光速の走り屋オオサキショウコ   作:まとら魔術

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ACT.29 鉄の刃

精神覚醒走女のオオサキ29話「鉄の刃」

 

「発動しない、なぜなんだ? ヘビィだよ、冗談じゃあないよ!」 

 今のおれは精神状態はとても悪く、能力が発動してもおかしくない状況だ。 しかし、ヒマワリが原因で発動しなくなっている!

 

「どうだオレの能力! モミジ……やっぱこれなら対策できたぜ! このまま一直線で離してやるぜ!」

 

 直線が終わり、サクラ・ゾーン最後のコーナーこと左ヘアピン。 ヒマワリのおれの差は広くなっている。

 

 先に彼女はここを抜けていく。

 

「能力が発動しない気分はどうだ、大崎翔子! ここを抜ければオレの勝ちだぜ、得意な直線だけしかない!」

 

 ヒマワリはおれの能力が発動しないところを見て、やや勝った気になっている。 ここの左ヘアピンを抜けた後はまた直線へ去っていく!

 

 やや遅れて、おれもヘ突入した!

 

「縮めないと……小山田疾風流<フライミー・ソー・ハイ>!」

 

 ヒマワリとの距離を縮めるため、ゼロカウンタードリフトからの<フライ・ミー・ソー・ハイ>で突っ込む!

 ここでその技に変化が起きる!

 

 オーラの色が銀色に変化した。

 

「この走りは――<フライ・ミー・ソー・ハイ>より速くなっている!? どんな技なの!?」  この様子は頂上でも伝えられた。

 

「現在、ワンエイティがさっきのゼロカウンタードリフトより速いドリフトで攻めています!」

 

「この、<フライ・ミー・ソー・ハイ>を使ったゼロカウンタードリフトより速いそれ――この技は<スティール・ブレード>という物だ」

 

「<スティール・ブレード>という技を使ったんですか、サキさん! その技ってなんでしょうか?」

 

「<スティール·ブレード>という技は小山田疾風流の技で、属性は鉄だ。 <フライ·ミー·ソー·ハイ>より速いスピードでゼロカウンタードリフトを行う技だ。

 

 新たに発動した<スティール·ブレード>によるゼロカウンタードリフトを使い、ヒマワリとの差を大きく差を縮めてゆく。

 

 ヘアピンを終えると、また直線が来る。

 ここは短いため左コーナーがすぐ来るけど、緩いので技を使わず抜ける。

 

「先を走らせない」

 

 緩い左ヘアピンを抜けるとまたコーナーが来て、さっきと比べると急だけどそれでも緩やかなほうに入る。

 ここの突っ込みでは前みたいに技を使わずクリアし、立ち上がりでは<スティール·ブレード>を使って脱出する!

 

「イケイケイケイケイケー!」

 

 いよいよヒマワリのSW20を捕らえ、バトルは最終局面に入っていく!

 

 スタート地点では送られてくるギャラリーからの情報を貰い、仲間たちはオオサキとヒマワリのバトルの状況を見守る。

 

「<スティール·ブレード>を使ってヒマワリを追い詰めたことは素晴らしいぞ」

 

 その状況を聞くと、智姉さんは嬉しい表情を見せた。

 

「ヒマワリは大丈夫かしら、追い詰められた上に精神力が少なくなったらクルマをスピンさせる恐れもあるわ。しかも乗っているのはスピンしやすいMR駆動のSW20で、「オレはSW20をスピンさせたことがない」と自信満々に豪語しているけど心配だわ。5連続ヘアピンの最後まで勝負は持つかしら――。あと言い忘れたこともあるわ……もう過ぎちゃったけど」

 

 ウメはヒマワリのことについて不安であり、今後の展開を予感していたからだ。

 

 バトルは最後のセクション、5連続ヘアピンに突入する!

 

 おれには車がヤレていることと、精神力に大きなダメージを受けているというハンデを抱えている。

 けど、後ろのままでバトルを終わらせない!

