ハッピーエンドでもバッドエンドでもない絶妙なラインを目指したいと思いますので皆さまどうぞお楽しみくださいませ。
--米国・???(咲夜side)--
”バンッ”
「……今ので最後…かな?」
”バンッバンッ”
「……………」
「千束…その人はもう死んでる…それ以上撃っても」
”バンバンバンッ”
「千束っ‼」
「っ…」
「終わったんだよっ…皆の仇はとったんだ!もう君が銃を持つ理由は無くなった‼」
「でもっ…でもぉっ…」
「日本に帰ろう。そしてたきなたちのお墓に…お花を添えに行こう」
「っ……うぅぅ~っ…あぁぁ~~っ…あぁぁぁぁ~~~~っ‼」
”ギュウッ”
「よく頑張ったっ…千束はよく頑張ったよ。だから…銃はここに置いていこう」
「咲夜ぁっ…咲夜ぁぁっ…」
米国のとある施設…ここはほんの数十分前まで”アラン機関”と呼ばれる支援機関の本部だった場所である
”だった”となぜ過去形にしたのか…それはここにいた人間たちを僕と千束が全員
電波塔事件から不殺の誓いを立て誰の命を奪わずに多くの任務をこなしてきた…そんな僕たちが
全てが終わり憎むべき敵が全員死んだことを悟った僕と千束…その場で大泣きする千束を僕はただ抱きしめることしかできなかった
なんでこんなことをしてしまったか。全ての始まりは半年前まで遡る…ハワイから帰国し平穏な日々を送っていた僕たちの日常はあの日を境に壊れてしまった
--半年前(咲夜side)--
「いやぁぁ~~いい買い物しましたな♪」
「買い過ぎだよ。余計なお菓子まで買っちゃってるし…ミカさんに説教されても僕は助けないからね」
「なんだよ咲夜のけケチんぼっ」
「そのセリフ…たきなが聞いたらなんて言うかな?」
「うぐぅっ…たきなを名を出すとは卑怯なっ」
「赤字を黒字に変えたのは実質たきなだからね。リコリコでの序列は1番高いと言っても過言じゃないよ」
「ちぇぇ~っ…」
「……まぁ出費分は僕のお給料から引けばいいか」
「咲夜っ…あぁぁ~~やっぱり咲夜は千束さんの一番の味方だぁぁ♪」
「ちょっ…急に抱きつかないでよ。ほらっ急いでリコリコに帰らないと、お昼でピークタイムだからお客さんもたくさっ」
”ドォォォォンッ”
「っ‼…いっ今のって爆発音!?」
「見て千束っ向こうから煙がたってる‼」
「あの方向って……まさかっ」
「千束!?ちょっと待って‼」
ミカさんから頼まれた買い出しの帰り。他愛のない会話をしながら歩き進めていた僕と千束、そんな僕たちの耳に響いた突然の爆発音に歩みの足を止めた
周囲にいた人たちも何事かと周囲を見渡す…そして僕は爆煙と思われる黒い煙が空に上がっているのを見つける
それを見た千束は何かを察したのか…持っていた荷物をその場に投げ捨て穿いていた靴も脱ぎ捨て走り始めた
僕もその後に続いて走り始めた…だがここで僕はあることに気づいた。そう…僕がいま走っている道は普段リコリコに向かうのに使っている道だったのだ
その時点で嫌な予感が頭をよぎったがただの偶然だと自分に言い聞かせながら千束の後を追う…でもそんな僕の希望的観測は一瞬にして壊れた
「っ…っ……りっ…リコリコがっ…」
「先生…ミズキ…クルミッ…たきなぁぁっ‼」
”ガシッ”
「千束ダメだ!」
「離して咲夜‼みんながっ…皆が中にいるんだよ!?早く助けないと‼」
「あの炎の中に入ったら君だって無傷じゃ済まない‼」
「行かせて咲夜ぁぁっ‼」
「落ち着いて千束っお願いだからぁ‼」
「おっおい見ろ!あそこにいる女の子っ…動いてるぞ‼」
「っ!」
僕と千束の目の前に広がるのは…僕たちの帰る場所であった喫茶リコリコが紅蓮の炎に燃え上がっている光景だった
なぜこんなことになっているのか頭の整理がつかなかった…誰がなんのためにこんなことをしたのか…そんな思考を頭で巡らせていると千束が無謀にもリコリコに飛び込もうとしたのだ
そんな千束の右腕をとっさに掴んだ。大切な人たちがあの中にいる…そんなことは僕にもわかる!だけど炎の勢いはなおも強くなっていく、あの中になんの防火装備もなく飛び込むなんてただ自殺行為だ
叫ぶ千束をなんとか制止し抑え込んでいると…1人の野次馬がリコリコの入り口付近を指さし何かを叫んだ
”女の子が動いている”…その言葉を聞き僕は千束をその場に留まらせてリコリコの入り口の前まで走る
「くぅっ……はぁっ…クルミ‼」
「うぅっ…咲夜…か?」
「喋らないで‼ここから離れるよ‼」
倒れていたのはクルミだった。火傷で体中が傷だらけだったがまだ意識があった…僕は迫ってくる炎からクルミを守りながら彼女を背負い千束の元まで走った
”ガラァァーーーッ……ガシャンッ”
そして…僕たちの帰る場所であったリコリコが崩壊していった。ミカさんが…ミズキさんが…たきなが炎に燃やされながら建物の下敷きになった
千束はクルミを抱きながら皆の名を叫んだ。一方の僕は…目の前の惨劇がいまだ受け入れられないのかわからないが変に冷静だった
