ハイスクールG✕S   作:ボルメテウスさん

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Change The Future

 夏休みの多くを冥界で過ごした。

 

 その事に関しては、マリア自身が小猫を鍛える為に行った事なので、俺は特に不満はなかった。

 

 なぜ、そこまで彼女に入れ込むのか気になった俺は、今回行われるパーティが始まる前に問いかけた。

 

「……そうね、私が彼女を鍛えたのは、姉に見捨てられたという事に同情したかもしれないわ」

 

「それは、セレナの事か」

 

 それは、マリアにとってはもう一人の自分と言っても良いぐらいに大事な妹のセレナである。

 

 俺と出会った頃には、既にセレナは亡くなっており、直接本人とは会ったことはない。

 

 それでも、セレナが大切な存在だと言う事はマリアを含めて、切歌や調からの言葉から痛い程に伝わっていた。

 

「そう、私は彼女に少なくともセレナと重ねてしまった。

 

 だからこそ、彼女が少しでも強くなればと。

 

 まぁ、あなたには我が儘を言って、申し訳ないけど」

 

「そんな事ないよ。

 

 向こうでもマリアは頑張っているんだ。

 

 それで、こちらでやりたい事ぐらいは俺も手伝ってやるよ」

 

「本当に、あなたは昔から変わらないわね」

 

 そう言いながら、マリアは不思議と笑みを浮かべていた。

 

「それで、あたしを無視でいちゃいちゃしているのか」

 

 そう、一緒に来ていたクリスがぷいっと俺の隣で不機嫌そうな顔になっていた。

 

 確かに、先ほどまでマリアと話し込んでいたので、クリスの事を疎かにしていた部分もあった。

 

 だからといって、別にクリスを無視したわけではないのだがな。

 

 それにしても、相変わらずこのパーティーでのクリスはドレス姿がよく似合っているな。

 

 そして、今更だがクリスはやはり可愛い。

 

「悪い悪い。ちょっと、マリアとの話が盛り上がってな」

 

 そう言うと、クリスは頬を少し膨らませながらも顔を真っ赤にして俯いた。

 

 どうやら、怒っているのではなく照れ隠しらしい。

 

 それが余計に可愛く見えてしまい、つい頭を撫でてしまう。

 

 すると、クリスの顔が更に赤く染まる。

 

「まっまぁ、お前がパーティをエスコートをしてくれるならば、別に良いけどよ」

 

「あら、私も忘れないで欲しいわね」

 

「ふぇっ!?」

 

 そう言いながらマリアもクリスとは反対の方の腕へ抱き付いた。

 

 こうして、両腕に美少女二人を抱きかかえるという男冥利につきるような光景が出来上がる。

 

 ただ、流石にそろそろ周囲の視線が集まり始めたので離さないとまずいな。

 

 そう思っていた時だった。

 

「んっ?」

 

 マリアが何かに気づいたようで、視線を向ける。

 

 俺達も自然と追うと、そこには小猫がパーティ会場から離れている光景だった。

 

「マリア?」

 

「ごめん、少し気になって」

 

「……行ってみるか」

 

「良いの?」

 

「あんだけ話を聞いていたら、付き合うしかないだろ」

 

 そう俺もクリスが返答すると、マリアは笑みを浮かべる。

 

「ごめんなさいね。

 

 とにかく、行ってみましょう」

 

 そう言いながら、俺達はそのまま向かった。

 

 その先には、既にリアスさんと一誠も来ていた。

 

 それと同時に、何やら会話を行っており、その視線の先には、孫悟空を思わせる格好をしている人物と黒い猫耳が特徴的な着物の女性がいた。

 

 その特徴には、俺にも覚えがあった。

 

「なるほど、あれが小猫の姉の黒歌ね」

 

「話すか?」

 

「えぇ、お願いできるかしら」

 

 そう言いながら、俺はそのままマリアに身体を貸すと共に、そのまま彼らの所に辿り着く。

 

「悪いけど、その子の意志に反する行為をさせるつもりはないわ」

 

「マリア師匠」

 

 そう、俺の身体を借りたマリアはそのまま小猫の前に出た。

 

「あんたは確か、ギャラルホルンの人格の一人だっけ? 

