光速の走り屋オオサキショウコ   作:まとら魔術

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ACT.31 伝説のバトル

 前回までのあらすじ

 

 バトルに対するそれぞれの思いについて、智はオオサキ、ウメはサクラに伝えるのだった。

 そして5月11日、決戦の日が迫ってくる。

 

精神覚醒走女のオオサキ 第31話 伝説のバトル

 

 日はバトル当日、5月11日となった。

 時間が9時を迎えると、私は戦闘機(R35)に乗り込む。

 

「私は出発するぞ。オオサキ……お前はギャラリーをしてても構わないぞ」

 

「気を付けてくださいね」

 

 店の前に立つオオサキにそう言いながら、私はR35と共に戦場へ旅立った。  私を見守ってくれ。

 

 同じ頃にウメも戦場である赤城山に入り、闇の中にある道路を登りながらスタート地点へ向かっていく。

 

 道を進むとあるクルマたちのテールが光に写る。

 熊久保のC33型ローレルを先頭に、その後ろに小鳥遊のR32型スカイライン、一番後ろが川畑のA31型セフィーロだ。

 どうやら、あそこへ向かうのは主役だけではない。

 

「もうすぐだべ、智さんとウメのバトル!」

 

「智さんは伝説の走り屋だから負けないよ!」

 

「相手も結構強い走り屋やで。葛西三姉妹の母親やからな。勝てるんか、心配やわ」

 

 3人は今日のバトルのことが気になっていたけど、私は来たぞ。

 

「後ろから何か来たべ、恐ろしい殺気だ~。これは……智さんのR35だべ」

 

「うちを抜けるもんなら、抜いてみい!」

 

 いいだろう。

 1番後ろを走る川畑のA31には覚醒技の能力でブロックされたものの、2回目の追い抜きで前に出ることができた。

 

「川畑さんがやられた! しかもくにちゃんまで!」

 

 小鳥遊のHCR32も追い抜く、後は熊久保の33ローレルだ。

 

「伝説の走り屋、国産FRセダンなめんなよ!」  けど、こいつも一瞬の隙も見せないまま抜いてしまったな。

 

「やっぱ勝てねーな……ん、また何か来るべ?」

 

「今度は葛西ウメのJZA70や!」

 

 突如現れたJZA70もプラズマ3人娘を一気に抜いていった。

 

「速いねー! 智さんの対戦相手だから、速いね!」

 

 私の最強のライバルとあって流石だな、さらに負けられなくなったぞ。

 

 智姉さんがスタート地点へ向かっていく頃、おれはZ32と共にここでギャラリーをしていた。

 

「ヤバい……自分のバトルじゃあないのに緊張している」

 

 もう、おれの心臓は砕けそう。

 なぜなら、憧れの人はバトルを行うからだ。 憧れの人の負けるところなんて見たくない。

 

 ゴミのようなギャラリーに紛れながら、ある見覚えのある人物と遭遇する。

 

「大崎翔子か……」

 

「ギャラリーしているのに、会うとはね」

 

 同じくギャラリーしている葛西サクラだ。

 

「斎藤智はどんな作戦を使うんだ……?」

 

「智姉さんはしばらくは覚醒技を使わないと言っていたよ」

 

 サクラはそれを見通すようなことを言う。

 

「そうか……ただしその作戦に対策を立てている……」

 

「どんな作戦なの?」

 

「バトルしてからのお楽しみだ……」

 

 分からないけど、ドキドキしている。 けど、智姉さんこどどんな作戦もお見通しだろう。 ウメに対して1度も白星を譲っていないから、作戦を跳ね返して勝利を得る姿は想像できる。

 

 時の針は10時を指し、バトルの時間となった。

 

 道の左端には私のR35、右端にはウメのJZA70が立つ。

 

「もう時間が来たわね、バトル開始の時よ」

 

 それぞれのクルマに乗り込むと、スタートの時を待つ。

 カウントは、DUSTWAYのリーダーこと雨原芽来夜が務める。

 手を上げて数字を数えだすと、2台のクルマは恐ろしいほどの轟音を出す!

