ソウゴは今回の一件に関わる事ができない。
それを知りながら、私以外のメンバーは困惑しながら、そのまま尋ねる。
「えっと、その月読さん。
それは、やっぱり前回の」
「えぇ、それもあるわ」
そう尋ねてきた赤龍帝こと、兵藤君の言葉に返答する。
オーマジオウの力に対して、多くの悪魔が恐れている。
それを防ぐ為にも、彼には出てきて欲しくないというのが意見だろう。
「だけど、だからと言って、今じゃなくても」
「それだけじゃないわ。
彼自身、今回の戦いには参加する気はないと言っていたわ」
「えっ、本当ですか」
それは、この場にいる全員がより驚きを隠せない様子だった。
「何か取引があったの?」
「えぇ、特に隠すつもりはなかった様子で話してくれたわ。
今回の一件の首謀者だと思われるディハウザー・ベリアルと交渉した結果よ」
「ディハウザーさんと」
「それは一体」
「今回の一件、彼が王の駒に関する告発を邪魔しない事。
それを防がなかったら、彼が全力でリゼヴィムがやろうとしている事を防ぐと」
「あの人が」
「まぁ、可能性としてはあるな。
だが、それが嘘だという可能性もあるだろ」
「えぇ、私もそう言ったわ。
けど、ソウゴはあくまでもそれを信じたわ」
それに対して、他の面々はどのような反応をしたら良いのか分からない。
それでも、現状、もしもこの情報が合っていれば、少なくともディハウザーと戦う可能性はなくなる。
それだけでも大きな収穫かもしれない。
「・・・」
「何か悩んでいるようだな」
そう、私がとある事を考えていると、アザゼルが察したように声をかけてくる。
「えぇ、悩んでいるというよりも、謎が多いわね」
その言葉に応えるように、私が取り出したのは、ライドウォッチだった。
「おいおい、これって、アナザーライダーが使っていたウォッチじゃないか」
「えぇ、確かにそれよ。
けど、これには何も力もない」
「何も力はないね。
悪いが、少し借りるぞ」
「えぇ」
私は特に拒否するつもりもなく、そのまま渡す。
同時にアザゼルは、そのライドウォッチを詳しく見る。
「それって、月読さん、どこで」
「会合の後、スウォルツと名乗る男から貰ったわ。
けど、そいつが言っていた事はよく分からないけど」
何を思い出せと言うのか。
心底疑問に思う。
そうしている間にも、アザゼルは解析が終わったように、こちらに渡す。
「分かる限りでは、これはとんでもない代物だと分かる。
同時に、何もない事もな」
「とんでもないのに、何もない?」
「あぁ、こいつ自体はとんでもない力を持っていない。
だけど、これに力を入れる事はできる。
それも、ほとんど無制限だ」
「むっ無制限ですか」
「あぁ、このライドウォッチだっけ?
これ一つで、おそらくは簡単に神器、それも神滅具レベルのを簡単に作る事ができるぐらいの器がある。
道理で、アナザーライダーなんていう化け物を作れる訳だぜ」
「けど、それには何も入っていない以上は、安全?という事ですか?」
「それは分からないよ。
まぁ、今後次第だけどな」
いまいち不安がある言い方だけど、とりあえず持っていて損はないでしょう。
「何よりも、思い出すって、何をよ」
「えっ?」
「ごめんなさい、ただの独り言よ」
そう言いながら、私はライドウォッチを見つめる。
今も、私はあの人の娘。
それは誇りだ。
けど、どうしても何かの記憶がよぎる。
自分ではない、けれど自分の記憶。
そんな、どう言えば良いのか分からない記憶が多くあった。
それの答えが、このライドウォッチにあるかもしれない。
だが、そんな私の迷いとは裏腹に兵藤家が強襲されたという恐るべき知らせが聞いた。