「ふぅ……陛下、魔術での変装。実に素晴らしい物でした」
「えぇ、裏切り者の処罰も可能でした」
私達はガレス卿に吹き飛ばされ、お父さんは肉体を失い消えていきました。いえ、ガレス卿ではありませんでした。
理由はわかりません、ですがガレス卿の姿が変わっていき、第四特異点で見た黒いアルトリアさんのような姿に変化しました。
「…ガウェイン卿!それに…貴女は騎士の誇りさえ」
「…若き日の私ですか。しかし、今最大の障害は消え、残るは子供のみ。心苦しいですが、今ここで死んでもらいます」
「何故だ!何故、そこまでなれるのだ!私!」
「…弱き者のとう吠えなど聞くに堪えません。終わりです」
「マシュ!エミヤ!守って!」
疑似展開/人理の礎
熾天覆う七つの円環
2つの盾が神槍の一撃を何とか防いだ。
しかし、防がれたと見るやガウェインがリッカに斬りかかる。
「させません…私が!」
「ギャラハッド卿だと?!だが、ランスロットよりも弱いのならば」
「はぁぁぁ!!!」
盾の合間を縫って、ベディヴィエールはガウェインに斬りかかる。
「ベディヴィエール卿、卿では勝てない」
太陽の下でベディヴィエールがガウェインに勝てる要素はない。
ガウェインも、それこそ獅子王すら下せる存在は既に死んでいる。残っていないはずだった。だが、あの男が自分の家族の危機に眠れるほど弱くはない。
「お父さん!」
「なっ…何故生きている!ランスロット!!」
「Arthur……Aaaaarthurrrrrr!!!!!」
「なっ…バーサーカーに?!ならば、ランスロット卿!共に」
セイバーはバーサーカーと化したランスロットに叫ぶ。
しかし、ランスロットの放った言葉は違った。
「Run… awayyyyy!!!!」
マシュSide
黒く染まったお父さんは第一特異点の様に狂っています。
数多の武器、ライフルや槍、剣、それらを駆使し私達を守るように戦っています。
「やはり恐ろしい、狂化して尚、私への憎しみを忘れないとは」
「moooove ooooon!!!」
「くっ…狂った騎士など邪魔なだけだ!」
ガウェイン卿に胴体を斬られ、ドス黒い何かがよりお父さんを囲んでいきます。しかし、私はそれが悪しきものとは思えませんでした。
「Aaa!!!!」
「マシュ、行きますよ!ランスロットに、卿に任せるのです」
「嫌です!」
お父さんは血を吐きそれでも、私達の退路を作るために戦っている。私は何をしている。私は!お父さんを……
「令呪を持って命ずる、マシュに深き眠りを」
「待ってください!マスター!先輩!お父さんが…お父さんが!」
私の目蓋がだんだんと重くなるのを感じました。
動くことはできず、アルトリアさんに背負われながら、ずっと後ろを向いていました。
「Gawain!!!Arthur!!!」
「ランスロット!!!」
「アロンダイトのない、卿に負けるほど弱くない」
ガウェイン卿の剣とロンドミニアゴに穿かれ、お父さんは今度こそ…魔力の粒子となり消えていきました。
何もできず、私は………
モードレッドSide
「…くっ」
「どうしました?モードレッド卿、やはり二刀流には勝てませんか?」
「おいおい、それよりも二人がかりだからだろ?!」
「別に私は卿を戦力として必要としていませんがね」
「口悪いなおい!」
「黙れ…俺は!俺は父上に力を!全てを与えられたんだ!」
私とケイ卿でモードレッドを抑え込んで居ますが、やはり決定打にかける。彼女の魔力は潤沢なうえ、何時でもクラレントの真名を解放することができる。だが、私とケイ卿がソレをさせない。
私の二刀流とケイ卿の穴を突いた剣戟でモードレッドは実力の半分も出せないでいるでしょう。
「まぁ、私達も一手ミスれば終わりですがね」
「呑気な!」
「ちぃ…ケイ。てめぇ、俺が殺すまで父上に仕えてただろうが!何でそっちにいやぎる!」
「確かに…このモードレッドも俺を殺した」
「まぁ、実に面倒でしたよ。ランスロット卿が私の配下に居たからこそ勝てた」
「…そうかい、兎に角だ。モードレッド卿、俺は民を殺す女に、獅子王を名乗る女に仕えた記憶はない!俺の主は!俺の妹の、アルトリア・ペンドラゴンだけだ!」
「そうかい……なら、ここで死ね!」
「ケイ卿!」
私はクラレントを鞘に収め、アロンダイトに力を注ぐ。
「我が師、ランスロット。卿の力を使います。
湖の乙女よ、ご笑覧あれ!
『縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)』ッ!!」
「此れこそは、我が父を滅ぼせし邪剣!