けどどれだけ気持ちを保とうと自衛本能が動いても…目の前で起きた出来事は紛れもない現実の事。一瞬にして…僕と千束が守ろうとしたものが壊れいなくなっていったのであった
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「クルミ…気分はどう?」
「……最悪だな…もう少し…体を鍛えとけばよかったと…後悔してる」
「思ったより元気そうで安心したよ…」
「そうでも…ない。医者から言われたよ……火傷に加え爆風を受け体のあっちこっちが骨折…臓器もいくつか傷ついてるらしい……もってあと数日と……言われた」
「そんなっ…」
「僕のことは…いい…リコリコのその後は……どうなった?」
「……現場はクリーナーが清掃してくれた。今は焼けた建物の跡地だけが残ってる…地下の施設だけは無傷だったから僕と千束が入れる通路だけを確保してあとは隠蔽工作でカモフラージュしてくれた」
「ミカたち…は?」
「ミカさんとミズキさん…そしてたきなは焼死体で発見された。そしてもう1人…体が吹き飛んだ遺体の残骸が発見されたらしい」
「あの女だ…吉松の傍にいた……あの女が店に来たんだ…」
「っ‼」
「ミズキには…感謝しないとな。あいつが咄嗟の判断で…僕を店の外に投げ飛ばしてくれたおかげで……今があるんだから」
「なんでっ…どうしてあんなことをっ……」
「復讐だったんだろう……吉松を奪われた恨みか…アラン機関からの命令かはわからんがな……」
「っ……」
あの惨劇から数日後…九死に一生を経たクルミのお見舞いに来た咲夜と千束はあのあとの経過報告をベッドで呼吸器をつけたクルミに伝えた
そしてクルミおぼつかない喋りであの日の事件を引き起こした元凶の正体が吉松シンジの秘書であった姫蒲が起こしたものだと2人に伝えた
報復かアラン機関からの差し金か…クルミが苦しそうに話すも千束はそんなことは今どうでもよかった。生き残り命を繋いだクルミまでもあの惨劇のせいでその命が消えかかっている…そんな現実を前に千束はクルミを手を握りながら涙を流した
「嫌だっ…嫌だよクルミッ…クルミまでっ…クルミまで死んじゃうなんてっ…」
「僕のために…泣いてくれるか?」
「泣くに決まってるでしょ‼クルミは私のっ…私たちの大切な家族なんだからぁ‼」
「………っ」
「……ははっ…あの日…僕を護衛してくれた時以上に…酷い顔になってるぞ…」
「バカッ……バカァッ…」
「……咲夜…これを受け取ってくれ」
”カチャッ”
「……クルミ…これは?」
「僕があらゆるコネクションを使って調べた……アラン機関の施設があると思われる場所のデータだ。死ぬ前に…お前に渡しておこうと…思ってな」
「死ぬなんて言わないでクルミッ…お願いだからぁっ……」
「もう…僕は長くない……最後に残された君たちにできる……せめてもの恩返しがしたくてな…」
「クルミ……クルミは僕と千束にアラン機関をどうしてほしいの?」
「それを決めるのは…お前たちだ……僕はこれまで通り…
「……相変わらず身勝手だね…クルミは」
「知らなかったのか…僕は…我儘な女なのさ」
「……クルミ…また会いに来るよ」
「諦めちゃダメだよっ山岸先生に私からお願いしてみるから‼だからクルミも最後まで生きることを諦めないで‼」
「あぁ…僕もそのつもりだ……長く生きないと……向こうに行ったときに……ミズキにグチグチと言われそう…だからな」
それから1週間後…クルミは息を引き取った。セーフハウスにてその連絡を受けた千束は咲夜に抱きつきながら咲夜のシャツが濡れるほど大粒を涙を流し続けた
一方…ここまできても咲夜は泣かなかった。悲しいはずなのに…苦しいはずなのに何故か涙が出ない咲夜は泣き叫ぶ千束を優しく抱きしめた
その日の夜のこと。泣きつかれた千束は咲夜の胸の中で眠りにつき、そんな千束の髪を撫でながら咲夜は窓の外から旧電波塔を眺めていた
「(みんな…いなくなった。僕は…僕たちはこれからどうすればいいんだ…)」
『それを決めるのは…お前たちだ』
「(クルミ…僕は千束のために何をすればいい?どうすれば千束を悲しみの中から救うことができる?わからない…何も思いつかない…
「っ……咲夜?」
「千束……起こしちゃった?」
「わたし…寝ちゃってたの?」
「泣き疲れてね……目が腫れてるけど大丈夫?」
「うん……ごめんね咲夜…咲夜も悲しい筈なのに私ばっかり泣いちゃって…」
「僕は……僕は大丈夫だよ。千束の気持ちが少しでも軽くなるなら…僕の胸くらいいくらでも貸すからさ」
「咲夜……」
「お腹…空いてない?もう深夜だけど何か食べないと…」
「ねぇ咲夜…私がやってきたことって無駄だったのかな?」
「えっ?」
「誰かの時間を奪うのが嫌で…自分の気分が悪くなるのが嫌で…それで私は命を奪わずに戦ってきた。吉さんから貰った命で…先生から貰った弾を使って…真島みたいなテロリストであっても私は殺さなかったっ…それが私のやりたいことだったからっ……でもそのせいでっ…たきなもっ…先生もっ…ミズキもクルミもっ…みんな死なせたっ見殺しにした‼」
