ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

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吸血鬼

この世界での、マリア達が滞在が決まってから、多くの出来事が変わった。

 

その一つとして、まずは平行世界の調と切歌にラブ博士がこちらの世界に引っ越してきた。

 

理由としては研究目的もそうだが、向こうの世界では未だに多くの組織から狙われている事もあって、安全に過ごせるこちらの世界に移る事になった。

 

さらには、今も目覚めないアンドロイド切歌を目覚めさせる事が出来る可能性もある為、この世界に来たらしい。

 

しかし、アザゼル先生と色々と別の意味で相性が良かったのか、様々な実験を繰り返し行っていた。

 

さすがに危険だと思いながらも、アザゼル先生から渡された天羽々斬とシュルシュガナとイガリマの破片を交渉材料に出され、許可してしまった。

 

さらには、どうやら平行世界を渡る中で、アガートアームの欠片を見つけたというマリア達によって、ようやく6人の装者の実体化に成功した。

 

エアーキャリア経由でも確かに来れるが、それでも瞬時に来れる事もあって、6人はよく俺のギャラルホルン・ドライバー経由でこちらに来ていた。

 

同時にゲイツの方にも以前渡されたガングニールの欠片等で、十分に実体化する事ができた。

 

そうして、波瀾万丈な中で、その日、俺はマリアを連れて、とあるオカルト研究部の部室にいた。ようやく連絡のついた吸血鬼と会談をするためだ。

 

この場にいるのは、リアスと眷属全員、ソーナとその『女王』真羅副生徒会長、アザゼル、イリナにどうやら教会のクイーンであるグリゼリアさんらしい。

 

「それにしても、まさかソウゴ達もいるとはな」

 

「まぁ、マリアの仕事の付き添いみたいな感じだからね」

 

「マリアさんって、確かその子は平行世界のマリアさんだよね」

 

「何よ。

私はこの見た目でも22歳だけど、悪いかしら」

 

「いっいいえ、滅相もありません!」

 

なぜだかリアスさんと声が同じなのか、兵藤は思わず、声に従ってしまう。

 

それとは反対に、マリアを師匠として慕っている小猫ちゃんは。

 

「なんだか、とても親近感を持ちます」

 

「私もよ。

あなたも苦労をしているのね」

 

それは、どういう意味なのか、詳しく聞かない。

 

「それにしても、平行世界だから、ここまで違うのか」

 

「まぁ、色々あるんだよ」

 

そう雑談していくと共に、今回の相手である吸血鬼側が来た。

 

姿を現したのは中世のお姫様が着るようなドレスに身を包んだ人形のような少女だった。

 

作られたような美しさがある人間味の感じられない怪しい雰囲気を漂わせている。

 

金色の髪に真っ赤な双眸をしているが、それ以上に気になるのが生気を一切感じられない肌の色合いだ。

 

その雰囲気に関しては、ヴラドを思い出して、思わず身構える。

 

「ごきげんよう、三大勢力の皆様。特に魔王様の妹君お二人、そして堕天使の前総督様とお会い出来るなんて光栄の至りです」

 

そのままリアスさんに促され、リアスの対面の席に少女が座ることになったが、座る前に少女は名乗る。

 

「私はエルメンヒルデ・カルンスタイン。エルメとお呼びください」

 

いかにも高貴そうな名前の響きだな。

 

アザゼルがあごに手をやる。

「カルンスタイン。確か吸血鬼二大派閥の一つ、カーミラ派の中でも最上位クラスの家だ。久しぶりだな、純血で高位のヴァンパイアに会うのは……」

 

カーミラ。

 

確か、ヴラドと同じく吸血鬼という意味では有名な人の1人だったか。

 

そう考えていると

 

「エルメンヒルデ、いきなりで悪いのだけれど、私達に会いに来た理由を聞かせてもらえないかしら?

今まで接触を避けてきたあなたたちが私たちの元に来た理由は?」

 

エルメンヒルデは一度だけ頷くと口を開いた。

 

「ギャスパー・ヴラディのお力を借りたいのです」

 

曖昧な記憶と共に思い出しながらも、アザゼル先生はそのまま問いかけてくる。

 

「率直な質問に率直な答え。すまんが説明してもらおう。吸血鬼の世界に何が起きた?」

 

「我々吸血鬼の世界でとある出来事が根底の価値観を崩すほどのものになってきているのです。ご存じかもしれませんけれど、神滅具を持つものがツェペシュ側のハーフから出てしまったのです」

 

なるほど、厄介な事になりそうだな。

 

「それでツェペシュ側の神滅具ロンギヌスは何だ?」

 

「………幽世の聖杯です」

 

「聖杯って、確か」

 

名前だけだが、確かに聞いた事がある代物だ。

 