 

「それじゃあカウント始めっぞ! 5秒前、4、3、2、1、GO!!」

 

 雨原の指が全て折られると2台は飛び出し、私は後攻を選んだ。

 しばらくは相手の後ろを走るつもりでいる。

 

「やはり後攻を取ったわね」

 

 スタート後は長い直線が続く。

 そこを抜けると、緩くて長く続く高速左コーナーがやってくる。

 突入したウメのJZA70の動きがおかしくなる。

 

「葛西ウメってこんなに下手な走り屋だったのか?」

 

 高速コーナーでありながらコーナリングの途中で強くブレーキを踏み、クルマを乗りこなせていないほどアウト側に膨らんでいる。

 立ち上がった後もアクセルと間違えるかにようにブレーキを踏み、彼女のクルマに接触しそうだった私は釣られてしまった。

 40代の走り屋が行うものか?

 

「結構苛つかせる走りだな、まるでベテランとは思えない」

 

「相手は動揺しているわね、作戦に引っ掛かったのかしら。このままわざと下手に走って、R35のブレーキを攻撃するわ」

 

 次のS字からの左ヘアピンでも、同様の走りを見せる。

 ブレーキのタイミングをミスってアウト側に膨らみ、コーナリング中にブレーキを何度も光らせる。

 

 これを見ると私も釣られてしまう、R35のブレーキパッドが持たなくなる。  しかし、ヘアピンを抜けると私に考えが過った。

 

「ウメの下手な走り、分かったぞあれは私を油断させようとしていることと、R35のブレーキを攻撃するためにわざとやっているな」

 

 もうお見通しだ。 対策はすぐに考えている。

 

「これでもどう?」

 

 ヘアピンを抜けたウメのJZA70は、またブレーキを光らせる。

 それを見た私はこう切り抜ける!

 

「サイドブレーキでも喰らえ!」

 

 彼女のクルマに接触しそうだった私は、ブレーキパッドへの負担を減らすためにその走りでクルマを減速させる。

 

「やるわねぇ、私の作戦を見抜いた感じだわ。けどこの走りはサイドブレーキで前へ出ずに切り抜けられるかしら?」

 

 突き当りで幅が広いコーナー、右だ。

 ウメのJZA70はさっきのヘアピン同様にフットブブレーキを遅らせながら、アウト側を走る。

 後から入った私は、ここではエンジンブレーキで攻めていく。

 その走りではあまりクルマを減速できないの私もアウト側に膨らんでしまったが、また対策できたようだ。

 

「コーナーでもやるわねぇ、次の直線では走り方を変えるけどどうかしら?」

 

 ヘアピンを抜けると長い直線。

 かなりパワーのあるにチューンされたJZA70にも関わらず、R35より遥かに非力に見えてしまう。

 私は自分の作戦を破って追い抜いてしまいそうだ。

 しかしそれを「レブ縛り」による走りだと見抜き、こっちも同じやり方で走行することにする。

 

「これでも喰らうといいわ!」

 

 今度は、まるでクルマの操縦ができていないかのように、フラついた走りを始める。

 その走りには、アクセルのONとOFFを切り替える走りで対抗した。

 

 ヘアピンが近づくと、私に作戦を見破られたのかウメは心変わりする。

 

「相手に作戦を見破られるなら、予定より早く作戦を変えるしかないわね」

 

 ここで透明のオーラに身を包み込み、スピードを上げていく。

 下手くそ運転から、覚醒技超人の走りに変化している。

 

 オーラを包み込むと、3連続ヘアピンの一つ目である右ヘアピンが近づいて来る。 

 

「‹コンパクト·メテオ›!」

 

 隕石のようにスピードのあるドリフトで、ヘアピンを駆け抜けていった。

 その後、2つ目は<コンパクト·メテオ2>、3つ目は<コンパクト·メテオ3>で抜けていく。

 それらを抜けたウメは私との距離を大きく離した。

 ちなみに覚醒技の技は1度使うと数秒間使えないものの、ウメの場合は覚醒技の能力によって技を何度も使うことができる。

 

「ウメさん、急に早くなったべい………」

 

「さっきまでの下手糞っぷりは何だったんだんべい?」

 

 ウメの走りの変化について、ギャラリーたちは口を大きく開けてしまう。

 

 

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