オーマジオウ。
その姿になった瞬間から、その場にいる全員が恐れていた。
味方であるはずの、彼らすら、その姿を見ると、震えが止まらなかった。
何よりも疑問に思えたのは、オーマジオウからまるで気配を感じない。
それは、強者から感じるプレッシャーがまるでない事。
その事に、疑問を感じる。
だが
「オーマジオウになったが。
だが、貴様の歴史程度では、このセンチュリーの力には敵わない!」
そう、アナザーセンチュリーは跳び上がり、赤い粒子のように変わると共に瞬間移動する。
それと共にオーマジオウに向けて、無数の赤い歯車が襲い掛かる。
縦横無尽というべき、その歯車は、オーマジオウに襲い掛かる。
だが、次の瞬間、無数の歯車は全て砕け散る。
「無駄だ」
その言葉と同時に、全ての歯車が粉々になり、消滅する。
そして、オーマジオウの姿も消える。
アナザーセンチュリーの背後に回り込み、蹴り飛ばす。
そのまま、空中で回し蹴りを放つと、アナザーセンチュリーは地面に叩きつけられる。
更に拳を叩きつけようとするが、アナザーセンチュリーはすぐに立ち上がる。
「貴様のような奴に!」
「無駄だと、言ったはずだ」
そう、オーマジオウは冷たく呟く。
その言葉が皮切りだった。
オーマジオウの手には、ジオウの顔が特徴的な剣、サイキョーギレードを持つ。
同時に、オーマジオウの背後には次々と現れたのは、数々の武器。
それは、オーマジオウの持つ歴代の仮面ライダー達が使っていた武器。
それが、宙を浮かんでいた。
そして、オーマジオウの合図と同時に、それらの武器は、真っ直ぐとアナザーセンチュリーに襲い掛かる。
「っ!」
その脅威を感じたアナザーセンチュリーはすぐに瞬間移動で、その攻撃を避けようとした。
だが、アナザーセンチュリーの動きを既に予測していたように、多くの武器は真っ直ぐと襲い掛かる。
剣がアナザーセンチュリーの身体を斬り裂き、銃やビームが身体を貫く。そして、爆発が起きる。
煙の中から、アナザーセンチュリーは転がりながら出てくる。
大きなダメージはあった。
しかし、生きている。
アナザーライダーの特性上、同じライダーの力でなければ倒せない。
だからこその不死性。
しかし、それは今は。
「この程度で死んでは困る。
お前には、彼女が味わった苦しみを幾億倍にして、受けてもらう」
オーマジオウからの地獄から響くような声を聞きながらも、アナザーセンチュリーは立ち上がり、構えを取る。
「ふざけるな! 俺が、こんなところで負けるかよ!」
叫びと共に、アナザーセンチュリーは跳ぶ。
空から降り注ぐ雨粒のように、無数の赤い歯車がオーマジオウを襲う。
だが、その攻撃が届く前に、オーマジオウの周りに浮いていた武器達は、一斉に飛んでいく。まるで意思があるかのように、正確に、一直線に向かって行く。
その攻撃を、アナザーセンチュリーは避ける。
だが、避けた先にも、武器は待ち構えていた。
再び、武器達による攻撃が始まる。
それを避ける。また、避ける。
それは、まさに圧倒的だった。
しかし。
「こんなのあんまりだ」
確かに敵だ。
許されない存在だ。
しかし、それでもここまで惨い事はできない。
「ぶひゃひゃひゃ、いやぁ、こうして見ると、オーマジオウ。
やっぱり、とんでもないなぁ」
「お前は」
その笑い声を聞き、見ると、そこにはリゼヴィムが立っていた。
「どういう事だ」
「なに、オーマジオウへと変身したと聞いたからね。
思わず見に来てしまったんだ。
いやぁ、これであとは楽しむだけだな」
「目的?
