光速の走り屋オオサキショウコ   作:まとら魔術

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ACT.14 FFとFR

 これは熊久保が戸沢とのバトルについてオオサキに話す前の出来事だ。

 

 4月10日の金曜日の朝。

 葛西家では家族全員が朝の食事を取っていた。

 

 何か話している。

 

「明日……オオサキがWHITE.U.F.Oの戸沢と勝負するつもりらしい……」

 

 長女、葛西サクラは母親と妹2人にそれを伝える。

 

「こないだはNo,2の柳田をやっつけたけど、今度はリーダーの戸沢ね……あの子ってうちの娘を倒しただけでなく、WHITE.U.F.Oのトップ2を一気に倒すつもりなのね」

 

 長女から聞いた情報について、母のウメは頬杖を立てながら口を開く。

 

「戸沢と言えばヘッドライトを消す走りが特徴な走り屋だよな」

 

 次女のヒマワリが口を開いた。

 

「昨日、戸沢に挑んだ大崎翔子の仲間と名乗るC33乗りが負けたようだね。ボクの覚醒技・ジーニアス橙流の能力によると、彼女の能力はコーナーを抜けるたびにハンドリング性能が上がると言われている強力な能力だけど、こんな走り屋を倒すとは戸沢はやるね……」

 

 モミジも姉のサクラ同様の覚醒技超人であり、彼女は他者の技、能力が分かる。

 そのため、熊久保の覚醒技を知っている。

 

「戸沢とのバトルでは柳田とは逆でダウンヒルで行われるらしい……」

 

「戸沢は榛名最速と言われているからな。これまで戦った相手より強いかもしれないィよ。ダウンヒルではFFのほうが速い、駆動方式のことは高校中退するほど頭の悪いオレでも分かるからな」

 

「今回のバトルではオオサキのほうがパワーがあるから先行を取る可能性はあるけど、不利かもね。戸沢は後攻の時にしか“あれ”を使わないよ。彼女が後攻を取った場合……どうなるか分からない。彼は策士だからな……」

 

 けど、それに戸沢は対策を立てるだろう……。

 

「次のこんなことを話そう。サクラ姉ちゃんとWHITE.U.F.O柳田とのバトルに共通点がある。それはなに? 頭の悪いヒマワリ、答えて」

 

「なに? それは6気筒FRという共通点だな?」

 

「それではなく、その共通点とは……オオサキが覚醒技の能力を使っていないことだ。オオサキはそれに頼らずサクラ姉ちゃんのJZA80と柳田のZ33を倒したんだ。けど、今回のバトルではボクには予感がするんだ。戸沢との勝負でついに使うと……」

 

 確かにそうだ。

 しかし、モミジにはそんな予感がした。

 

 オオサキの能力とはどんなものだろうか……。

 

「――さすがモミジだ……」

 

「ィやっぱモミジの頭のィ良さ、イィーネッ! モミジは16歳の時に飛び級で大学を卒業したからな! オレのほうは高校をわずか1学期で中退したけど」

 

 次はサクラのオオサキへのリベンジについての話だ。

 

「今度、サクラはオオサキにリベンジしたいと言ったようね」

 

「そうだな……オオサキが戸沢の件を終えたら――リベンジを開始する……その前に妹とオオサキをバトルさせてやりたい……妹のオレ並みの腕を持たせてやるからな――」

 

「まずはボクがやるよ。スーパーチャージャー(※搭載機の1つ。コンプレッサーを回転させて空気にシリンダーを送って圧縮させ、低回転・中回転のトルク性能に優れる)搭載の310馬力のアルテッツァと頭脳を使った駆け引きでオオサキに勝ってやるよ」

 

「モミジの次はオレが行くぜ! オレのSW20はツインスクロールターボ(タービンハウジングへの流路が2つに分かれたターボのこと。低回転域のトルクと高回転域のパワーを両立させやすく、ターボラグを軽減できてレスポンスが良くなる)化されてる350馬力の3S-GTEとミッドシップレイアウトから来る加速力、そしてセナ足から来るコーナリングとオレの覚醒技・相模虎龍流(さがみタイガーアンドドラゴン流)であいつからサクラ姉ちゃんの仇を取ってやるぜッ!」

 

 2人の妹も敵討ちにやる気満々だ。

 

「リベンジが楽しみだ……大崎翔子……」

 

 サクラはそう誓った。

 その後、食べていた朝ごはんを完食する。

 

 サクラたち3姉妹は立ち上がる。

 

「母さん……オレはヒマワリとモミジと一緒に赤城山へ行く――」

 

「赤城山に行くの?」

 

「斎藤智のR35とオオサキのワンエイティは朝……赤城山を走っている……それが理由だ――」

 

 彼女たちが理由って、何の目的があるのだろうか?

 

「――じゃあ行ってくる……」

 

「オレも行ってくるぜ、母ちゃん」

 

「ボクも行くよ、母さん」

 

 3人の娘は家を出る。

 それぞれの愛車に乗って赤城山へ向かった。

 

 

 

 午前6時15分の赤城山。

 

 現在おれのワンエイティが先行して、智姉さんとR35が後を追う。

 

 ヒルクライムを走っており、現在最後の直線だ。

 いつものように抜かれそうな状態になっている。

 

「速い!追い抜かれる!」

 

 最後の直線で智姉さんのR35はおれのワンエイティを追い抜く。

 そこが終わればコースは終わりだ。

 2台は駐車場に入って、停車して2人が降りる。

 

 休憩が始まると2人は会話をする。

 

「今度のバトルではFF車が相手だ。駆動方式の話をしようか」

 

「はい」

 

 

 

 クイズはFFについて始まる。。

 

