俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第二百六十七話:防御陣形、開始

 人数は予定だと2人。

 実際には目に見える範囲で6人ってところか。

 全員が爆弾に連動した召喚器を持っているとは思いたくないけれど、警戒するに越したことはない。

 だがそれはそれとして……

 

(かなで)先輩。旧評議会補佐って真ん中陣取ってる2人で合ってましたよね?」

「その通りです。残りは補佐ですらない単なる雑兵かと」

「あ〜……連合なんて名乗っているし、口車に乗せられて憎悪に飲み込まれたって感じかな?」

 

 だったら奏先輩や禰津海(ねずみ)さんが苦戦する事はないだろう。

 

「先輩と禰津海さんは雑魚の皆様を任せたいんですけど……2対1は自信ないですか?」

虹帝(こうてい)……ボクは問題ありませんよ」

「ティ、ティアナもいけますぅ」

 

 返事よし。

 禰津海さんがプルプル震えているけど、とりあえず良し!

 なら俺は安心して本命を狩りにいける。

 

六帝(りくてい)評議会補佐、財前小太郎。命を受けてお前達を返り討ちにしに来た」

 

 だから財前、お前は早いんだって!

 最初にそういうセリフ言うのは俺に譲ってくれよ!

 しかもちゃっかり旧評議会補佐の1人に挑みに行ってるし、アイツ原作アニメだとちょい役だったけど敵キャラだし。

 ……まぁ俺もどっちかは財前に頼もうと思っていたから、言うほど問題ないんだけどさ。

 なんかペースが崩された感じがするけど、俺も俺で賊のお相手をするとしましょう。

 

「ほう、序列第2位が来てくれたのか」

 

 俺がファイトステージに立つと、向かい側に立っている大柄な男は偉そうにそう言い放ってくる。

 まるで武人のように仁王立ちしているけど、お前は真逆の存在だろうに。

 なぁ……政誠司の手駒、富屋(とみや)泰造(たいぞう)さんよ。

 

「帝王をご指名らしいからな。来てやったぞ」

「そうでなくては……だがアチラは補佐のようだが?」

「帝王全員が己の責任で決めた代行者だ。不満か?」

「……まぁ良いだろう。貴様らから玉座を奪取し、我々の手で政帝の後継者を選出する!」

 

 意気揚々というか、自分の言葉に酔っているというか。

 原作で見た通り、我こそが正義と信じて疑っていないタイプだなこれは。

 あれじゃあ爆弾を仕掛けた事すら大義と思っているだろうし、まともな話し合いは無理だろう。

 だから原作アニメじゃ藍にボコボコにされて、こっちじゃ大した活躍もなく補佐から除籍されるんだ。

 

「【反評議会連合】富屋泰造! 政帝の意志を継ぎ、ここで貴様を討ち取る!」

「そうか……アレの意志なんて言うんなら、最後に容赦はしなくて良いんだな」

 

 話の通じない相手には、カードを以って言語の代わりとしよう。

 あとお前の除籍は政帝派云々とは関係なく、普通に余罪が発覚したからだからな。

 

「六帝評議会序列第2位【虹帝】天川(てんかわ)ツルギ。首を狩りたいなら好きにしろ。俺は帝王としてお前の悉くを叩き潰してやる」

 

 口上なんてこれでいい。あとはカードで語ればいいんだ。

 他の3人も既に召喚器を起動させてファイトの準備を完了させている。

 すると向こうから俺の召喚器に勝負を挑んできた。

 

「聖戦を、始めさせてもらおう」

「残念だけどその神話、面白くないぞ」

 

 恐らく他の場所でも今頃、戦いが始まっているだろう。

 なら俺たちも計画通りに戦うだけだ。

 

「「「サモンファイト! レディー、ゴー!」」」

 

 そして俺達の戦いが始まる。

 流石に連合の面々に、俺達の思惑はバレていないだろう。

 だけど異質さに関しては遠からず気付かれてしまう筈だ。

 

「メインフェイズ。俺はライフを2点支払って〈ジェット・デリーター〉を召喚」

 

 ツルギ:ライフ10→8

 

 まず場に召喚されたのは、黒い毛皮に覆われた、一つ目の牛型モンスター。

 まずは墓地にカードを落として、必要なパーツを揃える。

 

〈ジェット・デリーター〉P6000 ヒット0

 

「召喚時効果を発動——」

「ライフコストを……支払ったな?」

 

