俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第二百七十三話:切り札集結SR祭!-外伝-

 ツルギが勝負を終わらせる為に、自身のターンを進めていた頃。

 同じく校庭のファイトステージで戦っていた他の3人も、勝負を決めにかかっていた。

 

「僕のターン!」

 

 財前小太郎は自身のターンが回って来るや、迷う事なくカードを動かしていく。

 

「メインフェイズ! まずは〈【建設王(けんせつおう)】ダイビルダー〉の合体を解除!」

 

 2体で合体していた巨大ロボットは、元の機械獣へと分離する。

 そして武装していたアームドも、分離して場に残っていた。

 

「もう残しておく必要はない。僕は〈マグネティック・ディフェンサー〉の非武装時効果を発動! このカードをデッキの下に戻して、カードを1枚ドローする」

「せっかくのアームドを手放すのか!?」

「よく見たまえ……これで僕の場には、もう1体モンスターを出せる空きができた」

 

 小太郎の場には《ライト》と《レフト》を持つモンスターが、それぞれ1体。

 対峙している反評議会連合の男は、次の一手が見えてしまったために焦りと歯軋りをしてしまうのだった。

 

「来い、〈アーサー〉!」

「イィィィィィィヤッホォォォォォォウ! オレ様ロックンロール!」

 

 戦場に現れる、ツルギ達にはお馴染みのスーパーロボット。

 今回はそれに加えてSRのロボットという事もあり、ギャラリーの男児達は最高潮の興奮を見せていた。

 そんな男児達の声に気をよくしたのか、小太郎は少し顔をニヤケさせていた。

 

「少しはカッコよく魅せてあげようじゃないか。僕は〈レフト・ドラゴショベル〉と〈ライト・ダンプコング〉に、〈【中核機神(ちゅうかくきしん)】コア・アーサー〉を合体!」

「オッシャアッ! いくぜェェェ!」

 

 ショベルカーの意匠を持つ機械の竜。

 ダンプ車の意匠を持つ機械のゴリラ。

 その2体の中心核になるように、アーサーは変形合体を開始する。

 

「三位一体! 〈【合体機神(がったいきしん)】デルタ・アーサー〉!」

「今回はビルダーカスタムってトコか」

 

〈【合体機神】デルタ・アーサー〉P19000 ヒット6

 

「さらに僕はアームドカード〈マキシマムバズーカ〉を、〈デルタ・アーサー〉に直接武装」

「オレ様の定番バズーカだ……けどコレじゃあ、ヒットが足りねぇよな?」

「分かっている。僕は手札を1枚捨てて魔法カード〈インスタント・オーバーロード〉を発動。〈デルタ・アーサー〉のヒットを2倍にする」

 

〈【合体機神】デルタ・アーサー〉ヒット6→12

 

 魔法効果によって、アーサーは凄まじいヒット数を叩き出す。

 ヒットを倍にした場合、デメリット効果によってターン終了と同時に元々のヒット分のダメージを受けるが……このターンで終わらせるつもりの小太郎には関係ない。

 だが何より、その荒唐無稽とも言えるヒット数に、男児だけでなく大人達も感嘆の声を出すのだった。

 

「ヒッ、ヒット12!?」

「一撃で終わらせてやろう。アタックフェイズ! 〈デルタ・アーサー〉でモンスターに指定アタック!」

 

 強制的に相手モンスターとバトルを行う〈デルタ・アーサー〉。

 圧倒的なパワー差に加えて〈ライト・ダンプコング〉の効果により、合体している系統《解放同盟》のカード1枚につき、バトルしている相手モンスターのパワーは−2000されてしまう。

 

「〈ライト・ダンプコング〉の3体合体時の効果で、バトルしている相手モンスターの効果は無効になる。お前がモンスター効果でパワーを上げても無駄だ」

「そ、そんなぁ……」

 

 打つ手無しと理解してしまった相手は、涙目で膝から崩れ落ちてしまう。

 だがそれは情けをかける理由にはならない。

 バトルしていたモンスターをショベルのアームで力強く掴むと、〈デルタ・アーサー〉は装備したバズーカの砲口を押し当てた。

 