 

「へえへえ………糞 (シット)、大崎翔子が後ろに来やがったぜ! へえへえ……けど大崎翔(あいつ)を前を出さねー、ぜってーに勝ってサクラ姉ちゃんとモミジの仇を取ってやる!」

 

 この時のヒマワリの顔には、距離を縮められた焦りから汗が出ていた。

 おれの逆転は彼女も精神的に追い詰める物となった。

 

 5連続ヘアピンの1つ目、右ヘアピンに突入していく。

 

「いよいよ最後のセクションだよ……。精神状態ヤバいし、車はヤレているからおれが勝つ可能性は低い。けど葛西ヒマワリ、おれは君を倒す……!」

 

 おれのゼロカウンタードリフト、ヒマワリのセナ足ドリフトがぶつかり合う。

 

 どちらも精神が追い詰められていたためかフラつきながらコーナーを攻め、さっきまでの勢いはなく、距離の変化はなかった。

 

 2つ目の左ヘアピンにて、スピードの高いゼロカウンターで突入していく。

 

「また縮められたか、糞(シット)!」

 

 距離を接触寸前までに縮め、ヒマワリをさらに精神的なダメージを与えることができた。

 

 5連ヘアピンはあと3つ。

 SW20の先行のままで、おれはさっきで彼女を追い詰めことができたけどコーナーの立ち上がりで離されるから、追い抜きたくても追い抜けない。

 この後――激しいバトルに衝撃の展開が待ちわびる。

 

「3つ目だぜ、<ドラゴン・デザイア>で離せば、勝ったと同然だぜ! 行くぜ行くぜ行くぜー!」

 

「こっちは<スティールブレイド>を使って追い抜く!」 

 

 3S-GTEの音、RB26DETTの音が共に合掌させていく2台は3つ目の右ヘアピンに入る。

 

 ここに入ると予告した通りにそれらを使った! 

 ヒマワリの萌葱のオーラ、おれの銀のオーラがぶつかり合う!

 

「ナンマイダナンマイダナンマイダ……」

 

「イケイケイケイケイケイケイケ~!」 

 

 先攻するヒマワリのSW20はハンドルを強く旋回させることでドリフトを発生させ、逃げ切ろうとした。

 

「やベェ!」

 

 しかし、技が終わってコーナーの出口へ向かう瞬間……ドライバーは焦っていたのかハンドルを強く切りすぎてしまう。

 

「くそお!」

 

 ヒマワリのSW20がダンスするかのようにふらつき、ついにはスピンしてしまった!

 

「もうすぐ勝てると思ったのにスピンかよ――オレのSW20は覚醒技のおかげグリップ力は減らねーのに……」 

 

 ヒマワリはスピンによりリタイア、よっておれの勝利に終わった。

 

 けど、この勝ち方に納得できなかった。

 

「もしかしておれの勝ち――そんな実感ないよ……?」

 

 勝ったと思えない。

 相手が強力な覚醒技を持っていたからそう考えた。

 

 ヒマワリのスピンはトランシーバーで頂上に知り渡り、それを聞いて心配した家族がSW20の元へやってくる。

 JZA70からウメ、アルテッツァからモミジとサクラが降りた。

 

「大丈夫、ヒマワリ!?」

 

「スピンと聞いてきたからやってきたわよ」

 

「大丈夫だぜ……母ちゃん、モミジ、サクラ姉ちゃん――家に帰ったら、バトルの反省しようかな」

 

 Speed葛西に戻った家族4人は全員でヒマワリのバトルを振り返った。

 

「まず、私にも反省点があるわ。追い抜くべき場所を言い忘れたことよ。追い抜くべき場所はサクラ·ゾーンの2連続ヘアピンで追い抜くべきだと言いたかったけど、言い忘れちゃったわ……もしそれを言えばワンエイティをさらに追い詰めることができたかもしれないわ」

 

「いィやいィや、その反省気にしていねーよ。この作戦がなくてももうすぐ勝てると考えたぜ」

 

「ふふヒマワリ、相変わらずあなたは自信家だわ。けど、自信家という点は反省するべきなのよ。それがあなたのバトルでの敗因よ」

 

「そうだよ、ヒマワリは「どんな相手でもトラクションで勝てる」と豪語しまくるからな。直線で勝てても他で負けたらバトルで負けるよ」

 

 モミジからも言われると、ヒマワリは顔を下げ……。

 

「負けてごめん、今度から気を付けるよ」

 

 そう誓ったのだった。

 

「今回は頑張ったからいいわ」  今回のバトルでオオサキは3姉妹全員に挑んだことになり、彼女たち全員勝利したことになった。 しかし中にはリベンジの誓うの者もいたのだった。 翌朝5月3日の朝8時、今日は祝日だ。

 

