憑依転生ランスロット(偽)   作:影後

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呪われた騎士

苦しい。

それだけが、黒騎士の中に渦巻いていた。

呪われた、枷に囚われた。

抜け出すことも、逃げ出す事も厭わず、思考は閉ざされた。

激しい闇の中で、一筋の光を探して歩き回る。

 

「……ランス……ランスロット……ランスロット」

 

「誰だ…俺の名前を呼ぶのは」

 

「ランスロット卿」

 

「…ガレス?いや……誰だ」

 

ランスロットの前に立つのは麗しい女性だった。

ランスロットは誰かを愛したことはない、

ランスロットが誰かを愛することはない。

そんなランスロットに慈愛の微笑みを向ける女性。

 

「私はガレスです。

……私は騎士でした。でも……貴方を」

 

「止めろ……俺はお前を……お前の家族を殺した」

 

赦させる筈のない、赦されてはいけない。

ランスロットの叛逆、全てはランスロットの敬愛する王の為。

ランスロットはアルトリアを、アーサー・ペンドラゴンを

愛している。 

その愛は、LOVE等ではない。お巫山戯もない今だから。

 

『敬愛』と『愛憎』

 

相反する2つの感情が常にひしめき合い、

理性を破壊しようとしてくる。 

ソレを防ぐ、ソレを表に出さないためランスロットは

常に道化を演じる。

 

「もういい……もういいんです」

 

「………息子も守れず……お前を殺した。

俺は怖かったんだ。全てが披見するのが……

だから俺は殺した!お前も………お前に話してしまった。

私の感情を……奥底に眠る悲しみを。

ソレを陛下に伝える訳にはいかなんだ。

だから……俺はお前を殺したんだぞ。なのに………

何故、その顔で」

 

「……私を殺した時、見たんです。ないている貴方を。

他の騎士は問答無用で切り捨てたのに……私の前では涙を」

 

「……ギネヴィアも殺した。俺は」

 

「背負ってください。私も……貴方を背負います。

貴方の罪を支えます。だから………」

 

「まて……まってくれ!ガレスッッ!!」

 

 

 

 

 

「おい……嘘だろ」

 

「……uUUUUU....Aaaaaa!!!!!」

 

黒騎士は兜を捨て去り、女のモードレッドを見る。

 

「サーヴァントなら……マスターに絶対服従だろ!

ち…自害しやがれ!!」

 

「お父さん!」

 

「(ニヤリ)」

 

邪悪な笑みだが、そこに敵意はない。

むしろ、自害なら既に終わっている。

自身の心臓にナイフを突き立て、いつでも死ねる状態だ。

 

「ランスロット卿、行きますよ!」

 

「MmmmmYyyyyyyLooooooad!!!!」

 

「ちぃ……トリスタン!」

 

「えぇ……ランスロットの相手は私が!」

 

「□□□□□□□□ッ!!!!」

 

ランスロットはまさにバーサーカーの様な戦い方だ。

理性のない獣、しかし知識と卓越した技術がある。

 

「くっ…アーチャーでなければ!」

 

「トリスタン卿!そなたも私を裏切るか!」

 

「陛下……いや、騎士王!我らが仕えし主とは獅子王なり!

貴様の様な…小娘ではない!!!!」

 

「皆、ランスロットとモードレッドを援護して!

ここで敵のモードレッドとトリスタンを討ち取るよ!」

 

「ちっ…粛清騎士、奴等を殺せ!」

 

「よそ見か?余裕なものだな!」

 

「てめぇはさっさと死ね!」

 

クラレントとアロンダイトの二刀流。

しかも両方とも長剣の分類にも関わらず、モードレッドは

両手で扱うように戦う。

 

「くそ……」

 

「経験も…手数も、何もかもが違う!

貴様は所詮敗北者!あの女、騎士王を相討ちにしただけの

無価値な敗北者だ!」

 

「黙れよ!」

 

モードレッドのクラレントを王モードレッドはアロンダイトで

受け、クラレントで鎧を裂く。

血が飛び、返り血で頬が赤く染まるが笑みを絶やさない。

 

「そうだ!この私は尊敬する師にして腹心ランスロット。

そして、私を産み出し人間として生きさせてくれた母。

モルガン!そして…邪魔で愚かで馬鹿な騎士王を下したという

実績がある!だがどうだ、貴様には何もない!

そうだ!歴史にすら敗北と反逆の4文字しか刻めぬおろかな女。

貴様は生きる事も、戦うことも価値がない!

そんな人形如きに私が!叛逆王モードレッドが!

負けるものかよ!」

 

「巫山戯んなぁぁぁ!!!」

 

女モードレッドは聖杯による祝福を受け、強化すらされている。

にも関わらず、叛逆王モードレッドの足元にも及ばない。

 

「我が師よ。我が母よ。

これは、敵を討つための、戦いである。

我が力、ご笑覧あれ。

『我が王道に、在りし2振りの剣

(クラレント&アロンダイト)』」

 

「是(これ)こそは、我が父を滅ぼせし邪剣(じゃけん)――『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!」

 

女モードレッドの宝具の中を光り輝くクラレントとアロンダイトを持った王が歩く。ソレこそ、自らを歩む道に敵は無い。

王道を邪魔するものも、する事も出来ないと知らしめるように。

 

「なんでお前は手に入れた!なんで俺は手に入らない!」

 

「知ったことか。過去など変わらん。

ソレを問うなど無意味な事だ。あぁ、そうだな。

お前のような無意味、無価値の似合う女には

……お似合いだ」

 