「じゃあな、クソダサ野郎」

「これで……トドメだァァァ!」

 

 バズーカから破壊エネルギーが放出されると、それはモンスターを貫通して相手プレイヤーへと襲いかかる。

 武装していた〈マキシマムバズーカ〉の効果によって、〈デルタ・アーサー〉のヒット分のダメージが与えられるのだ。

 

「う、うわァァァァァァ!?」

 

 連合の男:ライフ10→0

 財前:WIN

 

 一撃でライフを全て消し飛ばされ、連合の男は茫然自失といった様子になっていた。

 立体映像が消え行く中、小太郎は冷めた様子で言葉を吐き捨てる。

 

「しょうもない。コレならお前達が媚を売っていた政帝(せいてい)の方が、ずっとマシだったね」

 

 そして小太郎は「もはや興味なし」と言わんばかりに、男に背を向けるのだった。

 

 一方その頃、隣のステージでは禰津海(ねずみ)ティアナが自身のターンを開始していた。

 

「ティアナの……ターン!」

 

 耐久勝負はもう終わった。手札も墓地も十分にある。

 たとえ相手が2人いようとも、ティアナには自身が負けるビジョンなど欠片も浮かんでいなかった。

 

「メインフェイズ。魔法カード〈オタカラ・タメタカラ〉を発動」

 

 本日2枚目となる魔法カード。

 その効果でティアナは、墓地から系統:《宝神獣(ほうしんじゅう)》を持つカードを3枚選んで、表向きのまま自身のデッキに加えた。

 

「これでティアナのデッキに、お宝は合計8枚……アンタ達みたいな雑魚をボッコボコにするには十分な枚数なんだから」

 

 生意気な表情を浮かべながら、対峙している2人を煽るティアナ。

 その姿にはツルギ達を目の当たりにする以前の、自信に満ち溢れた様子が前面に出ていた。

 

「まずは手札から〈カイギョ・マカラ〉を2体召喚」

 

 ティアナは仮想モニターにカードを2枚投げ込む。

 すると現れたのはワニのような頭部に、象のような鼻を持つモンスター。

 そんな奇怪な姿を持つ怪魚が2体、召喚されたのだ。

 

〈カイギョ・マカラ〉P1000 ヒット0

 

「なんだ、パワーはたったの1000。ヒットなんか0じゃないか」

「それに手札も0枚。これならあーしらの勝ち!」

 

 対峙している2人の男女は、好き勝手にそう喚く。

 しかし彼らが言っている事も事実であり、ティアナはこれで手札を全て使い切ってしまった。

 加えて対峙している2人の場にはそれぞれ、ブロック可能なモンスターが3体存在している。

 普通なら絶望的な状況と言えるだろう。しかし下準備を終えたティアナは、既に勝利への道筋が見えていた。

 

「もしかして……ティアナがもう何も出せないと、本気で思ってるの?」

「な、なに言ってんだ。手札はもう無いだろ」

「先攻1ターン目に手札が0枚になるならまだしも……こーんだけ時間稼ぎしたんだから、ティアナも下準備くらい楽ちんで終えてるんですけど〜」

 

 そう言うとティアナはニヤつきながら、「この大天才様が、雑魚に格の差ってのを理解(わか)らせてアゲル」と言い放つのだった。

 

「自分のデッキで表向きになっている場合、この子はデッキから直接召喚する事ができる」

「は? デッキから直接召喚!?」

 

 驚愕する相手をスルーして、ティアナはデッキから直接、カードを仮想モニターへと投げ込む。

 

「雑魚狩りタ〜イム。天上のお宝ぜぇ〜んぶ、ティアナ達で弄んじゃえ〜! 〈【天宝(てんぽう)神獣(しんじゅう)】ダイコクベーラ〉召喚!」

 

 天空から大量の財宝が降り注ぎ、大地に穴を空ける。

 するとその穴から東洋の装飾品を身につけた、胴長で巨大なネズミ型モンスターが姿を現した。

 

〈【天宝神獣】ダイコクベーラ〉P5000 ヒット0

 

