俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第百七話:【凍結】

 やる気が出ない。相手が相手なせいで、マジでやりたくない。

 

「私のターン。スタートフェイズ」

 

 あっ、先攻は音無(おとなし)先輩か。

 先輩のデッキは少し特殊だから余計に相手したくないんだよな。

 

「メインフェイズ。私は〈スノー・シープ〉と〈ザ・スノーマン〉を召喚」

 

 音無先輩の場に、雪に包まれた羊と、巨大な雪だるま型モンスターが召喚された。

 

〈スノー・シープ〉P3000 ヒット1

〈ザ・スノーマン〉P4000 ヒット1

 

 見た目は可愛らしいんだけど……やだよぉ。

 

「私はこれでターンエンド」

 

 音無ツララ:ライフ10 手札3枚

 場:〈スノー・シープ〉〈ザ・スノーマン〉

 

 ターンは回ってきたけど……滅茶苦茶イヤな盤面を作られた。

 嫌だなぁ、モンスター召喚したくないなぁ。

 

「俺のターン……スタートフェイズ。ドローフェイズ」

 

 ツルギ:手札5枚→6枚

 

 とりあえずドローするけど、あまり良いカードは無いな。

 出来ればダメージ覚悟で何もせずターンエンドしたいけど。

 どうせアレでしょ。俺が動かないと先輩も動かないから、何も進まないってパターンでしょ。

 やるしかないか。

 

「メインフェイズ……〈トリオ・スライム〉を召喚」

 

 俺の場にお馴染みのスライムが召喚される。

 

〈トリオ・スライム〉P1000 ヒット1

 

「効果で2枚目の〈トリオ・スライム〉を手札に加えて召喚。更に効果で3枚目を手札に加えて召喚」

 

 俺の場に3体揃うスライム。

 一応ここまでは通るみたいだな。

 ならとりあえず魔法だけでも使わせていただきますか。

 

「魔法カード〈ザ・トリオドロー〉を発動。同名モンスターが3体いるので、カードを3枚ドロー」

 

 ツルギ:手札4枚→7枚

 

 ドローはできた。手札は増やせたんだけど……向こうもそろそろ動きそうだな。

 

「この瞬間〈スノー・シープ〉の効果発動」

 

 ほら来た。

 

「〈スノー・シープ〉を疲労させる事で、相手モンスターを1体選んで【凍結】状態にする。私は〈トリオ・スライム〉(C)を【凍結】!」

 

 スノー・シープの口から放たれた冷気浴びて、俺の場のスライムが1体、カチコチと氷漬けになってしまった。

 

「えっ、なにアレ!? モンスターが凍っちゃった」

「アレが音無先輩の戦いかた。相手モンスターを次々に凍らせてしまう」

 

 観戦中の藍がわかりやすく驚いているな。

 流石に九頭竜さんは初見ではないらしいけど、解説が言葉足らずだ。

 

 音無ツララが使う系統は【氷霊(ひょうれい)】。

 その最大の特徴は相手モンスターを【凍結】という特殊な状態にしてしまう事だ。

 立体映像の演出的にはモンスターが氷漬けになっているけど、実際のカード処理やルールはこんな感じ。

 ・【凍結】状態になったモンスターは裏向きになる。

 ・【凍結】状態のモンスターは攻撃もブロックもできず、効果は無効化され、進化素材にできない。

 ・【凍結】したモンスターは、そのターンの終了時に元に戻る。

 ……要するにルールも相手するのも面倒くさいって事だ。

 で、今俺の場のスライムが1体【凍結】した訳だけど。

 

「相手モンスターが【凍結】した事で〈ザ・スノーマン〉の効果発動。〈トリオ・スライム〉(B)を【凍結】!」

 

 雪だるまモンスターが雪玉を投げつけると、更にスライムが氷漬けになってしまった。

 こういう連鎖【凍結】があるから面倒なんだよ!

 いきなり2体【凍結】とかやめてくれよな。

 しかも何が厄介って、【凍結】状態のモンスターは場に残るから実質盤面ロックにもなっている事だよ!

 

(本当に面倒な事を……)

 

 だが愚痴っても仕方ない。

 今はあまり派手に動きたくはないけど、最低限やるべき事はやっておこう。

 

「〈トリオ・スライム〉(A)を素材にして〈ジャバウォック〉を進化召喚!」

 

 スライムが魔法陣に飲み込まれて、新たに黒いドラゴンへと姿を変えた。

 

〈ジャバウォック〉P8000 ヒット3

 

 コイツなら除去されても1枚ドローできるから、良い繋ぎになってくれるだろう。

 問題はこの後どう動くなんだけど……

 

「一応攻撃しとくか。アタックフェイズ。〈ジャバウォック〉で攻撃!」

 

 黒いドラゴンが咆哮を上げて音無先輩に襲いかかる。

 ダメージが通ればラッキーなんだけど。

 

「魔法カード〈氷河の牢獄〉を発動。攻撃中の〈ジャバウォック〉を【凍結】!」

 

 そう簡単にはいかないか。

 魔法カードの効果によって、ジャバウォックはその巨体を丸々氷漬けにされてしまった。

 攻撃中に【凍結】されてしまった場合、その攻撃は中止となる。

 しかもあの魔法カードは……

 

「〈氷河の牢獄〉の追加効果。私の場に系統:《氷霊》を持つモンスターが存在するなら、相手に1点のダメージを与える」

 

 すると音無先輩の手に氷の塊が出現して……

 先輩はソレを俺に全力投球してきた。

 

「うわ危なっ!?」

 

 立体映像とはいえ、バスケットボールくらい大きさはある氷塊を投げつけるな!

