魔法少女リリカルなのは 破滅の拳   作:プロトタイプ・ゼロ

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プロローグ

 

 

 

 

 時は古代ベルカ時代。

 

 聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトがゆりかごを起動し戦争の終わりを迎えてから数年、一人の青年が拳から血を流しながら戦場で一人佇んでいた。

 

 その瞳には未来を思う希望の光がなく、ただただ目の前に広がる機械の残骸を見つめている。残骸にはまるで強い力で殴られたかのような跡があり、真っ赤な血がこびりついている。

 

「アル!」

 

 そんな青年に一つの声がかかる。青年がゆっくりと振り返る。

 

「……覇王クラウス」

 

「もうやめるんだ! 一人で戦おうとするな! 君が傷ついたら……なんのためにオリヴィエは!」

 

「……それ以上は、たとえ親友でも口にするのは許さない」

 

 青年の瞳に殺意が浮かぶ。それにクラウス・G・S・イングヴァルトは困惑する。

 

「オレは何もできなかった……もう一人の親友を救えなかった……だから、アイツが死ぬのをただ見ているだけでしかなかった。もう、弱いままでいるのは嫌なんだ」

 

 血がにじみ出るほど拳を握り締める。

 

「オレを止めるつもりなら、殺しに来い! もう、オレは止まらん! オレは、自分を止められない!」

 

「なら僕は……君を止める! 親友を止める! 絶対に死なせるもんか!」

 

「こい……クラウス!」

 

 青年とクラウスは同時に駆け出すと力いっぱい拳を振るう。その拳が激突し――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「んじゃあ、特に注意事項もねぇから気をつけて帰れよ」

 

 言葉遣いが適当な教師の言葉とともに委員長が号令をかける。オレもそれに習って立ち上がり頭を下げる。

 

「よっし! 遊びに行こうぜ!」

 

「いいねぇ! どこ行く行く??」

 

「今日さぁ、あの有名なケーキ食べに行かない?」

 

「いいねぇ!」

 

「カラオケ行こうぜ!」

 

「いいねぇ!」

 

「ボウリング行く?」

 

「えぇ〜昨日も行ったんじゃんwww」

 

「いいねぇ!」

 

「お前いいねぇしか言ってねぇじゃんwww」

 

 

 St.ヒルデ魔法学院。その中等部に所属するオレ――アルレイド・ティファールは放課後の楽しみを意見し合う生徒をちらっと見て廊下を出る。

 

 St.ヒルデ魔法学院という名前からわかる通り、この学院は魔法について学ぶ場所だ。まぁ、主に魔法というのはどんなものかを知り、実際に体験し絆を深める、そう言ったほうがいいかな。

 

 普段はおとなしい生徒達も放課後となればかなり騒がしい。

 

 そんなことより、早くこの場から離れよう。面倒なやつに見つか……

 

「あっ! アル見っけ!」

 

 る前に逃げたかったなぁ。

 

「もう! 酷いよぉアルは〜。せ〜っかく未来の嫁である天才美少女ヴィヴィオちゃんが迎えに来てあげてるのになぁ?」

 

「……自分で天才美少女って言ってる時点でマイナス点だけどな」

 

「きゃ! もう〜天才美少女って……ふひひ」

 

「もうやだこの子怖い」

 

 校門を出た俺の隣に居座って勝手に腕を絡ませてくる少女――高町ヴィヴィオと出会ったのは、J.s事件からある程度時間が経った日だった。

 

 ジェイル・スカリエッティが起こした事件が終わり、平和な毎日に戻った。そう感じている人は多い。

 

 裏の世界では今でも闇組織がわんさか存在し、犯罪に巻き込まれる一般人は少なくない。

 

 まぁ、そんなこととは関係ないが……オレとヴィヴィオが出会ったのがとある公園だった。平和な世界に退屈していたオレは、ただただ散歩をしていたら公園の中で一人ぽつんとブランコに座っている金髪の少女と出会った。

 

「……なにしてるんだ?」

 

 オレの問いかけに少女は顔をあげると驚いた表情を見せる。

 

「……ア、ル……?」

 

 その表情からはまるで生きている死人を見るかのようだった。それから色々話をした。

 

 それから少女――高町ヴィヴィオの生い立ちやオリヴィエ(前世)のこと。そしてジェイル・スカリエッティが起こした事件で一度高町なのはと対立した事も。正直なんで初対面のオレにそうスラスラと多分聞かせたらだめな部分まで語るのか不思議だったが気にしないことにした。