「SRのモンスター……でも、またヒット0?」

「考え浅すぎ〜、そんなんだから雑魚なの。〈ダイコクベーラ〉の召喚時効果【輝器解宝(トレジャーバースト)】をはつどー!」

「また効果の連打……!?」

「せいかーい。〈ダイコクベーラ〉を召喚した時、ティアナのデッキで表向きになってるカードの数だけ、相手モンスターは全員パワーが−2000されちゃいま〜す」

 

 効果の説明を聞いた男は「なんだ、たったの−2000か」と安堵の溜息を吐く。

 だが女の方は何かがおかしいと気づき、冷や汗をかいていた。

 

「たったの−2000……でもその効果を繰り返すって事は!?」

「ティアナのデッキには表向きのカードが7枚。7×2000はいくつでしょ〜か?」

「えっ、それじゃあパワー……−14000!?」

「雑魚のくせに大正解。じゃあ全部吹っ飛んじゃえー!」

 

 相手全体に−14000のパワー修正。

 並大抵のモンスターしか使っていなかった2人組みには、到底耐えられる代物ではなかった。

 結果、たった一回の召喚時効果によって、対峙していた2人の盤面は更地となってしまった。

 

「あ、あんなにモンスターがいたのに……」

「だ、大丈夫。アイツのモンスターは全部ヒット0だぞ! こっちにダメージなんか」

「バぁ〜カ、アンタらティアナを舐めすぎ。アタックフェイズ」

 

 ヒット0のモンスターしかいないにも関わらず、ティアナは迷わずアタックフェイズに入る。

 普通ならライフにダメージを与える事もできず、攻撃させる事のないモンスター。

 そんな最低限の定石を知っている者からすれば、ティアナがここでアタックフェイズに入った事は意味不明でしかなかった。

 

「まずはアンタから。〈ダイコクベーラ〉で攻撃!」

「へっ、ヒット0の攻撃なんざ」

「〈ダイコクベーラ〉の攻撃時効果【輝器解宝】をはつど〜!」

「げぇッ!? もう一個持ってたのかよ!」

「〈ダイコクベーラ〉が攻撃した時、デッキで表向きになっているカード1枚につきパワーを+3000、ヒットを+1する」

 

 効果が発動する回数は1回ではない。

 先程と同様に7回実行される。

 

〈【天宝神獣】ダイコクベーラ〉P5000→P26000 ヒット0→7

 

 弱小だと思われたネズミが、一瞬にして規格外のステータスへと変化する。

 その圧倒的なステータスを前に、攻撃対象となった男は完全に怯んでしまっていた。

 

「やっちゃえ〈ダイコクベーラ〉!」

「うわぁ!?」

 

 雑兵の男:ライフ10→3

 

 凄まじいダメージを受けたものの、まだ男のライフは残っている。

 これなら大丈夫、次のターンで巻き返せばいい。

 男がそう考えて顔を上げた時であった。

 

「次は〈カイギョ・マカラ〉で攻撃」

「またヒットが上がるとかじゃねーよな?」

「残念だけど、この子はヒット0のまま……だけど攻撃した時に、ティアナの場のモンスターを1体回復してくれるの」

「へ……回、復?」

 

 当然回復対象となるモンスターは〈ダイコクベーラ〉。

 起き上がった巨大ネズミは、そのまま男に狙いを定めた。

 

「〈ダイコクベーラ〉でもう一回攻撃。そして【輝器解宝】も発動」

 

 再び発動する強化能力によって、〈ダイコクベーラ〉はさらに手がつけられないステータスへと変貌する。

 

〈【天宝神獣】ダイコクベーラ〉P26000→P47000 ヒット7→14

 

「な、なんだよそれぇ……」

「ティアナ様の実力がどれだけスゴいのか理解った〜? この雑ぁ魚!」

「ぎゃぁぁぁ!?」

 

 そのまま男に突進して、〈ダイコクベーラ〉は残りライフを吹き飛ばしてしまう。

 

 雑兵の男:ライフ3→0

 

 残るはもう1人の女の方。

 ティアナがそちらに視線を向けると、女は完全に怯えきっているのだった。

 