「千束っ…」
「寿命が延びたってっ…生きる時間が長くなったってっ…皆がいなきゃ意味ないよ!リコリコがあってっ…そこに皆がいてくれたから私は今日まで戦ってこれた!どんなに辛いことがあっても咲夜とたきなが傍にいてっ…ミズキとクルミがリコリコでバカやってっ…それを先生が見守ってっ……あの空間がっ…あの時間が私にとってかけがえのないものだった‼でもその時間はもう戻ってこないっ私の身勝手な我儘のせいで何もかも消えちゃったんだから‼」
「…っ」
「ねぇ咲夜ぁ…私は…私はどうしたらいいの!?あの日からずっと頭の中を考えちゃいけないことばかりがよぎってっ……自分がおかしくなっちゃいそうで怖いっ…怖いよぉっ…」
「……千束…千束は
「……っ」
「今まで通り…君のやりたいことを最優先でやればいいと思う。みんなから千束を託された僕には千束の傍で君を守ることしかできない、だから教えて……千束は
「私はっ……私はっ…」
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--1年後…(咲夜side)--
「んぅっ……もう朝か。よりにもよってあの日の夢を見るなんて…最悪な目覚めだね」
アラン機関を潰し全ての戦いを終えてから1年経った。僕はいま千束と一緒にセーフハウス(2号)にて同棲生活を続けていた
眠りから覚めた僕は隣で寝る千束を起こさぬようにベッドから降り、朝食の準備をすべくキッチンへ向かった
慣れた手つきで準備を進めている僕はふとリビングの方に視線を向ける。殺風景でインテリアも何もない部屋…これがいまの僕たちの心境を表した部屋なのだ
アラン機関との戦いを終わらせた僕と千束はもう銃を持つ必要がないため、楠木司令と福山司令に事情を話しDAを辞めることとした
当然のことながら楠木さんは難色を示した。問題児ではあったが天性の才能と実力を兼ね揃えた僕たちが同時に組織を抜けることは大幅な戦力の低下が懸念されるからだ
それだけじゃない。楠木さんも福山さんも僕たちが実弾を使いアラン機関の人間たちを皆殺しにした事実はもう耳に届いている、公に公表こそされてないが事実上…僕たちは一般人を手にかけたのだ
そんな存在をDAが野放しにする筈がない。本来であればこの場で銃殺刑で射殺されてもおかしくないことを僕たちは犯したのだ
そう述べた楠木さんだがそれを福山さんが止め、僕と千束の意思が本心かを確認すべくもう一度DAを本当に離れる覚悟はあるのかを聞いた
答えは変わらない。僕と千束は互いに頷き意思が揺らがないことを目で訴えた、それを見た福山さんはかけていた眼鏡を外しこう続けた
『リリベルの司令官として命ずる…皇 咲夜は本日現時刻をもってリリベルを除隊し錦木千束の護衛の任につけ』
『…っ』
『貴様正気!?いまこの子たちを世に解き放つのは危険すぎる!恨みを買い多くの組織から危険視されている状態だっDAという守りがなくなった瞬間に狙われるのがオチだぞ‼』
『本人たちに戦う意思がない以上っここに置いておくのはこちらに被害が及ぶ可能性がある。楠木さん…上に立つ我々は個人のためではなく組織のために非情な決断をせねばならない時がある、私より司令官の任が長い貴女にならわかるはずだ』
『っ…』
『この子たちは十分に役目を果たしてくれた。これからの人生は…咲夜と千束の意思で決めさせてあげましょう。それが2人の人生を歪めてしまった我々にできる…せめてもの贖罪です』
『…わかった。千束…今日までご苦労だった。お前は色々と面倒のかかるクソガキだったが多くの任務を遂行しDAに貢献してくれたことには感謝している……この先のことは咲夜と共に考えどうするかを決めろ』
『楠木さん…』
『だが除隊に際し条件が1つある。お前たち2人は今日からDAの監視保護下に置かせてもらう、常に数名のリリベルとリコリスがお前たちの周辺に展開させておくが日常生活の邪魔はさせないようにする…いいな?』
『…わかりました』
『長い間…お世話になりました』
こうして僕たちは長年在籍したDAを離れ…2人だけの生活を始めた。その間に僕と千束は19歳となったが、それを祝ってくれる人はもうここにはいない
それに日常に戻ったと言っても僕たちの行動は常にリコリスとリリベルが監視している。まぁこの監視の本当の目的が僕たちのことを守るためなのは知ってるけど…やはりずっと見られているというのはいい気分がしない
”ガチャッ”
「……おはよう…咲夜」
「おはよう千束って…服がよれてるよっほらちゃんと着て!」
「あぁ……ごめん」
「気分はどう?朝ご飯作ったけど…食べれる?」
「うん…今日は少し調子良いから食べれるかも」
「わかった。丁度できたところだから一緒に食べよう」
寝室から寝起きの千束が出てきたがよれよれの寝間着が着崩れていたためすぐに直した。まぁ昨日の夜はお互い少しやりすぎちゃったから仕方ないかもだけど…
