憑依転生ランスロット(偽)   作:影後

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反逆の王と呪われた騎士

「我が同志達よ、我々は一人の英雄を失った。彼は、アーサー王の治世に反旗を翻し、裏切者の汚名を受けた騎士だった」

 

私の言葉に騎士王は顔を曇らせる。

 

何のためにアーサー王と言ったのか、理解すらしていない。

 

やはり、この王は馬鹿な王だ。

 

「だが、かの騎士ランスロット卿の心は今此処にある」

 

私はアロンダイトを掲げ、仲間と民達にその輝きを見せる。

 

 

 

「そして、もう一人。ランスロット卿からアロンダイトを受け取った騎士が此処にいる」

 

 

 

「はい…私はガレス。ランスロット卿の一番弟子です」

 

 

 

「そうだ、確かに我等はランスロットを失った。しかし、ランスロットの、彼の守護者としての心を失った訳では無い!民達よ、安心して欲しい。我等の庇護下である君等に、何人たりとも触れることを我々は許さんと!」

 

 

 

「「モードレッド!モードレッド!モードレッド!モードレッド!」」

 

 

 

私の名を呼ぶコールが響く。頭を下げ、私は砦の中に入っていく。そこではカルデアのマスター、そして塞ぎ込むギャラハッド卿が居る。

 

 

 

「ギャラハッド卿、あまり塞ぎ込むな。コレからの戦いについてこれんぞ」

 

 

 

「私は……お父さんを見捨てて」

 

 

 

「馬鹿だな、あのランスロットがお前を怒るわけ無いだろうが。

 

ソレこそ、犯罪とかしたならきっと叱るさ。でもな、話を聞く限りランスロットはお前を、マシュとして、ギャラハッドではなく、マシュ・キリエライトとして、娘として扱ったんだ。お前が泣いてたら、父親の彼奴が不憫でならねぇよ」

 

 

 

「ケイ卿、その様な言葉はマシュには」

 

 

 

「黙れよ、アルトリア。俺はな、彼奴のしぶとさをよく知ってる。エクスカリバー、ガラディーン、クラレント、3人の騎士から同時攻撃されても大胆不敵に笑っていた奴だぜ?」

 

 

 

「意外ですね、そちらの世界でもあったとは。アレは、ランスロットの戦い方に騎士王、私、ガウェインが苦言を言った際に、

 

彼は『なら、私に勝ってみろ。勝てば戦い方は止めてやる』大胆不敵でした。3対1なのに、私達は攻めきれなかった」

 

 

 

「えぇ、ランスロット卿は剣だけでなく拳、蹴、目潰し等はしませんでしたが、ありとあらゆる戦い方をした」

 

 

 

「俺達がやってるのは戦争だ。下手なプライドや価値観は戦場には要らない。生き残る事を最優先にしろ、どんな汚名を被ろうと生きて帰れ。ランスロット卿の教えでした」

 

 

 

ガレス卿が話に混ざってくる。

 

キリエライト卿も、自分の知らない父親の話に興味があるのか顔を向けている。

 

 

 

「キリエライト卿、もっと話します。例えば、そうだな……ランスロットが池でカヴァスに噛みつかれた話など」

 

 

 

「カヴァスとは…確かアルトリアさんの犬の」

 

 

 

「えぇ、ランスロットが何故か気に入っていまして、よく餌を与えていたのです。どうやら私を守れる様に鍛えていたようで」

 

 

 

「懐かしいです、私達の前でカヴァス。不審者を見たら頭に噛みつけと言った瞬間、即座にランスロット卿の頭に噛みついて」

 

 

 

「あぁ、アレは滑稽だったな」 

 

 

 

考えたらランスロット卿は常に円卓のムードメーカーをしていたとも考えられる。道化を演じることで、我々の観る景色を変えていたのではと。でも、そんな彼はもう居ない。

 

 

 

「……でも、不思議だよね。ランスロット卿、彼は不死身だと、

 

蘇生するアイテムがあると言っていたのに」

 

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチと呼ばれた女性が話す。

 

私は知らないが、キリエライト卿とリッカは心当たりがあるようだ。

 

