切歌と調。
2人のシンフォギアの力を身に纏ったこの姿は、おそらくは現状では3人で行うユニゾンの中では最強に等しいだろう。
イガリマとシュルシュガナの二つは、元々互いに共鳴し、その力を高める性質を持つギアである。
そして、切歌と調もまたユニゾンを行った時の戦闘能力は装者で最も強いと言っても過言ではない力を持つ。
その2人の力が宿っているこの状態で、ほとんどの敵には勝てるだろう。
「それでも、この数は結構やばいな!」
そう言いながら、俺は手に持ったイガリマを振り回し、迫ってきた禍の団の悪魔を吹き飛ばしていく。
戦い初めて、既に10分程度は経過しており、その間でも100人近くは倒したはず。
それでも、未だに敵の数は減る様子はなかった。
『まるでゴキブリのようにしつこいデス!』
切歌の言葉に頷きながら、周りを見つめる。
「お主はさっさと、グレモリーの嬢ちゃん達と合流すると良い」
そうして、俺が迷っていると、オーディンさんが俺に話しかけてくる。
「良いのか?」
「なぁに、元々はこの老いぼれ1人がやるつもりだった。
それをここまで片づけたのだから、十分じゃよ」
そうオーディンさんは特に気にした様子なく、言う。
『先記、行こう。
アーシアが心配』
「……そうだな、悪いが、ここは頼む!」
その言葉と共に俺はそのままイガリマを前に投げる。
同時にその形は大きく変形する。
イガリマの鎌を中心に、シュルシュガナの回転鋸がまるでタイヤのように装着される。
そのスケボーのように変形した物に乗り込むと同時に、一気に走り出す。
「ほほぅ、既にザババの原型も何もないのぅ」
オーディンさんが何か言っているようだが、既に関係ない。
俺はそのままスケボーに乗りながら、アーシアが捕らえられている方向に走っていく。
その勢いは凄まじく、目の前にいる敵を次々と轢き倒していく。
『このまま突っ込むデス!』
「あぁ!!」
切歌の言葉に頷きながら、俺達は怒りと共に向かう。
『ねぇ、先記、切ちゃん』
「どうしたんだ、調?」
『そう言えば、二人共、スケボーの止め方って知っている』
「えっ、スケボーの止め方?
そんなの足で」
その言葉と共に俺は地面に足を置こうとする。
だが、スケボーの勢いは凄まじく、とてもじゃないが置けば足が削れる事は間違いない。
『これはヤベーデス』
切歌の言葉通り、目的地付近まで到着する。
そうして、目的地に到着したのは良いのが
「『でっデース!!』」
そのまま俺達は神殿へと突入してしまう。
「ヴェハハハ、それじゃ頂きっぐぎゃあぁぁ!!」
『何かひいた?』
神殿の壁を突き破って、誰かを轢いてしまったようだ。
だけど、今はそんな事に構っている場合じゃない。
「こうなったら、どっか適当に飛び降りるしかない!!」
『そんな事で「おらぁ!」無茶苦茶デス!!』
そう言いながら、俺は最後の部屋に辿り着くと同時に、そのまま地面へと降りる。
幸い、イガリマの鎖や、シュルシュガナの回転鋸で衝撃を緩和しており、ほとんど無傷だった。
「どうにか到着した。
兵藤達はまだのようだけど」
『それよりもアーシアを助けるデス!』
『ディオドラも倒さないと』
「あぁ」
そう、俺達は決意しながら、すぐに構える。
そこには、ディオドラが完全に気絶している状態で倒れており、驚いた顔をしているアーシア。
『『「んっ?」』』
何が起きているのか、分からず、困惑しているが、丁度、気絶しているディオドラの近くには先程まで暴走していたスケボーが壁に突き刺さっており、見れば一部に血がついている。
そして、現状、この場で血がついているのは、ディオドラのみ。
「あの、アーシアさん」
「はっはい」
「そこに倒れているディオドラに何が?」
「えっと、先程、突然飛び込んできた、それに轢かれてしまいまして」
『ふむ、これは』
『不幸な事故?』
うん、取り敢えず、ここに来た奴が悪いという結論が出ました。
と言う訳で、俺はそのまま、気を失ったディオドラをイガリマとシュルシュガナで拘束した後、アーシアを拘束している物を見る。
「さて、どうするか」
『切ちゃんの鎌だと、破壊できない?』
『うぅ、こう、微妙に絡んでいて、斬ろうとしたら、かなり難しいデスよ』どうやら切歌の力を持ってしても切断は難しいようだ。
というより、この鎖はかなり頑丈なようで、切ろうとすれば簡単に壊れそうなのだが、何故か切れない。
ただ、確かに絡まっている感はあるけど。
「アーシア!!
