俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第二百七十二話:切り札集結SR祭!-ツルギ編-

 さぁさぁ、爆弾全解除の知らせも来ました。

 加えて牙丸(きばまる)先輩のお許し放送まで流れたんだ。

 

「遠慮なくぶっ潰させてもらおうか!」

「それじゃあボクはカードに戻るっプイ」

 

 俺の頭上に乗って、さっきまで諸々の報告をしてくれていたカーバンクルは、手札にあるカードの中へと戻っていく。

 爆弾という脅威が去った事で、富屋(とみや)は完全に怯んでしまっているようだった。

 そして好都合な事に、ちょうど俺のターンが回ってきたタイミングでもある。

 

「おい三流ファイター。これだけ時間があったんだ……防御札の準備はできてるんだろうな?」

「な、舐めるな……貴様の場には、攻撃性能の低いモンスターしか」

「攻防のバランスって言葉知ってるか? 防御が終われば攻撃に転じれば良いんだよ」

 

 富屋はどうにか精神的優位があると思い込みたいらしいけど、どう足掻いてもアレじゃあ無理だ。

 政帝の後継者がどうとか言っていたけど、仮面の被り方ならアイツの方が上手かったぞ。

 

「そんじゃあ早く終わらせるか。俺このあと予定があるんだよ」

虹帝(こうてい)……天川(てんかわ)ッ、ツルギィィィィィィ!」

「ソラ達の晴れ舞台を観に行くんだ……開演に間に合わせる。俺のターン!」

 

 ライフは双方初期値である10点。

 盤面も富屋は一切変わらず、俺の耐久ループしかしていないので変化はない。

 だが一つ違う点があるとすれば、耐久勝負によって経過したターン数。

 その間に双方、手札枚数が潤沢になっていた。

 

「これだけ手札があれば十分。メインフェイズ!」

 

 まずは自分のライフを調整する。

 

「魔法カード〈フューチャードロー〉を発動! コストでライフを2点支払う」

 

 ツルギ:ライフ10→8

 

 発動から2ターン後にカードをドローする〈フューチャードロー〉だけど、今回はこのターンで終わらせる予定。

 だからこれは、ライフコストを目的とした空撃ちだ。

 

「魔法カードの発動により、〈キリトリ兵・ナンバー101〉の【課税】を発動!」

「払うわけねーだろ、勝手にドローしてろ。続けて俺はライフを2点支払い、魔法カード〈クレスト・オーバー・ブレイク!〉を発動!」

 

 ツルギ:ライフ8→6

 

 またしても【課税】が発動するが、これも踏み倒してやる。

 いくらでもドローはさせてやる。俺も手札は十分に揃っていりんだ。

 そしてこの魔法カードで、さらに勝利へと前進してやる。

 

「〈クレスト・オーバー・ブレイク!〉は3つの効果から一つを選んで発動する」

「選択効果を持つ魔法カードかッ」

「ただし俺の場に【真名解放】を持つアームドカードがあれば、代わりに3つの効果を全て発動する」

「真名、解放だと……なんだ、それは」

 

 流石にコレを知ってる筈ないか。

 本来なら二年生編に入ってからの目玉ギミックの一つだからな。

 けどな……俺の場にはあるんだよ、その【真名解放】を持つアームドが。

 

「〈【幻想剣】カリバーン〉……コイツが該当するカードなんだよ」

「貴様、最初からコレを狙って出していたのか!?」

 

 驚いているところ悪いけど、それはただの偶然だからな。

 耐久コンボもアームドならなんでも良かったし、たまたま初手に〈カリバーン〉が来ただけだし。

 でも真実を言ってやる義理も無いから、そのまま勘違いでしておいて貰おう。

 

「さぁ、魔法効果処理しようか! 〈クレスト・オーバー・ブレイク!〉第一の効果。俺の場に存在する系統:《解放同盟》を持つモンスターの数だけ、自分のデッキ上から確認する」

 

 そして確認したカードの中から1枚を選んで、手札に加える。

 現在俺の場に存在する《解放同盟》のモンスターは〈拘束紋ケットシー〉と〈拘束紋ケルピー〉の2体。

 

「2枚を確認……1枚を選んで手札に加える」

 

 ちょうど良い進化モンスターが捲れたので、俺は迷わずそれを手札に加える。

 そしたら次の効果だ。

 

「第二の効果。自分か相手に2点のダメージを与えて、その後自分の墓地から進化モンスターを1枚選んで手札に加える」

「チッ、まずは一撃と言うわけか」

「生憎だけど、ダメージを受けるのは俺だ」

 

