「まさか、ここまでの力を備えていたとはな、先記」
そう言いながら、その画面に映し出されていた映像を見つめながら、キャロルは呟く。
ロキとの戦いを終えた後、キャロルはソウゴに何も告げずに去っていた。
それは、未だに彼と敵対関係にある事もあるが、今は逆らえない上司であるアダムからの命令を遂行する為に、そのデータの入力を行っている。
キャロルの目の前にあるのは巨大な水槽。
その中には巨大な金の塊が水の中で浮かび上がっている。
金の塊には幾つものケーブルが繋がっており、そのケーブルを通じてか、徐々に金の塊は変形していく。
「それで、無事にデータを手に入れたのか、キャロル」
そう、キャロルに話しかけるのは、キャロルと同じ組織に所属しているサンジェルマンだった。
「まぁな。
当初の予定であるXDモードは観測できなかったが、変わりに別のデータを取る事ができた」
「そうか。
そう言うわりには、不満な表情が見えるぞ」
そう言いながら、サンジェルマンは、目の前で不満な表情で操作を行っているキャロルに対して問いかける。
「その理由は、お前も既に分かっているはずだろ、サンジェルマン」
「分かっている。
お前も局長に従うのが、不満なのは。
だが、我々は、今、死ぬ訳にはいかない」
サンジェルマンはそう告げながら、自分達の腕に装着している金の腕輪を忌々しく見つめる。
それは、豪華な模様が彫られているが、キャロルとサンジェルマンにとっては牢獄に捕らわれている囚人の証だからだ。
この腕輪は、アダムの作ったモノであり、外そうとすれば、周囲を巻き込んで自爆する仕組みになっている為、二人は逃げ出す事ができない。
そんな事をすれば、自分達を含めて、多くの人々を巻き込む
キャロル達二人が、アダムに逆らう事ができない理由はそれだ。
「それで、完成しそうなのが」
「まぁな。
忌々しい事に、そっくりにしてしまった」
そう呟きながら、キャロルは水槽の中にある物を見つめる。
それは、先程までの金の塊であり、その形はソウゴが使用しているギャラルホルン・ドライバーと全く同じ形状をしている。
ただ違う点は、その全体は金色に染まっているだけだった。
「あのアダムが、わざわざこの世界のギャラルホルンを金に錬成。
それを、ソウゴのギャラルホルン・ドライバーを模して作らせた。
まぁ、いわゆるギャラルホルン・ドライバーⅡといった所だな」
「素晴らしいじゃないか」
それと共に、キャロルとサンジェルマンとは違う第三者の声が聞こえた。
その声の主は男だった。
「アダム。
何時の間に」
「ふふっ、この僕に相応しい力が誕生したのを感じて、来たのさ」
そう言いながら、アダムは目の前にある水槽に手を置く。
「あぁ、忠告しておく。
その水槽のガラス、かなり薄く壊れやすいぞ」
そのキャロルの一言と共に、ガラスは瞬く間に割れる。
同時に、水槽の中にあったギャラルホルン・ドライバーⅡは、その姿を消した。
「っ!」
その光景を見たアダムは驚きに目を見開く。
同時に、アダムは瞬く間にキャロルに詰め寄る。
「どういう事だ」
「どういう事?
ちゃんと忠告したはずだ、ガラスは割れやすいぞっと」
「そうじゃない。
なんで、ギャラルホルン・ドライバーがなくなったのかを聞いているんだ!」
「さぁな、お前がわざわざ、あのソウゴの持つギャラルホルン・ドライバーと同じ物を作れと命令したのは他でもないお前だろ、アダム」
そう、笑みを浮かべながら、キャロルは言う。
「どういう事だ」
「お前も知っていると思うが、私達の世界のギャラルホルンは、この世界の住人である先記ソウゴを選んだ。
その基準は何か、未だに分からない。
だが、確かに、ギャラルホルンはソウゴを選んだ」
「それと何の関係があるんだ」
「それと同じだよ。
この世界のギャラルホルンは、お前ではない別の誰かを選んだ。
その持ち主の元に自らの意思で転移した」
「そんな馬鹿な事がっ」
「お前がわざわざ先記ソウゴと同じ物を作れと言っただろ。
ならば、こうなったのはいわば、お前の望み通りの結果だ」
「ならば、君がここで死ぬのも、良いんだな」
同時にアダムはその手をキャロルに向けた。
だが
「局長。
ギャラルホルン・ドライバーⅡを探し出すには、キャロルの協力が必須です。
ならば、ここで殺すのは得策ではありません」
そう言いながら、サンジェルマンが、アダムの手を止める。
それに対して、忌々しそうに、舌打ちをしながら。
「必ず見つけ出せ。
でなければ、犠牲者は多く出るだろ」
その言葉と共にアダムはそのままいなくなった。
「……それで、キャロル。
ギャラルホルン・ドライバーⅡはどこにあるんだ」
「さぁな。
ただ、あの胡散臭い男が予言めいた事は残したな」
「予言めいた言葉?」
それに首を傾げる。
「その救世主、3人の歌姫と友情を育む。
魔王と共に、世界に対して」
「3人の歌姫?
それは立花響ではないのか?」
「あぁ、既に立花響を始めとした6人は既にソウゴと共にいる。
だが、もしも、あの時の事を考えれば」
「キャロル?」
「いや、とりあえず、今はその救世主が出てくるのを祈るばかりだな」
そう、キャロルはそのまま椅子に脱力するように座る。