 びっくりするでしょ!

 

 ツルギ:ライフ10→9

 

 食らっておいて何だけど、絶対これ1点程度で済む攻撃じゃないよな。

 

「去勢……藍たんに近づく男は……ジワジワと、去勢して……生ゴミの日に捨てる」

 

 殺意がスゴい。

 クールな氷系とはかけ離れたダークネスに堕ちてる。

 助けておまわりさん、コレを相手したく無いです。

 あとブツブツ言ってるけど、俺は去勢というワードを聞き逃さなかったからな。

 ウチの息子は必ず守るからな!

 

「スゴい……氷帝がツルギ相手に全力投球してる」

「あんな音無先輩はじめて見た。それだけ天川君の実力を認めてるんだろうね」

「でも先輩が負けたらアレなんでしょ?」

「天川君が悪趣味じゃなければなぁ……」

 

 俺に対する風評被害が酷い。

 あと君らはもう少し近づいて観戦してくれないかな?

 具体的には音無先輩の言葉が聞き取れるくらいの距離で。

 この狂気を俺だけに任せるな原作主人公ども。

 

「……アタックフェイズを終了」

「アタックフェイズ終了時に魔法カード〈アイスエイジ・ドロー〉を発動。【凍結】状態の相手モンスターの数だけドローするわ」

 

 うわ出た便利魔法。

 どうせ【凍結】特化の構築だからいくらでもドローできるもんな。

 しかも今【凍結】してる俺のモンスターは3体だから3枚ドローだもんな。

 ドローパワーがふざけ過ぎてるだろ。

 

 音無ツララ:手札1枚→4枚

 

最愛(藍たん)に見られている今の私は……誰にも負けない」

「そうですか。なら俺を解放してください」

「嫌よ。まだ見ぬ大秘宝(ワンピース)のために、私は諦めないわ」

「今すぐ船から降りてしまえ」

「清楚系ワンピース藍たん……フヒヒ」

 

 どうすればこの人止まるんだよ。

 助けてよ、後ろで見てるだけの原作キャラ2名。

 

「スゴいドローだったね〜」

「うん。アレが二年生の実力」

 

 呑気にガールズトークしてんじゃねーぞ。

 あと君らは人の事言えないからな?

 人の事を何一つ言えないドローパワーだからな!?

 

「孤独は本当に人を強くするのだろうか……ターンエンド」

 

 ターンを終了したので【凍結】していた2体のスライムも元に戻る。

 とは言っても、どうせ次のターンにまた【凍結】するんだろうけどな。

 

 ツルギ:ライフ9 手札6枚

 場:〈トリオ・スライム〉B〈トリオ・スライム〉C〈ジャバウォック〉

 

「音無先輩……やっぱり無いモノねだりは良くないと思うんですけど」

「人の夢は終わらないのよ」

「俺はそういう画像を持ってないって言ってんの!」

「ありえないわ。貴方も健全な高校生男子なら、スマホの画像フォルダには同級生の秘蔵写真が溢れる程あるでしょ」

「アンタは高校生男子にどんな偏見を持ってんだ。ある訳ないだろ」

「言い訳は不要よ。だからこそ私は負けた時の条件に自分の身体を差し出したのだから」

「心底迷惑です」

 

 そういう趣味は無いって言ってるだろうに。

 なんで人の話を聞かないんだこの女は。

 

「ねぇ藍。男子のスマホってそうなのかな? エッチなお宝画像の山」

「うぇ!? ちょ……ちょっとアタシには分からないかな〜?」

「藍のスマホはどうなの? お宝画像とか」

「ア、アタシのスマホは健全だから! エッチな画像とか無いよ! あるのは普通の写真だけ!」

「……あっ、合宿の時の写真」

「真波ちゃんとのツーショットだよ〜」

 

 お願いです原作キャラ様、ガールズトークに花を咲かせるより先に、この不審者をどうにかしてください。

 見ろよ音無先輩の顔を。

 藍のスマホに色々と写真があると知って顔面の穴という穴から血を流し始めているぞ。

 もうあれ人の領域を超えてるし、頼むから誰かモザイクをかけてくれ。

 直視したらおかしくなりそうだ。

 

「あの……音無先輩?」

「たとえ我が身が汚されようとも、藍たんへの愛のためなら……」

「だから身体とか要らないって言ってるだろ」

「なっ!?」

 

 あっ、やっと話が通じた。

 

「私の身体じゃ物足りないって言うの!?」

 

 前言撤回。通じてなかった。

 

「天川君、女子対してそれは……」

「ツルギくん、ちょっとデリカシーが足りてないかなーって思うの」

 

 えっ、俺が悪いの?

 この流れで俺が悪いの?

 理不尽じゃないかな?

 

「コレでも……スタイルには、自信があったのに」

「スタイルの前に倫理観を気にしてくれ」

 

 そしてさっさとターンを開始してくれ。

 俺は早急に教室帰りたいんだ。

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