俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第二百五十七話:漫研戦役

 自分の教室を出て、他の屋内展示の様子を見に行く。

 やっぱりと言うべきか、予想通り早乙女さんはついてくる。

 流石にもう諦めて、大人しく未来の後輩に校内を案内してやろう。

 

「コスモちゃん、よくあの問題を一発クリアできましたね〜」

「えへへ〜。最推しのソラちゃ――じゃなかった、赤翼(あかばね)センパイに追いつきたくて頑張っちゃいました★」

「そ、そうなんですか……えへへ〜」

 

 振り返らなくても分かる。

 今のソラは絶対に嬉しさを隠しきれないニヤニヤ顔だ。

 実際、最初に会った時もソラの事に言及していたし、使っているデッキも型は違えど【聖天使】だし。

 早乙女さん、本当にソラに憧れているんだな。

 

「ニヤけたソラちゃん……じゃなかった、赤翼センパイきゃわ〜★」

「えへへ〜、別に畏まった呼び方じゃなくていいですよ〜」

「ホント? やったー、公式の許可ゲットー!」

 

 少し前まであった圧と圧のぶつかり合う空気は何処へやら。

 一応打ち解けてくれたようで、俺としては安心できる。

 あとは変な注目が向けられなければ最高だ……俺がな。

 

「ねぇねぇソラちゃんセンパイ。次はどこ行くの?」

「次は漫画研究会ですね。よくある部活動内で作った漫画の展示だって聞いています」

聖徳寺(しょうとくじ)学園って、イラストレーターとかテキストライター志望の人も集まりますもんね〜♪ コスモもうドキドキしてきた★」

 

 というわけで次は例のアレを放置している漫画研究会に行きます。

 この学校はAやSといった上位クラスのように、ひたすらファイターとして研鑽を積む人間の方が多い。

 しかし早乙女さんの言うように、試合での強さ以外を伸ばす者達もいる。

 そんな彼らの進路希望はカードのイラストレーターや、世界観構築をするテキストライターなど。

 所謂カードデザインに関する仕事だ。

 

「過去には漫画研究会に在籍していた人が、卒業後UFコーポレーションの関連企業に就職して専属イラストレーターになったという話も何件かあるそうです」

「ウチの漫研って美術部も兼ねている側面があるからなぁ。他にも経済系の授業を取っていた生徒は、卒業後に起業してカードショップ始めるなんて話もよく聞く」

 

 実際そういう授業の一環として、この文化祭ではレアカードのオークションやオリパ専門の模擬店なんかがある。

 経済の実践演習のようなものなんだろうけど、実際どのくらい有益なのかは俺もよく知らない。

 

「さてと、もうすぐ漫研の部室なわけだが……」

 

 既になにか争っている声が聞こえてくるなぁ。

 しかも絶対にしょうもない争いとみた。

 

「ソラぁ、ちょっと俺だけ先に行ってくる」

「じゃあ私達はちょっとゆっくり歩いて行きます」

 

 というわけでソラに早乙女さんを任せて、俺は駆け足気味に漫研の部室へと向かった。

 

「なぜ『おねショタ本』と称して『ショタがいじめっ子からお姉さんを寝取られる本』を描いた! これでは読者の脳が破壊されて情緒不安定になる。癖の冬がくるぞ」

「漫研に属する者は自分達の事しか考えていない。あといじめっ子の末路はあとがきに記しただろ!」

「あとがきで罰を与えようなどと!」

「この私が、新たな性癖の扉を開けてやろうというのだ!」

「歯ぁ喰い縛れ! そんな性癖、修正してやる!」

「グアっクス!? ……これが、純愛か」

 

 介入たくないなぁ……もうコイツらにまとめてメテオ落としても許されるよな?

 もうカード使った武力介入なら許されるよな?

