ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

34 / 106
宿命

 山が震える。

 

 それ程の衝撃が、その戦いで行われていた。

 

 景都は、その手に持つ武器である斧を振るった。

 

 振るうだけでも、その衝撃は凄まじく、近くにある木々を簡単に吹き飛ばす。

 

 人間の身体で放たれるのが、信じられない程の威力。同時に、人外とも言えるその動きで、ソウゴに食らいつく。

 

 だが、そんな攻撃を行っている景都は

 

(こいつっ、どうなっているっ)

 

 そう、目の前にいるソウゴの戦い方を見て、戸惑いを隠せない。

 

 振るう斧による一撃のほとんどを、ソウゴは避けていた。

 

「おっと! よっと、そらっ」

 

 斧による一撃に対して、ソウゴはその手には武器を持っていない。

 

 だからこそ、まるで風を思わせる動きで、その攻撃を避けていた。

 

 それは本当にギリギリという領域であり、紙一重と言っても過言ではない程だった。

 

 しかしそれを平然と行いながら更に反撃まで行っている。

 

 その手には何も持っていないというのにも関わらずだ。

 

 つまりこれは一種の技術なのだろう。

 

「景都の力って、結構やばいな」

 

「黙れっ」

 

 そう、ソウゴはまるで友達に言うように、反対に景都は忌々しい敵に睨むように。

 

 戦いは続く。

 

 それはまさに技で翻弄するソウゴと、力で粉砕する景都の戦いだった。

 

 ソウゴは、景都から放たれる斧による一撃を避けながら、次々とパンチや蹴りを放っていく。

 

 放たれた一撃は確実に当たっている。

 

 だが、景都はその攻撃に大したダメージを受けている様子はなかった。

 

 しかし、反対に景都はソウゴの動きに追いついていなかった。

 

 一撃でも与える事ができれば、確実に景都が勝利するだろう。

 

 しかし、その一撃を、ソウゴに与える事ができない。

 

「この野郎!」

 

 怒りに任せて振り下ろした一撃は地面を大きく破壊した。

 

 そしてそれと同時にソウゴの姿を見失う。

 

 いや正確には見失ったと言うよりも姿が消えたのだ。

 

 気配すら感じなくなった瞬間。

 

「ぐっ!」

 

 景都の腕に衝撃が走る。

 

 

 

 それは、ソウゴの放った跳び蹴りであり、手に持っていた斧を落としてしまう。

 

「あらよっと!」

 

 同時にソウゴはそのまま景都の身動きを封じるように足を使って踏ん張り、地面に縫い付けるようにして固定。

 

 一瞬の出来事であり、反応する事さえできなかった景都。

 

 しかしそんな風に押さえつけられた状態でも、まだ諦めていないのか腕を振り上げて殴りかかろうとする。

 

「だからもうちょっと冷静になれって言ってんだろ」

 

 その拳を受け流し、そのまま懐に入って肘打ちを行う。

 

 すると今度は景都の方が吹き飛び木へと激突しそのまま倒れる。

 

 それでも闘志は衰えておらず立ち上がり再度構えようとするが、既に勝負が決まった事を理解している。

 

 何せ今の攻撃だけでかなりのダメージを受けてしまっている。

 

 それに対してソウゴはまだ余裕がある。

 

 どれだけ強いといっても人間なのだから限界はあるだろう。

 

 しかし、今の一撃を受けた事で分かった事がある。

 

(力などは十分に俺の方が上だ。

 

 だけど、こいつはっこいつの動きはそんなの関係ない程にやばいっ)

 

 こうして戦っている中でも、景都は目の前にいるソウゴの技を全て把握しきれてはいなかった。

 

 ただ分かっている事はこいつが今まで出会った中で間違いなく一番の強さを持っている事だけだ。

 

「どうすっかな」

 

 倒れ込んでいる景都を見てソウゴは困ったような表情を浮かべる。

 

(別に俺、敵対する気ないのになぁ。

 

 だけど、なんか勢いで戦っているけど、どうやって止めよう)

 

 ソウゴは既に戦う気はない。

 

 いや、むしろ始めから戦う気はない。

 

 しかし、敵対心剥き出しにしている景都を止める手段が今はない。

 

 仮面で隠されているが、故に本心を悟る事ができない景都。

 

 もしもこれが景都ではなく他の人物であればソウゴとしてもどうにか止める事ができるかもしれない。

 

 その時だった。

 

「坂田殿! 

 

 ここは一旦、撤退しますぞ!」

 

 そう、聞こえた少女の声。

 

 それを聞いた景都は。

 

「ちっ、決着は次に着ける!」

 

 舌打ちと共にそのまま森の中へ走り去って行くのであった。

 

「おい、大丈夫か、ソウゴ!」

 

 そうしていると、クリスが走って、近づく。

 

「まぁ、なんとかね。

 

 にしても、結局なんだったんだろうなぁ」

 

「お前、それを軽く言っているのか?」

 

「んっ?」

 

 すると、兵藤が思わず言う。

 

 それについて、ソウゴは首を傾げる。

 

 その後ろには、戦いによって森が野原になる程の惨状が広がっていたからだ。

 

「あれ? なんかやりすぎた?」

 

「やりすぎだ馬鹿!」

 

 そう、クリスは思わず叫んでソウゴの頭を叩く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。