ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

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平行と錬金

『いやぁ、美味しかったデス!』

 

『うん、こっちのコンビニスイーツ、侮れない』

 

「ご機嫌になって、何よりだ」

 

 そう言いながら、俺は夜のコンビニからの帰り道で、呟く。

 

 以前のパーティで食べられなかった分、学校帰りで買ったコンビニスイーツで満足する切歌と調。

 

 向こうでは販売されていないスイーツを味わって、嬉しそうだった。

 

『それにしても、こんな夜中じゃ、お化けが出そうで、怖いデス!』

 

『いや、私達も、今は似たような感じ。

 

 それに、それよりも怖いのがいるからね』

 

「まぁ、実際にほとんど幽霊みたいな奴とも戦ったからな」

 

 そう苦笑しながらも、俺が進んだ先に感じた気配。

 

「なんだ」

 

 その気配は、まるで俺を誘うように。

 

「……まさか」

 

 俺はその気配の元へと向かう。

 

 やがて、辿り着いた先には、自転車に乗っている兵藤と小猫。

 

 それにヴァーリ達の姿が見えた。

 

「ほぅ、まさかとは思ったが、君もか」

 

「えっ、先記! 

 

 どうしてここに」

 

「コンビニスイーツを買いに行った。

 

 けど、どうやら、そういう場合じゃなさそうだが」

 

 そうしながら、俺はそのままヴァーリ達を睨む。

 

 それに対して、何やら、笑みを浮かべながら、こちらを見る。

 

「それにしても、君には驚きを隠せないよ」

 

「隠せないって、何をだ?」

 

 そう言いながら、俺はこれまで通りヴァーリを見つめながら言う。

 

 以前の戦いを通して、既に目の前にいる奴が戦闘狂だという事ははっきりと分かっている。

 

 しかも、この場にはヴァーリの他にも黒歌ともう1人、まるで西遊記を思わせる人物までいる。

 

 この状況で、俺と兵藤と小猫の3人だけで切り抜けるかどうか分からない。

 

 そうしながらも、俺は警戒しながら、ヴァーリを睨む。

 

「君がまさか、禍の団の中でも特に異質な彼らと知り合いだとは」

 

「彼ら?」

 

 その言葉に俺は思わず首を傾げてしまう。

 

「先記、誰だか分かるのか?」

 

「さっぱり。

 

 悪いけど、俺はそんな知り合い、お前達ぐらいしか知らないが」

 

「そうか? 

 

 彼らは君の事をよく聞いてきたよ。

 

 まぁ、あの派閥はかなり内部で分かれているからね」

 

「さっきから、本当に誰の事を言っているんだ?」

 

 ますます俺には覚えがない。

 

 そう思っていたけど

 

「そいつらの派閥の名前は確か『錬金派』。

 

 錬金術と言いながら、とんでもない力を持つ奴らにゃ」

 

「っ!?」

 

 その言葉に俺も、切歌も、調も驚きを隠せなかった。

 

「錬金術だとっ」

 

「おい、先記?」

 

 俺の様子が変わった事に何やら首を傾げる兵藤。

 

 だが、俺達はその派閥の名前に驚きを隠せなかった。

 

 同時に、俺達のタイミングを見計らうように、目の前には魔方陣が現れる。

 

「あれって、転移」

 

「噂をすれば、まさかこんなに早く現れるとは」

 

 そうヴァーリは興味深そうに見つめる。

 

 見覚えのある紫色の光は、そのまま人型に形成されると共に、姿を現す。

 

 見た目こそ幼い少女そのものだ。

 

 その格好はまるで魔法使いを思わせる格好をしており、腰まで伸びた金髪は三つ編みに編まれている少女だ。

 

「えっと、女の子? 

 

 あの子は一体「キャロル」えっ?」

 

 俺の一言に、兵藤も小猫も驚きを隠せなかった。

 

「久し振りだな。

 

 いや、こうして実際に会うのは始めましてか」

 

 そう言いながら、帽子から鋭い目をこちらを睨む。

 

 その迫力に対して、俺はそのまま構える。

 

「一応聞く。

 

 お前は、あのキャロルで間違いないんだな」

 

「あぁ、そうだな。

 

 正直、こうして再会するとは思わなかったがな」

 

 同時に俺達は互いに睨み付けながら言う。

 

「えっなっなんだっ」

 

「ほぅ、錬金派の実力はどれほどとは思ったが、睨み合いで、ここまでとは」

 

 そう言いながら兵藤も、ヴァーリも何か言っているが、今は関係ない。

 

 キャロルが目の前にいる。

 

 それが味方としてだったら、頼もしいだろ。

 

 だが、今、奴はテロリストに入っていると言う。

 

 だからこそ、もしかしたら。

 

「また、やるつもりなのか」

 

「いいや、既にその目的はない。

 

 それは、お前が一番知っているだろ」

 

 そう、記憶の中にいるキャロルと変わらない不敵な笑みを浮かべる。

 

「だったら、なんでテロリストに入った?」

 

「別に。

 

 ただ、あの派閥に入っておかなければ、面倒だったからな」

 

「面倒だと?」

 

 俺はその言葉に首を傾げる。

 

「今の私にはガリィ達はいないからな。

 

 そんな私が生き残るには、奴らと手を組むしかないからな」

 

「っ」

 

 あのキャロルが、手を組む。

 

 つまりは。

 

「それにしても。

 

 なるほど、お前はここにいたという訳か」

 

 同時に納得するように頷きながら、その手にはテレポートジェムを地面に投げ、そのまま転移する。

 

「もう帰るのか? 