今日の千束はいくばくか表情も元気だったため朝食を食べると言い、一緒にソファーに座りテーブルに置いてある朝ご飯を口に運んだ
「どう?」
「うん…なんとか食べれる」
「味の方はどうかな?」
「……ごめん…わからないや」
「そっか…でも食べてくれるだけで僕は嬉しいよ」
「………」
「焦らずゆっくり食べてね。急に入れると胃が驚くと思うから」
「うん…」
受け答えはしてくれるがやはりどこか申し訳なさそうだった。あの日を境に千束は変わった…かつての天真爛漫で常に笑顔で周りに元気を与えてくれる姿は影を潜めっ無表情で何に関しても興味を示さない無気力状態になってしまったのだ
お洒落も…食事も…あんなに好きだった映画鑑賞にすら何も感じなくなってしまい、以前まで大量にあった洋画のBlu-rayは全てセーフハウス1号に置いてきた
何故僕たちがメインで使ってた1号ではなく2号のセーフハウスで生活をしているかというと千束を錯乱状態にさせないためである
あの場所は千束にとってたくさんの思い出が詰まっていた…故に突発的にたきなたちのことを思い出すと気が動転し暴れまわったことが1号に住んでいた時にあった
更に気分転換にと千束を連れ水族館に行ったときの事。そこでも千束は過去の思い出が頭の中に現れ同時にたきなたちがリコリコと一緒に燃やされ潰れていく光景もフラッシュバックしてしまいその場に膝をつき過呼吸となり…最後は嘔吐し気絶してしまった
山岸先生の話ではあの日の出来事が千束にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させる切っ掛けになってしまい、彼女にとって大切な場所であればあるほど自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出してしまうとのこと…味覚障害もそれが関係してるらしい
回復の可能性はあるが今の千束の状態では長くなってしまうかもしれない…重い口を動かせ山岸先生は僕にそう伝えっそれを聞いた僕は知らず知らずのうちに千束を苦しめていたことに恐怖し自分を責めた
それからの行動は早かった。監視中のリリベルとリコリスに事情を説明した後っ拠点を予備で持っていたセーフハウス2号に移り思い出の品はすべて置いてきた
千束が外出する気になった時はなるべく都市部から離れた場所に移動させ、細心の注意をはらいながら千束の回復を促すように日常生活を送っていた
その甲斐もあったのかここ数か月は千束の気持ちも落ち着き始め、覚束ないとこはあるが日中も部屋の中でなら元気に過ごせる日も増えてきた
本来望んでいた生活とはかけ離れているかもしれないけど…僕は千束が元気になりこれからも生き続けてくれるならそれでいい…それだけが僕の望みなんだから
”ブゥゥーッ…ブゥゥーッ…”
「咲夜…スマホ鳴ってるよ」
「……ちょっと出てくるね」
「うん…」
朝食を済ませソファーに座りながら千束とのんびりとした時間を過ごしていた時、咲夜のスマホが鳴り画面を見た咲夜は千束に席を外すことを伝えリビングから廊下へ出た
”ピィッ”
「……もしもし?」
『私だっ元気にしてるか咲夜?』
「フキ…久しぶり…でもないよね」
『だな。急に電話して悪いな…楠木司令からお前たちの状況を確認してくれと頼まれたんでな』
「まだリコリスにいるの?フキの年齢ならもう引退して本部在籍になるんじゃなかったの?」
『お前と千束が抜けた穴が大きくてな…リコリスの後輩たちが育つまでは現役続行することになったんだよ』
「そう…なんだ……ていうことはリリベルの方も…色々と迷惑かけてごめんねフキ」
『気にすんな。お前たち2人が決めた道だろ…今更あたしらがグチグチ言っても仕方ねぇって』
「フキ…少し丸くなった?」
『うっせぇわ!』
「ふふっ…気にかけてくれてありがとうフキ。君には色々とお世話になったから頭が上がらないよ」
『そう思うんならさっさと千束と結婚でもしちまえっ……それでっ千束の方はどうだ?』
「最近は落ち着いてるよ。まだ味覚障害は続いてるけど…食事する日は増えてきてるから一先ずは安心ってところかな」
『そうか……なぁ咲夜…今からでもDAに戻ってこないか?』
「どうして?」
『ハッキリ言って…このままの生活を続けてても千束は回復しないと思うんだよ。現代医療だって万能じゃねぇっましてや心の病気となっちゃいつまた発作が起きるかもわからねぇだろ!?』
「…………」
『お前が一番苦しいのはわかってる!けどあたしだってっ…あたしだってこれ以上千束が苦しむ姿は見たくねぇんだよっだから‼』
「DAに戻って…それで千束は完治するの?また昔みたいに戻れるの?」
『そっ…それは…』
「フキ…君の気持ちは嬉しいよ。でも僕はっ…僕たちはDAと袂を分かったんだ、今更そっちに戻ることは今後絶対にないよ」
『咲夜…お前…』
「そろそろ千束が心配するから切るね。楠木さんには…適当に誤魔化しておいて…それじゃあ」
