光速の走り屋オオサキショウコ   作:まとら魔術

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ACT.44 決戦の時

 

あらすじ

 

雨原との戦いは既に始まっている。

数日しか行わなかった練習も、毎日行うようになった。

オオサキはデートの時に智から「負ける以上に事故はしないように」と約束された。

デートの翌日には従業員全員でDVDを視聴し、雨原の走りに度肝を抜かれる。

夜には今回のワンエイティの状態を確かめるため、智は六荒を乗せてテスト走行をした。

 

 深夜0時、あたしはSpeed葛西へ訪れた。

 店からウメさんが来る。

 

「ちょっといいか、ウメさん」

 

「いいわよ、芽来夜」

 

 FDから降ると、ウメさんとの会話を始める。

 内容はあたしの過去の事だ。

 

「あたしがここに来たのは中学を卒業してしばらくの事だったな。東京の八王子の弁護士一家で生まれたけど、そこの縛られた生活に嫌気がさして家出同然でここに来た。見慣れない土地に世話してくれたのはあんただった」

 

「群馬(ここ)に身よりのないあんたを私は拾ったのよ」

 

 それがウメさんとの出会いだった。

 

「あんたと出会ったことでこのクルマとテクニックを手に入れ、赤城最速の称号を手に入れた。あんたのおかげだよ」

 

「いえいえ」

 

 次の話題はバトルについてだ。

 

「今度のバトル、何か作戦はあるの?」

 

「特にない。しばらく誰にも見せていない本気を出すだけだ」

 

 それを見せるときがやってきた……。

 すごい久しぶりな気がした。

 

 金曜日。

 18時の和食さいとうにプラズマ三人娘が来て、おれと会話をする。

 話題は明日のバトルの事だ。

 

「今度のバトル……赤城のみならず、榛名や妙義、そして県外が大勢のギャラリーが来るらしいべ」

 

「けど、サキはんが葛西三姉妹やWHITE.U.F.Oに勝っとるとはいえ、大半のギャラリーは雨原が勝つと思っとるらしいで」

 

「何か、作戦を考えているの?」

 

 おれの作戦はこうだ。

 

「これまでの総集編で行くよ。これまでのバトルを振り返りながら走るつもりだよ」

 

「おー! 最強の相手にはこれまでの全てをぶつけていくんですね! どんな風にぶつがるのがワクワクすっべ!」

 

 智姉さんが来る。

 クマさんは智姉さんに話しかける。

 

「智さん、サギさんって最近のバトルは能力を発動させて勝ってぎたじゃあないですが。能力が発動したら勝てると思いますが?」

 

「さぁな。能力を発動すれば私も勝てる可能性が高くなると思う。ただしその能力は危険な所もある」

 

「危険って?」

 

「この能力を使いすぎると身体的ににまずいことになる」

 

 智姉さんが言っている通り、能力を使っておれは倒れかけたことがある。

 それで彼女を心配させてしまった。

 

 5月30日の土曜日……バトル当日を迎えた。

 夜の8時、客が来ない間におれは晩御飯を食べていた。

 

「今日はバトルに合わせたメニューにしていたぞ」

 

 今日のメニューは、お好み焼きとカツ丼だ。

 前者は体力にいいとされ、後者は運を良くすると言われている。

 

 これらの料理は果たして今回のバトルに効果あるのか!?

 

 夜9時……。

 和食さいとうは閉店の時間を迎える。

 従業員たちは帰路に向かう……のではなくバトルの会場へギャラリーへ向かう。

 

 店の前の道路には多くのクルマが会場に向かっていた。

 

 六荒と智姉さんはこんな話をしていた。

 

「俺はオオサキちゃんが勝つと思うよ。なぜならお前の弟子だからな」

 

「そうか? 私は勝てるかどうか心配で不安だ。今週は毎日特訓してあげたものの、果たして成長させてあげられたのだろかって考えている。彼女は3年前から走っているとはいえ、免許取り立てのドライバーと同じ16歳だ。倒してきた走り屋が有力な人々だったとはいえ、バトルの数は少ない方だ。あいつの敗北は私の敗北になる」

 

「まぁまぁ心配すんな、異次元の走りを見せたお前の弟子だからきっと勝てるはずさ」

 

 わだすはC33の車窓から見渡していた。

 周りには、今まで見てきたバトルの中で一番多いギャラリーが集まっていた。

 

「すんげぇギャラリーだべ。おらがもしバトルするんだったら緊張して動けなくなっべ。ドリフト甲子園以上にヤバぇべ」

 

 2つの高速セクションを結ぶハンマーヘッド前の所に1台の大きなGTウイングをつけた赤いレクサスSC430が停車する。

 そのクルマからから、青のパーカーを身につけ、左右色違いタイツを履いた赤いポニーテールの少女が降りてきた。

 

「いよいよ始まるね。最近話題の走り屋と赤城最速の戦い。赤城最速が交代してしまうのかな?」

 

「あそこにいるのは、現在、事実上の妙義最速の走り屋、矢口愛(やぐち・めぐみ)だ!」

 

 やはり、よその走り屋からも注目されていたようだ

 

 

 ダウンヒルのスタート地点近くの駐車場。

 ここにGTウイングとカーボンボンネット、カーボントランクをつけたオレンジ色のスバルBRZが停止する。

 その運転席から、野球帽とLLサイズのオレンジ色のTシャツを身につけた少年が降りてきた。

 

「ここが今宵最速を決定する赤城の会場か……赤城最速はいよいよ変わってしまうのだろうか……僕も榛名を変えようとしているけどね」

 

「あれは……榛名で最近名を馳せている、増田睦月じゃねーか?」

 

「いつかはWHITE.U.F.Oを越えると言われている逸材の!?」

 

 彼もよそから来た走り屋だ。

 

 さらには県外からも有力な走り屋が来ていた。

 第2高速セクションのギャラリーポイント。

 URASのGTエアロを身につけ、青緑・黒・赤の三色の派手なカラーリングをしたS15型日産シルビアが停止する。

 運転席から青緑の髪をサイドテールに纏め、同色のジャケットを羽織っていて、下には黒いスカートと赤いタイツを履いた身長の高い女性が降りてきた。

 

「雨原がすごいバトルをすると聞いとるけん、ギャラリーに来たんじゃ」

 

 喋り方から、広島出身だと思われる。

 

「雨原さんのライバル、谷輝さんも来ているぞ!」

 

 このバトルのギャラリーに来た3人の走り屋は後にオオサキと関わることになる。

 

 

 ヒルクライムのスタート地点。

 下から光が見えてくる。

 

「来たべ」

 

 雨原のFDをはじめとするDUSTWAYのクルマたちがやってきた。

 停止すると、それぞれのドライバーが降りてくる。

 

「皆に行っておきたいことがある。あたしは最後のバトルのつもりで挑む」

 

「もしかして……今度のバトルで走り屋をやめるつもりなのか……?」

 

「辞めるんじゃあない、そんな気持ちで行くんだ。本気で挑むときはこの気持ちで行く。今夜は本気のバトルだ」

 

 下から別の光がやってきた。

 正体はサギさんのワンエイティだべ。

 

 今は9時50分……。

 開始まであと10分を切った。

 

 

 

 

 

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