 

 ぜひとも、戦いたい所だが」

 

 そうヴァーリがキャロルに言う。

 

「黙れ。

 

 私は、その程度で戦うつもりはない」

 

 そう言いながら、キャロルはそのまま消えそうになる。

 

「おい」

 

「なんだ」

 

 俺の言葉に対して、そのまま振り返る。

 

「エルフナインは、今でも元気だぞ」

 

「……そうか」

 

 一瞬、その言葉を聞いて、安堵する表情を見せた。

 

 同時に、その姿は完全に消えた。

 

「っはぁはぁ、なんだ、今の子はっ」

 

「言っただろ、禍の団の中でも多くの謎を秘めた錬金派の1人だと」

 

「錬金派?」

 

 それに兵藤は思わずヴァーリに問いかける。

 

「構成員の数、その目的。

 

 それらが全てが不明。

 

 だが、錬金術と言うにはあまりにも異質なその力で渦の団でもかなりトップの位置にいる」「今の所、分かっている構成員のリーダーと言える人物が白い帽子の人物という事だけだね」

 

「……」

 

『これは』

 

『うん、かなりやばいよ』

 

 ヴァーリからの構成員の詳細を聞くと共に、俺は息を呑む。

 

「おい、先記。

 

 さっきから、なんか知っているようだけど、一体」

 

「さぁな、正直に言って、分からない事ばかりだよ」

 

「分からないって、さっきのキャロルという子を知っている様子だけど」

 

「知っているからこそ、困惑する事もあるんだよ」

 

『もしもデスよ。

 

 もしも、全ての予想が当たっていた場合は』

 

「あぁ」

 

 キャロルだけではない。

 

 今、分かっている情報だけでもアダムの存在も確実にいる。

 

 だが、もしも彼らだけではなかったら。

 

「ほぅ、心当たりがある様子だな」

 

「最悪な予想が当たれば、キャロル並の実力者が4人。

 

 確実にいる」

 

「よっ4人って?!」

 

 フィーネ、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ。

 

 その4人がいるとなると、やばい。

 

「だからこそ、疑問なんだよなぁ」

 

『その通りデスよ! 

 

 確かにもしも、予想が正しくても、手を組みますか、普通?』

 

『キャロルは、特に敵対しそう。

 

 なのに、一緒の派閥にいるのには、何か理由が?』

 

「色々と聞きたい所だが、どうやら、そういう雰囲気ではなさそうだな」

 

 俺達の会話を聞いて、ヴァーリはその場から既に去る雰囲気だった。

 

「俺としては、お前とは戦ってみたいが、どうやら今回は望む相手はいないようだ」

 

「望む相手だと?」

 

 そう言いながら、切歌と調を見るヴァーリ。

 

「お前がこれまで見せてきた6つの姿。

 

 それらの中で最も俺達に近い力を持つ立花響。

 

 彼女と一体となった、君と拳を交えたいからな」

 

「近い?」

 

「彼は既に行ったんだよ、神殺しを」

 

「ちょっと、待てよ! 

 

 さっきから情報が多すぎて、頭がパンクしそうだ」

 

「俺としては実に興味深いが、そろそろ撤退させて貰うよ」

 

「それじゃねぇ、今度はあのマリアという奴によろしくにゃ」

 

「俺は、あれ、特にねぇな」

 

 そう言いながら、奴らは消えていった。

 

「ふぅ、これは、思った以上にやばいな」

 

「やばいって、どれぐらいやばいんだ?」

 

「具体的には世界の滅亡の危機が3回来るレベルが最悪だけど」

 

 結局の所、未だに分からない事が多い。

 

 キャロルはあの戦いを通して、既に目的を達成した。

 

 サンジェルマンさん達も、おそらくはそれを行う理由もない。

 

 櫻井さんは、あの時、調の中で確かに満足げに消えた。

 

 もしも、再び戦う時でも、バラルの呪縛の真実を聞けば、こちらの味方になってくれる可能性はある。

 

 この5人に関しては、問題ないだろ。

 

 しかし、大きな問題としては、アダム。

 

 奴だけは、最後まで和解などなかった。

 

「なぁ、前から聞きたかったけど、お前って、一体何者なんだ?」

 

「んっ? 

 

 何者って言われても」

 

 そこで、俺はふと疑問に思った。

 

「今更になって、なんて言えば良いんだ」

 

「えっ?」

 

『いやぁ、よく考えたら、これまで結構多すぎたデスねぇ』

 

『正直に言って、どれが正しいのかなんて、分からない』

 

 それは切歌も調も同意見だった。

 

「お前って、結構やばい奴なんだな」

 

「やばいとはなんだ、やばいって。

 

 あっいや」

 

 そこで俺はふと思い出した。

 

「あの人だったら、こう言うかもしれないな?」

 

「あの人?」

 

「まぁ、この力の使い方を教えてくれた人だよ」

 

 そう言いながら、俺は笑みを浮かべる。

 

 世界を幾度も繰り返し、移動していく中で出会い、俺にその力についてを教えてくれた。

 

「通りすがりの仮面ライダー」

 

「通りすがり?」

 

「仮面ライダー?」

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