 

 

「確かに、何でお父さんは……」

 

 

 

「なら、案外生きてるかもな。彼奴、死んだと思わせるのも常套手段だ」

 

 

 

「そうですね、彼の事だ。ひょっこり、ソレこそ仲間のピンチに駆けつけて、格好良くこう言うはずです」

 

 

 

「またせたな」

 

 

 

その声は待ち望んだ声に聞こえた。

 

だが、姿を見せたのは花の魔術師であった。

 

 

 

「どうだい?息子に似ていると思うんだけど」

 

 

 

「…マーリン、時と場合を考えて下さい」

 

 

 

「…魔術師、貴様、いつアヴァロンから」

 

 

 

「やぁ、モルガン、キャスパリーグも。生憎だけど、この私は幻影さ。話すけど、今回ばかりは僕の息子は退去している。獅子王がおかしな事をしているから、早めに彼を呼ぶと良いよ」

 

 

 

「…どういう」

 

 

 

父上の言葉を受けたマーリンはくすくすと笑い、静かに話だ。

 

 

 

「ランスロットは円卓最強だ。昼のガウェインも、それこそ円卓のメンバーが命を掛けて殺しに行くレイドボス。……うん、駄目だね、面白い未来が確定したよ。最恐最悪の未来だ」

 

 

 

「待て、マーリン!何を知って」

 

 

 

「君達が間違えたんだよ、彼は呼べば来たのに」

 

 

 

「……ランスロットが……まさか」

 

 

 

 

 

______

 

 

 

「流石です、我王。あの男をこの様にして配下にするとは」

 

 

 

「えぇ、令呪。実に使える」

 

 

 

獅子王の前に仮面を付け粛清騎士の鎧に身を包んだ男が立っている。言葉を発する事も、何かをする事も許されない。

 

 

 

「けっ……父上、なんでコイツが必要なんだよ」

 

 

 

「戦力だ、それにこの男をぶつける方が此方の消耗が少なくて済む」

 

 

 

「□□□□□□□□□□!!!!!」

 

 

 

ソレは吠える、首輪を付けられ甚振られようともその心だけは失っていない。

 

 

 

「黙れ、かの騎士がどうなって良いと言うのなら暴れるがいい」

 

 

 

「□□□□」

 

 

 

ソレは暴れるのを止める。身長は3mに及ぶ巨体の騎士。

 

しかし、その目には怒りと憎しみの炎が湧き出ている。

 

 

 

「……モルガン、我が姉よ。此処で、貴様とモードレッドの息の根を止めてくれる」

 

 

 

 

 

________

 

翌朝、私が朝食をとっていると妙な胸騒ぎを感じた。

 

 

 

「…モードレッド」

 

 

 

「騎士王、貴女も感じますか」

 

 

 

「えぇ」

 

 

 

私は城の外に出ると母上に民を逃がす手筈を頼む。

 

疑問に満ちた顔だが、私と騎士王の顔を見て納得したようで、すぐさま動いてくれた。

 

 

 

「やぁ、アルトリア。モードレッド、最悪な結末を迎えるようだね」

 

 

 

「その口を閉じてといいたいところですが、マーリン。カルデアのマスター達を城の外へ」

 

 

 

「わかってるさ」

 

 

 

城の外、私達は武器を構え待っている。

 

母上の結界に罅が入り、そこから魔の瘴気が漏れ出している。

 

聖なる都から来たとは思えない呪。避難が始まっているが、それでも結界が壊される方が速い。

 

 

 

「□□□□□□□□ッ!!!」

 

 

 

「…黒騎士」

 

 

 

ソレは怨念の集合体とでも言える存在であった。

 

目の前に存在するだけで吐気すら感じ、対峙してはならないと本能が叫んでいる。

 

 

 

「何!?」

 

 

 

サーヴァントではない、生命を感じる。目の前の獣は確かに生きている。

 

 

 

「まさか……君がそんな姿になるなんてね」

 

 

 

「マーリン!貴方はアレが誰かを」

 

 

 

「敵エネミー!来ます!」

 

 

 

「□□□□□□!!!」

 

 

 