って、先記が、なんで?」
「いや、スケボーで勢い良く走ったら、到着してしまったんだ」
「えっ、それじゃ、お前がフリードをやったのか?」
兵藤の言葉に対し、首を傾げる。
「あれ、それってもしかして道中で轢いちゃった人?」
「あぁ、気づかなかったのか。
まぁ、良いけど、どうする?」
「とにかく、アーシアの拘束をなんとかしないといけないからな」
そう言うと、俺達はアーシアの拘束を解除しようとしていた。
その中で、ふと感じた気配。
「なんだ?」
そんな疑問はディオドラからだった。
先程までとは、何か力が薄い気がする。
「いやっ」
「はい?」
そんな言葉に俺は振り向く。
そこにはアーシアの拘束が解かれている。
その衣服ごと。
『『最低(デス)』』
それには、切歌と調はジト目で見ていた。
兵藤の戦闘はある程度聞いていたが、間近で見ると流石に驚くものだと思っていた。
だけど実際に見てみると、予想以上に酷かった。
そう思った時だった。
「っ!」
同時に感じた気配に、俺はそのままイガリマの肩アーマーからアンカーを飛ばす。
それと共にアーシアを無理矢理こちらに引き寄せる。
「先記っ何がっ」
「まだ、終わっていないようだっ」
それと共に先程までアーシアがいた場所には、光の柱が一瞬あった。
同時に魔方陣から出てきたのは男だった。
「お初にお目にかかる、私の名はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真の魔王、ベルゼブブの血を引く正統なる後継者だ」
「お前っ、まさか、アーシアをっ」
「あぁ、狙って消すつもりだったが、まさか阻まれるとはな」
そう言いながら、シャルバという奴は、そのまま笑みを浮かべた。
「まぁ良い。
ここで始末する事には、変わりないからな。
錬金派の奴らが警戒していると聞いていてだけはあるようだ」
そう言いながら、シャルバはこちらに手を向けていた。
だが
「なに、どういう事だっ!」
何やら驚いている様子が見て分かる。
「なんだ、何を動揺しているんだ?」
それはその場にいた全員が同じだった。
しかし、その答えはすぐに分かった。
『この気配っまさかっ!』
「んっ?」
すると、兵藤の持つ籠手から何か声が聞こえた。
『先記ソウゴっ! その場からすぐに離れろ!!』
その言葉が届いた瞬間、俺の身体に痛みが走る。
「なっ」
見れば、鎧の隙間に何か細長い物が入り込んでくる。
それは黒い蛇だった。
同時に、神殿の隙間から次々と俺の身体に吸い込まれていく。
「がっぐっ」
「まさかっオーフィスの蛇がっ!
だが、なぜだっ、なぜギャラルホルンの中に」
同時に湧き上がる衝動。
それは破壊衝動に近かった。
急速に上がっていくその感覚は、俺を通して、切歌や調にも伝わる。
『これってっイグナイトと同じっ』
『でもっそれ以上にっ、ああぁぁ!!』
2人の言葉と共に、俺の身体が変化しているのが、分かる。
体躯は一回り大きく、そして黒くなり、下腕は二つに割れてそれぞれが鎌と回転鋸が合わさり、チェンソーのように変わる。
それと共に、意識は闇の中へと墜ちていく。