『あぁ…またかけるよ』
”ピィッ…プゥゥーッ…プゥゥーッ”
「……これは僕に科せられた罪なんだ。フキ…君たちまで巻き込むわけにはいかないん…」
”ガチャッ”
「咲夜…大丈夫?」
「うんっ大丈夫だよ。セーフハウスの周りにいたリリベルからの経過報告だった、何も問題はない…らしいよ」
「………」
「んっ……千束っそのリストバンドっていつからつけてたの?」
「あっ…これ?少し前に…可愛いでしょ?」
「えっ…あぁ…うんっ凄く可愛いよ」
廊下に出てきた千束に心配かけないよう嘘を伝えた僕は…千束の右腕の手首についているリストバンドに目がいきいつからつけているかを千束に聞いてみた
どうやら少し前からつけ始めたようだ。お洒落をすることに関心が戻ってきて良かったと…この時の僕はそんな楽観論で済ましていたがそれは全て間違いだということをすぐ知ることとなった
「はぁっ…はぁっ……千束っ…今日はここまでにしよう」
「うん…分かった」
「ちょっと汚れちゃったね…シャワー浴びにいこうか?」
「咲夜が先に浴びてきていいよ…私は少し休んでからにするから」
「……わかった。じゃあ行ってくるね」
その日の夜…僕と千束はベッドの上で性行為を行った。ここ最近は寝る前に必ずしている…こうすると千束が少しだけ安心して眠れるらしいから
今日は少し汚れてしまったため寝る前にシャワーを浴びることにし、僕は先に風呂場に行きシャワーヘッドから出る温かい湯を全身で浴びた
シャワーを浴び終えた僕は新しい寝間着に着替え、次に入る千束のために彼女の寝間着と下着を準備しっ寝室で待つ千束の元へ向かった……そこで僕は見てしまったっ千束がカッターの刃で自分の右手首を切っているところを
「何してるの千束!?」
”ガシッ”
「っ‼」
「こっこの傷の数……いつから?いつからやってたの?」
「………3か月前…くらいから」
「っ…リストバンドは傷を隠すためのものだったんだね」
そう…千束は自傷行為を行っていた。掴んだ千束の右手首を見るといくつもの切傷の跡が残っており見るだけでも痛々しかった
僕の目を盗んで自分の体を傷つけていた……信じられない…信じたくなかった。なんでっ…なんで君がこんなことをっ……
「どうして…どうしてこんなことをしたの?」
「…………」
「お願いっ…答えて千束っ…」
「…生きるのが…辛かったの」
「えっ!?」
「あの日…全てを失って…その恨みを晴らすために私は自分の枷を外して人の命を奪った。でもね…憎む敵がいなくなったらその後に待ってたのは悪夢だけだったっ……寝るたびに夢の中で皆が私の事を責めるのっ……
「……っ」
「こんなことになるならっ…あの時手術なんかせずに静かに死にたかった!こんな辛い目にあうくらいならっ……皆と一緒に死にたかった!けど咲夜が私のために頑張ってくれてるのにっ…私が弱音を吐いちゃダメだってっ…でもそう思えば思うほどっ…罪悪感が私を襲ってっ…自分を傷つけずにはいられなかったの‼」
「千…束っ…」
「おかしいよね…自分がやりたくて最優先でやったことの結果なのにっ……生きてることが苦しくてっ…私はっ…私はぁっ……」
「…………」
僕は…僕は大馬鹿者だ。ここまで苦しんでいた千束の気持ちに気づいてあげられなかったっ…歩み寄ることができていなかった
”静かに死にたい”…そう思っても仕方ない。たきなたちを失い…自分の生きる意味だった場所を奪われたら誰だってそう思うはずだ
でも僕は千束に死んでほしくなかった。どんなことがあったとしても千束には長生きしてこの先の未来を幸せに歩んでほしかった…だから僕は必要以上に彼女が生きるために色んなことをした
リコリコが燃えたあの日に店の中に行こうとした千束の手を掴んだ…精神疾患を患った千束を守るために過去の思い出を捨てようとした……全ては千束のためだから仕方のないことだと
けど思い返してみれば…僕は千束のこと以外に関しては軽薄だった。たきなたちが死んだときも…クルミが死んだときも…実弾でアラン機関の人間たちを殺したときも…何も感じなかった
今日に至るまで…僕は千束さえ無事なら他はどうでもよかったんだ。千束さえ生き続けてくれたのならそれだけで良いと…でもそんな僕の我儘が結果として千束を追い詰め苦しませた
挙句の果てに僕は千束をそうさせた原因が自分のせいじゃないと心の何処かで思っているのにも気づいた。千束が自分はこれからどうしたらいいかを尋ねてきた時でさえっ…自分の責任にしたくないと無意識に思い都合のいい言葉で全部千束のやりたいようにようにやらせてしまった
千束に命を奪わせ…僕自身の我欲のために死にたくても死ねない負の
僕のエゴがっ…僕の勝手な願いがっ…僕の一番大切な人を傷つけ追い詰めたっ……何が”千束を守る”だっ…何が”千束の幸せのために”だっ…全部っ…全部ぼくの自己満足だっ…無責任にっ…聞こえの良い言葉で千束を呪ってっ……僕はっ…最低な男だ‼
「……ごめん…ごめんね千束っ…全部っ…僕のせいだっ……僕が君を傷つけっ…苦しめたんだっ」