人間的な動きではない、本能で動き、野性的な感覚で此方の攻撃を捌いてみせる。

 

私がクラレントで斬りかかれば砂を浴びせ、視界を防ごうとする。ソレを隙と考えず、すぐさま弱きものを狙いに行く。

 

 

 

「ひっ…」

 

 

 

「マスター!!」

 

 

 

だが、事戦う事に関しては右に出るものが居ない騎士がいる。

 

 

 

「ベディヴィエール卿!ケイ卿!」

 

 

 

「はい、陛下!」「ちっ…アルトリア、避けろ!」

 

 

 

いつの間にか巨大な戦斧を黒騎士は父上に放っていた。

 

あまりにも速すぎた。父上は対応できず、胴に一撃を受け飛ばされた。私としてもカルデアのマスターが倒されれば未来がない。

 

 

 

「モルゴース」

 

 

 

「アロンダイト!」

 

 

 

母上の放った魔術を受け、黒騎士の動きが一瞬止まった。

 

その隙に私はアロンダイトで脇を斬り裂く。

 

アロンダイトも神造兵器であるはずなのにその鎧に傷がつかなかった。

 

 

 

「…モードレッド、そして姉上。感謝します」

 

 

 

「……面倒なことになりましたよ。父上、母上」

 

 

 

「神造兵器で傷つかない、つまりアレは世界の理の外から来た存在」

 

 

 

「おいおい……モルガン!それってどういう」

 

 

 

「我々の力ではたいしたしたダメージは与えられん」

 

 

 

「しかし!それでは」

 

 

 

「□□□□!」

 

 

 

「く!」

 

 

 

「マスター!」

 

 

 

「キリエライト卿!」

 

 

 

悠長に話す余裕など無かった。黒騎士は即座マスターに斬り掛かり、ソレをキリエライト卿が防いだ。

 

 

 

「湖の乙女と共に!」

 

「最果てに至れ、限界を越えよ。彼方の王よ、この光を御覧あれ!『縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)』ッ!!」

 

 

 

「□□□□□ッ!!!」

 

 

 

「ランスロット卿?!」

 

 

 

「アロンダイトを持っているのは貴方だけではありません!モードレッド卿!」

 

 

 

ソレはガレス卿だった。ランスロット卿を思わせる装飾を施された騎士鎧を身に纏い、ランスをすてアロンダイトを持つ騎士。

 

 

 

「全力の…アロンダイトなら!お願いします!ランスロット卿!力を!力をかしてください!この物を倒せる力を!」

 

 

 

「□□□□□ッ!」

 

 

 

黒騎士は背中から斬り裂かれ、無垢なる光に包まれた。

 

たった一人に翻弄され、危うく人類最期のマスターを殺されかけた。しかし解せない、獅子王の勢力ならもっと大軍で来る筈だ。

 

1人しかよこさないなど、まるで

 

 

 

「あ~あ、負けてやんの。でも、生きてんだから不思議だよな?」

 

 

 

「貴様……モードレッド!」

 

 

 

ソレは私が呪う存在、自分自身でありながらまったく別の存在。

 

 

 

「3...2...1」

 

 

 

モードレッドは、カウントダウンを行いながら粛清騎士の前でニタニタと笑っていた。

 

 

 

「さぁ、来な!召喚獣!」

 

 

 

「□□□□□□!!!!」

 

 

 

「なんだと!?」

 

 

 

ソレは巨人だった。

 

先程まで死んでいた筈の存在たる黒騎士が変化した。

 

 

 

「そいつの名はタイタン。とある世界で巨神と呼ばれる存在さ。んでもって…わかんだろ?そんなのを顕現させるには依代が居る」

 

 

 

「……ランスロットか」

 

 

 

「そうだ、騎士王。もう、ソイツはお前らの事はわかんないほどに狂化してある。理性が戻ることもない」

 

 

 

巨神はその拳を振り下ろす。

 

莫大な質量が一度に落ちてくるのだ。

 

いくらサーヴァントと言えどソレを防ぐことは不可能だ。

 

 

 

「お父さん!」

 

 

 

「無駄だ、ギャバラッド卿。卿等は裏切り者の手にかかり、

 

この場で死ぬのだ」

 

 

 

だが、その中で不敵に笑う女がいた。

 

 

 

「つまりだ、世界の理から外れた力なら問題ないのだね!」

 

 

 

「なんだ、女。テメェから先に」

 

 

 

「こんな事もあろうかと!こんな事もあろうかと!