 

「ねぇ、やっぱり気持ち悪いのかな……?」

 

「……?」

 

「クローンの私は……人間じゃ、ないのかなぁ……?」

 

 うるうると瞼から溢れた涙が零れ落ちる。

 

 オレは優しくヴィヴィオの頭を撫でる。

 

「んなわけねーだろ。クローンっていうのは限りなく本人に近づけているだけで全くの別人だ。お前はオリヴィエじゃなくてただのヴィヴィオだろう?」

 

「うん……」

 

「お前の言うオリヴィエにはなのはやフェイトはいたのか?」

 

「いないよ……」

 

「そう、いない。でも、お前にはいる。オリヴィエにはオリヴィエの友人や家族がいて、ヴィヴィオにはヴィヴィオだけの友人や家族がいる」

 

 いつからかヴィヴィオの涙は引っ込んでいた。オレはヴィヴィオの頭をポンポンと優しく叩く。

 

「ところで話は変わるが……お前、なんでオレの名前知ってたんだ?」

 

「えぇ……? だって、あなたはアルだから……?」

 

 うん、全く意味がわからん。つまり、どういうこと?

 

「アルはね、(オリヴィエ)の親友なの。(オリヴィエ)だけじゃなくてクラウスの親友でもあるの」

 

「えぇ、と……つまり、オレの前世なのかな?」

 

「わからない……だけど、凄く似てる。(オリヴィエ)の知るアルそのものだよ」

 

 なんか凄く複雑なんですが……。当時はそう感じた。

 

 それからというものの、時々ヴィヴィオと話したり遊んだりしている。そんなことを続けていたせいか、いつの間にかヴィヴィオに懐かれた。

 

 ヴィヴィオ経由でコロナとリオと出会い、なのはやフェイトにヴィヴィオが意味不明な紹介をしたせいで追いかけ回されたり、なぜか初対面の犬耳青年に噛みつかれそうになったり、昔戦ったナンバーズに殺されかけたりはしたな……ちょっと待って? オレ後半からほとんど死にかけてない?

 

「大丈夫? おっ○い揉む?」

 

「あぁ、大丈夫だよ。そして、やめろ、そんなことしたら社会的にも物理的にもオレ殺されるから」

 

「アルのことは私が守るから安心して!」

 

「お前のせいで何回か死にかけたんだけどなぁ……」

 

 どうしてこんなにも懐かれたんだろう……?

 

「あっ! お兄さんだ〜やっほー!」

 

「こんにちは、お兄さん!」

 

「あぁ、うん。こんにちは……ところでそろそろお兄さんって呼ぶのやめない?」

 

「「嫌です☆」」

 

 クソガキ共が。なんでだっけなぁ……年齢もそこまで離れているわけではないのに、なんでかこの二人から「お兄さん」と呼ばれるようになった。

 

 コロナは恥ずかしそうにオレのあいてる手を握るし、リオはすぐにオレに肩車をさせる。うん、ちょっと意味がわからない。

 

「えへへ〜お兄さんと手を繋いでます♪」

 

「なにをぉ! 私だって肩車だぞ!」

 

「こっちは腕組んでるもん!」

 

(鬱陶しいっ!!)

 

 周りの目線を気にすることなくギャーギャー騒ぐこの三人娘に青筋がピキピキとなるが、オレは必死に我慢する。

 

「お兄さん、今日は来れるー? ノーヴェが偶には来いって!」

 

「あー、ちょっと無理かなぁ」

 

 ヴィヴィオの言うノーヴェという人物は、ジェイル・スカリエッティが造り出した9番目の戦闘機人である。見た感じはスバル・ナカジマに似ているのだが、その口調や性格は全然似てない。

 

 少し前、ノーヴェがヴィヴィオにストライクアーツを教えるようになるまではオレがヴィヴィオに武術を教えてたんだが、ヴィヴィオがノーヴェの方で楽しそうに鍛錬するようになってからは全く教えてない。というか、もうオレが教えれるほどヴィヴィオは弱くない。

 

 あのときはヴィヴィオの「なのはママやフェイトママを守れるぐらいに強くなりたい!」という思いに、一時的に教えてたというのもあるが……まぁ、オレは親父に教えてもらった武術をそのままヴィヴィオに教えてただけなんだがなぁ……。

 

