光速の走り屋オオサキショウコ   作:まとら魔術

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ACT.46 大沼

あらすじ

 

 赤城最速を決めるバトルがついに始まった。

 オオサキは先攻を取り、コーナーで雨原を引き離していく。

 しかし先攻にはプレッシャーが付き物。

 次第に焦りが襲っていく。

 そして、ヒルクライムエリアの終盤、雨原の追い抜きを許してしまう。

 

 バトルは大沼に入った。

 先攻となった雨原との距離は大きく離されていく。

 それを縮めようと大沼の入り口である突き当たりの右コーナーで技を使う。

 

「<コンパクト・メテオ3>! イケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 

 立ち上がり重視の高速ドリフトで攻める!

 雨原との距離は縮まった。

 しかしこれは一瞬だけであり、すぐにまた離される。

 

「距離が縮まらない!」

 

 青木旅館前。

 ある人物がギャラリーしていた。

 雨原の師匠、葛西ウメだ。

 暗闇の中、雨原のFDは彼女の所を通りすぎる。

 

「現在、本気の芽来夜が有利ね。大きく差を広げているわ」

 

 おれもそこを通りすぎる。

 

「大崎翔子も中々やるわね。さすが私の娘たちを倒しただけあるわ」

 

 ある事を願い始める。

 

「このまま、芽来夜の有利が続いて欲しいわね」

 

 しばらくは高速区間が続く。

 さらに雨原に引き離される。

 

 黒檜山登山口前を抜けると、沼田赤城線に入る。

 ここから道幅が広くなる。

 逆転を狙うおれは、風のような萌葱のオーラを纏った。

 

「小山田疾風流<フライ・ミー・ソー・ハイ>!」

 

 高速ドリフトで雨原のFDを追いかける。

 距離は一瞬だけ縮まった。

 

 しかしその後は高速区間が続き、再び引き離される。

 

「速い、さすが赤城最速! 並大抵の走りじゃあ相手にしてくれない」

 

 速すぎてついていけない。

 テクニック、クルマ、覚醒技、どれも強力だ。

 今まで戦ってきた相手の中では強い。

 その後は、赤城神社前のS字ヘアピンで距離を縮めたものの、高速区間が続くため離される。

 

 絶体絶命のおれ!

 その時、ある戦いを思い出した。

 

「そうだ、葛西ヒマワリとの戦いを思い出そう」

 

 ヒマワリとの戦いでは、リアミッドシップ特有の立ち上がり加速に苦しめられ、一時大きく差を広げられた。

 終盤相手がスピンして負けたけど、勝った実感はない。

 

「これなら……!」

 

 ヒマワリとどう戦ったかっていうと、ある技を使ったからだ。

 赤城稲荷大神前の右高速コーナーでそれを発動させる

 

「小山田疾風流<スティール・ブレイド>」

 

 鉄のような銀色のオーラを纏い、超高速のゼロカウンタードリフトで攻めていく!

 

「イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 

 強力なゼロカウンタードリフトを発生させたことで、雨原との距離は大きく縮まった。

 

「やるな、オオサキちゃん! これだけ距離を縮めてくるとはな……」

 

 バトルは数々の店が並ぶ区間に入り、ここから道が狭くなる。

 曽山商店前にて、ある人物がバトルをギャラリーしていた。

 Speed葛西の従業員、明星名衣だ。

 彼女の愛車、ST205型セリカもある。

 2台がエンジン音と共に彼女の前を通り過ぎる。

 

「雨原さんが有利に進めているね……このまま頑張って欲しいね」

 

 だが、言葉とは裏腹に脳裏に不安が浮かぶ。

 

(この状態がいつまで続くのだろうか……? 相手はウメさんの娘たちを倒した走り屋……いつかは逆転してくるかもしれない……)

 

 店が並ぶ区間が終わり、林道区間に入る。

 高速区間続く性格から一転、幅員が狭い上に低速区間となっている。

 ここで雨原との距離をさらに縮める。

 

「ここまで縮められるとはな……次のコーナーで技を使うとするか」

 

 雨原は予告した。

 

 林道が終わって大間々上白井線に入る。

 この2つを繋ぐ右中速コーナーで予告どおり、緑のオーラを発生させてから技を発動させる。

 

「赤城のテイルガンナー流<天使の華(エンジェル・ブロッサム)>!」

 

 花が舞うような高速ドリフトで攻めていく。

 おれも負けずに技を発動させる。

 

「小山田疾風流<スティール・ブレード>! イケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 

 コーナーを抜けた後、銀のオーラを纏いながら、直線で刃のようなゼロカウンタードリフトをしながら攻めていく!