まさか、ソウゴをオーマジオウにする事が目的なのか」
そう、リゼヴィムに問いかける。
「そうだよ。
オーマジオウ、それはまさに魔王と呼ぶに相応しい存在。
そんな彼が、時空を越えた神と戦う。
これを見たくて、見たくて、やっていたんだから!!」
「以前から狂っているとは思ったけど、まさかそれが目的だったとは」
「だけど、もう達成された。
あとは、その戦いを見るだけだねぇ」
そう、リゼヴィムは愉快そうに笑う。
この状況下、兵藤達には何もできない。
そう思った時だった。
「大変な事が起きていると聞いたけど、まさかここまでとは」
「えっ」
その声と共に聞こえたのは一人の少女だった。
いや、正確には少女の形をしたロボットだった。
両手は鎌となっているその少女には、見覚えがあった。
「あなたは、切歌ちゃん?」
「えぇ、なんだかやばいと報告を受けたので、ここまで来ました。
それにしても、ソウゴ」
そう、切歌は、今も圧倒的な強さでアナザーセンチュリーを蹂躙するオーマジオウを見つめる。
ロボットで、無機質なはずの目。
だが、それは操作する切歌の感情を表すように、悲痛さが伝わる。
「今頃、来ても遅いと思うけどなぁ」
「ソウゴを舐めないで欲しい。
ソウゴはいつだって、声を聞いてくれる。
それを諦めたら、終わりだから」
その言葉と共に切歌は真っ直ぐと走り出す。
それは、人間が出せる出力ではない。
激しい攻撃が飛び回る戦場の中で、真っ直ぐと向かう。
「切歌ちゃん!」
その攻撃の嵐の中、すぐに兵藤達も向かおうとする。
だが
「きひひっ、そうはさせないよ。
こんな面白いイベントは見逃せないからねぇ」
「なに?」
「恋人が1人、失っただけで、これだ。
もしも、また1人失ったらねぇ」
「お前っ」
「まさにカウントダウンだよ。
12人の恋人はまるで時計のように、1人消えれば、消えるだけ、彼はオーマジオウへと近づく!!」
それはまさにその言葉通りだった。
様々な攻撃の嵐は、切歌に襲い掛かろうとしていた。
それを受ければ、まさに致命傷になるだろう。
そう、味方がいなければ。
『ガアアァァァ!』
「はい?」
ソウゴの元へと向かう道中、切歌を守るように現れたのは怪獣だった。
両腕に鎌を持つ鳥のような怪獣が、切歌へ向かう脅威を守る。
それだけではなかった。
立体的・直線的な意匠が目立つ顔立ちと真っ赤な体色、胸から肩にかけて備わった鎖帷子のようなプロテクターを持つ巨人。
全身が宝石を思わせ、様々な乗り物が一つとなった煌輝の巨神。
その手に、星の力を宿した剣を持つ女性。
それらの、多くの存在が、まるで切歌を守るように、オーマジオウからの攻撃を守っていた。
「はい?
なんだ、あれは」
「リゼヴィム、どうやら、君の計算違いがあるようだね」
それらの光景と共に現れたのはウォズだった。
顔は隠し、正体を見せなようにしていた。
「計算違いだと?」
「我が魔王。
今の彼には歴代の仮面ライダーだけではない。
次元を越えて、結んだ絆によって、様々な存在と一つとなる。
そして、彼らは、彼女達の願いを叶える」
そうしている間にも、オーマジオウに近づくと同時に、その手を握る。
鎌ではなく、人間と同じ手に。
それを握られた事によって、オーマジオウは、切歌の存在に気づく。
「ソウゴ。
そんなの、ソウゴらしくないよ。
ソウゴは私達の笑顔を、そして皆の笑顔の為に戦う。
そうでしょ」
「・・・あぁ、そうだったな」
それと共に、その冷たい声は鳴りを潜める。
それと共にアナザーセンチュリーから離れる。
「ぐっ、これ以上は無理かっ」
アナザーセンチュリーは既に体力の限界だった。
それと共にアナザーセンチュリーはその場から消えた。
それすら、今のオーマジオウには、ソウゴには関係なかった。
オーマジオウは、その手を真っ直ぐと翼に向ける。
『ドライブ』『ビースト』
音が聞こえる。
それと共に翼の近くに現れたのは、ドライブとビーストだった。
「治療を頼む」
『タイヤコウカーン! マッドドクター!』
『ドルフィ!Go!ドッ ドッ ドッ ドルフィ!』
その2人のライダーは、ソウゴの言葉を聞くと共に、翼に向けて、能力を発動する。
それと共に、瀕死の状態であった翼は瞬く間に回復する。
「すげぇ」
その言葉はまさに圧巻だった。
「あぁ、残念。
僕ちんとしては、このままオーマジオウへと活動して欲しかったんだけどな」
「ならば、ここで消えるか」
「いいや、止めておくよ。
楽しみは後でとっておくから」
そう言い、リゼヴィムはそのまま転移魔法を発動させる。
「君がオーマジオウへと覚醒する日を楽しみにしているよぉ」
リゼヴィムは、その言葉を最後に消える。
「・・・ふぅ」
そう、落ち着きを取り戻すと同時に、ソウゴは息を吐く。
それと共に。オーマジオウのベルトは、まるで時を戻すように、ギャラルホルン・ドライバーへと戻る。
同時にオーマジオウの力によって実体化した数々の物も消えていく。
「ソウゴ、今のは」
「まぁ、俺がもしかしたらなっていた魔王の姿。
別になりたくないけど、力は今でもあるみたいだから」
そう、呟いたソウゴの顔はどこか悲しそうだった。
それだけが、兵藤達には強い印象を受けた。