だけど、それがある事で、どのような事が起きるのか。

 

それが分からず、頭を傾げている間にも、話は進んでいく。

 

「聖杯ってのは伝説が多い。だがその『幽世の聖杯』はただの聖杯じゃない。神滅具ロンギヌスであり、生命の理を覆しかねない代物だ。エルメンヒルデといったか、吸血鬼がそれで何を求める?」 

 

「絶対に死なない身体。吸血鬼の持つ弱点を無くした『決して滅びない体』をツェペシュの者たちは得ているのです。いえ、正確には『滅びにくい体』でしょうか。聖杯の力はまだ不完全のようですから」

 

滅びにくい身体か。

 

そういう意味では、ネフシュタンの鎧を身に纏っているフィーネと戦った事もあり、その厄介な所は既に重々承知だ。

 

「何も弱点のない存在になろうとしているのです。誇りを捨てるだけならまだしも、あの者たちはこちら側を襲撃してきたのです。これらの行為を許すつもりはございません。同じ吸血鬼として粛清するつもりです」

 

それと共に厄介な存在になり、邪魔者を消すように動き始めたという感じか。

 

「カーミラ側の吸血鬼としての生き方を否定して、襲ってきたツェペシュ側のやり方が気に入らないってことか」

 

「はい、その通りです。そして私たちの目的は……」

 

エルメンヒルデはギャスパーに視線を向ける。

 

「そちらにいらっしゃるギャスパー・ヴラディの力を借りて、ツェペシュの暴挙を食い止めることです」

 

つまりギャスパーを抗争に使うから貸せと。

 

そうしている内にも、話は進んでいく。

 

その間にも、ギャスパーの傷を抉るような言葉は続いていく。

 

そうしている中でも、感情を表に出さずに、司令官という立場という事もあって、マリアは必死に我慢していた。

 

やがて、エルメンヒルデはあくまでも協定や和平を交渉に、ギャスパーを無理矢理連れて行こうとした。

 

やがて、会談が終わると共に。

 

それから十分程が経った頃。

 

ゼノヴィアがテーブルを叩いた。

 

「相変わらず、吸血鬼は好きになれない……」 

 

ゼノヴィアの奴はよく我慢したよ。

 

会談中敵意を出していた。

 

その中で、会長はすぐに視線をこちらに向ける。

 

「どうするのですか?協定を無視するわけにはいかないでしょう。ギャスパーくんを送り出すことになったら、最悪彼を失うかもしれません」

 

それを聞いたギャスパーは複雑極まりない顔をしていた。

 

それもそうだろう。ギャスパー一人で吸血鬼の半分が休戦協定のテーブルにつくのだ。

 

拒否したいが出来ない。一番嫌な状況だ。

 

そんな中、ギャスパーか震える口調で吐き出した。

 

「ぼ、僕、行きます

吸血鬼の世界に戻る気はありませんし、ここが僕にとってのホームです。で、でも、ヴァレリーを助けたい!彼女のおかげで皆さんに会えて幸せになれました。それなのに彼女だけ辛い目に遭っていると思うと……きっと理不尽な扱いを受けていると思うんです!」

 

そのままギャスパーはリアスさんに告げる。

 

「僕、ヴァレリーを助けたいです!そして絶対に死にません!ヴァレリーを救ってここに戻ってきます!」

 

それと共に、ギャスパーは確かな宣言をする。

 

けど。

 

「だけど、馬鹿正直に行く必要はないよ」

 

「ソウゴさん、それって、どういう事なんですか。

まさか、ヴァレリーを放っておくという事ですかっ!」

 

そう、ギャスパーは心配そうに言うけど。

 

「いや、だって。

確かに和平は大事だけど、ようするに今回、俺達がやるべき抗争を止めるにはギャスパーではなく、そのヴァレリーという子なんでしょ」

 

「それは、そうだけど」

 

「だったら、もう話は決まっているじゃない」

 

同時に俺は笑みを浮かべる

 

「その子、攫っちゃえば良いじゃん」

 

俺のその一言に、周りは一瞬、静けさに包まれる。

 

「いや、ソウゴ。

あなた、それは「いや、もしかしたら案外、いけるかもしれない」アザゼル?」

 

「奴らが反乱で恐れていたのは、そのヴァレリーという奴の幽世の聖杯だ。

それが無くなれば、結果的には奴らがこちらと交渉する理由はなくなる。

まぁ、どちらにしても結果論かもしれないがな」

 

「だが、このまま奴らの手の平に踊るよりもマシね。

問題は、どうやって、見つけるか」

 

「大丈夫、こういう時にはぴったりなのがいるから。

幸い、怪盗と対吸血鬼にはぴったりなのが揃っているから」

 

「お前らのシンフォギアって、本当に色々な意味で万能だな」

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