 FDのケツに貼り付いた。

 

 しかしここからは高速区間。

 パワーが上である雨原のFDにまた離されてしまう。

 

「クルマの性能なら、こっちが上だぜ」

 

 雨原に離されたまま高速区間が終わり、大沼と最後の左コーナーで距離を詰める。

 ここで大沼とはさらばだ。

 

「大沼が終わりだ」

 

 しばらくはコーナーが続く。

 ここでも雨原との距離を詰めていった。

  

 赤城道路のダウンヒルに突入だ。

 

「折り返しのダウンヒルだ。果たしてリードをゴールまで保てるだろうか」

 

「いよいよ後半戦だ。今は後攻だけど、絶対に諦めない! 行くよワンエイティ、雨原芽来夜のFDに全力でついてくよ!」

 

 それぞれの思いが交差する中、観光案内所前のストレートに入る。

 普通に走れば、雨原に離される。

 そこで、おれは直線でありながらワンエイティをドリフトさせ、同時に風のような萌葱色のオーラを纏った。

 

「小山田疾風流<フライミーソーハイ>!」

 

 超高速の直ドリで雨原のFDを追いかける。

 その様子を観光案内所前でギャラリーしているヒマワリが見ていた。

 

「こちら観光案内所前! ワンエイティがストレートにて、すげぇ速度でドリフトしながら走っているぜ!」

 

 ヒマワリはそれをスタート地点に報告した。

 

「すごいドリフトの仕方だなぁ、グリップ派の僕でも感心させられるよ」

 

 BRZの少年はおれの直ドリに対してそんな感想を送った。

 

 S字からの左ヘアピン。

 ここでは両者共にドリフトで抜ける。

 おれの方が優勢であり、差が縮まった。

 

「やるな、やるな! だが、ここからは超本気で行かせてもらう」

 

 それを見た雨原は、白いオーラを大量に纏う。

 同時に、ウメとの出会いを思い出していた。

 

 あたしは15歳の頃だった。

 東京・八王子の弁護士一家で育つも、裕福だけど厳格な家庭で過ごすのが嫌になり、家出同然で単身群馬へやってきた。

 高校には進学しなかった。

 

 夜8時のMaebashiの街を徘徊すると、1つのチューニングショップに立ち止まる。

 クルマが好きだったあたしはそこにあった改造車に魅了された。

 オーナーと思われる女性が来る。

 

 髪には艶があって、肌にシワが一切ない、40代とは思えない容姿をした女性だった。

 

「ここで何をしているのよ。こんな夜に」

 

「住む場所を探しているんだ。家出してきたからな」

 

「そうなの? ここで暮らすといいわ」

 

 ここで女性は自己紹介する。

 

「私は葛西ウメ、この店のオーナーよ」

 

「あたしは雨原芽来夜だ」

 

「変わった名前ね」

 

 これがウメさんとの出会いだった。

 

 群馬に来てしばらくはSpeed葛西で暮らし、葛西三姉妹とは姉妹同然の仲となった。

 今のあたしはマンションで暮らしている。

 

 その後、ウメさんからあるプレゼントを貰った。

 

「これがあなたの愛車よ」

 

 あたしのクルマとなった、青いFD3Sだ。

 Rマジック製のワイドボディにRE雨宮製のサイドミラー、ウイングレスではっきりとしたボディライン。

 中身はレーシングカー並みのチューンが施されている。

 この速そうなクルマがあたしの愛馬となった。

 

 クルマだけでなく、テクニックも手に入れる。

 それもウメさんから教わった。

 さらには覚醒技まで身につけた。

 

 この3つを手に入れたあたしは、赤城最速となった。

 しかし今日、その座は陥落しそうな気がした……。

 今戦っている走り屋によって………。

 

 久しぶりにあの技を発動させる!

 

「赤城のテイルガンナー流<終末のラブソング>!」

 

 雨原のオーラが強力になる。

 オーラを強化させた雨原は、直後の右コーナーを水を得た魚のような速さで駆け抜けていく。

 直線での加速も恐ろしかった。

 

 おれとの距離が大きく離れる。

 

「速い……速い……速い! ものすごい速さになった!」

 

 あれが発動するまでついていけないかもしれない。

 

「この技は自分の精神力を犠牲にして、クルマとドライバー、覚醒技を強化させる物だ。赤城最速は渡さないぜ!」

 

 赤城最速を決めるバトルはいよいよ佳境を迎える。

 どっちが勝つのか!?

 雨原が守るか、おれが崩すか!?

 

The NextLap

 

 

  

 

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