 召喚時効果を発動しようとした瞬間、突然富屋はコストの支払いを確認してきた。

 このタイミングでライフコストの支払いを参照するカードか……そういえばコイツの切り札は、そういうカードだったな。

 相手のライフコスト支払いが召喚条件になっている、サモンの中でも珍しいSRモンスター。

 

「コイツの召喚条件は相手がコストでライフを支払った、もしくはコストで手札を捨てた時である事……オレは今貴様が召喚した〈ジェット・デリーター〉をコストで破壊!」

 

 呆気なくコストによって破壊されてしまう、一つ目の牛型モンスター。

 

「汝は強欲の血族。罪深き愚か者より徴税せよ、金色の悪魔! 来いッ〈【(ちょう)重税省(じゅうぜいしょう)大頭(おおがしら)】マモン・ゼロドール〉!」

 

 そして富屋の場に召喚されたのは、身体の一部が黄金と化している醜い悪魔。

 金貨の詰まった頭陀袋のようにブクブクと太った腹や身体は、まさに強欲や拝金主義を連想させてくるようだった。

 

〈【超重税省大頭】マモン・ゼロドール〉P10000 ヒット3

 

 さて。コストでモンスターは破壊されてしまったけど、効果が無効化された訳じゃない。

 だから〈ジェット・デリーター〉の召喚時効果は問題なく発動する。

 

「手札からモンスターカードを1枚捨てる事で、自分のデッキを上から5枚破棄する」

 

 墓地に落ちたカードを確認し、必要なパーツが揃い始めた事を把握する。

 さらに効果で手札から捨てた〈ラリマーの海獣〉の効果で1枚ドロー。これで手札ロスも最小限だ。

 

(それはそうとして……〈マモン・ゼロドール〉を出してきたという事は、良くも悪くも原作通りって事か)

 

 富屋が使っているのは【銭鬼(せんき)】というデッキ。

 系統:《銭鬼》は特定の行動を条件にして発動する【課税】という専用能力が売りだ。

 発動条件となる行動はカード毎に異なるが、【課税】最大の特徴は2点のライフコストを支払えば、相手はそれを無効にできるというもの。

 

(しかもあの〈マモン・ゼロドール〉は、場に存在する限り【課税】によって支払うライフコストを1点増やしてくる)

 

 だけどそれは、言い換えればコスト支払いの選択権も俺にあるという事。

 アチラとしてはジワジワと追い詰めてやるつもりなのだろうけど、今回に限っては逆効果だ。

 ライフの支払いができるという事は、自分のライフを調整できるという事だからな。

 

(とはいえ、いつも通りにライフ調整をするわけにはいかない)

 

 迂闊にライフを減らせば時間稼ぎがし難くなる。

 あくまで便利な選択肢を出してもらえたと考えて……わざわざSRを出してくれたんだ、こちらも新しいSRで応じなければ無作法というもの。

 

「コストで手札を1枚捨てて、墓地から系統:《幻想獣》のカードを2枚除外」

 

 さぁ、解放編のお披露目だ。

 

「アームドカード〈【幻想剣】カリバーン〉を顕現!」

 

 ゲートが開き、一振りの剣が俺の場に突き刺さる。

 金色の刃、鍔には紅い宝玉が一つ輝いている。

 SRのカードが双方の場に現れた。それも俺の場に出たのは、まだまだ珍しいアームドのSR。

 となれば後ろから子供達の盛り上がる声が聞こえてくるのも、必然なのかもしれない。

 

「じゃあ次はコイツ。〈拘束紋クーシー〉を召喚」

 

 続けて俺の場に召喚されたのは、身体に鎖のような紋様が巻き付いている、犬型のモンスター。

 コイツは系統:《眷属》を持っていないけど、アームドに関連した効果を持つ《解放同盟》のモンスターだ。

 

〈拘束紋クーシー〉P4000 ヒット2

 

 でも出てきてすぐで申し訳ないが、今回は即座に召喚コストとなっていただきます。

 

「コストで場のモンスターを1体破壊し、〈拘束紋ケルピー〉を召喚」

 

 犬型モンスターこと〈クーシー〉は呆気なく()()()()()()()()()()()

 入れ替わるように召喚されたのは、全身に巻きつく鎖のような紋様と、魚のような鱗を持つ白馬。

 コイツも今回のキーカードになってくれる予定のモンスターだ。

 

〈拘束紋ケルピー〉P8000 ヒット1

 