 

「おいそこのアホども。そのふざけた頭にメテオ落とされたくなかったら……分かってるよな?」

「ひえっ」

「ぎゃ、逆襲の余地は?」

「あるわけねーだろ、テメーを目標にして駆逐するぞ。それともここで俺とセンチメンタリズムな運命でも感じるか? デッキ抜いてよぉ」

 

 ここまで言えば分かってくれたようで。

 馬鹿な争いをしていた漫研の男どもは即座に「大変申し訳ありませんでした」と言って土下座をしてきた。

 分かってくれれば良いんだ、分かってくれれば。

 

「ったく。とりあえずその本は頒布中止な」

「な、なぜ!?」

「文化祭でド直球エロ同人誌を出していいわけねーだろ!」

 

 というわけで、明らかにアウトな『NTR本』は頒布禁止命令を出します。

 内容はアレでも画力は間違いなく高いのが妙に腹立つな。

 これで終われば良いと思いつつ、この漫研という組織も一枚岩ではない。

 男子が終われば次は女子だ。

 

「して……ころして……殺して……」

「だからナマモノ本はよしなさいって言ったのよ! あとカプ算の順番が逆よ」

「ハァァ!? それ言い出したら戦争でしょーが! デッキ抜けや【///聞くに耐えない罵詈雑言///】女ァァァ!」

 

 こっちも争ってやがる。

 つーかナマモノ本ってなんだよ。殺してとか嘆きの声まで聞こえたけど。

 そんな事を思いながら漫研女子のやっている場所に近づくと……

 

「わぁ……エッチだぁ」

「えっ、これ、先生が財前くんのお兄さんと……えぇ!?」

「見とうなかった……兄のBL本なんぞ、見とうなかった」

 

 (まい)ちゃん智代(ちよ)ちゃん、そして卯月(うづき)

 女子中学生三人組と再会できたぞ。こんな場所で再会しても気まずいだけだぞド畜生。

 

「いやオイちょっと待て。聞き間違いじゃなけりゃ俺と財前でそういう本を!?」

「え!? それは、そのぉ……たまたまですよー、何故かたまたま偶然100%そっくりなキャラが出ているだけなのでー」

「自白と判断するぞ」

 

 思わず頒布していた漫研の女子を問い詰めてしまう。

 つーかそのカップリングのどこに需要があるんだよ!

 絶対にないだろ、誰得なんだよそのナマモノBL本!

 

「あの、この『STG(しょうとくじ)学園イケ筋男子ハダカ記念日』って本、1部ください」

「ください★」

「コピ本なので200円です」

 

 なんか別の本が俺の近くで売れていったんだけど。

 聞き間違いじゃなけりゃ凄まじいタイトルの本だったけど……つーか購入したのソラと早乙女さんかよ。

 そのタイトルのどこに購買意欲が出たんだよ。

 

「とりあえずこのBL本は本人権限で頒布禁止ね」

「そ、そんなぁ……」

「あとそこのコピ本も中身を確認させ――」

「大人しく頒布禁止札を貰い受けます」

「よーし素直だな。じゃあ手が空いたんだからテメーらが磔にしたバカをさっさと回収してこい。邪魔なんだよ、景観のよぉ」

 

 即席で作った頒布禁止札を長机に貼り付けながら、俺は漫研の面々に指示を出す。

 どうやら様子からして、完全に回収を忘れていただけらしい。

 迷惑な話だ。

 

「ところで、あんなデカい十字架どこにあったんだ? 倉庫か?」

「えっ、アレなら昨日から既に置かれてたやつですけど」

「……漫研が用意したヤツじゃないのか?」

「違います。ちょうどいい十字架で、頑丈だったから使っただけです」

 

 マジで誰だよあの十字架置いたやつ。

 バカの回収が終わったら、後で設置者探さないとな。

 そんな事を考えながら、バカの回収に向かう漫研の背を見届ける。

 とりあえずここのトラブルはこれで大丈夫だろう。

 人の少なくなった漫研の部室でそう思いながら、俺は自分の知り合い達の方へ目を向けてみると……

 

