オーマジオウ。
その話題は、既に世界中に知れ渡っていた。
その力がどれ程なのか、見た者の多くは簡単に想像でき、そして全てを把握する事ができなかった。
無限とも言える武器の創造。
見た事のない戦士達を召喚し、使役する。
その力は、悪魔に絶対的な力を見せつけたアナザーセンチュリーの印象が掠れる程だった。
「それで、今更になって、ソウゴをどうにかしろってか。
上の奴らは」
そう、アザゼルは呆れたようにサーゼクスに尋ねる。
「そうだね、今回のライザー・フェニックス達の行方不明と同時期に、この話題だからな。正直に言うと、そんな事をしている場合じゃないと言いたいよ」
サーゼクスは、そのままアザゼルの言葉に賛同するように言う。
「実際、先記ソウゴは確実に善人です。
彼の主な行動は、彼の恋人の幸せ。
そして、望む事を叶える事、そして彼女達も私達が見た限りでも問題ない」
そして、それはミカエルも同じだった。
「今は、彼らを見守るしかない。
そして、今はライザー君達が誘拐された一件を片付ける方が優先だ。
ソウゴ君に関しては、日本神話勢力に任せるしかない」
その言葉に全員が納得したのか、それ以上の追求はなかった。
「すまないが、本当にすみません」
そう、日本神話勢力からの使者である月読に頼るように言う。
「えぇ、分かっています。
この件は、私達に任せて下さい」
そう、月読は頷きながら、その場から立ち去る。
「それにしても、オーマジオウとは一体」
「まさか、その事を知らないとはな」
「っ」
そう、ここから立ち去ろうとした月読の後ろから声がかけられた。
振り返ると、そこに立っていたのは、スウォルツだった。
「あなたは一体」
「俺はスウォルツ。
少し訳があって、ソウゴに手を貸している者だ」
「手を貸しているって、あなたは一体」
月読が困惑気味に聞くと、スウォルツはそのまま答えずに歩き出す。
月読はその背中を追いかけるように、足を動かす。
しかし、すぐにスウォルツが立ち止まり、こちらを振り向く。
まるで付いて来いと言うかのように、手を動かし、また歩き始める。
そして、人気の少ない道へと入り込む。
そこで、ようやく月読は口を開く。
「ソウゴの、あの力を知っているの」
そう、スウォルツが、まるでオーマジオウの力を知っているような口ぶりだった。
だからこそ、月読の言葉に対して、スウォルツは。
「あぁ、そうだな。
確かに知っている。
だが、それは俺よりもお前の方が知っている」
「私が?
どういう意味よ」
そう疑問に思う月読に対し、スウォルツは何も言わずに立ち去って行く。
「待って! 教えなさい!」
その言葉を無視し、スウォルツはそのまま歩いて行った。
だが
「そうだな。
あえて知りたいならば、これを通して、知るが良い」
その言葉と共に、スウォルツが取り出し、月読に投げ渡す。
「これはっ」
それは、ライドウォッチ。
先日の、アナザーセンチュリーが使用していたアイテムであり、多くの混乱を生み出した物だった。
「あなたは、アナザーライダーと関係があるの!」
「あぁ、あったな。
だが、それはお前が想像している物ではない。
何の力もない、空っぽな物だ」
「空っぽ?」
その言葉を聞けば、確かに力はまるで感じない。
「だが、お前が、本当の意味で力を欲した時。
それはお前に取り戻させるだろう。
記憶と力を」
「どういう意味よ」
「なに、何もしなかった兄からのせめての餞別だ」
その言葉を最後にスウォルツは消えた。月読だけが取り残される。
「これは一体」
月読は、自分の手の中にあるライドウォッチを見つめながら呟いた。