「!」

 

そして、クラレントとアロンダイトの攻撃で

女モードレッドの首は飛んだ。

血を噴き出し、無価値となった屍が大地に伏している。

 

「……人形にはお似合いの最後だ」

 

叛逆王モードレッドは血に拭うとランスロットの方を見る。

 

「………我が師にして臣下ランスロット。

貴方の働きに、最大の敬意を払う」

 

「MaaaaaYLoooood!!!!」

 

「くっ……ランスロット!!」

 

トリスタンとランスロットの戦いも佳境に入っていた。

弓と剣ではもとより、内側に入られた時点で勝機はない。

 

「トリスタン卿」

 

「陛下……私は、貴方に謝り」

 

「Gooooo tooooo heeeeeell」

 

「よせ……やめろ……やめろ!!!!」

 

それは巨大な斧だった。

何処から出したのか、トリスタンの背に何度も

何度も振り下ろしている。

黒騎士は笑いながら、自らの尊厳を嘲笑った敵に対し、

その報復をしている。

 

「何故…何故死ねない!」

 

「□□□□□□□□ッ!」

 

ケアルガをかけられながら、足を捕まれ振り回されている。

それは真に悪魔の如く、全てを破壊しようとする。

 

「ぐはっ……」 

 

斧で空に打ち上げられたトリスタン。

既に琴はなく、堕ちるのを待つのみ。

 

「FEEEEVERRRRRR!!!」

 

だが、それをこの悪魔は許さない。

ガトリング砲を取り出すと、上空のトリスタンに向けて発射する。それは真にミサイルを撃ち落とさんとするファランクスのように、己の魔力を弾丸に変化させ銃身が焼け付くまで撃ち続ける。

 

「陛……」 

 

「くっ………」

 

トリスタンの顔が消え、完全に霧散する。

そして、黒騎士は勝利の雄叫びを高らかにあげた。

 

「ランスロット卿!貴方は」

 

「□□□□□」

 

「アルトリアさん、今はやめてください」

 

「□□□□」

 

「お父さん……ありがとうございます。

でも、あまり過激なのはやめてくださいね」

 

「………Sorry」

 

相変わらずの大暴れ。

それが懐かしく思えるが流石に自身の娘に叱られる

黒騎士はなんとも言えない悲しみを背負っている。

 

「そうだ、ランスロット君!君」

 

「My...friend」

 

「待ってくれ!胴上げは…待って!!!」

 

そして、黒騎士ランスロット卿は我が友と言いながら

レオナルド・ダ・ヴィンチを胴上げしてはキャッチする。

だが、高さが異常過ぎる。

 

「……高所恐怖症になるとこだった」

 

「□□□□□□ッ!!!!」

 

「お父さん!!」

 

「□□□□………」

 

やはり娘には勝てないのかしょんぼりしている。

 

「ほっ…本題に入るよ。君、アイテムや魔法使えるかい?」

 

ランスロットは首を横に振る。

既に自害状態で生き残っているのがルール無視。

その上で、脱法サーヴァントには戻れない。

 

「てか、そろそろ契約しないと!!」

 

「そうだよ!パパがキラキラしてて忘れてた!?」

 

足当たりから消え始めていたランスロット。

しかし、もう一人の娘藤丸に契約してもらい復活する。

 

「ちょっと…パパ!止め」

 

わしゃわしゃと藤丸の頭を撫でるランスロット。

満足したのかランスロット手を離す。

しかし、藤丸の頭は赤毛の髪が爆発している。

 

「馬鹿者、女の髪は命だ」

 

するとモルガンが何処からともなく現れ、

藤丸を保護した。

 

「…パパ、撫でても良いけど激しいのは禁止!」

 

「お父さん!」

 

そして、娘が

 

「あの……私にも」

 

藤丸の教訓を生かし、優しく撫でる。

ただでさえ、あのヘラクレスよりも体躯が大きいのだ。

優しく、優しく撫でる。

 

「ありがとうございます!」

 

喜ぶギャラハッド卿、だがやることがまだまだある。

 

「…正直、今の戦力で獅子王倒せるかい」

 

そう話すのはダ・ヴィンチ。

 

「□□□!!!」

 

サムズアップし、自らを指し示すランスロット卿。

 

「モードレッド、トリスタンは既に死んだ。

ならば、残るのはガウェイン、アグラヴェイン」

 

「□□□□!!!」

 

「え?パパ、なに?!

単身突撃して全員始末してくる?!

止めてよ!マシュ泣くから!」

 

「……実際、戦力が整ってないうちに

行くのが良いと思うぜ。特に夜だ。雑兵なら簡単に殺せる。

ガウェインは弱体化するし、アグラヴェインの奴は……」

 

「ケイ兄さん。

獅子王は私とマスター、マシュ、モードレッドに

任せて頂きたいのです」

 

「おい、アルトリア本気か?」

 

「はい、モードレッドは獅子王を倒したい。

いえ、違いますね。モードレッドという存在は

私達アーサー王にとって、言わば喉元を貫く短剣」

 

「確かに、アーサー王を殺すなら私か………

判っているとも、ランスロット卿。だが、卿には

ガウェインを倒してもらう」

 

「おい、モードレッドそれは」

 

「…獅子王に屈辱を与えるのだよ。

ランスロット卿、勝てるだろ?昼でも卿ならば」

 

「□□□□□□ッ!!!!」

 

「決まりだ、決戦は明日。皆、今生の別れになる。

覚悟せよ」

 

モードレッドの言葉に仲間たちは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

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