「〈拘束紋ケルピー〉の召喚時効果を発動。デッキから系統:《幻想獣》と《解放同盟》を併せ持つ、ヒット2以下のモンスターを1体選んで召喚できる。出て来いッ〈拘束紋ケットシー〉!」

 

 白馬が後ろ足で空間を蹴破ると、そこから一匹の猫が場に出てきた。

 拘束紋の名の通り、鎖のような紋様が巻き付いている黒猫型モンスター。

 今回の時間稼ぎに必要な最後のピース、〈拘束紋ケットシー〉だ。

 

〈拘束紋ケットシー〉P2000 ヒット2

 

 可愛らしい黒猫型モンスターが現れたからか、子供達のいる方から「かわいい」という声が聞こえてくる。

 

「大層な手順を踏んだ割に、随分と貧弱なモンスターを呼んだものだな」

「否定はしない。実際このパワーじゃあ戦闘には不向きだからな……けど、単純なステータスだけで判断していると碌な事にならないぞ」

 

 目の前の相手にだけじゃない。

 このファイトを見ている全員に向けての言葉だ。

 というわけで、これは手始めの実演です。

 

「〈拘束紋ケットシー〉の【(ダイナミック)スキル!】を発動。自分の場にアームドが存在するなら、3つの効果から1つを選んで使う事ができる」

 

 ちなみに選択肢はこうだ。

 ・自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 ・自分の場に存在する系統:《解放同盟》を持つモンスター1体につき、自分のライフを1点回復する。

 ・このカードをデッキの一番下に戻し、このターン中自分が次に受けるダメージを3点減らす。

 

「俺は一つ目の効果を選択。カードを1枚ドロー……ターンエンド」

 

 ツルギ:ライフ8 手札

 場:〈拘束紋ケルピー〉〈拘束紋ケットシー〉〈【幻想剣】カリバーン〉

 

「なんだと? アームドをモンスターにつけないのか」

「何事も必要なタイミングってのがあるんだよ」

 

 とは言うものの、やはりアームドを武装させず置き物にするプレイングはイマイチ伝わらないようで。

 後ろの方から見守っている人々は疑問の声を出している。

 実際、俺が場に出した〈カリバーン〉は非武装状態を参照する効果は何も無い。

 必要なのは、俺の場にアームドが在るという事実なんだ。

 

「ならばその驕りで、自分の首を絞めろ! オレのターン!」

 

 舐めらているとでも思ったのか、富屋の言葉に怒気が混ざっている。

 でも少しくらいペースを見出してもらった方が良い。

 そっちの方が俺としても、時間稼ぎ諸々をやり易いからな。

 

「メインフェイズ! 現れろ〈キリトリ兵・ナンバー101(イチマルイチ)〉〈キリトリ獣・ブル105(イチマルゴ)〉!」

 

 そうこう考えている内に、富屋は場にモンスターを展開してくる。

 出てきたのは頭部や身体の一部を機械化された兵士と、同じく身体の一部が機械化された猛牛型モンスターだ。

 

〈キリトリ兵・ナンバー101〉P6000 ヒット3

〈キリトリ獣・ブル105〉P5000 ヒット2

 

「〈ナンバー101〉は相手が魔法カードを使って時に、そして〈ブル105〉はオレのモンスターが破壊された時に【課税】を発動する!」

「で、残る〈マモン・ゼロドール〉は自身の攻撃時に【課税】をすると」

「その通りだァ、偽りの帝王め! アタックフェイズ!」

 

 狂い、いや陶酔と表現した方がいいのか。

 冷静さはあまり感じられない状態で富屋はアタックフェイズへと移行する。

 

「やれェ、〈マモン・ゼロドール〉! 攻撃時に【課税】を発動! 貴様がライフコストを支払わなければ、オレのモンスターは全て【貫通】を得るぞ!」

 

 攻撃の順番は正解か。

 まずは全体強化となる効果を適用したいし、〈マモン・ゼロドール〉は自身の効果も併せて、無効化に3点のライフコストを要求してくる。

 かと言って迂闊にライフコストを払うと、今度は〈マモン・ゼロドール〉の効果でモンスターの攻撃は無効化されなくなる。

 ……まぁ、それでも俺的には問題ないんだけど。

 

「ライフは払わない」

「ならば追徴課税だ! 【貫通】の餌食になれェェェ!」

「〈拘束紋ケルピー〉でブロック。そしてブロックした瞬間、墓地から〈拘束紋クーシー〉の【Dスキル!】を発動!」

「なにっ!?」

 

