「君には今回の件には関わって欲しくない」
そう、俺の目の前で、そんな事を言ったのは、行方不明になっているはずの悪魔であるディハウザー・ベリアルだった。
なぜ、ここにいるのか。
正直言って、現在、俺は冥界にいる悪魔の上層部にいる奴らのせいでほとんど自由がない。
そういうのもあってか、ここで食事をするのも一苦労だ。
「関わって欲しくないねぇ。
それって、あんたの計画の邪魔になるから?」
「確かにそれはある。
だが、俺は自分の計画が成功した暁には、リゼヴィムの計画を必ず阻止する。
その条件で、君には手を出して欲しくない」
「リゼヴィムの計画?」
その言葉に俺は首を傾げる。
「奴は極限までの破滅願望だ。
俺は確かに駒王町で起こったクレーリアの死の真相を知るために調査を行っており、裏でクリフォトに協力していた。
だからこそ、同時にあいつが、何を企んでいるのかも知った」
「企み?」
「君の中にあるオーマジオウという力を覚醒させる事だ」
その言葉にある意味納得はした。
「にしても、オーマジオウねぇ。
そこまで拘る程か?」
「さぁな。
だが、映像だけでも見させて貰った。
正直に言って、例えこの世界の全てが力を合わせてもオーマジオウには勝てないだろう」
「そこまで言うのか?」
「世界を簡単に壊せる程の力だ。
断言はできる」
そう、冷静に、ディハウザーは言う。
「俺は確かにクレーリアの死の真相をする為だったら、なんでもやるつもりだ。
だが、それによって起こる惨劇はなるべく抑えたい」
「まるで爆弾みたいじゃないです。
まぁ、爆弾以上に厄介ですけどね」
それだけ言うと俺は飲み物を飲む。
「正直に言うと、俺自身、オーマジオウの力なんてほとんど知らない。
あれが、本来だったら、俺が歩むはずだった未来の姿だって、教えられただけですから」
「教えられたって、誰に?」
「未来の俺に」
「未来の、つまりはオーマジオウから。
なんというか、理解が追いつかないな」
「俺もですよ。
ただ、俺はあんな力を持っても、意味はない。
俺が欲しかったのは、確かにあるから」
それだけ言い、俺は天井を見る。
「そうか。
君は守れたんだな。
羨ましいよ」
それだけ言いながら、その手を見る。
「俺は、大切な物を守れなかった。
その真相を知る為に、ここまでの事をした」
「そこまで覚悟があったのか」
「そうだな」
それだけ言い、俺は見つめる。
「まぁ、約束は守れるかどうかは分からない。
けど、あんたがやりたい事も理解できた。
まぁ、正直に言うと俺はサーゼクスやレヴィアたんは良いけど、そういう胸糞が悪い奴らを守る義理はない」
「あぁ、あの方々には迷惑はかけない。
私にとっても、恩人だから」
それだけ言うと、俺は立ち上がる。
「だけど、もしも奴から手を出したら、俺も抵抗する。
そして、あなたは決して死なない。
生きて、その罪を償って欲しい」
「君は、残酷で我が儘だね。
まさか、こんな私に生きろって言うのか」
「そうだよ。
なんだって、俺、魔王になったかもしれない男だから」
「それは、納得だな」
それを聞くと、ディハウザーは笑みを浮かべる。
「それじゃ、ごちそうさん。
にしても、話をしている最中に珍しそうだけど、あんまり食べた事ないの?」
「正直に言ってね。
レーティングゲームや様々な事があって、忙しかったし、興味は持てなかった。
けど」
「そうなのか。
ハンバーガーは」
そう、俺達はそのまま手に持ったトレーと共に店に出て行った。
まさか、ハンバーガーを一緒に食べるとは思わなかった。
そんな考えを余所に、俺はとりあえず家に帰る事にした。