 

 なんで、こうして実体化しているのかしらにゃ?」

 

「そうね、私の彼氏がお願いを聞いてくれたからよ。

 

 それにしても、話に聞いていたけど」

 

 そう言いながら、マリアは黒歌を見つめる。

 

「妹を今更返して貰おうなんて考えてはいないわ。

 

 だけど、それは彼女にとって幸せではないでしょう」

 

「どういう意味なのかしらにゃん」

 

 睨むように見てくる黒猫に対し、マリアは真っ直ぐに見返す。

 

「さぁね。

 

 けど、この子はもうあなたに守られる程弱くないわ。

 

 何よりも、この子の居場所はこの子が決める。

 

 今のあなたに決める権利はないわ」

 

「そっ、だったら無理矢理連れて行くわ」

 

「させないわよ。

 

 ソウゴ!」

 

 その言葉と共に、俺は身体の所有権が戻ると共に構える。

 

『Seilien coffin airget-lamh tron』

 

 ギャラルホルンから鳴り響く音楽と共に、俺はアガートアームを身に纏い、そのまま短剣を手に、黒歌に近づく。

 

 その短剣を見ると共に黒歌は、手から次々と魔力弾を放ってくる。

 

 それを避けつつ接近すると同時に、俺も同時に短剣を蛇腹剣へと変化させ振るう。

 

 しかし、それをかわしつつ黒歌も拳を振るってくる。

 

 それに対し、こちらも避けては斬撃を叩き込む事を繰り返す。

 

 お互いの戦闘技術はほぼ互角だが、こちらは一撃でも当たれば致命傷になる。

 

 そのため、中々攻撃を当てる事はできずにいる。

 

『身体が思った以上にっ』

 

 だが、それは俺自身、なぜか身体が何時ものように動けないからだ。

 

 同時に咳と共に歌が止まってしまい、同時に襲い掛かる攻撃に後ろに下がる。

 

「あらまぁ、もしかして、あんたの弱点って、歌を止められる事かにゃ?」

 

「という事は何か仕掛けたのか」

 

 そう言いながら、俺は問いかける。

 

「これ人間、悪魔、妖怪に対してしか効かない毒を霧のようにやっていたけど。

 

 まさか、こんな弱点があったなんてねぇ」

 

 そう、俺が戦う時、マリア達を始めとしたシンフォギア装者達の力を借りる際、歌を歌いながら戦うのは基本である。

 

 それはシンフォギアの力を十全に発揮するのと共に、彼女達との力を互いに高める事で戦闘力を上げる。

 

 つまり、俺が戦う時には常時ユニゾンを行う事で戦闘力を上げている。

 

 だが、同時にこれを止められたら、それは弱体化は免れない。

 

 そんな風に思っていると、黒歌は高笑いをする。

 

「あーっはっはっ! まさか、こんな弱点があるとは思わなかったにゃ」

 

 そして、余裕の顔を見せる。

 

「このままっ」

 

 そう、マリアと共に立ち上がろうとした。

 

 けど、毒が、思った以上に強くて俺の身体を思うように動かせない。

 

 どうしたら。

 

「マリア師匠」

 

「小猫」

 

 そう悩んでいる時だった。

 

 俺の横に、本来だったらマリアの姿が見えないはずの小猫は近づく。

 

「私、マリア師匠と出会えて、本当に良かった。

 

 弱い自分も、力に恐れる自分を知れた。

 

 だからこそ、私は、マリア師匠からもっと色々な事を教わりたい」

 

 同時に、その言葉と共に小猫は俺の身体に触れる。

 

「今の私は、毒を完全に中和できません。

 

 けど、一瞬ならば」

 

「一瞬? 

 

 そんなので、どうやって「いいや、十分だ」なに?」

 

「行くぜ、マリア! クリス!」

 

「えぇ!」「こっちは準備はとっくにできているんだよ!」

 

 マリアとクリス。

 

 二人の声が重なると同時に俺はそのまま二つのギアペンダントを握り絞める。

 

『Killter Ichaival tron/Seilien coffin airget-lamh tron』

 

 鳴り響く歌と共に、俺の姿が大きく変わる。

 

 マリアのシンフォギアであるアガートラームの特長である左腕の籠手が大きく変化する。

 

 同時に右腕はクリスのイチイバルを思わせる銃口が集中するように変化し、腰からは翼のようなアーマーが展開されていく。

 

「えっ、えぇ!? 