 悪いな、最初からこれが目的で墓地に送っておいたんだ。

 

「コストで〈ケルピー〉を手札に戻す事で、コイツは墓地から召喚できる。来いッ〈拘束紋クーシー〉!」

 

 白馬が俺の手札に戻り、交代で墓地から犬型モンスターが再び場に召喚される。

 一見すると、ただモンスターを入れ替えただけにも見えるだろう。

 だけど……

 

「ブロック宣言は既に済んだ後。〈マモン・ゼロドール〉の攻撃は俺に届かない」

「クッ……ならば〈キリトリ獣・ブル105〉で攻撃だァ!」

「〈拘束紋ケットシー〉の【Dスキル!】を発動! このカードをデッキの下に戻す事で、次に俺が受けるダメージを3点減らす」

 

 突進してくる猛牛を翻弄しながら、その姿を消してしまう〈ケットシー〉。

 ダメージを完全に軽減されてしまった以上、俺にダメージがいく事もない。

 一応あっちの場にはまだモンスターが1体残っているけど……

 

「〈キリトリ兵・ナンバー101〉は高めのステータスに対して召喚コストが無い。その代わり俺がライフコスト、もしくは手札コストを払ったターンでなければ攻撃ができないデメリットを持っている」

「その通りだ……クソッ、ターンエンド!」

 

 富屋:ライフ10 手札

 場:〈【超重税省大頭】マモン・ゼロドール〉〈キリトリ兵・ナンバー101〉〈キリトリ獣・ブル105〉

 

 ダメージを全く与えられなかった事で、随分と悔しがっている。

 それもそうか。パッと見は弱々しいモンスターばかりだった上に、場に出したアームドを置き物として放置しているんだからな。

 一方でギャラリーとなっている人々からは驚きの声が聞こえてくる。

 

「俺のターン。スタートフェイズ」

 

 でもこの程度じゃあ、俺の防御は息切れしない。

 今のところ、あの富屋という男もその事実には気づいていないようだ。

 

「メインフェイズ。〈クーシー〉をコストで破壊して、〈拘束紋ケルピー〉を再召喚」

 

 再び〈クーシー〉を墓地へ送って、〈ケルピー〉が俺の場に召喚される。

 

「〈ケルピー〉の召喚時効果で、デッキから〈拘束紋ケットシー〉を召喚」

 

 こちらも先程デッキに戻しておいた〈ケットシー〉だ。

 俺の場にはアームドが健在なので、当然【Dスキル!】も発動できる。

 

「〈ケットシー〉の【Dスキル!】を発動。俺は場の《解放同盟》の数だけライフを回復する」

 

 ツルギ:ライフ8→10

 

 これで初期ライフかつ、盤面も元通り。

 相手の場にはブロッカーが1体なので、普通なら攻撃でも仕掛けるところだが……

 

「ターンエンド」

「なんだと?」

「ターンエンドだ。俺はこのターン、他の行動をしない」

「貴様ァ、ふざけているのかッ!」

「それ、俺の盤面を見ても同じ事が言えるのか?」

 

 激昂する富屋に、俺は自分の盤面を見るように指差す。

 先程の攻撃を完璧に凌いだ盤面と全く同じもの。

 そして富屋の場には先程から変わらぬ3体のモンスターが並んでいる。

 

「お前がまた攻撃を仕掛けても、さっきと同じように俺は防ぎ切る。そしてまたこの盤面を作り出す」

「ば、バカな……それでは」

「お前が何か除去カードを手に持っているなら話は変わるけど……俺がそう易々と通すと思うか?」

 

 加えて言えばサモンはルール上、自分のモンスターを効果やコストを用いずに場から退かす事はできない。

 つまり3体のモンスターで場を埋めてしまった富屋は、これ以上新たにモンスターを出す事はできない。

 状況を打破するには進化モンスターを引き当てるか、自分のモンスターを退かす何かを引き当てる必要がある。

 

「確か《銭鬼》には進化モンスターはいなかったよな?」

「クッ、おのれェ……」

「我慢比べしようぜ。先に息切れした方が負けな」

 

 これで俺の時間稼ぎ盤面は整った。

 他の皆も今頃、各々のデッキで時間を稼いでいる筈。

 

(ひとまず俺達にできる事はここまで)

 

 だから化神の皆、爆弾の方は頼むぜ。

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