ツクヨミは、仮面ライダーフローへと姿を変わると共に、ゆっくりと歩き出す。
「ここは、私がやるわ」
その言葉に意味を理解するよりも前に、他の仲間達は頷くと同時に走り出す。
そんなフローに対して、アナザーゼロワンは、その背中にある飛蝗を思わせる羽を動かす。
目に捕らえきれない程の羽ばたきと共に、アナザーゼロワンはフローに向けて殴りかかる。
「っ!」
だが、その攻撃が当たる前に、フローも既に次の動きを行っていた。
その両腕に、フロー自身の身体から飛び出るように現れる光。
それは不確かな粒子から、一瞬で刃へと変わる。
まるで蟷螂の鎌を思わせるように、フローの両腕から生える。
その刃は、襲い掛かるアナザーゼロワンの攻撃を防ぐ。
火花を散らしながら、防いだ一撃。
アナザーゼロワンは驚きながらも、すぐに蹴りを真っ直ぐとフローに向けて放つ。
しかし、その攻撃が届くよりも先に、フローはその刃で振るう。
「ふッ!!」
短く息を吐いた瞬間、振り払った刃はアナザーゼロワンの右足を切り飛ばす。
そして、そのまま勢いに任せて、もう片方の左足も切断する。
「ギィアァァァ!!!?」
悲鳴を上げるアナザーゼロワンに対し、フローはすぐに距離を取る。
その隙を逃すまいと、すぐさま立ち上がるアナザーゼロワンだったが、その時には既に遅い。
フローは、その刃を振るった。
振られた刃からは、凄まじい衝撃波が生まれる。
それは一直線に放たれた斬撃となり、アナザーゼロワンに向かっていく。
「ガ……ッ!!!?」
それを避ける事も出来ず、まともに喰らってしまったアナザーゼロワンは吹き飛ばされる。
壁に激突し、地面に落ちる。
「ふぅ、まだ、終わっていないようね」
その言葉と共にフローが見つめた先には確かにボロボロになっているアナザーゼロワンだ。
だが、その身体は瞬時に再生されていき、元の姿に戻ってしまう。
「やっぱり、簡単にはいかないか……」
そう言いながら、フローは油断せずに構え直す。
「残念だったなぁ、私に勝てる訳はない。
お前がどんなに強くても関係ない」
その叫び声と共に、アナザーゼロワンは拳を構える。
それを見てもフローは動じなかった。
「えぇ、知っているわ。
アナザーライダーは不死身だと言う事を」
その言葉と共に、ゆっくりと手を翳す。
アナザーゼロワンはそれがどういう意味なのか分からなかった。
そうしている間にも、真っ直ぐとアナザーゼロワンは真っ直ぐと向かって行く。
だが、その攻撃は当たらなかった。
いや、そもそもアナザーゼロワンは空中で止まった。
まるでフィギュアになったように。
だが、それはアナザーゼロワンだけではない。
周りの空間が、時間が停止していたのだ。
フローの、ツクヨミ自身の本来の力。
その力は、アナザーゼロワンよりも強かった。
僅かにアナザーゼロワンは、多少、それに体勢はあった。
だが、行えるのは、フローが何が行うのができるのか、見る事ができる程度。
そして、フローの周りには無数の光の刃を生成する。
そのまま、その光の刃を、アナザーゼロワンの周囲に投げ、回避不能の状態を作り出した。
それを行った後、フローは時間を戻す。
時間は動き出し、同時に投げられた刃も元に戻る。
それと同時に、全ての刃が一斉に襲った。
「ぐあああ!」
そんな悲鳴を上げると同時に、全身に傷を負う。
更には、背中から生えていた翼は消え去り、変身が解ける。
「馬鹿な、まさか、タイムジャッカーの力すらっ」
「あなたには聞きたい事があるから」
「ぐっ、だとしてもっ!」
そう、話している間に、フローは違和感を感じる。
「これはっ、まさかっ」
「どうやら、リゼヴィムは無事に死んだようね」
それをまるで分かっていたように、呟く。
「どういう事」
「トライヘキサの復活。
それが、この地での、リゼヴィムの目的よ」
「っ!」
その言葉を聞いて、フローは固まってしまった。
「そんな事をしたらっ、どうなるのか分かっている!」
「あぁ、そうだな。
だが、トライヘキサの強さ。
最強の魔獣に相違ない力を持ち、完全に滅ぼすことのできる存在はオーフィスかグレートレッドのみとされている」
「っ」
「そして、奴を倒す事ができるのは、オーマジオウしかいないという事!!」
「それがっ貴方達の目的っ」
普通では決して倒す事ができない。
それこそ。
「そして、今度こそ、オーマジオウの力を完全に我らの手に」
それと共に、目の前にいたフィーニスはその姿を消した。
「転移っ、何時の間に」
その仕掛けに気づいた時には、既に遅かった。
しかし、それに気にしている場合ではない。
トライヘキサが起こすだろう災厄。
それが、これから襲い掛かるのだから。