 自傷ダメージを選んだ事で、富屋は分かりやすく「なッ!?」と驚愕している。

 でもこれで良いんだ。これで俺のライフは……

 

 ツルギ:ライフ6→4

 

 ……進化条件となる数値に達した。

 

「そして俺は、墓地から進化モンスター〈【天地(てんち)開闢竜(かいびゃくりゅう)】オブシディアン・ソード・ドラゴン〉を手札に加える」

「ここでSRのカードか……」

「んで第三の効果……は相手のアームドを手札に戻す効果だから、今は関係ないか」

 

 お相手さん、モンスター3体で場が埋まってるからね。

 それはそうとしてだ。

 ここは校庭。元は「ちびっこサモンスクール」やっていた場所だから、ギャラリーに子供が多い。

 ……だったら尚更、ド派手に切り札を使おうじゃないか。

 

「俺は〈拘束紋ケットシー〉を進化!」

 

 仮想モニターにカードを投げ込むと、黒猫型モンスターが魔法陣に飲み込まれていく。

 かつてはブランクカードだった、俺の強さの果ての象徴。

 

「今ここに黒き竜の封印を解く! 天の暗雲、地の厄災。全て斬り裂き未来を創出しろ!」

 

 魔法陣が弾け、黄金の装甲に身を包んだ黒竜が戦場に姿を現す。

 

「来いッ! 〈【天地開闢竜】オブシディアン・ソード・ドラゴン〉!」

 

 雄々しき咆哮を黒竜が上げると、ギャラリーから盛り上がりの声が聞こえてきた。

 やはりSRモンスターの登場は、子供達としても心が大いに踊るらしい。

 

〈【天地開闢竜】オブシディアン・ソード・ドラゴン〉P10000 ヒット2

 

 子供達が出す歓喜の声は、止まる様子がない。

 それもそうだろう、チラリと他の面々の様子に視線を向ければ理由は明白。

 財前だけじゃない、禰津海(ねずみ)さんや(かなで)先輩も切り札であるSRモンスターを出していた。

 

「ハハっ、切り札集合SR祭ってところか?」

 

 なんて事をごちってしまう。

 それはそうとして〈オブシディアン・ソード・ドラゴン〉の召喚時効果だ。

 相手モンスターを選んで強制バトルをさせる効果があるが、今回は使わない。

 除去をする最適のタイミングはもう少し後だ。

 

「次はコイツだ。〈拘束紋ケルピー〉を進化!」

 

 今度は魚のような鱗を持つ白馬が、魔法陣へと飲み込まれていく。

 ……そういえば、コイツの前身を使ったのはチュートリアル戦の時だったか。

 今度は新しい姿で力を貸してくれよ!

 

「頼むぜェ、〈ファブニールCX(クレスト・クロス)〉!」

 

 魔法陣を突き破って現れたのは、鎖の紋様が全身に巻き付いた巨大な竜。

 かつての黒い身体とは打って変わって、真紅の鱗に身を包んだ新たな姿での登場だ。

 

〈ファブニールCX〉P10000 ヒット0

 

「ヒット0のモンスターだと」

「コイツは攻撃した時に自身よりパワーの低い相手モンスターを1体破壊できる。そして場にアームドが存在する限り、俺のモンスターが相手モンスターを破壊する度に、そのヒット分のダメージを与える」

「なるほど。その効果ダメージを叩き込む算段という訳か」

「正解。ただしチマチマなんて与えない。ド派手にいく」

 

 その為にもまずは盤面を空けますか。

 

「自分のライフが5以下で、俺の場に進化モンスターが存在するなら、〈オブシディアン・ソード・ドラゴン〉は真の姿になる」

「真の、姿……?」

「見とけよ、これが両面カードだ! 〈オブシディアン・ソード・ドラゴン〉【拘束解除】!」

 

 金色の拘束具が砕け散り、黒曜石を司る竜は真の姿へと変貌する。

 鏡の如く美しく輝く刀身を持つ、一振りの剣が俺の場に現れた。

 

「〈【天照(てんしょう)王剣(おうけん)】テスカトル・セイバー〉顕現!」

「バカな、モンスターがアームドに変化したというのかッ!?」

「そういうカードなんだよ。俺は〈【天照王剣】テスカトル・セイバー〉を〈ファブニールCX〉に武装(アームド)!」

 

 真紅の竜は、ファイトステージに突き刺さっていた剣を咥えて装備する。

 四足歩行系のドラゴンだからな、口で咥えても絵面がカッコいい。

 

「ツルギ〜、そろそろボクの出番っプイ?」

「あぁ。頼むぞ相棒」

「キュップイ! 大仕事もこれで詰めっプイ!」

 

