Цена 0章「題名のない表紙」【先行公開版】   作:姊園 理違

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1985年【4】

 敵を殺していく日々を淡々と過ごしていった。

 戦場へ出るのもこれで5回目。

 数を重なる度に子鹿を思い出す事もなくなり、初陣の時のような錯乱も2回目の戦闘からはもう起きなくなっていた。

 初陣の後に受けた御催眠暗示処置が効いているのだろう。

  MiG-21を野外格納庫に戻し、機体から降りる。

 今回の作戦も成功したにはしたのだが、徐々に押されているのが現状。

 BETAの物量を押し込めるには、まだまだ戦力も武装も人員も足りない。

 ここまでやって、まだ犠牲が必要なのだ。

 世界は犠牲者が欲しくてたまらない強欲者。

 人類がどれだけ死のうと知ったこっちゃない冷血人。

 そういうものなんだと、衛士になって気付いた。

 

 整備パレットから外を眺めていると、夕陽が沈んで辺りを曙色に染め始めた。

 久しぶりにこんな夕焼けを見た気がする。

 感動するわけでも、絶望するわけでもなく静かに見据えていた。

 下からニータがこちらを呼んでいる事に気付き、降りていくと2人分の夕食を持って近づいてきた。

「お疲れ」

 そう言って夕食を手渡すと、イワンは素っ気なく受け取った。

 こんな彼の態度にも慣れてきて、気に留めない様子で語り掛ける。

「今日の要塞級、あれ見て俺死ぬかと思ったよ」

「……2体も来るなんてな、どっちも光線級を排出される前に叩けて良かった」

「確かに、あの目ん玉共を出されたら最悪だったぜ」

 食堂は既に先任の人達に占拠されていて、新人はこうして格納庫の適当な場所で飯を食ったりするなんてよくある事だ。

 前線の飯は不味い、だけど無いよりはマシ。

 数時間前にはあんなに死にそうになっていたのに、今となってはそれを笑い話にできたりする。

 残った新兵はイワンとニータだけになってしまった。

 残りの2人は、1人は2回目の戦闘。もう1人は4回目の戦闘で死んでしまったのだ。

 

 食事も終わり、ふと洗浄中のMiG-21を遠目に見つめた。

 機体から血痕が流れ落ち、装甲上の破損部が浮かぶ。

 その汚れた血の持ち主は、両親や故郷、そして同期をも殺した殺戮の宇宙人。

「こんなこと……いつになったら終わるんだろうな」

 今日の終わりを告げる夕日がMiG-21を染め上げる。

 イワンは自分の言葉に苦笑し、『そんなこと、考えていても仕方がない』と否定した。

 そうだ、なんの為に軍人になったんだ。これ以上“日常(宝物)”を奪わせないためだろ。

 だったら弱音を吐くなよ、もう大人なんだから。

 明日も明後日も戦い続けるんだ。

 例え、1人になっても。

 

 【続幕】第1章「童話の外の御姫様」

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