「咲夜っ…違うよ咲夜っ…私はそんなつもりじゃっ」
「いいんだよ千束…千束は優しいから……無理して僕に付き合ってくれたんだよね。本当は…ミカさんが…ミズキさんが…たきなが…クルミが待つ”向こう”に行きたかったのに」
「咲夜っ…」
「……ねぇ千束…あの日に答えられなかったこと…遅くなったけどいま答えるよ。僕もっ…僕も皆のところに行きたかったっ…けど千束が死んでしまうのが怖くてっ……そんなことっ…言えなかったっ…」
「……っ」
「会いたいっ…皆に会いたいよぉっ‼ミカさんにっ…ミズキさんにっ…たきなとクルミにっ…もう一度会いたいよぉっ……うぅぅぅっ……あぁぁぁぁーーーーっ‼」
あの日…枯れたとばかりに思っていた僕の目から涙が流れた。自責の念…後悔の念…色んな感情が巡りっ僕の心の器から全て溢れ出てきた
そんな僕の体を…歩み寄った千束が優しく抱きしめてくれた。涙を流しながら見る彼女の顔は…弱々しくもあの頃と変わらない笑顔だった
「ありがとう咲夜…そしてごめんね。いつも傍にいてくれたのは咲夜なのにっ…貴方の気持ちに気づいてあげられなくてっ」
「千束っ…」
「ねぇ咲夜。2人で一緒に…皆に会いにいかない?きっと怒られるともうけど……またみんな一緒になれるっ…だからっ」
「……僕も…皆に会えるかな?千束を傷つけた僕に…会う資格があるのかな?」
「ミズキあたりから”なに千束泣かしてんだボケェ‼”って殴られるのは覚悟した方がいいかもね…」
「……ははっ…罰にしては軽すぎるよ。けどっ…ミズキさんならきっとそうするよね」
「そうなったら私が咲夜を守るよ!なんてったって私は”元”最強のファーストリコリスなんだからっ」
「ふふっ…ありがとう千束。でもその前に…2人でやりたいことがあるんだ」
「やりたい…こと?」
「リコリコの地下室の倉庫に…将来必要になるって言ってミカさんが用意してくれたものがあるんだ。それを持って…”旧電波塔”に行こう」
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--翌日・DA司令室--
「ガンマ小隊の信号が消えました!周囲に展開中のリコリスの小隊チームの信号もLOSTしていきます‼」
「リリベル小隊の信号もLOST!皇 咲夜と錦木千束の監視チームの信号が全て途絶えました‼」
「何が起きているっ…展開中のドローンの映像は!?」
「駄目ですっ何らかのジャミングの影響で通信が繋がりません‼」
「通信の優先権限はラジアータが持ってるはずだっそれですら拒否されているのか!?」
「はいっ一方的に回線が切られていきます!これでは状況確認どころか連絡すらとることができません‼」
「馬鹿なっ…誰がっ…誰がこんなことをっ…」
「”ウォールナットの置き土産”か…さすが生身でラジアータにハッキングしただけのことはある」
「福山司令…それは一体どういう…」
「説明してる時間はない。通信の優先権をリリベル所有のAI”コンバラリア”に譲渡しろっ現場周辺はまだジャミングの影響があるがその範囲外の隊員には通信が繋がるはずだ」
「りょっ了解!」
「福山…貴様にはこの事件の主犯がわかるのか?」
「貴女にも予想がついているのではありませんか?」
「………」
「楠木司令…旧電波塔に向かってください。この事件の主犯…皇 咲夜と錦木千束はおそらくそこに向かっています」
「何故そう言い切れる?」
「お忘れですか?あそこはあの2人の”始まりの場所”なんですよ」
「っ…」
「貴女には錦木千束の最後をその眼で見届ける責任がある。この場の指揮は…私に任せていただきたい」
「………車を回せっ旧電波塔に向かう」
「わかりましたっ」
「……後のことは任せる」
「引き受けました」
”タタタタタタターーッ…”
「……都内に展開中のリコリス・リリベルの隊員につげる!現時刻を持って一時的に指揮権を楠木司令から”福山 零”に移行する‼リリベルは旧電波塔周辺の交通規制を徹底して行えっ虫一匹旧電波塔に近づけさせるな‼」
「福山司令っ旧電波塔に現時点で最も近いのはファーストリコリス・春川フキが所属するアルファ小隊となります!」
「通信を繋げっ……こちら司令部っ春川フキ聞こえるか!?」
『こちら春川っ…一体何があったんですか!?楠木司令は今どこに!?』
「楠木司令は旧電波塔に向かっている。現時点でお前が率いるアルファが旧電波塔に最も近いっ哨戒任務を放棄しすぐに旧電波塔に迎え!」
『ちょっちょっとまってください!せめて何があったかっ…訳をお聞かせください!』
「……皇 咲夜と錦木千束が消息を絶った」
『えっ!?』
「これだけ言えばファーストの君になら理解できるはずだ。命令を復唱するっ旧電波塔に向かい皇 咲夜と錦木千束を確保しろ!」
『りょっ…了解!すぐに現場に向かいます!』
”ピィッ”
「……咲夜…お前が迎える最後…ここで目に焼き付けさせてもらう」
--PM15:00・旧電波塔(最上階)--
