「ならば、見せて貰おうか。
お前の力を」
そう、アジ・ダハーカの首の内の1つが俺に告げると共に、瞬く間に空に数え切れない程の魔方陣が発動される。
同時に俺に向けて、「炎」「氷」「百雷」「暴風」「闇」「光」といったあらゆる属性の攻撃魔術が襲い掛かる。
「けど」
その攻撃に対して、俺は背中にある翼に紫電のエネルギーを集わせると同時に空へと飛翔する。
そして空中を飛び回りながら迫り来る全ての攻撃をかわしていく。
そんな中で俺は左手に持つ双刃刀を構え直し、そのままアジ・ダハーカの首の一つに斬りかかる。
だがアジ・ダハーカは瞬時に魔力障壁を展開し、それを防ぐ。
「ほぅ、ここまで一瞬か。
だが」
そう言うなり、アジ・ダハーカの首の一つはニヤリと笑みを浮かべると、右手の指先から魔力の弾丸を放ってきた。
「おっと!」
それをかわすために、俺は一旦距離を取るようにその場から離れる。
「この程度では私には勝てんぞ?」
「だろうね。
ならこれはどうだ?」
アジ・ダハーカの言葉を聞きながら、双刃刀の代わりにビーム砲を出現させる。
するとアジ・ダハーカの首の一個が目を細めながら呟いた。
「ほう? それが噂の武器か」
「まぁね」
俺はそれだけ答えると、アジ・ダハーカの首の1つに狙いを定めてビームを放った。
それに対して、アジ・ダハーカの首の1つは素早く反応し、自身の周囲に展開していた魔力障壁を展開して防ぐ。
「……ふむ。
確かに威力は高いようだな」
「そいつは良かったよ」
俺はビームを放ちながらも、今度は右手に剣を握ってアジ・ダハーカの首の一つに向かって斬りかかった。
しかしアジ・ダハーカの首の1つはそれも読んでいたのか、すぐさま魔力障壁を展開する。
「甘いな」
「そうかな?」
俺は左手にも剣を握ると、両手の剣を振るって連続で斬撃を叩き込む。
だがアジ・ダハーカの首の1つが展開した魔力障壁はその全てを弾き返す。
「その程度では……んっ!?」
アジ・ダハーカがそう呟いている間にも、俺は既に双刃刀を投げていた。
同時にそれに向けて、ビーム砲を当てる。
すると回転する双刃刀の雷の刃に向かって発砲されたビームを乱反射拡散させる。
それに対して、アジ・ダハーカは咄嵯に防御魔法を展開して身を守ろうとするが、それは悪手だ。
何故なら、反射された雷は防御魔方陣をすり抜けて、そのままアジ・ダハーカへと直撃したからだ。
「ぐあぁあああっ!!」
アジ・ダハーカはそのまま吹き飛ばされる。
「よし!」
俺はそれに思わずガッツポーズをした。
この瞬間こそ、勝利への確信だったのだ。
「馬鹿っ油断するな」
「えっ、うわっと!!」
俺がそう言っている間にも、横から襲い掛かる魔法攻撃に吹き飛ばされ、そのまま地面へとのめり込む。
「先程のは驚いたぞ。
だが、まだ終わっていないぞ」
その言葉と共に、既にアジ・ダハーカは空中へ浮かび上がっていた。
しかも、さっきよりも遥かに早い速度で。
そして、その勢いのまま俺達に向かって突進してきた。
だが。
「十分ぐらいに分かった。
何よりも時間としてもな」
「なに?」
俺の言葉を聞いて、疑問に思う奴の言葉よりも早く、俺はすぐに取り出す。
「ここからが本番だな、翼! クリス!」
『ようやく出番かよ!』
『待ちくたびれた』
その言葉と共に、俺はそのまま構える。
『DUAL UP! Yantra Salvaspa!』
鳴り響く音声と共に、俺の姿は変わる。
そこには翼の青とクリスの赤。
二つが合わさったような鎧を身に纏うと共に、その手には同時に天羽々斬とイチイバルが合わさったような盾と剣が一体化した武器を手にする。
それと共に、翼とクリスもまた大きな変化があった。
翼の手には双刃刀ではなく、棒状の武器が。
クリスの手には、巨大なスナイパーガンではなく、拳銃ぐらいの大きさの物が。
「変化した?
