・別れを惜しんで人に贈るしるし。餞別。はなむけ。
Ⅰ
【日本国〈IS学園〉】
___警報の音が鳴り響いている。
ここは日本国に設置されたIS操縦者育成用の特殊国立高等学校__通称【IS学園】。いや、今は学園
世界中からやってきた少女たちがその門をたたき、ISの技術を学び、伸ばすために在学する麗かな女子たちが百合百合としていた学び舎や学生寮、ISを身に纏い切磋琢磨して己を鍛えるアリーナや総合運動場、校舎の屋上から見える蒼海の地平線の美しさ、そんな我が母校は、
本来、整備のための機械や訓練するための施設があった場所には鋭利なもので切り裂かれた鉄壁、天井から垂れ下がる赤黒い繭のような塊、断面にムラが見られない程綺麗に切断された防壁等々、破壊痕しか存在しない。
___悲鳴の
「クハハッ」
まさに地獄のような光景を目にしているのも関わらず、
普通の人生が歩めない歪で狂った常識が生まれる世界に
国が建てた特殊学院を壊せば自衛隊や雌豚共お抱えのIS部隊がこの惨劇の元凶である
政府としては「女による女のための女だけの花園創ってやるから関わるな。」と。
文面だけなら子供の喧嘩だ。この不干渉条約のおかげで在学中には本土からの情報は古いのしか入ってこなくてそこそこ不憫な思いをしたな。
とまぁ、そのおかげで学園側で何かあっても政府は無視を決め込むし、自衛隊の派遣なんてものは行われない。だが、国民を守るための組織ゆえ、隊員は上層部に出撃させろだとか言ってると思うが、その上層部がシカト一択なんだから
自衛隊が来ないのなら女権お抱えのIS部隊が飛んでくるかと思うだろぉがぁ、ところがぎっちょん来ないんだよなぁこれが。だって、日本のIS部隊壊滅させましたし。
IS学園は強固な防御力を誇り、完全に破壊するには必ず長期戦になる。時間がかかればかかるほど外部からの増援が多くなり、行動がしづらくなる。
ならば、高級レストランの前菜とメインディッシュのよう分けて破壊しようと考え付いた。
最終目標である【IS学園の徹底破壊】は無事に終わった。ゆえに
十のIS____「白式」を筆頭とする原作主人公組の機体だ。
主人公____
ヒロインⅡ__セシリア・オルコットが搭乗する「
ヒロインⅢ__
ヒロインⅣ__シャルロット・デュノアが搭乗する「
ヒロインⅤ__ラウラ・ボーデヴィッヒが搭乗する「
ヒロインⅥ__
ヒロインⅦ__
IS学園教師__
主人公の姉__
約一名を除いた【IS〈インフィニット・ストラトス〉】のメインキャラクター+
「おぉおぉ、速い速い…♪」
アイテムポーチから【地図】を取り出し、彼らの居場所を確認する。
白・青・紫・橙・黒・灰・空・緑・桜・黄の十色のマークが地図上を動き、IS学園のある【0番】エリアに徐々に近づいている。
「…やっぱり来るよなぁ、お前らも」
しかしよく目を凝らすと、二色のマークが桜色のマークに重なっている。色は【赤】と【銀】。
不法投棄されたのなら、ちゃんと回収せねばならんな。最終的には解体と焼却だ。解体したらもしかしたら……いや、確実に
まだまだ幼いあの子兎のことだ、これを提案したら真っ先に食いつくかもしれないなぁ。
所詮は人類の為に、人間が使う為に
もう十分に生きただろう。十分に尽くしただろう。十分に楽しめただろう。十分に苦しめただろう。十分に愛されただろう。十分に汚れただろう。故に廃棄処分だ。
__それに訂正だ。残存ISは十機ではなく、十一機だ。
「あの二人はどう料理してやろうか…」
一人はISという
いや、やはり肉なのだから
さて、そろそろこちらも警戒態勢に入っておこう。アイテムBOXから己の身長を優に超えるとある大剣を取り出す。闇色が輝く そして
今は瓦礫だが、もともとはIS学園に使われていた材料。素材としては一級品だ。壊れたISの装甲もふんだんに使おう。惜しみなく使おう。主人公組相手に手加減をするのは【負けフラグ】だ。
それに
再び地図を見る。黄色のマークが一番近い。これならあと数分もしないうちに接敵するだろう。
黄色は
入学初日に初めて声をかけてくれたあの子。学園を去る時も最後に話したのもあの子。
あんなに怒った顔を見たのは初めてだな。基本のんびりしてるから新鮮だったし、「そんな顔できるんだ」と口に出る程驚いた。追加で叱られてポカポカされた。
写真でも撮ればよかったと今更後悔しながらスマホを取り出す。
電源を付け、真っ先に目に入るのは待ち受けにしたあの子とのツーショット写真だ。穢れを知らないような純白で
「嗚呼…」
早く来ないものか。
風を切る音が遠くに聞こえる。
来い
「嗚呼」
一番に再会するのは貴女がいい。
風を切る音が聞こえる。
来い
「嗚呼…!」
壊してもなお、変わらない声で
風を切る音が近くに聞こえる。
来イッッッ!!!
「嗚呼」
その
風を切る音
「___
来タあツツツ!!!
背後から声がかかった。幼さを残す声色だ。彼女だ。やっぱり呼んでくれる……どんなことをしても、彼女を穢しても、彼女を堕としても、純白の笑顔を奪っても……菫レの名を呼んでくれる。いつものように、以前の様に……。
「あ…」
ゆっくりと振り返ると仮面越しに彼女と眼が合う。いつみてもきれいな瞳だ。しかし、本来は左右対称で黄土色のはずの瞳は
歪な組み合わせの異なる眼。しかしその違和感すらも打ち消す程、彼女は美しく可憐で魅力的な存在だ。そんな存在を誰も救えない。誰も引き上げることはできない。
菫レは彼女に目を合わせたまま立ち上がり、蜘蛛の仮面を優しく外す。
白くて、模様があって、真っ赤なインクが詰まった綺麗な水晶玉を、二人しかいない閉鎖空間で見つめ合って、取り出して、眺めて、交換して、嵌めて、また見つめ合って、影を重ねて
___今は思い出に浸る時ではないな。
菫レと彼女の今の関係は敵同士だ。壊し、殺し、犯し、喰らい、貪る菫レと、直し、治し、護り、創り、叶える彼女。
だから戦わなければならない。正義と悪は表裏一体。しかし対立している。
戦うには必ず理由がある。お互いに戦う理由は既に分かっている。
菫レは彼女を堕とすため。彼女は菫レを引き上げるため。理由のない戦争などは無い。理由があって争いがある。どんな理由であろうと。
人体的に問題あるくない?という野暮なことは聞くな。ご都合主義ってことで大目に見て、お目目瞑ってやで。
元 ネ タ__【砂中の骸に手向けの花を】
作 品 __モンスターハンター4G
受付場所__村クエ
取 扱 __G級
危 険 度__☆10
内 容 __ネルスキュラ亜種一匹の狩猟
依 頼 主__筆頭ランサー
【依頼内容】
旧砂漠にて、捕らえた獲物の
骸を被ったネルスキュラ亜種が
発見された。
骸蜘蛛は砂中に潜み、得物に襲い
掛かる恐ろしいモンスターだ。
被害が甚大なものとなる前に
どうか狩猟を頼んだよ。