「誰も…いないね?」
「警報鳴らして中にいた人はみんな外に逃げたからね…」
「じゃあ私と咲夜の2人だけなんだね」
「寂しい”結婚式”になっちゃうけど許してね」
「許すも何も…お姫様抱っこされてこんな可愛いウェディングドレス着せてもらったんだよ?寧ろありがとうって…声を大にして叫びたいよ」
「ミカさんが用意してくれた世界に1つしかない千束のウェディングドレスだからね……凄く似合ってるよ」
「綺麗だろぉ?」
「うん…綺麗だよ千束…こんな可愛い奥さんを貰えて…僕は幸せだよ////」
旧電波塔の最上階…外を見れば新たな電波塔である延空木が見える場所に咲夜と純白のウェディングドレスを身に纏った千束がいた
そう…咲夜が千束と一緒に最後にやりたいこと…それは結婚式だった。生前にミカも…いつか千束は咲夜と結ばれると予想していたようで、振袖と同じように成長した時の千束に合わせてウェディングドレスも特注で用意していたのである
リコリコの地下室にそれを保管していたことを覚えていた咲夜は自分たちを監視していたリリベルとリコリスの隊員を非殺傷弾を使い無力化した後、千束を車に乗せリコリコに寄り道した時にそのドレスを持ち旧電波塔に訪れたのだった
「牧師さんがいないけど…誓いの言葉くらいならお互いに言い合えるよね」
「そだね……それじゃ始めようかっみんなが来ちゃう前に」
「うん…そうだね」
咲夜は地面にゆっくりと千束をおろし、彼女の両手を握りしめながら向かい合うように立ち本物の結婚式の様にお互いを見つめ合った
「私は…錦木千束さんを生涯愛し…どのようなときでも笑顔でいてくれるよう守り続けることを誓います」
「私は皇 咲夜さんを生涯愛し…どのようなときでも温かい心でもって支え続けることを誓います」
「「本日の誓いを胸に……助け合い…喜び合い…どのようなことも分かち合いながら生涯をふたりで歩んでいくことを誓います」」
お互いに誓いの言葉を言ったのち2人はお互いに唇を近づけ誓いのキスをした。沈み始めた陽の灯りがそんな2人を照らし…幻想的な空間を旧電波塔にもたらしてくれた
そして誓いのキスを終えた咲夜と千束はその場に座り込み、今度はお互いの存在を確かめ合うように抱きしめあい…改めてお互いの気持ちを伝えた
「愛してる…愛してる千束っ…昔も…今も…そしてこれからもっ」
「私もっ…私も咲夜のこと愛してるっ…最後までっ…私の傍にいてくれてっ…ありがとうっ」
「っ……」
「ぐすっ…それじゃぁっ…そろそろ向こうに行くとしましょうか♪」
「っ……うんっ…わかったよ…千束」
咲夜はそう言って立ち上がり腰に挿していたベレッタM9に実弾のマガジンを入れスライドを一度引き、薬室内に実弾の弾丸を装填させ千束に銃口を向ける
銃を持つ咲夜の右手は…酷く震えていた。今から最愛の人の命を奪う…覚悟していたとしてもその恐怖は何ものにも例えられない怖さに違いない
「……っ…っ…」
「咲夜……もし…もし叶うならさ…来世でも会えると良いね♪そこで会ったら…今度こそ皆に祝福されながら誰もが羨ましがるっ…めっちゃ素敵な結婚式やろうね♪」
「……なんでっ……なんで最後の最後にっ…そんなこと言うんだよっ……」
「へへへっ…ごめんね…咲夜」
「っ……千束…僕も願う。来世があるなら必ず君を見つける……だから…それまで待っててくれるかな?」
「待つよっ…おばさんになってもっ…おばあちゃんになってもっ…咲夜のことっ…いつまでも待ってるからっ」
「……ありがとう千束っ」
「また…会おうね」
”バァァァーンッ……ドサッ”
「……うあぁぁぁーっ……あぁぁぁぁーーーーっ……ああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ‼」
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--PM16:00・旧電波塔(最上階)--
「……クリアっす先輩!」
「よしっ…突入だ‼」
夕焼けの陽の光が照らす旧電波塔…その最上階に春川フキが率いるリコリス小隊が到着しエレベーターから降り最上階内に展開した
「各員っ皇 咲夜と錦木千束を探せ!司令部の情報ではこの旧電波塔の最上階にいるとのことだ」
「「「了解っ」」」
フキは各隊員に再度命令し銃を両手で構えながら旧電波塔の最上階を歩き進めた。静寂というのが相応しいほどに静かで荒れ果てていた室内…進み続けるフキはそんな光景を見てどこか不安気だった
そしてしばらくすると…見知った髪形のフォルムが視界に入り、それが皇 咲夜だと認識するのにさほど時間はかからなかった
「咲夜っ…こちらアルファ1ッ皇 咲夜を視認しました!これより接触し確保に入ります!」
『フキッ楠木だ!咲夜の傍に千束はいるか!?』
「楠木司令!?…これから確認しますっしばしお待ちを」
”タタタタタタターーーッ”
「咲夜ぁ!お前こんなところでなに…を……」