 カードの中で意気込んでいるカーバンクル。

 やっぱり相棒を出さないと、どこか締まらないよな。

 

「奇跡を起こすは紅き宝玉。一緒に戦おうぜ、俺の相棒! 〈【紅玉獣(こうぎょくじゅう)】カーバンクル〉を召喚!」

「キュ〜ップイ!」

 

 巨大な紅玉が砕けて、中からお馴染みの相棒が出てくる。

 緑色の可愛らしいロップイヤーウサギのモンスター。

 その外見がウケたのか、子供達(特に女児?)からの歓声が大きくなっていた。

 

〈【紅玉獣】カーバンクル〉P500 ヒット1

 

「ツルギ、アイツに相応しい進化形態を選んでやるっプイ!」

「もう選択済みだ。進化条件は自分のライフが4以下であること。俺は〈カーバンクル〉を進化!」

 

 仮想モニターに1枚のカードを投げ込むと、カーバンクルの周りを深紅の魔法陣が包み込んでいく。

 燃え盛る炎のように深く熱い紅が、カーバンクルを進化させていく。

 

「キュプ! これは久々の、ライオンパワーっプイ!」

 

 カーバンクルの身体は巨大な深紅の宝玉に包み込まれて、新たな姿へと作り変えられる。

 

「勇猛なるタテガミを(なび)かせて、真紅の砲弾が戦乱を鎮める! 燃え上がれ、俺の相棒!」

 

 さぁ、久々の登場と行こうか!

 

「乱れ撃て! 〈【幻紅獣(げんこうじゅう)】カーバンクル・ビースト〉!」

「ガオォォォォォォォォォォォォン!」

 

 深紅の宝玉が砕け散り、中から巨大な獅子のようなモンスターが現れる。

 紅蓮のタテガミに、背負った巨大キャノン砲。

 盤面破壊に適した、カーバンクルの進化形態の一つだ。

 

〈【幻紅獣】カーバンクル・ビースト〉P15000 ヒット2

 

 この世界では珍しいSRカードの連打。

 流石に子供達だけでなく、ギャラリーの大人も盛り上がりの声を上げている。

 

「貴様、何枚SRを使う気なんだ!?」

「お前が倒れるまで何枚でも。でもまぁ……これで終わるんだけどさ」

 

 ここまで良いリアクションをしてくれているんだ。

 ちゃんと見ておけよ、富屋。

 

「俺は〈【幻想剣】カリバーン〉を、〈【幻紅獣】カーバンクル・ビースト〉に武装!」

 

 試合開始からずっと突き刺さっていた剣を、〈カーバンクル・ビースト〉は獅子の口で咥え持つ。

 すると金色の刃は光を放ち、鍔についた紅玉は七色に輝き始めた。

 

「な、なんだ!? なにが起きている!」

「解放条件は……『カーバンクル』と名のつくモンスターであること。コイツは条件を満たすモンスターに武装した瞬間、真の名を解き放つ!」

 

 真名……解放ッ!

 

「封印されし姿を解放せよ! 真名〈【王の聖剣】エデンカリバー〉!」

 

 獅子の咥えていた剣は、真の姿へと変化する。

 金色だった刃は虹のように美しく輝く姿になり、全体的なシルエットも変化。

 大きさも〈カーバンクル・ビースト〉の胴体はあろうかという、巨大な刀身となっていた。

 

「【真名解放】したアームドは、新たな効果が解禁される」

「ッ!」

「でもそれより先に、まずはこっちだな。俺は〈カーバンクル・ビースト〉の専用能力【無限砲(むげんほう)】を発動!」

 

 効果の発動を宣言すると、〈カーバンクル・ビースト〉の足についていた鎖が、反動対策として地面に突き刺さる。

 そして背負った巨大なキャノン砲の照準を、富屋の場に並ぶモンスター達へと向けた。

 

「メインフェイズ中に疲労させる事で、コイツは相手の場にいるモンスターを全て破壊できる」

「全てだとッ」

「ターゲットロック。【無限砲】発射ァァァ!」

 

 獅子の背負ったキャノン砲から、凄まじいエネルギーの噴流が発射される。

 その眩しいまでの破壊エネルギーは、富屋の場にいたモンスターを次々に破壊し尽くしていった。

 破壊耐性のないモンスターばかり並べていたのが、仇になったな。

 

「……クックック、破壊したな?」

「〈キリトリ獣・ブル105〉の【課税】だろ? 破壊されたモンスターのヒット合計だけ相手にダメージを与える」

「そうだ。だが貴様にはライフ2点を納税する事で無効化する事も——」

「ライフは払わない。ぶつけろよ、そのダメージ」

 

