「人は、近くにいればいる程、その好意が恋愛なのか分からないからね」
そう、その日、俺は部長からの言葉にショックを受けている時に、ソウゴから聞いた。
呆然としていた俺にソウゴが話しかけた。
ここ最近は何やら忙しい様子であり、俺達自身もレーティングゲームの事もあって、あまり関わりはなかった。
その騒動の中で、俺は空き教室で呆然としていた中で、俺に話しかけたのは、ソウゴだった。
「お前もそうなのか?」
「俺なんて、今では響達を恋人だって、胸を張って言えるよ。
けどね、まぁ、少し前までは、俺に対しての好意は恋愛の意味だとは分かっていなかったんだ」
「そうなのか。
それは、なんというか」
俺と少し似ている。
だけど、それは少しだけだ。
俺の場合は、上級悪魔のお姫様である部長と、一般家庭で育った元人間。
対して、ソウゴは世界を幾度も救ったという仮面ライダーで、響ちゃん達と心を通わせた。
そんな彼らを、俺と同じ扱いにしちゃ。
「それが特に大きかったのは、俺と響だったんだ」
「響ちゃんと?」
これまで、見たメンバーの中で特に信頼がある2人だと、俺の中にはあった。
6人のメンバーがいる中で、その中で一際目立っているような気がした響ちゃんが。
「俺は幼い頃に両親をバスの事故で亡くして、響は少し事情があって迫害を受けていたんだ。
その事もあって、俺達は互いに絶対に信頼できる人間であるのと同時に、触れあえない相手に対して、そんな告白したら、心地良い関係が終わってしまうんじゃないか。
そんな考えがあったんだ」
「俺もだ。
俺も、部長に対して」
自然と、ソウゴの言葉に俺も同意してしまう。
先程までの自問自答が嘘のように。
俺はソウゴの言葉に重なるように言う。
「響は、どんな相手とも手を取り合えると信じていた。
そんな彼女の思いは、俺は好きだった。
けど、大きすぎるその気持ちは、俺も響も互いに恋愛が分からない程に大きかったんだ」
「俺は」
それが、もしも、ソウゴが恋愛に気づけなかったとしたら、俺は一体なんで、そう思うんだ。
勘違いだと思ったからなのか。
でも、ソウゴの体験で、俺も俺自身に何か大きな何かがあると思った。
それと共に、この恐怖心は一体何なのか。
それは、心地良い関係が終わるのが、怖かった。
なんで、崩れるのか分かっていたのか。
それは、俺が既に体験していたからだ。
「・・・ソウゴには、話した事あったかな。
俺が悪魔になった訳」
「いいや、聞いていない」
「そっか。
それだったら、聞いてくれないか」
俺はそれと共に、過去の事を話し始めた。
レイナーレという堕天使が、「天野夕麻」を名乗って俺の恋人を演じた末、笑顔で「死んでくれないかな」と言って彼を騙し、殺害した事。
その時、彼女からは多くの事を罵倒されていった。
それから、俺は恋愛というのに恐怖した。
自分に向けられた好意は全くないと。
「まぁ、結局はそれが分かるのは、兵藤次第だからね」
「あぁ、悪いな」
ソウゴと話している内に、俺もまた気持ちの整理ができた。
「いつも、サンキューな」
「気にしなくても良いよ。
俺はただ、響の真似事をしただけだから。
それに、俺も少しね」
その言葉と共に、ソウゴは何か気づいた様子だった。
その顔は何か思い詰めた表情だった。
それが、何の意味するのか。
その時は、まだ知らなかった。