 

ランスロットは私にこんな物をプレゼントしてくれていたのさ!」

 

 

 

それは魔力の溜まった球体。

 

 

 

「来たまえ!召喚獣の諸君!!」

 

 

 

彼女、レオナルド・ダ・ヴィンチにおいてマテリアと言う存在は未知の技術。モードレッド軍と合流してから知識欲に負け、強請り、何個か貰っていたその力。

 

 

 

「来たれ!!ナイツ・オブ・ラウンド!」

 

 

 

「円卓の騎士だと?!巫山戯」

 

 

 

マテリアから現れたのは13人の騎士。

 

そして、その中心に立つ人物は輝ける聖剣を確かに持っていた。

 

 

 

「異界の……円卓の騎士だと?!」

 

 

 

タイタンは即座にナイツ・オブ・ラウンドに攻撃を行う。

 

だが、その攻撃は容易く回避され逆にタイタンの左腕が破壊され、エーテルの粒子となって消える。

 

 

 

「!!!!!」

 

 

 

叫び声が大地を揺らし、大気を震わせる。

 

 

 

「まだだ!やってしまえ!皆の衆!」

 

 

 

騎士達は召喚主の言葉に頷くとタイタンの両足を破壊し、エーテルに変換する。だが、タイタンにら右腕がある。

 

ソレを振り下ろすが、異界の聖剣『エクスカリバー』がソレを破壊した。

 

 

 

「まだだ!まだ終わらんよ!」

 

 

 

そして、13人の騎士たちによる連続攻撃。

 

コレがゲームであれば、何故か限界突破が起こっており、

 

8人目の攻撃でタイタンのHPはとっくに0になっていただろう。

 

だが、ゲームではない。両手、両足が無かろうとタイタンは戦闘をやめなかった。

 

 

 

9人目、10人目と攻撃が続きそして最期。

 

異界の騎士王の『エクスカリバー』がタイタンの胸を切り裂いた。

 

 

 

「!!!!!」

 

 

 

だが、タイタンは消える寸前肉体の全てのエーテルを使い

 

大地を変貌させた。隆起が激しい大地、それだけだが、価値はあるはずだと。

 

 

 

「くぅ……この万能の天才でも……これ以上の召喚は無理だね」

 

 

 

「ランスロット……テメェ…何処までも!!!」

 

 

 

「□□□□□!!!!」

 

 

 

タイタンへの変身が解け、黒騎士は大量の血を流しながら立っている。巨大な戦斧を構え、動けないダ・ヴィンチに迫る。

 

 

 

「させません!ランスロット卿!約束しましたよね!

 

とっておきの手料理を振る舞ってくれると!なんで……なんで……」

 

 

 

「□□□□ッ!!!!」

 

 

 

戦斧とアロンダイトが鍔迫り合いを行う。

 

体躯も、筋力も、技量も、何もかもガレスとランスロットでは違いすぎる。ランスロットは円卓最強である。

 

誰にも負けることがなく、強すぎる為疎まれ、

 

戦い方は味方を救う為に行ったにも関わらず蔑まれた。

 

そんなランスロットの味方はガレスだ。

 

 

 

「が……レス」

 

 

 

「ランスロット卿!」

 

 

 

「ちっ……さっさの殺せ!黒騎士!!」 

 

 

 

「□□□□」

 

 

 

だが、彼の力では呪を祓うことは出来なかった。

 

ガレスの肉が裂け、血が黒騎士の仮面にかかる。

 

 

 

「ランスロット卿………愛して……います」

 

 

 

「□□•□□!!!!!」

 

 

 

「そんな……ガレスが」

 

 

 

「ランスロット…テメェぇぇぇ!!!!」

 

 

 

「おぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

 

 

黒騎士の雄叫びはまだ、響いている。

 

 

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