「…………やぁフキ…やっと来たんだね」
「おっおいっ……おっ…お前が抱いてるそいつはまさかっ…」
「うん…千束だよ。もう…向こうに行っちゃったけどね」
「おっ…お前がっ……お前が千束を殺したのか!?お前がっ…千束をっ…」
「そうだよ……僕が…僕が千束を殺した」
「っ‼」
虚ろな目にたくさん泣いたと思われる腫れた涙袋…それでも微笑みながらフキの方に顔を向けた咲夜。そんな彼が抱きしめていたのは…頭を撃たれ事が切れていた千束がいた
かつてのパートナーの変わり果てた姿を見たフキは驚愕し…持っていた銃をその場に落としてしまうほど動揺していた
「なっ…なんでだよ…なんでなんだよ!?なんでお前が千束を殺さなきゃならねぇんだよ!?2人で一緒に生きていくってっ…決めたんじゃなかったのかよ!?」
「そんな僕の
「はぁっ!?」
「僕だけじゃ…僕だけじゃ駄目だったんだ……千束の傷ついた心を癒すためには……皆の存在が必要だった…なのに僕はあの日っみすみすその命を見捨てた……千束に固執するあまり…千束にとって何が必要だったかがわからなくなってたんだ」
「………」
「フキ…確かに僕は何人かの命を救いはしたかもしれない。けど同時に僕は無意識のうちに命の選定をしていたんだ、千束の命を最優先に…その次は誰かって具合に……その結果っ僕は千束にとって大切な人たちを彼女から奪ってしまった。僕って……本当にバカだよね?」
「咲…夜っ…お前っ…」
「さて…お喋りの時間はここまでにしよう。フキ…最後に話せたのが君で良かった」
”カチャッ”
「おっおいお前‼」
「千束…少し遅くなったけど僕もそっちに行く。たきな…クルミ…ミズキさん…ミカさん…叶うことならもう一度っあなたたちに会いたいな」
「咲夜ぁ!止めっ」
”バァァァーンッ……ドサッ”
「っ!……おっおい…咲夜?」
「…………」
「なんだよっ……なんなんだよこれはぁぁぁぁぁーーーっ!?」
”ピピッ”
『フキッいま旧電波塔に到着した!咲夜は!?千束は!?無事なのか!?』
「……皇 咲夜…錦木千束両名…死亡を確認っ…しましたっ」
『っ!?』
「咲夜がっ…あたしの目の前でっ……自害っ…しました!」
『……遅かったのか…何もかも』
「っ……くそったれがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ‼」
”ピィィィーー…”
「っ!?」
「にっ錦木千束に続き…皇 咲夜のシグナルLOST…」
「アルファ1ッ現場の状況を報告しろ!咲夜はっ…千束はどうなった!?」
『ぐぅぅっ……うぅぅっ……』
「っ……そうか…各員警戒態勢解除。現時刻を持って…本作戦を終了とする」
「福山司令…」
「(神よ…どうしてあの子たちばかりにこんな試練を……人の幸せを奪う権利がっ…あなたたちにはあるというのか!?)」
「ふざけんなぁっふざけんなふざけんなぁぁぁーーっ‼なんでっ…なんでこいつらが死ななきゃならねぇんだよっ…こいつらはただっ…普通に生きたかっただけなんだぞぉぉぉーーーっ‼」
「先輩……くそっ」
「千束…さん…」
「なんで…どうしてこんなことになったのよっ…」
「…………(咲夜…呪うなら私を呪ってくれ。千束…こんな形でお前の花嫁衣裳を見たくはなかった……本当に…本当にすまなかった)」
「咲夜ぁっ…千束ぉっ……恨んでやる!こいつらの命を奪ったこの世界をっあたしは恨んでやるぅぅぅぅ‼」
皇 咲夜と錦木千束の体を抱きながらフキは叫んだ。誰よりも2人の未来を楽しみにしていたフキが…彼らの死を悲しみそんな2人の命を理不尽に奪った世界に怒りを向けた
こうして…咲夜と千束の2人が起こした事件は幕を閉じた。彼らの死が…この世界の行く末を少しでも変える切っ掛けになることを祈り…司令室にいた福山 零は静かに涙を流したのだった
まず一言…すげぇ長くなってしまってすみませんでした!もう少し足したいとこはあったんですが次に行けなくなりそうだったのでこんな感じにしました。
うん…辛いっ書いてて辛かった!もしかしたら本編もこんなことが起きる可能性だってあった訳ですものね…この長さで前編ですから残り2部も大変になりそうですはい。
して次回の中編は……出来上がってからのお楽しみということで。それでは長いことお付き合いくださいましてありがとうございます!
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トランクス事件のその後のお話
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千束orたきなが誤ってお酒を飲んだお話
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オリキャラから語られる咲夜の過去のお話
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ヤンデレの続きのお話