「えぇー! それ前も言ってたよー?」

 

「こっちもこっちでやることが多いんだよ」

 

「やることって?」

 

「教えてたやんねー」

 

「酷ーい!」

 

 いや、本当にやることはあるんだよ。最近色んなところでバイトしてるから、もうそろそろオレだけの相棒を買うときが来るんだからな。

 

 実はオレ、この歳になるまでデバイスを触ったことがないんだよなぁ。いや、訓練用とかは触ったことあるけど、オレが触れた瞬間爆発するから使えねーんだよ。

 

 ふふふ、たくさんバイトしたからお金なら大量だ! 何故かみんな、オレに力仕事をさせてくれないけどな……。力仕事がメインなのに、力仕事をさせてもらえないとはこれいかに? 使い方これであってる、よな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜高町ヴィヴィオ〜〜

 

 

 アルレイド・ティファール。私の初恋の相手であり、かつてオリヴィエが愛した男の名前。

 

 私はもうオリヴィエじゃないけど、オリヴィエの意志を継いでる。だから、アルと恋仲になっても大丈夫なのに……アルは私に対して一歩引いたような態度。

 

 私やコロナが何度もノーヴェの訓練に誘ってるのに最初の一回以降来てくれない。本人は用事があるからと言ってるし、私もアルが欲しい物のためにバイトをしているのも知ってる。

 

 だから無理には誘えない。アルは昔から……古代ベルカ時代から適合できるデバイスが少なかった。今でこそ、魔力さえあれば誰でも簡単に使えるはずのデバイスが起動しないこともある。時には一瞬だけ起動して爆発するとかも。

 

 アルはアルレイドの生まれ変わりだからデバイスと適合できないのかもしれない。元々アルレイドは努力と鍛錬と筋肉だけで(オリヴィエ)やクラウスと互角に渡り合う実力を持っていた。

 

 相手の放った砲撃を拳一つで殴り返すことなんて普通だった……いや、普通じゃないよねそれ?

 

 アルレイドはただの一般人だった。偶然オリヴィエとクラウスが盗賊に襲われているときに出会い、クラウスと協力して盗賊を倒したのがきっかけで仲良くなった。

 

 あのときアルレイドに助けられたから(オリヴィエ)はアルレイドに恋をした。誰よりもアルレイドといる時間は長かった。だから、アルレイドもそのうち(オリヴィエ)に対して恋心を抱くようになっていたし、アルレイドから告白されて恋仲にもなった。

 

 だけど、(オリヴィエ)は戦争を早く終わらせるために、聖王のゆりかごに乗ってしまった。その後の記憶はないから分からなかったけど、歴史書や教科書ではアルレイドは悪鬼王と呼ばれるようになったらしい。その原因は(オリヴィエ)……。

 

 話は変わるけどアルレイドは、戦闘時自分から攻めることが少ない。だいたいは相手の攻撃を受け流し強力なカウンターをする。それは今のアルレイドにも受け継がれている。

 

 一度だけノーヴェの訓練に参加したとき、アルはノーヴェと模擬戦をしていたんだけど、やっぱり自分から攻めずノーヴェの攻撃を受け流しながらカウンターを決めていた。

 

 その時からかな……コロナやリオの、アルを見る顔が乙女になったのは。最初こそ3人で喧嘩した。アルを取り合うように殴り合った。コロナのゴーレムのパンチはかなり痛かったのは今ではいい思い出かもしれない。

 

「? ヴィヴィオ、どうしたの?」

 

 コロナの方を見ながら思い出してしまったためか、不思議そうな顔をされてしまった。

 

「ううん。なんでもないよ!」

 

 今では親友と呼べるほど大の仲良し。

 

「早く行こうよ!」

 

「うん、そうだね! ノーヴェが待ちくたびれちゃうし」

 

 私達はいつものように笑い合い、ノーヴェのもとまで走る。今思えば、あのときアルを捕まえておけばよかったのかもしれなかった。

 

 なぜなら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルが突然行方不明になったのだから。

ヒロインは?

  • ヴィヴィオ
  • コロナ
  • リオ
  • アインハルト
  • 高町なのは(過去)
  • フェイト・テスタロッサ(過去)
  • 八神はやて(過去)
  • ユーリ・エーベルヴァイン
  • ロード・ディアーチェ
  • シュテル・ザ・デストラクター
  • レヴィ・ザ・スラッシャー
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