『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!」
放出されたエネルギーが私のアロンダイトど裂かれていく。
だが、私自身も魔力の、肉体の限界が近い。
「よくやった!モードレッド!!大っ嫌いだが、やるしかないな!
ギャラハッドの真似事だが、一度で良い。守ってくれよ!」
『儚くも忘れじの城(キャメロット・イマージュ)』
「なっこれは!」
「おしっ!撤退だ!崩れる前に逃げるぞ!!」
「何を、あの白亜の城壁が崩れるなど」
私はケイ卿の出した物に感動していた。
あの城壁、あの姿、懐かしのキャメロットだったからだ。
だが、だんだんと白亜の城壁にヒビ、クラックが入っていく。
「やべ、予想よりも脆い。よし、撤退!撤退!死んでらんねぇ」
「私の決着はついていな………は?」
白亜の城壁は砕け、その奥にモードレッドの姿が見えた。
しかし、そのモードレッドは白亜の城壁から反射された閃光に消えたのだ。
「はっしっれっ!はっしっれっ!」
「何が!」
「俺の宝具って硬くないけど相手の攻撃反射するのよ!おら行くぞ!」
「そう言うのは早く言え!ケイ卿!!」
やはりこの男も馬鹿だ、あぁ、ランスロットと同じように『気持ちの良い馬鹿』だ。仲間なら、どれほど良かったろう。
「今は仲間だろ。モードレッドさま?」
「ふっ……様なんて、要りませんよ」
私達は何とか脱出し、最低限の犠牲で脱出に成功した。
アーラシュ、俵藤太、山の翁達、あの村で友好を結んだサーヴァントと民が我が国に来ていた。
「すこし、増築しますか」
「そう言うのはお前と、アルトリア馬鹿と怖い魔女の3人で考えてくれよ?俺は疲れて眠い」
「わかっています、あの村の民は彼等が指揮をとってくれている。私達は宰相を速く」
私達はどうにかカルデアのマスター達を見つけた。
しかし、その顔は暗く何処か悲しそうだ。
「父上、何故その様な顔を?また私に斬られますか?いえ、ランスロットが許すとは思えませんが」
私が軽口をけば彼が反応すると思っていたが、彼の反応はない。
それどころか、父上は拳を地面に叩きつけていた。
「……そうか、死ぬなと、生きろと命じれば良かったのか」
「あのアルトリア狂いが……はぁ」
ケイは頭をかいてどうすればと悩んでいます。
「あっ!ケイ卿!陛下!」
「……なんで今来ちまうんだ」
ソレは馬上槍と腰にアロンダイトを差した騎士、私にとっても親族たる騎士ガレス卿だった。
「ガレス卿……なぜ」
「ランスロット卿が裏切るのは理由があるはずなんです!それに、私もあの正罰が正しい行いとは思えません。騎士なら、主君の間違いを正すものです!」
「ランスロットが言ってたな、お前を殺す前に」
「ケイ卿、アレは仕方がない事だったんです。」
「なっ……ガレス卿」
「あっ!陛下!お久しぶりです!!」
その姿は仔犬のようで、モードレッドの記憶にあるガレスと同一だった。
「あの……ランスロット卿は」
「……獅子王と…ガウェイン卿との戦いで不意討ちを受け」
「おい!待てよ!不意討ちやれ、後方錯乱やれ、汚いやり方はランスロットの、彼奴の常套手段だろうが!アルトリア!彼奴が!彼奴がそんな姑息な手に!一番理解してる彼奴が罠にかかるなど!!」
それには誰もがその通りだと答えるだろう。
基本は騎士だが、ランスロットはどの様な手も使うという存在だ。そのせいで円卓では忌み嫌われていたが、ランスロットにとって常套手段だからこそ、ケイはランスロットが死んだのが信じられない。
「獅子王アーサー・ペンドラゴンはあろう事か、ガレス卿に化けていました」
「……そう言う事かよ」
「え?」
「ランスロットの、あの馬鹿の負い目はお前とギャラハッドだ。俺達を!円卓を裏切った事よりもな!俺は…俺は彼奴に!アロンダイトを持った騎士が仲間になったと話した!きっと彼奴は判ってた、判ってたけど……乗っちまったんだ」
ランスロットにとってガレスは娘にも等しい存在である。
ランスロットにとってギャラハッドは護れなかった息子である。
2人は、ランスロットが死なせたのだ。
「……うそ…だって……自慢の料理を振る舞って…くれるって」
「…すまない…すまない、ガレス卿」
「いえ……私は…私はランスロット卿からアロンダイトを受け取りました。泣きません!私は…私は民を守る騎士!ランスロット卿の一番弟子なんですから」
目尻に涙を浮かべ、亡骸のないランスロットを思うガレス。
こうして、最大戦力をカルデア陣営は喪ったのだ。