ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

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強さと弱さ

 ある一室。

 

 そこで小猫はベッドで横になっていた。

 

 その頭部には猫耳が生えていた。

 

 この猫耳は普段は隠していて、体力がなくなると出てきてしまうらしい。

 

「なりたい」

 

 小猫が小さく呟く。

 

 その瞳には涙が溜まっていた。

 

「強くなりたい。祐斗先輩やゼノヴィア先輩、朱乃さん、イッセー先輩のように心と体を強くしていきたい。

ギャーくんも強くなってきる。このままでは私は役立たずになってしまいます。

戦車なのに、私が1番、弱いからお役に立てないのはイヤ」

 

 小猫は今まで自分の弱さを気にしていた。

 

「けれど、うちに眠る力を猫又の力は使いたくない。使えば私は姉さまのようもうイヤです。

もうあんなのはイヤ」

 

 そんな言葉を聞いていた、一誠は、どうすれば良いのか分からずにいた。

 

「それでか」

 

 ソウゴ。

 

 そこには修業に入ってから、別れたソウゴだった。

 

 その隣にはマリアがいる事に一誠は疑問に思った。

 

「なんでここに?」

 

「マリアが搭城さんの事をずっと気にしていたからな。

 

 倒れたと聞いた時から心配していたようなんだが」

 

「まぁ、あの通りという訳だ」

 

 それと共にアザゼルは、そう答えた。

 

「ソウゴ、少しの間だけど、頼めるか?」

 

「元々、そのつもりだったろ? 

 

 良いよ、好きにして」

 

「ありがとう、愛しているわ」

 

 そう軽いやり取りをすると共に、マリアはそのままソウゴに触れる。

 

 同時にマリアの姿は完全に消える。

 

「えっ、マリアさんが消えた!?」

 

「消えたって、どういう事?」

 

 元からマリアの姿が見えないリアス達にとっては、何が起きているのか、判断できなかった。

 

 しかし、神器使いである一誠達にとっては、突然の出来事で、驚きを隠せなかった。

 

 そして、すぅっと、目を閉じたソウゴは、次の瞬間、大きく目を見開く。

 

「そっソウゴ?」

 

 その様子に一誠は思わず戸惑いを隠せずにいたが、そんな彼を無視し、ソウゴはそのまま小猫のいるドアを大きく開く。

 

「強くなりたいという言葉に偽りはないようね」

 

「えっと」

 

 その喋る雰囲気も突然変わった事に驚く一同。

 

 それを無視するように、ソウゴは再度、小猫に問いかける。

 

「どうなのと聞いている」

 

「強くなりたいです!」

 

 そう小猫に問いかけ、答える。

 

「ならば、私が相手になるわ」

 

 その一言と共にギャラルホルンをそのまま腰に巻く。

 

 同時に、ソウゴの身体は光ると共に、その姿は大きく変わる。

 

「えっえぇ、マリアさんに!?」

 

「マリアって、この人が」

 

「部長も見えるんですか!」

 

 これまで、幽霊であり、神器使いでしか見えなかったはずのマリア。

 

 それが、実体化している事に、驚きを隠せなかった。

 

「ソウゴの身体を使えば、擬似的にだけど実体化はできるわ。

 

 残念ながら、全力が出せないから戦闘でも使えないし、普段は別に使う必要もないけどね」

 

 そう、マリアは言いながら、小猫を見つめる。

 

「それじゃ、始めましょうか。

 

 特訓を」

 

「いや、待って下さい! 

 

 小猫ちゃんはさっき倒れたばっかりで「いえ、行きます」あっ」

 

「私は、姉様のような力に頼りたくない。

 

 だから」

 

「そう、果たして、どこまで通用するかしらね」

 

 そうマリアは小猫を連れて行って、そのまま出て行く。

 

「あのマリアさん。

 

 部長の声と似ているけど、なんか、結構怖いなぁ」

 

 一誠はそう言いながら、さっきまでの事を思い出して、思わず震える。

 

「そうか? 

 

 俺からしたら、優しすぎるぐらいだぜ」

 

 一誠の言葉に対して、アザゼルはむしろ反対の事を言う。

 

「優しいですか?」

 

「あぁ、どうやら今回の特訓では俺よりもあっちの嬢ちゃんの方が適任のようだな」

 

 そう言ったアザゼルの言葉が何を意味するのか、分からず、一同は首を傾げた。

 

 そして、夏休みの間だけだが、マリアと小猫による修業が行われた。

 

 華奢で小柄な外見にそぐわぬ常軌を逸した怪力と桁外れの耐久力を軸とした格闘で小猫はマリアに対して模擬戦を行っていた。

 

 

 

 だが、マリアは、変身していないにも関わらず、軽く受け流す。

 

「ぐっ」

 

 マリアの本来の戦い方を知っている小猫は、それが未だにマリアに手加減していると知っており、苦虫を噛み潰すような表情を見せる。

 

 そんな小猫の様子に対し、マリアは淡々と告げてくる。

 

「今のあなたでは他のメンバーでは勝てないわ。

 

 その格闘だって、悪魔の駒による力に頼っているだけよ」

 

 その言葉を否定するように拳を振るうが、あっさり受け止められてしまう。

 

「それは違うわ」

 

 そして、その動きを止められた腕を捻り上げ、投げ飛ばす。

 

「ッ!?」

 

 軽く投げたはずなのに、まるで大木のように太い木へと叩きつけられ、息が詰まる。

 

 何とか立ち上がるものの、そこに追撃するように、目の前に現れる。

 

「あなたは自分の弱さに受け入れないと、何時までも強くなれないわよ」

 

「私はっ、あの強さに頼るぐらいならば」

 

「役立たずのままでも良いかしら」

 

 そう、マリアの言葉に小猫は言葉を返せなくなる。

 

「私もかつては似たような感じだったから、分からなくはないわ」

 

「似たような感じ」

 

 それに小猫は疑問に首を傾げる。

 

「強くなければならないという妄執に囚われ、弱い自分を殺すつもりで戦っていたわ」

 

「弱い自分を殺す」

 

 小猫の、今の強い力を否定するのとは正反対な考え方だった。

 

「強さも、弱さも。

 

 それはどちらも自分。

 

 本当の強さは自分らしくあることだという事」

 

「自分らしさ」

 

 その単語に、小猫には思い当たる節があった。

 

 自分の存在がいたからだ。

 

 だからこそ、自分はこの居場所を守りたい。

 

「マリアさん」

 

「何?」

 

「暴走した私を止めてくれますか」

 

 それは、一種の賭けだった。

 

 未だに仙術に対する恐怖はあった。

 

 それでも、自分の居場所を失いたくない。

 

 その気持ちに、小猫はマリアに頼む。

 

「えぇ、来なさい」

 

 それに対して、マリアは不敵な笑みで応えてくれた。

 

 それを見て、小猫もまた、覚悟を決める。




「それにしても、ソウゴ」
「なに、マリア?」
「あなたの身体で戦った時に疑問だったけど、あなた生身でもなんであんなに強かったの?」
「えっ、そんなに強かったか?
一応は響達と同じ特訓をこっちでも行っただけなんだけどね」
「・・・一応聞くけど、それって、何かしら」
「特撮を見ながら、食事を鍛錬だけど。
あと、響が最初に強くなろうとした時に一緒に付き合って」
「それは強いわよ」
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