現在、俺達の状況はまさに最悪の一言である。
それはこれまでの戦いでは中心となっていた先記ソウゴと兵藤一誠がいなくなった事が要因である。
兵藤一誠を失い、失意に暮れるグレモリー眷属だったが、状況は彼らを放っておいてはくれなかった。
超巨大な魔物が冥界の都市に向けて進撃を開始したのだ。
「はああぁぁ!!!」
俺はその手にガングニールの槍を構えながら、目の前にいる巨大な魔獣に向けて、真っ直ぐと投げる。
その存在こそ、今回の戦いにおいて、最も厄介な存在である魔獣。
体長150メートルはある巨大魔獣「豪獣鬼」である。
対悪魔用のアンチモンスターとして生み出されており、一体一体が最上級悪魔とその眷属でも足止めが限界なほどの耐久力と再生力を保有している。
その数は15体であり、俺が今こうして戦っているのは、その内の一体に過ぎない。
『ゲイツ!
すぐに攻撃を仕掛けてくるぞ!!』
「分かっている!!」
奏の言葉を聞くと共に、俺は懐から別の物を取り出す。
僅かな情報で聞いた程度ではあるが、ソウゴが使っていた手段と同じく、俺はそのまま別の姿へと変わる。
『Change!NINJA!』
鳴り響く音声と共に、俺の姿は忍者を思わせる姿へと変わると同時に、先程投げた槍を掴む。
同時に、真っ直ぐと豪獣鬼の頭に向かって、走り出す。
その巨体故に、こちらの存在を完全に把握する事ができない為に、俺はそのまま忍者の機動力を活かして、真っ直ぐと向かって行く。
そうして、目の前で豪獣鬼の目の前に迫ると同時に、俺は瞬時に姿を切り替える。
『セレナっ!交代だ!』
『はいっ!』
『Seilien coffin airget-lamh tron』
それと共に、俺はその姿をアガートラームへと切り替えると共に、別の物に手を伸ばす。
『Change!Arabia!』
同時に、俺の姿はまるでにアラジンを思わせる姿に変わり、その手に、ランプを思わせる短剣を向ける。
そこから出てきた巨大なピラミッドの幻覚で、奴の視界を完全に隠す。
目の前で突然現れた幻覚に、俺の姿が隠れる。
「そして、ここで!」
『えぇ!!』
『Rei shen shou jing rei zizzl』『Change!MIRRORING!』
鳴り響く音声と共に、俺は、その姿はソウゴのガングニールとしての姿によく似た姿へと変わる。
それと共に巨大化した拳を真っ直ぐと豪獣鬼の頭に叩きつける。
放たれた光は、瞬く間に豪獣鬼の身体を飲み込んだ。
「はぁはぁ」
それと共に、どっと襲い掛かる疲労に、息を吐きながら、倒れる。
しかし、未だに豪獣鬼は残っている。
こうして、豪獣鬼を倒す事ができるのは、あらゆる魔を消し飛ばす事ができる神獣鏡が一番有効だと判断された。
しかし、ただ当てても完全に倒す事はできない為、奴の頭に叩き込むが一番だと判断された。
150メートルもある怪物相手に、それを行うのは困難であり、この1体を倒す為にも、かなりの危険を冒した。
そして、この豪獣鬼以外にも、未だに敵は多く存在する。
「俺にも、あの力がっ」
同時に思い浮かべたのは、ソウゴがこれまで見せた二つの姿。
京都の事件の時に見せた姿と、加古川との戦いで見せた姿。
つまりはデュオレリックだ。
『そう言ってもな。
私達も一応持っているけど、今のままじゃ、他の姿と変わりないだろ』
『えぇ』
「だとしても、あいつが。
ソウゴが帰ってくる保証はないんだろ」
そう言いながら、俺は拳を強く握り締める。
奏達を通して、響達やソウゴが生きているのかどうか確認する。
それによって、ソウゴは確かに生きている事は既に分かる。
だが、時空の狭間であり、こちらの世界に戻る手段がない。
「だからこそ、俺はあいつの代わりにやらないといけない。
何か分からないのか?」
『それは、本当にな。
あいつらから聞いた話では、ソウゴが夢を通したとしか』
「やっぱり」
未だにこのギャラルホルン・ドライバーに謎は多い。
「どうやら、力を得たいようだな」
「っ」
聞こえた声、同時に振り向くと、そこには女がいた。
白い白衣を身に纏った女がいた。
俺はそのまま構える。
「お前は一体っ」
「そう、警戒しなくても良いだろ。
こちらとしては、ようやく脱出できたのだから」
そう、ひらひらと軽く挨拶してくる。
一体こいつは。
『了子さん!?』
「了子?」
聞いた事のない名前に俺は首を傾げる。
「まぁ、簡単に言えば、彼女達、シンフォギアを作り出した女よ」
「なにっ!?」
その言葉に俺は思わず警戒する。
「お前達は確かアダムの奴に捕らわれていたはずじゃ」
「用済みになったから始末されそうになった。
けど、少し助けもあって、こうしてここまで来れた」
「それで、力を得る方法はどうすれば良いんだ」
そう、俺はそのまま問いかける。
「先記ソウゴの持つあの力。
あれは元々、奴が手にするはずだった力。
ジオウを通じて、手に入れた物だ」
「ジオウ?
アナザージオウと何か関係あるのか」
以前、加古川の歪な怪物のような姿であるアナザージオウ。
それが、何の関係があるんだ。
「ジオウは他の平行世界にいる仮面ライダーの力を得る事ができる。
だからこそ、奴はデュオレリックを行う際、その現象が起きる」
「それは、つまり。
俺にはできないという事なのか」
「だが、ギャラルホルン・ドライバーはお前を選んだ。
少なくとも、お前には、ジオウに近い何かがある可能性がある」
「俺にその力が」
同時に握り絞める。
「どうすれば、手に入る?」
「さぁな、私もそこまでは分からない。
だが」
それと共に了子は懐から取り出した何かをこちらに投げる。
それは、何かの時計のように見えるが。
「これを使えば、その可能性は出るらしい」
「可能性だと?
一体、誰からだ?」
「予言者だよ」
「さて、どうやって帰ろうか」
その言葉を呟きながら、何もない空間の中でソウゴは漂っていた。
既にこの空間に飛ばされて、2日以上は経過している。
その手元には食料はなく、空腹の状態が続いている。
そして、この何もない空間において、響達を呼び出すのは危険だと判断し、意図的にその能力を封じていた。
それでも、その生命は危機に瀕しているのは間違いない。
「けど、さすがにこの状況を打開する方法なんて」
そんな呟きをした瞬間だった。
一瞬、彼の目の前で光が見える。
その光は、ソウゴにとっては見覚えのある光だった。
同時に、そこに現れた存在も。
「・・・なんでここにいるの」
ソウゴを見つめた存在はゆっくりと語りかける。
「いやぁ、それが色々と事情があって、この空間に飛ばされたんだ」
「はぁ、油断し過ぎじゃない」
「それにしても、ここがよく分かったね」
「別に、ただ通り過ぎただけ」
「そっか、でも嬉しいよ」
「まぁ、別に良いけど。
それで、どうするの?」
「できれば、すぐに戻りたいけど、元の世界に帰るには道標がないからな」
「・・・はぁ、だったら、まずは食事だね」
「そうだね、それからでも」