「きゃぁぁぁ、もしかしてCHIYOちゃん!? コスモ何回か配信みたよー★」

「えっ、コスモちゃんに認知されてた? えっ、なにが起きたの? 今日が私の命日?」

「ねぇねぇ、今度コスモとコラボ配信しない? コスモ的にもめーっちゃやりたい★」

幻想(ユメ)? そうだ、きっと幻想なんだ。だってこんな急に人生の黄金時代(オウゴン)がやってくるはずないもんね」

 

 早乙女さんが智代ちゃんに絡んでいた。

 というか早乙女さん、智代ちゃんの事知ってたんだ。

 だけどね、その辺にしてあげてね。

 智代ちゃんがあまりの出来事に魂抜けちゃってるから。

 

「CHIYOちゃん、SNSにツーショ載せていい?」

「ふぇ!? は、はい」

「ありがとう♪ じゃあ撮るよー、はいチーズ★」

「い、いえ〜い」

「えへへ〜『文化祭でCHIYOちゃんとエンゲージ』っと」

 

 早乙女さんも大概マイペースな子だなぁ。

 トントン拍子で写真撮ってSNSに上げてる。

 あと智代ちゃんが完全に真っ白になっているから気づいてあげて。

 

「卯月〜、あれ智代ちゃん大丈夫だと思うか?」

「大丈夫、じゃないでしょうか……」

「どうした卯月、言葉遣いが変だぞ」

「見たくもない実兄のBLを見てしまった妹の気持ちにもなれ!」

 

 それは……心中お察しします。

 

「それと、多分アレは大丈夫じゃないと思う」

「やっぱり? どう見ても真っ白になってるよな?」

「この状況下で智代が配信テンションにすらなれないって、相当キャパオーバー起こしてるよ。SNSまで繋がったっぽいし……というかお兄、なんで早乙女コスモと一緒にいんの!?」

「色々あった。懐かれた」

「えぇ……クラスメイト、アイドルと続いて今度は年下配信者に毒牙を? 本当に刺されるのだけはやめてよ」

 

 毒牙とはなんだ、刺されるような事はしてないって。

 なんで誰も彼も俺がハーレム野望を持っているかのように言うんだ。

 俺はラブコメでも一対一ものが好きなくらいなんだぞ。

 だからそんな冷め切った目で兄を見るな、泣くぞ。

 

「あれ? そういえばソラは……」

「ソラさんならそこで舞と一緒にいるけど」

 

 そう言って卯月が指差す先には、確かにソラと舞ちゃんがいた。

 漫研部室の隅っこで、屋外エリアの模擬店(甘味がメイン)について語り合っている。

 あの二人も食という繋がりがあるから仲良いんだよな。

 

「ぷひゅ〜」

 

 あっ、とうとう智代ちゃんが倒れちゃった。

 

「わー!? 智代ちゃんだいじょーぶ!?」

「あー、ついに倒れたか……お兄」

「イエスマム。保健室までご案内します」

 

 舞ちゃんや卯月に手伝ってもらい、俺は智代ちゃんをおぶる。

 保健室が比較的近い場所で本当によかった。

 

「あー、悪いソラ。智代ちゃんを保健室に連れてくから、早乙女さんの事頼む」

「はい……えっ?」

 

 申し訳ないけど、一時的に早乙女さんをソラに任せる。

 まぁあの子的には一番の推しであるソラと二人きりなら、色々と話もできて嬉しいだろう。

 

「終わったら連絡入れるから、適当に回っててくれ」

「えっツルギくん!?」

「はーい♪ ソラちゃんセンパイと待ってまーす★」

 

 よし、早乙女さんが了承してくれたなら大丈夫だろ。

 というわけで俺は智代ちゃんを保健室に連れて行きます。

 

 

 

 

 

 

 

「行っちゃいました……」

「二人きりですね、ソラちゃんセンパイ★」

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