「いやぁ、本当に1人、この場合は2人か。
たった2人で吸血鬼を制圧するなんて、とんでもない奴だねぇ」
そう言いながら、城の様子を遠くから見ていたリゼヴィムは冷静に、その手にある聖杯を揺らしながら、先程までのソウゴの戦闘を見た感想を言う。
「まさか、本当に吸血鬼を一瞬で倒すとは」
そんなリゼヴィムの隣にいる人物は銀髪の青年であり、彼の名はユーグリット・ルキフグス。
グレイフィア・ルキフグスの実の弟であり、現在はリゼヴィムと同じ組織に所属している。
番外悪魔として、確かな力を持っており、同時に狂人とも言える彼ですら、その光景は戦慄をしている。
「そうだよねぇ、僕ちんでも可能だと言ったら可能かもしれないけど、あそこまで圧倒的にやるのは難しいね。
しかも、死人が0だなんて、とんだ化け物だよ!」
そう、心底に思っている感想を呟くリゼヴィムは笑みを浮かべる。
「君の言う通りだよ。
あれでも、未だに本来の力を発揮していないんだろ」
そう、リゼヴィムは、背後に立つ男に向けて、笑みを浮かべる。
顔を覆う程の黒いフードを身に纏っており、僅かに手だけが見える程度。
「あぁ、そうだ。
奴の本来の力であるオーマジオウの力に比べたら、この程度、遊びにもならない」
「うひゃひゃひゃ、どんだけ強いんだよ、異世界の魔王は!
これじゃ、僕ちん達の魔王というのが遊びに見えるじゃないの!!」
リゼヴィムはその言葉と共に、未だに本来の力を発揮しないソウゴに向けて、期待の目を向けていた。
「あぁ、どうやったら本気になるんだぁ?
身内を殺そうにも、今は下手に手を出せない奴らばかりだ。
恋人と言える彼女達も難しいし、これからやる事は沢山あるねぇ」
「おい、リゼヴィム。
お前、本気で先記ソウゴの事をオーマジオウとして覚醒させるつもりか?」
「当たり前じゃないか」
その様子を見て、ユーグリットが焦る声に対して、リゼヴィムは真顔で答える。
「平行世界を簡単に破壊し、作り替える事ができ、さらには時を自在に操る事ができる!
これ程の存在が、まさかいるなんて思ってもみなかったよ!!」
「お前は、一体何を企んでいるんだ」
「そんなの決まっているだろ。
混沌に極めた戦い」
同時にリゼヴィムは笑みを浮かべる。
「世界を簡単に破壊できる程の神と世界を簡単に作り変える事ができる魔王!
世界を混沌にする為の神と、世界を守る為に戦う魔王!!
こんな面白い戦いを引き起こせるなんて、まさに僕の人生が求める物だよ!!」
その、目は既に理性などなかった。
求めるのは、混沌を極めた戦い。
その行く末。
「それで世界が消滅しても問題ない。
あぁ、その時はオーマジオウの力で再生するから問題ないかもねぇ」
リゼヴィムはそれと共に大笑いする。
まるで、新しい玩具を見つけた子供のように。
世界の破壊を目指すように。
「はぁ、笑った笑った。
という事でユーグリット君、今回はここまで。
今、オーマジオウを目覚めさせるのは、無理だからね。
無駄な戦いはしないしない」
そう言い、リゼヴィムはそのまま消えていった。
「・・・おい、どうするつもりだ。
リゼヴィムの企むははっきり言えば、俺は賛成できない。
そんな事をすれば、姉さんもいなくなる」
「心配するな。
奴の事など、捨て駒に過ぎん。
何よりも俺の目的は始めから決まっている」
同時にフードの男はソウゴへと睨み付ける。
「俺が歴史を作り直し、君臨する。
今度こそ、王となる為に!」
その言葉と共に、手のひらには黒い円が描かれている。
同時にもう片方の手にはどこまでも闇に染まっている鉱石。
その鉱石に男は力を込めると共に、その形は変わる。
センチュリー
そう、禍々しい飛蝗を思わせる顔が浮かび上がった時計。
それが、何を意味するのか。