 俺の選択に、分かりやすく困惑している富屋。

 どうせ手札には汎用の効果ダメージ魔法でもあるんだろう。

 俺がライフを支払ったら、次の瞬間に効果ダメージを与えて逆転勝利……なんて事を考えてるんだろうな。

 

「ならば……それ程死にたいなら、望み通りにしてやろォォォォォォ!」

 

 絶叫する富屋。そして襲いかかるモンスターの怨念らしき塊。

 ヒットの合計は8だったから、これを受ければ8点のダメージ。

 残りライフ4点の俺じゃあ耐えられない……なんて状況で、こんな選択をする訳ないだろ。

 

「ライフが0になる瞬間、〈【天照王剣】テスカトル・セイバー〉の武装時効果を発動!」

「このタイミングだと!?」

「このモンスターが武装している〈テスカトル・セイバー〉を含む全てのアームドを除外! このターンの間、俺のライフは0にならない!」

 

 武装していた剣を離す〈ファブニールCX〉。

 鏡のような刀身が光輝くと、襲いかかる怨念を大幅に弱体化していった。

 とはいえ、俺はライフ1を残してダメージを受けるのだけど。

 

 ツルギ:ライフ4→1

 

「ウソだ……これでも、届かないとは……」

「まだ終わらねぇぞ。俺のモンスターが相手モンスターを破壊した事で、〈ファブニールCX〉の【(ダイナミック)スキル!】を発動。破壊したモンスター全てのヒット分、相手にダメージを与える」

「全て……? っ、まさか!?」

「そのまさかだ。不当に巻き上げた税金は返して貰わないとなぁ?」

 

 破壊したモンスターのヒット数が、〈ファブニールCX〉の力に変換される。

 真紅の竜は口に炎を溜め込み、富屋に狙いを定めていた。

 

「還付金の請求書だ。ちゃんと受け取れよッ!」

「グッ。グアァァァァァァァァァ!?」

 

 富屋:ライフ10→2

 

 放たれた炎は富屋に直撃し、そのライフを大きく削ってしまう。

 流石に衝撃も強かったのか、富屋はその場で膝をついてしまった。

 

「バ、バカな……こんな、事が……」

「魔法カード〈リブート!〉を発動。〈カーバンクル・ビースト〉を回復」

「それだけの力があって、何故、我々を切り捨てた」

「そういうところだよ、色々と気付くのが遅い。アタックフェイズ!」

 

 爆弾の件、十字架の件、こんな騒ぎを起こして俺の疲労を加速させた件!

 やった事が事なんだ、加減してもらえると思うなよ。

 

「〈【幻紅獣】カーバンクル・ビースト〉で攻撃!」

「まだだ、まだオレの手札には防御魔法がある! 魔法カード——」

 

 富屋が魔法カードを発動しようとした瞬間、そのカードは粉々に砕けてしまった。

 何が起こったのか分からないのか、富屋は困惑している。

 

「〈【王の聖剣】エデンカリバー〉真名解放時の効果。武装しているモンスターが攻撃した時、相手のデッキを上から1枚破棄する。そしてこの攻撃が終了するまで、破棄されたカードと同じ種類である相手のカード効果は無効化される」

 

 そう、〈カーバンクル・ビースト〉が攻撃した時点で〈エデンカリバー〉が効果を発動していたのだ。

 富屋のデッキの一番上にあったカード。富屋自身も確認したそのカードの種類は、魔法カードであった。

 

「そ、そんな……」

「まだ、対抗札はあるか?」

「おのれ……おのれェェェェェェェェェェェェッッッ!」

 

 うるさい。

 

「言い訳は、刑事相手にするんだな」

「貴様なんぞに……貴様なんぞにィィィィィィィィィ!」

「終わりだ。行けッ〈カーバンクル・ビースト〉!」

「ガオォォォォォォン!」

獣魔(じゅうま)炎滅(えんめつ)ビッグバン・ブレイザー!」

 

 巨大なキャノン砲にエネルギーが充填される。

 そして富屋の残りライフを削り切るために、〈カーバンクル・ビースト〉は容赦なく引き金を引いた。

 

「俺でも向いてないんだ。お前に玉座は似合ってねーよ」

 

 富屋:ライフ2→0

 ツルギ:WIN

 

 砲撃が最後のライフを消し飛ばし、試合は終了する。

 立体映像が消える中、富屋は完全に放心状態で崩れ落ちていた。

 

「キュプ。お疲れ様っプイ」

「相棒もな。とりあえず俺の方は状況終了ということで」

 

 いつもの姿に戻って、頭上に乗ってきたカーバンクルにそう告げる。

 あとは他の皆が勝つのを待つだけとなった。

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