だが、それがどうした」
「簡単な事だ。
アジ・ダハーカ、お前の魔法は既に全て解析済みだ。
さぁ、お前の罪、数えろ」
「何を言うかと思えば、今更、そんな事、数えられるかぁ!!」
その叫びと共にアジ・ダハーカは先程と同じように数え切れない程の魔方陣をこちらに向ける。
それに対して、俺はその手に持った武器を構える。
その形は盾というよりも、銃に近く、そのまま七色の光線が、全ての魔方陣を破壊する。
「なにっ」
「この姿、ヤントラ・サルヴァスパは様々な情報を自由自在かつリアルタイムで引き出すことができる。
これにより敵の行動の先読み・弱点を解析し的確に攻撃するなど、戦闘を有利に進めることができる」
「まぁ、発動すると、あまりの情報量で頭がパンクするからな」
「使うのは一瞬のチャンスのみにしかできない」
同時に翼もクリスもまた構える。
「まさか、俺にそれで勝負するとは、面白い!!」
アジ・ダハーカもまた、俺と対峙するなり、まるで俺達の戦いを楽しむかのように、その巨大な口から炎や氷柱、雷といった様々な魔法攻撃を繰り出してくる。
しかし、その手に持った盾は、既にアジ・ダハーカの魔法を解析している事もあって、全ての魔法を無力化していた。
「ははぁ、良いぞ!
どこまで魔法を通じるか!」
その様子をアジ・ダハーカは興味深そうに見つめていた。
そして、何かを思い付いたのかニヤリと笑みを浮かべる。
「クッハッハ! どうやら貴様は我輩の攻撃を避けるだけで精一杯の様子だなぁ? ならばその娘達には手を出さぬよう約束しようではないか!」
「何を勘違いしているんだ、お前は」
「なに?」
「翼もクリスも、お前の想像以上に強いぜ!」
その言葉と共に、俺が防いでいた魔方陣を破壊した。
それは翼の青い棒が。クリスの赤い拳銃が。
二つの武器が、魔方陣を消し飛ぶ。
「「「くくっ、はははぁ!!
良いぞ!! 3人で、このアジ・ダハーカの3つの首に叶うか、試してやる!!」」」
それと共に魔方陣による攻撃の激しさが増せば増すほど、その威力は高まっていく。
「だったら、確かめて見ろよ」
「俺達の3人」
「いや」
「「「6人の力をな」」」
その言葉に、アジ・ダハーカは一瞬分からなかった。
それでも既に俺達は止まらない。
『トリガー! MAXIMUMDRIVE!』
『メタル! MAXIMUMDRIVE!』
『サイクロン! ヒート! ルナ! ジョーカー! MAXIMUMDRIVE!』
鳴り響く音と共に、翼とクリスの2人の攻撃が、俺の前にある魔法の嵐からアジ・ダハーカへの道を作り出す。
同時に抜刀した剣には7色の光が集うと共に、真っ直ぐとアジ・ダハーカに向かって斬り裂く。
それと共にアジ・ダハーカの胴体は巨大な斬り傷が刻まれた。
その一撃によってアジ・ダハーカは動きを止めて苦悶の声を上げる。
「くくっ、この痛みっ、良いぞぉ!!
良いぞぉ!!」
その言葉と共に俺もまた、再び剣を構えようとする。
だが
「おいおい、さすがにこれ以上は駄目ですよぉ」
それと共にアジ・ダハーカの身体が擦り抜ける。
それは、既に転移する直前だった。
「リゼヴィムっ貴様あぁぁ!!!」
それはアジ・ダハーカの叫びだった。
完全な決着をつけられない事への怒りなのか、地震と間違える程の怒声。
「先記ソウゴ!
今回は決着はつけられなかった!!
だが!!」
「あぁ、今度は決着をつける」
邪悪な気配は何度も味わった。
悪意なんて、幾度も対峙した。
だからこそ、目の前にいる奴もまた悪意の中にある信念を持っているのを理解できた。