お前が別世界でどんな事をしていたのか、聞かせて貰おうか」
そう言いながら、アザゼルは俺の方へと話しかける。
その日は、兵藤が主演するというおっぱいドラゴンと、俺を題材にした仮面ライダーを見ていた。
その仮面ライダーの内容に関してだが、時間を操る力を持つ謎の組織は、魔王に代わる新たな王を擁立するべく、ソロモン72柱の力を宿す怪物・アナザーデビルを王候補として生み出していた。
現代で暴れるアナザーデビルを前に、ソウゴは「最高最善の魔王」になるべく謎の従者の差し出したベルトで仮面ライダーに変身を遂げた。
こうして、ソウゴは、様々な時代のアナザーデビルを倒して、最高最善の魔王を目指すという内容らしい。
近年では、そういう貴族がどのような悪魔なのかという勉強目的でも行われたらしいが、意外にも、結構人気らしい。
「俺が別の世界でやった事ねぇ」
『正直に言えば、色々ある。
何よりも、私達自身、話せない内容があるからな』
そう言いながら、今日は休みという事で来ている翼さんが頷く。
先程まで、仮面ライダーを見ており、自身の出番があるのか、どうか気になっていたらしい。
実際にグリッドナイトさんと一体化した事のある彼女からしたら、確かに気になる所だろう。
「あぁ、そこは仕方ないと諦める。
まぁ、お前らが話せる内容で良いよ。
例えば、そうだな、月が落ちた話というのが気になるな」
「月から落ちた話」
『ルナアタック事件か。
ならば良いかもしれないな』
そう言いながら、俺達は、当時の出来事を思い出しながら、話していく。
ルナアタック事件の全てが始まったと言っても良いツヴァイウィング最後のライブ。
それから時が過ぎ、響がシンフォギアとしての初めての覚醒。
そして、響と翼さんの2人の間にある溝。
さらにはフィーネからの刺客として来たクリス。
俺はそんな3人を知っており、敵対したくない思いなぞ、多くの困難が待ち受けていた。
実際に俺が出来た事は話を聞く程度しかなかった。
それでも、響が響にしかできない支えの教え、翼さんが片翼である奏を失いながら、夢を忘れないで欲しい事、クリスには両親が見せたかった愛。
それぐらいしかできなかった。
それでも、彼女達を支える事ができる所までした。
「そして、あの時だったな」
『あぁ、そうだな。
ソウゴが、初めて仮面ライダーに変身した瞬間』
「うっ」
ガ・ディンギルを破壊する為に、シンフォギアを身に纏った3人はフィーネと戦った。
だが、力を使い果たし、心まで折り砕かれ、ついに戦闘不能となった響、翼、クリス。
だが、そこに聞こえてくるのは、未来たちが斉唱するリディアンの校歌。
「3人共っ」
「お前は、このまま傍観しているつもりか?」
そんな声が聞こえた。
振り返れば、そこにいたのは、いつも二課にいた謎のオペレーターだった。
どういう訳か、響達以外には姿が見えない俺を認識する事ができた人物。
「それはっ助けたい!
けど、俺には、彼女達に触れる事もっ」
「そうか?
