ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

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「そう言えば、マリア師匠」
「何かしら?」
「その、マリア師匠は、そのソウゴさんは何時から好きになったのかな?」
「そうね、幼い時からかもしれないわ。
けど、自覚したのは、あの時ね」
「あの時?」
「ふふっ、それは、まぁ秘密よ」


マリアの愛

 彼、先記ソウゴは私達装者の前に現れる謎の幽霊のような存在だ。

 

 彼が別の世界の住人という事は、私達が出会った頃から知っており、シンフォギア装者以外には、その姿を見えなかった。

 

 その事もあって、シンフォギアに纏わり付く多くの謎の一つとしてある。

 

 それは私、マリア・カデンツァヴナ・イヴでも似た感想である。

 

 だからと言って、彼がいて邪魔だと思う人物は、ほとんどいないだろう。

 

 誰にも打ち明ける事のできない弱音や、悩み。

 

 それらを言える相手であり、時には相談にも乗ってくれる人でもあるからだ。

 

 だからこそ、自然と彼に対して、思い、慕うのは当たり前と言える。

 

 そして彼は、装者の皆を家族のように扱い、大切に扱う。

 

 そんな彼に、皆が恋心を抱くのも無理はない。

 

 かく言う私も、彼に心を惹かれている者の一人なわけで。

 

 それを自覚したのは、あの夢の時だった。

 

 シンフォギアを再び纏う為に、自身の脳領域にエルフナインと共に探っていた。

 

 その領域においても、彼はいた。

 

「ソウゴ、なんで」

 

「俺もよく分からない。

 

 けど、気づいたらここにいた。

 

 なんだか何時もとは違うようだが」

 

 そう言いながら、いつもならば、幽霊のように透き通っていた身体はまるで本物の身体のように実体があった。

 

「あなたが、ソウゴさんですか」

 

「エルフナインにも、そうか。

 

 ここは脳領域の中だから、エルフナインにもその姿が」

 

「もしかしたら、マリアさんの深層意識が、シンフォギアと繋がる脳領域を差し、彼をここに呼んだのでは」

 

「アガートアームの導き。

 

 それは確かに」

 

 幾度も、確かに導いた彼ならば、その可能性はある。

 

「なんだか、結構難しい事になっているけど。

 

 俺は普通の高校生なんだけどなぁ」

 

「それは、そうだけど」

 

 実際に彼の言葉で幾度も私達を救ってくれた。

 

 だからこそ

 

「示しているのは、もしかしたら彼ではなく、マリアさんが彼に対して何かを求めているかもしれません」

 

「私が求めている物?」

 

 それには、私は疑問しかない。

 

「私が、彼に求めている事」

 

 私は一体何を、彼に望んでいるのだろうか? 

 

「ならば、探すしかないんじゃないか? 

 

 もしかしたら、俺がいる事で、分かる事もある」

 

「探すって、何を」

 

「記憶はこれまで重ねた物。

 

 ならば、過去しかないだろ」

 

「えぇ、それしかありません」

 

 ソウゴの言葉にエルフナインも賛同するように頷く。

 

 そして思い出される、幼い頃。

 

 セレナがまだ生きていた頃。

 

 マムが生きていた頃。

 

 F.I.S.でのつらい過去。

 

 

 

 そして、今の仲間である響達との戦い。

 

 多くの戦いの中で、それらがあるのか。

 

 疑問を思いながらも、それらは断片的に、確かに見えていた。

 

 それらは、全て繋がっていないように見えた。

 

 セレナとの楽しい日々。

 

 マムへの恐れ。

 

 様々な記憶に共通点はなかった。

 

「……そういう事か」

 

 それらを見ていた、ソウゴは何かを悟ったようだった。

 

「何か分かったの?」

 

「曖昧だけどな。

 

 これら全部に共通点かどうか分からないけどな」

 

「共通点?」

 

 その全ての記憶に繋がりがあるのか疑問に思うと同時に、ソウゴは答えた。

 

「愛かな?」

 

「なぜ、そこで愛!?」

 

 私は、思わず叫んでしまった。

 

「セレナを愛する記憶と同様に、マリアはマムに愛されていた。

 

 それが記憶の中にあったんじゃないかな」

 

「マムが私に。

 

 それは、確かにそうかもしれないけど」

 

 それが、この厳しさの中にあるのか。

 

 だが、それはソウゴの言葉を聞くと共に、まるで氷が溶けるように理解した。

 

「大いなる実りは厳しさに耐えた先にこそ。

 

 優しさだけでは、今日まで生きて来れなかった」

 

 それこそが、マムの愛。

 

 それを忘れてしまってはいけなかったのだ。

 

 私の身を案じる言葉を思い出しながら、私は心の中に何かを感じた。

 

 それは、かつて感じた事のある暖かさを。

 

 その懐かしさに涙している。

 

「だからこそ、愛。

 

 そして、それを指し示す記憶領域が!」

 

 同時にエルフナインが理解したように頷く。

 

「にしても、なんで俺が呼ばれたんだ? 

 

 確かに友情はあるかもしれないけど、愛に関係するのか?」

 

 そうソウゴは呟く。

 

 けど、同時に私はなぜ彼をここに呼んだのか分かった。

 

 F.I.S.として活動した時も。

 

 

 

 オートスコアラーとの戦いの時も。

 

 彼はシンフォギア装者の為に、誰にも見えない中で、言葉で戦った。

 

 それが自然と心惹かれていた。

 

「そう、初恋という訳ね」

 

 同時に自分の気持ちに気づき、思わず苦笑する。

 

 まさか、幽霊相手に初恋だなんて。

 

「マリア?」

 

「なんでもないわ。

 

 ソウゴ」

 

「んっ?」

 

 遅すぎるかもしれない。

 

 けど、これに気づいて、後悔したくない。

 

「ソウゴ、私はあなたの事が好きだから」

 

 あなたのおかげで、今の私が在るのだから。

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