 

 二つの姿が一つに!?」

 

「ほらっミサイルパーティだ!!」

 

 同時に腰にある翼から無数のミサイルを空中へと飛ばす。

 

 それと共に、爆風で毒霧を無理矢理吹き飛ばしてやった。

 

「なっ、とんでもない奴だにゃ」

 

 そう言いながら、さらに翼の方向を変え、そのままミサイルを発射させず爆発させる。

 

 それと共に、ミサイルの爆風を利用し、黒歌に無理矢理接近する。

 

「っ!」

 

 そのまま短剣を黒歌に突き出す。

 

 だが、それは簡単に避けられてしまうが、もう片手に持つ銃の引き金を引く。

 

「なっ、ちょっ!」

 

 その攻撃に黒歌は驚き、目を見開きながら大きく飛び上がる。

 

 避けれたか、流石だな。

 

 しかし、それと同時に銃を巨大な弓へと変え、もう片方の手でアガートアームの剣を矢の代わりにして、構える。

 

 そして、弦を引き絞り放つ。

 

 放たれた一閃の光が一直線に飛ぶ。

 

 狙いは無論黒歌。

 

 けれど、それを察知したのか、すぐに回避行動へと移った。

 

 仙術で生み出した無数の分身で撹乱しながら、光から逃れるために飛び回り始める。

 

「へぇ、こんなので」

 

 そう、矢を避けていた後。

 

 2人のアームドギアを合体させて戦闘機のような形状のアーマーに変形させる。

 

「いやいや、本当に、それって、なんなのよ!」

 

 そう、黒歌が叫ぶと同時に高速移動している彼女の動きに合わせて、まるで追尾するように移動する。

 

 俺は、そのまま、その攻撃を直前まで止める。

 

「なんでっ、ここで攻撃を止めるにゃっ」

 

「あんたが小猫の姉だからな。

 

 何よりも、あんたの本心が知りたいだけだ」

 

 その言葉に黒歌は一瞬だけ止まるとこちらを睨みつけてくる。

 

 けど、それもほんの数秒だった。

 

 彼女は小さく笑う。

 

「別に、私はいつも本心でやっているだけにゃ。

 

 けど、今のままでたらめのお前と戦っても勝ち目はなさそうにゃ」

 

 そう言い、後ろへと下がる。

 

 それに合わせるようにして黒歌はそのまま姿を消した。

 

「ふぅ」

 

 やがて、俺は変身を解除する。

 

「おいおい、大丈夫か?」

 

「なんとか」

 

 そう、俺は荒い息をしながら答える。

 

 そうしていると、小猫が近づいていた。

 

 同時に俺はそのままマリアに身体を譲る。

 

「マリアさん、そのソウゴさんは」

 

「この程度では倒れない鍛え方をしているから、安心して」

 

 そうマリアは言うが、実際問題としてかなり疲労困憊である。

 

「けど、私のせいで」

 

「あなたのせいではないわ。

 

 それにこれは私たちの問題でもあるしね」

 

 そう言ってマリアは俺の方を見る。

 

 あぁ、そうだな。

 

 まぁ、少しばかり無茶をしたとは思うが、仕方がない。

 

「それに、あなたにはこれから大きな舞台があるでしょ」

 

「それは」

 

「ふふっ、期待しているわ。

 

 レーティングゲームでの戦いを」

 

 そう、笑みを浮かべて告げてきた。

 

 そんな俺たちの元に近寄ってくる人物、リアスだ。

 

 彼女は申し訳なさそうな表情をする。

 

「ごめんなさい。

 

 私の力不足で」

 

 そう謝罪の言葉を告げる彼女にマリアは首を振る。

 

「謝らなくていい。

 

 それに、彼女はこれからが楽しみだから」

 

 マリアはそう告げる。確かに彼女の存在は大きいだろう。

 

 だが、それよりも大切なことがあるはずだ。

 

 それを見失うつもりはない。

 

 さっきも言った通り、今は前に進むしかないんだから。

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