 葛西サクラの乗る黒いJZA80型スープラがMaebashi市街を走る。

 このクルマはアイラインが装着され、外観が前より変化していた。 

 赤城山のふもとにある和食さいとうへ着くと停車した。 運転席からサクラが降りて、店内に入っていく。

 

 今日はまだ店が開いていないけど、それなのにここに来るとすると、もしかしたら……。

 

「いらっしゃいませだが、申し訳ない――まだ開店していないぞ……」

 

「来店したわけではない、用がある……大崎翔子はいるか――?」

 

「そうだな――おーいオオサキ! お客さんが来たぞ!」

 

 智姉さんに呼ばれておれは玄関へ向かった。

 

「バトルを挑みに来た……お前とのリベンジだ――今回も赤城でバトルを行う……」 

 

 いよいよ来たか。

 

「ただし前と違うところは、往復することだ……ダウンヒルでスタートし――ヒルクライムで戻ってくる……簡単なルールだろ――? 日程は2週間後の土曜日――16日の夜11時を予定している――どうだ……挑むか……?」

 

「挑むよ――君がどうなったか確認したいよ!」

 

 そう決めた、これ以外に選択肢はない。リベンジバトルが行われることが決定した。

 

「――分かった……2週間後――また会おう……」

 

 その後、サクラは店を出て80スープラと共に帰っていった。

 彼女が去ると、智姉さんが話しかける。

 

「――葛西サクラ……オオサキにリベンジを挑んできたな――」

 

「そうですね。あの時に戻ってきたみたいです!」

 

 リベンジバトルにはワクワクしているけど、その前にワンエイティにある落とし穴の存在について指摘を受けた。

 

「ワンエイティはヤレているという問題点があるぞ――」

 

 このままサクラとのバトルになると苦戦するかもしれない。

 

 しかし、智姉さんからこんな提案を貰った。

 

「今日、お前のワンエイティのヤレを治して貰おうかなと考えていて、しばらく乗れなくなり寂しくなるかもしれない。しかし戻ってきたら次のバトルで上手く戦えるかもな。それまでは我慢しろよ」

 

「分かりました。ワンエイティ、ヤレを治してね」  それなら、サクラとうまく戦えるね。 

 

 午前9時には、私はオオサキのワンエイティのヤレを治すためにSpeed葛西へ向かった。 この店は車の修理も行っている。

 

「いらっしゃい――さ、斎藤智に大崎翔子のワンエイティ!?」

 

 店長の葛西ウメはオオサキのワンエイティに乗って来店した私を見て驚く。 なぜなら、絶対に来ない客が普段乗らない車に乗っているからだ。

 

「私がここに来た目的はワンエイティのヤレを治すことと、剛性強化のチューニングを頼みに来ていて、その車をしばらく預かってほしい」 「分かったわレストアと剛性強化ね、期間は1週間から2週間ぐらいになるけどいいの?」

 

「いいぞ、レストアを修復してほしいから頼んだぞ。オオサキも待っているからな」

 

 これでワンエイティのヤレを治すことが決まり、オオサキの覚醒技が持つ能力の代償が消えるだろう。

 

 突然、ウメはこんなことを尋ねてきた。

 

「娘のサクラが大崎翔子にバトルを挑んだけど、私もあなたにバトルを挑むわ。バトルは赤城のダウンヒル、日程は来週の土曜日つまり11日の夜10時ぐらいと決めているわよ」

 

「受け入れよう――そのバトル!」

 

「そうこなくっちゃ、11日の夜10時に赤城で待っているよ」

 

「分かったぞ」

 

 バトルが行われることは決定した。 私と葛西ウメはライバル同士だが、2人の引退試合を最後に行われていない。 しかし今度の土曜日に伝説の走り屋同士のバトルがいよいよ復活する!

 

 その日もバトルのことでMaebashiはお祭り騒ぎになりそうだ。

 

「そして代車も出すわ――Z32型フェアレディZよ」

 

 このスーパーカーを彷彿させる流線型の車、赤いZ32がオオサキの代車になるんだ。

 

 初代から数えて4代目となるフェアレディZだ。

 搭載されたVG30型V6ツインターボは、国産車初となる280馬力越えを達成する。 1989年から2000年まで発売されたロングセラーモデルだ。

 

「11日の土曜日の夜10時、覚えておくぞ」

 

 さよなら代わりにそう言うと、私は代車の赤いZ32のハンドルを握りながら帰っていった。

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