「クイズだ。FFといえばエンジンを前に置き前輪を駆動する駆動方式だが、その特徴と言えば?」

 

「それは室内を広くすることができて、走行安定性が高い、コーナリング性能が高くて車重が軽いからです。また、前輪にトラクションが掛かるので下りでは速いです。デメリットはフロントヘビーとアンダーステアがでやすく、大きいエンジンが積めにくいことです。さらには前輪が役割をすべて行っているため、車に来る負担がとても大きいです。パワーを上げすぎると扱いづらくなりますからね。ちなみにFFは現在一番採用しているクルマが多いです」

 

「正解だ。次はFRだ。フロントにエンジンを置き、こっちはリアを駆動させるというものだが、特徴を言ってくれ」

 

「これは簡単です! FFより加速が良く、直列6気筒やV型12気筒といった排気量エンジンを積めることと、大きなパワーでも伝えやすく、前輪はエンジンと操舵で後輪は駆動と役割が分担されていることで操作性が良くて、重量のバランスが良く、さらにはドリフトしやすいです。ほかにも後輪にトラクションが掛かるので上りでは速いというのも持っています。デメリットは悪路に弱いこと、パーツが多くなるので重量が重くなり、室内が狭いことです。スポーツカーと高級セダンに使われることの多い駆動方式です」

 

「これも正解だ。最後は4WDだ。4輪とも駆動させ、エンジンはフロントやミッドシップ、リアと位置は様々ある。R35の駆動方式である。これの特徴は?」

 

「4WDは4輪ともトラクションが掛かるためホイールスピンがしにくく他の駆動方式よりスタートダッシュが速く、悪路区間でも安定して走行できます。デメリットはパーツが増えるため重量が重くなることや、4輪と駆動させているためコーナーが苦手なことです。SUVに中心に採用されています」

 

「正解だ。3つとも上手く答えることができたな」

 

 智姉さんの出した駆動方式の3つの問題を答えることができた。

 

「他にも駆動方式はMRとRRがあるが、説明はまた今度にしよう」

 

 今度とは、おれがミッドシップのクルマと戦うときだ。

 

 10分が経過する……。

 

「さて、また走ろうか。休憩は終わりだ。車に乗れ」

 

 休憩が終わり、2台は車に乗り込む。

 駐車場を出て再び走り始める。

 

 

 

 

 ダウンヒルのゴール地点の駐車場には葛西3姉妹とそれぞれの愛車がある。

 

 サクラ、ヒマワリ、モミジの三姉妹が立っていた。

 

 クルマは1台目がヴェイルサイド製エアロを身に着けた黒いJZA80型スープラ、

 2台目は蛍光グリーンのSW20型MR2。JZA80と同じメーカーのエアロ、固定式ヘッドライト、テールライトはクリアテール化され、エアインテークを身に着けている。

 3台目はオレンジのアルテッツァ。2台と同じメーカーのエアロを装着し、ヘッドライトが黒縁となっている。

 

 3台ともホイールはレイズのグラムライツ57Cを装着し、JZA80がシルバー、SW20がグリーン、アルテッツァがオレンジになっている。

 

「――まだ来ないな……」

 

「本当に走ってんのか!?」

 

「気長に待った方がいいよ」

 

 3姉妹は練習中の2台を待っているようだ。

 しかし、その言葉を裏切るように2台のエンジンの二重奏が奏でる!

 

「――来たな……」

 

「おぅ! 来たぜ、来たぜ、来たぜ!」

 

 RB26とVR38の音がふもとに大きく聞こえてきた。

 音の主、ワンエイティとR35が3姉妹の眼に現れる!

 

「大崎翔子のワンエイティと斎藤智のR35が来るよ、サクラ姉ちゃん!」

 

 赤城ダウンヒル最後の5連続ヘアピンを抜けてゴールへ向かう。

 両者とも白煙を大量に出すドリフトでUターンしてヒルクライムへ突入した。

 

 現在、後ろの智姉さんとR35が前のおれとワンエイティを煽っている。

 

「――斎藤智相手には煽られているな……けど中々の腕だ――」

 

「イィーネッ!」

 

「練習とは思えないほどハイレベルだね。本当にバトルにしか見えないよ」

 

 3姉妹は練習の腕に太鼓判だ。

 ヒルクライムに突入した2台はすぐ5連続ヘアピンに入っていく。

 

「本当にバトルだ……練習には見えない――」

 

「イーネ、イーネ、イィーネッ!」

 

「大崎翔子と斎藤智のすごさが分かる走りだよ」

 

 6時30分ごろにはおれたち2人は練習を終えて家に帰宅した。

 

 

 

 ここから前の話の最後と同じ時間になる。

 

 午後0時、和食さいとうにプラスマ3人衆が来店する。

 

 クマさんはおれに昨日のバトルのことを話した後、智姉さんがクマさんに話しかける。

 

「昨日のバトル、負けたようだな。FFをナメていた癖に」

 

「負けましたよ。離したと思ったらヘッドライトを消していましたからね」

 

「ヘッドライトを消す走りか。だまし討ちだな」

 

「そうです。おらはそれに負けたんですよ」

 

「あとFFの良さをまだ分からないようだな、お前にその長所を教えてやろうか。走行安定性の高さから他の駆動方式よりコーナリングが得意で、パーツが少ないから車重も軽いんだ」

 

「遅い駆動方式だと思っていました。けど、戸沢に負けた頃から変わりましたね。 HONDAのFFは速いということ考えることになりました」

 

「ホンダ以外でも速いFFはいるぞ。トヨタのスターレットや三菱のミラージュとFTOなどがある」

 

「やっぱFFに対する考え方がまた変わってきました」

 

 本当だよ、クマさん。

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