「ま、待って、ちょっと待って」

「雑魚に待てと言われて、律儀に待つなんてありえませーん。2体目の〈カイギョ・マカラ〉で攻撃」

 

 怪魚が攻撃すると、再び〈ダイコクベーラ〉が回復する。

 ブロッカーもいない、ここまで防御となるカードを使っていない。

 女に成す術が無い事は、もはや明白であった。

 

「ヒィっ! や、やめて」

「ダメでーす。〈ダイコクベーラ〉で攻撃!」

 

 攻撃宣言により、再び〈ダイコクベーラ〉の【輝器解宝】が発動。

 更なるステータス上昇を行ってしまう。

 

〈【天宝神獣】ダイコクベーラ〉P47000→P58000 ヒット14→21

 

「これに懲りたら、二度と悪さしようなんて考えないことね。ザ・コ・ザ・コさん」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 

 雑兵の女:ライフ10→0

 ティアナ:WIN

 

 初期ライフを大きく上回る一撃を真正面から喰らい、女のライフは一撃で消し飛んでしまう。

 二対一の試合を無事に勝利し、ティアナはようやく安堵の息を吐く。

 そして立体映像が消えると同時に、蘇っていた自尊心が急速に鳴りを潜めてしまった。

 

「……ごめなさい。私如きクソカス未満の雑魚がイキがってごめんなさいぃ〜」

 

 再びネガティブ化してしまうティアナ。

 そして残る評議会のメンバー、(かなで)タクトも勝負の詰めに入っていた。

 

「メインフェイズ。〈メルティング・ヘルツ〉を召喚」

 

〈メルティング・ヘルツ〉P10000 ヒット1

 

 タクトの場に召喚されたのは、身体がドラムと一体化した悪魔型モンスター。

 パワーこそ高いが、単体では大きなアクションを起こさないモンスターだ。

 タクトはメガネの位置を整えながら、落ち着いて自身の戦略を遂行する。

 

「天上天下唯我独尊。貴方を破滅へと導く爆音、奏でて差し上げましょう!」

 

 カードを仮想モニターへと投げ込み、タクトは召喚口上を唱える。

 するとバイクのマフラー音が激しく鳴り響き、戦場へと近づいてきた。

 

「来いッ! 〈【爆奏団(ばくそうだん)総長(そうちょう)】メテオデジベル〉!」

 

 ギターを片手に持ち、バイクに乗って戦場へと乗り込んで来たのは、リーゼント頭の悪魔型モンスター。

 これが《爆奏団》の総長であり、奏タクトの切り札である。

 

〈【爆奏団総長】メテオデジベル〉P12000 ヒット3

 

「召喚時効果を発動。デッキを上から4枚確認して、その中かたカードを1枚選んで手札に加える」

 

 タクトは確認したカードから、勝利に必要な1枚的確に選んで手札に加える。

 だが〈メテオデジベル〉の効果はこれで終わらない。

 

「さらにこの効果発動後、【ビートアップ!】を2回行います」

 

 相手モンスターのヒットを+1する【ビートアップ!】。

 それを2回行う事で、相手のヒット数の合計も大幅に上昇してしまう。

 

「嘘、ヒットがこんなに上がったら」

「貴女達のモンスターが、ボクを勝利へと導いてくれるようですね。アタックフェイズ!」

 

 タクトと対峙しているのは、かつて生徒だった2人の女子。

 だがこうして敵対した以上、タクトも冷徹に攻撃を仕掛ける。

 

「〈メテオデジベル〉で攻撃」

「っ! モンスターでブロッ——」

 

 攻撃を仕掛けられたので、ブロック宣言をしようとした女。

 しかしそのブロック宣言は実行されず、仮想モニターにはエラーが表示されるだけであった。

 

「な、なんで!?」

「〈メテオデジベル〉の【MAXビート!】によるものです。相手モンスターのヒット合計が12以上なら、ボクが攻撃宣言をしたモンスターはブロックされません」

「そんな……」

「さらに〈メルティング・ヘルツ〉の【MAXビート!】15を発動! ボクのモンスターが攻撃してブロックされなった時、相手の場に存在するモンスター1体につき1点のダメージを与えます」

