二人は即座にこれが何なのかわかったのだろう。

 

「正直な話だ、あのモードレッド陛下と会うまでその世界線の記憶は無かった。しかしだ、出会ってこの2つが私の物にあった。それだけで…それだけで判るのだよ。裏切るしかなかったのだとな」

 

「……あのモードレッドは」

 

「貴女を殺した時、泣いていましたよ。一つ、モードレッド様に貴女が言う事は……そうですね。褒めてみたらどうです?俺とモルガンが居たが、モードレッド様はご自分で頑張った」

 

「…そうですか、わかりました。私も、休ませてもらいます」

 

陛下はテントの中に入っていく。これで必然的に野営は決まりだ。

 

「お前も寝とけ、ベディヴィエール」

 

「…ランスロット卿」

 

「ランスロットでいい」

 

「なら、私から一つ。ガレス卿の気持ちに答えるべきです。彼女は貴方を愛しているのだから」

 

ベディヴィエールへそう言い残し、テントに消えた。

判っている、ガレスが俺を愛しているのは。だが………俺はガレスと敵対している。マシュとガレスが戦う時、俺はどうすればいい?

 

「女神様、なんで………こんな事に」

 

 

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