けど、今だったら、できるんじゃないのか?」
「できるって、どうやってっ」
俺はそう叫んでしまう。
実際に、今、俺に何が。
「まったく世話が焼ける。
まぁ、せっかくだ」
そう言いながら、その人は懐からとある物を取り出す。
それが何なのか分からなかった、
カードのように見えるが、そこには一つの人物が写されていた。
「これは」
「お前の可能性だ。
まぁ、それをどのように使うかは、お前次第だがな」
そう言いながら、俺に向けて差し出されたカード。
俺はそのカードに触れる。
すると、そのカードに描かれた存在は、書き換えられる。
「これは」
「なるほどな」
それと共に、目の前にいる人物は笑みを浮かべる。
「一体何が」
「どうやら、お前は色々と縁に恵まれているようだな。
誰かと繋がりたい思いが力となって、さらにこの世界がお前の力を恐れていたようだな」
「恐れているって」
そんな疑問を余所に、そのカードに地面から来た巨大な何かが吸い込まれる。
カードは一瞬、機械のようなベルトが現れる。
だが、そのベルトはまるで虹色の法螺貝を思わせる何かへと変わる。
「これって」
こちらの世界に来る際に、なぜか時折見えた光。
その光の源と言わんばかりに、その貝は怪しく輝く。
「なるほど、だいたい分かった。
ギャラルホルンドライバー。
それが、そのベルトの名前か。
さっさと腰に巻け」
「えっ、それでどうにかなるって」
そう思っていると、俺は腰に巻く。
『RIDER TIME』
その音声が鳴り響くと同時に、俺の身体は覆われる。
それは、一瞬で黒いスーツを身に纏い、そのまま銀色のアーマーが現れる。
だが、銀色のアーマーは徐々に変形し、その形はまるで昆虫を思わせる姿へと変わる。
「これは一体」
「仮面ライダー。
それらの全ての始まりは飛蝗の力を宿した。
だからこそ、お前は全ての始まりとして、あの姿ではなく、その姿へと変わった」
「えっと、どういう意味?」
「今は、そんなの関係ないだろ。
その姿は、今、その身体だったら、どんな干渉も可能だ」
その、言葉の意味を理解すると同時に、俺はそのまま走り出す。
同時に向かったのは、響を踏んでいたフィーネに向けて、蹴り上げる。
「ぐっ、貴様はっ」
「誰」
そう、フィーネが疑問に思う声が聞こえた。
しかし、それよりも早く、俺は響の手を重ねる。
「やっと握れた」
「その声、もしかして、そうご?」
「あぁ」
それに、響は死にかけていた目に僅かに光が宿る。
「ずっといて、触れられなかったのに、死にそうになって触れるなんてね。
やっぱり、私は呪われているな」
「何を言っているんだ。
それに、響、俺達は呪われていない。
むしろ、祝われているんだよ」
「祝われている?
何を」
「聞こえないのか。
この歌声が」
同時に、響もまた耳を傾ける。
「そうだ。
私は、まだ戦えるっ!」
その言葉と共に響は俺を握り絞めながら、立ち上がる。
同時に三つの光が天まで届く。
「なんだそれはっ、お前は一体っ」
「とっくに知っているんだろ。
お前も。
響、翼さん、クリスが起こしたのが何なのか」
「貴様はっいや、貴様は一体何者だっ」
「仮面ライダー」「シンフォギア!!」だ」
そう、俺の言葉と響の叫びが合わさる。
「こんな感じで、俺は初めての仮面ライダーへと変身した」
『その時、立花の叫び声に合わせて、現在は仮面ライダーシンフォと一応呼ばれている』
「あれ、ギアの部分は?」
「一応、他の姿になる時にギアを使うから、シンフォだけになった。
それで、感想は」
「より一層謎が増えたとしか言えないよ。
特にお前の姿が見えた人って、一体誰なんだよ」
「いやぁ、あの人に関しては、その後も色々とあったんだよねぇ」
『フィーネの戦いの後にはより多くの困難が待ち受けていた。
私とマリア達との出会い。
魔法少女事変にパヴァリア光明結社との激闘。
さらには、ソウゴの身に宿ったギャラルホルンによって、様々な世界への干渉。
それが、まさか』
「いや、悪いけど、そこまでにしてくれないか。
俺はともかく」
そう言いながら、アザゼルは後ろを見る。
そこにはようやく理解が追いつけずに、宇宙猫になっている面々が多くいた。
「話の続きはまた今度という感じか」
『それにしても、私としてはこちらの世界でのデュランダル。
あちらも気になるな』
そう、翼さんの声を聞きながら、俺達はその話を一旦止める事にした。