 

 今回の試合は二対一の多人数戦。

 そのルールによって、タクトと敵対している2人の場に存在するモンスター全てがカウントされてしまう。

 2人の女は自分達の場に存在するモンスターの数を再確認して絶望してしまう。

 耐久勝負を仕掛けられていたせいもあり、揃ってモンスターを3体出してしまっていたのだ。

 

「6点のダメージです。お覚悟を」

「そんな——きゃあ!」

 

 元生徒の女①:ライフ10→4

 

「そして〈メテオデジベル〉の攻撃です」

 

 ギターを爆音で奏でながら、リーゼントの悪魔はバイクで女に特攻を仕掛ける。

 

 元生徒の女①:ライフ4→1

 

「うぅ……ライフが」

「ブロックされないのは、〈メテオデジベル〉だけではありません。〈インパクト・パスカル〉でトドメです」

 

 特攻服に身を包んだ悪魔は女目掛けて、手に持っていたベースを勢いよく振り下ろす。

 効果によってブロックされない以上、その一撃を女は甘んじて受ける他なかった。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

 元生徒の女①:ライフ1→0

 

「これでまず1人……ですが試合が続いている以上、〈インパクト・パスカル〉の効果は発動します」

 

 タクトはもう1人の女の方を向くと、メガネの位置を直しながら淡々とそう述べる。

 相手に戦闘ダメージを与えた事で、〈インパクト・パスカル〉の【ビートアップ!】が発動。

 残るもう1人の女がコントロールするモンスターのヒットが強制的に上昇させられてしまう。

 

「これで【MAXビート!】に必要なヒット数は揃いました」

「嘘……嘘……」

「絶望するのは後にして貰えますか? 此方も忙しいので」

 

 糸目の向こうで冷めきった瞳を浮かべるタクト。

 涙を流して絶望する女が目の前にいようが、敵である以上タクトは簡単に割り切れてしまう。

 

「〈メルティング・ヘルツ〉で攻撃」

 

 そして自身の攻撃でも、ダメージ効果は発動する。

 モンスター数を参照した3点のダメージ。

 そして〈メルティング・ヘルツ〉自身の攻撃で1点のダメージが、もう1人の女に叩き込まれる。

 

 元生徒の女②:ライフ8→4

 

「へ、えっ? 残った? ライフ残った!?」

 

 最後の一撃を受けてしまったが、まだ女のライフは4点残っている。

 そしてタクトの場には疲労状態のモンスターしか存在しない。

 

「おや。これではもう攻撃できませんね」

「やった、耐えられた! 次のターンで——」

「嘘ですよ」

 

 ぬか喜びも一瞬で終わってしまう。

 安心しきっていた女の視界に映ったものは、突然回復状態になった〈メテオデジベル〉の姿であった。

 

「……え?」

「魔法カード〈覇亜怒楽苦(ハードラック)暗鋼流(・アンコール)!〉を発動しました。効果で〈メテオデジベル〉は回復。さらに【MAXビート!】9を達成しているので、ヒットを+1します」

 

〈【爆奏団総長】メテオデジベル〉ヒット3→4

 

 もう攻撃してこないと思っていたSRモンスターが起き上がった。

 さらにヒット数を上げて、残りライフを削れるようにまでしてきた。

 元生徒の女は、バイクのマフラーをふかして睨んでくる悪魔を眼前にして、心が粉々に砕けてしまった。

 

「あ……あ……」

「これが貴女に捧げる最終爆奏(ラストビート)です。〈メテオデジベル〉で攻撃!」

 

 バイクのマフラーそしてギターの爆音と共に、〈メテオデジベル〉は女に特攻を仕掛ける。

 相手の手札には防御手段が無かったようで、女は絶望に飲み込まれる中、悪魔の駆るバイクに轢かれるのだった。

 

 元生徒の女②:ライフ4→0

 タクト:WIN

 

「……この爆奏、貴女に捧げるには勿体なかったかもしれませんね」

 

 立体映像が消えゆく中、タクトは静かにそう呟くのだった。

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