俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜 作:鴨山兄助
校庭エリア、全試合終了!
何事もなく全員勝利という事で、大団円とさせていただきます。
「おや、ボクが最後でしたか」
「ですね。でも無事に勝てて何よりです」
試合を終えた
この様子だと解除し損ねた爆弾なんかも無いだろう。
反評議会連合とやらも、これにて終幕。
あとは全員警察にでも引き渡せばいい。
「そっちも終わったようだな」
最高のタイミングで最適の人こと、黒崎先輩が校庭にやってきた。
その後ろには速水……に加えて、いつものメイド服を着ている
普段絶対に見ない組み合わせが立っているからか、もの凄い違和感を覚えてしまう。
「
「あぁ、もう校内に父さん達が入って来ている。奏達の方は……6人か」
「6人です。ご覧の通り全員倒しましたよ」
そう言うと奏先輩はファイトステージで茫然自失状態の6人を指差す。
黒崎先輩はそれを一目だけ見ると「それでいい」と、奏先輩に短く返していた。
それを終えるや否や、黒崎先輩は迷わず俺と財前の元にやって来る。
「
「えっ? いやいや先輩、まだ事後処理とかありますよね?」
「天川の言う通りです。ここからが忙しいのでは」
「父さん達がもう来ているんだ、アレが抵抗するならオレと奏でどうにかする。後は本職に任せて……お前たち一年生は祭を楽しんでこい」
などと黒崎先輩に言われてしまい、俺と財前は思わず顔を見合わせてしまう。
きっとこれは、黒崎先輩なりの優しさなのだろう。
財前も同じように解釈をしたのか、お互い肩の荷が降りたように笑みを浮かべてしまった。
「では裏帝、僕はお言葉に甘えさせていただきます」
「俺も同じく。じゃあそこにいる速水も」
「そういう事だ。だから途中で拾ってきた……後はオレ達に任せろ」
どこか優しげな口調で告げてくる黒崎先輩。
きっともう大丈夫だろう。
そんな安心を覚えた俺は、「了解です」と黒崎先輩に返しておく。
「
ファイトステージを後にしようとした時であった。
ふと、奏先輩に呼び止められてしまった。
「
「無礼?」
「貴方が言った事の意味が、今なら少しだけ分かる気がします」
昨日の言葉……多分『強さ』に関する問答の事かな。
俺としては今日何か特別な事をしたつもりなんて無いんだけど。
それでも、もし何か感じる事があると言うなら、きっと今はそれで良いんだ。
「なんでも良いんですよ。死に急がなければ、人間どうにでもなるんです」
今の俺から言える事はこれくらい。
時間はまだある。
タイムリミットがあるとしても、急ぎ過ぎてはいけない。
多少遠回りでも、一番良い道を選びたいんだ。
「んじゃ、俺はちょっとドームの方へ行ってきます」
それだけを言い残して、俺は速水が待っている場所まで行くのだった。
「よっ速水。お疲れ」
「流石に天川ほどじゃないさ。それに今回は俺にとっても良い修行になった」
「そりゃあ良かった」
こんなトラブルでも、ファイトすれば経験値は積めるからな。
俺もそれくらい前向きに捉えて生きたいものだ。
「すずは慣れないファイトで疲れたデスよ」
「あぁそっか。【
「防御とか耐久とかも不可能ではないデスが、流石に頭使い過ぎましたデス」
頭から湯気を出しつつ、鳳凰院妹はそう語ってくる。
慣れない戦術でファイトをしていただき、本当にご苦労様です。
姉妹共々、音無先輩にこき使われていたそうだし、今日が終わったらゆっくり休んでくれ。
ただ、それはそれとしてだ。
「財前の奴どこ行った?」
「アイツなら1人でさっさと行きやがりましたデスね」
「……そっか」
財前は先に行ってくれたか。
俺としてもアイツには早めに会場入りしておいて欲しかったし、結果オーライというやつだ。
(今日のステージ、アイも出るからな)
だからこそアイの発案で、財前には代理として最前列に座ってもらう手筈なんだ。
「天川、俺達もそろそろ」
「行くか」
速水に言われて、俺は会場となるドームへと向かうのだった。
◆
「いやぁ〜……こんなに上手く拘束できるもんなんだな」
「本当デスよ。結束バンドで手足を拘束するなんて、すずもドラマや映画でしか見たことないデスよ」
開演までまだもう少し時間がある。
念の為の確認も兼ねて、俺達はドームの裏口から入ってソラ達の様子を見に来たわけだが。
扉を開けて通路に入るや否や、恐らくソラ達を襲撃に来たであろう者達が廊下に投げ捨てられていた。
俺と鳳凰院妹は、手足を白い結束バンドで縛られた彼らを見ながら呑気に言葉を交わしている。
「4人も乗り込んできたのか……大変だっただろ?」
「まさか。時間稼ぎにさえ気をつければ楽な戦いだったわ」
「ボクも同じく」
俺が振り返って聞いてみると、アイと
いや本当に楽々だったんだろうな、汗一つかいたように見えない。
とはいえ、流石にこの2人なら楽々だったのも当たり前か。
「それにしても上手に縛っているデスね。結束バンドは予め用意していたデスか?」
「えぇ。いつでも不埒な輩を縛れるようにと思って、控え室に持ち込んでおいたのよ」
「よく聞きなさい
「……恐るべしデス」
ジト目を浮かべ、アイを指差しながら起きた事を語る鳳凰院姉。
それを聞いた鳳凰院妹の方は、ちょっと引いているようだった。
というかこの不審者達、全部アイが縛ったのかよ。
「なぁアイ……まさか不審者を縛るの、コレが初めてでは」
「ツルギ、世の中って色々な人がいるのよ。不埒な行動には過激な対応で……ね?」
「あっ、はい」
アイさん、ずっと笑顔で話しているの怖いです。
なんかもう重みがスゴいんですよ。よく見れば目だけ笑ってないし。
「アイちゃんスゴい手際の良さでしたね〜」
「あら、それならソラもウチの実家に学びにくる?」
「これ、アイちゃんのお家直伝なんですか……」
「祖母の代からよ」
そんな代々受け継がれている護身スキル(?)があるのか、スゴいな芸能一家。
でもアイさんやソラをよく見てくれ、どう見ても反応に困っているぞ。
結束バンドで不審者を拘束なんて、普通は使わないからな。
(けどまぁ、こういう非日常の瞬間に役立つなら……損はないのかな?)
何にせよ、後はコイツらを回収してもらうだけだ。
爆弾騒動もこれでひと段落。文化祭も無事に終わってくれそうだ。
「ソラも無事でよかった」
「…………」
「ん、ソラ?」
「……ふぇ!? ななな、なんでしょうか!?」
声をかけてもぼんやりしていて、どこか心ここに在らずといった様子だったソラ。
一瞬の間の後に我に返ったのか、すぐに慌ててしまう。
顔もどこか赤い。
「いや、大丈夫か? なんか顔が赤い気が」
「大丈夫です! 本番前で緊張しているだけなので!」
「そ、そうか」
なんか違う気がするけど、元々ソラはこういう場面では緊張しがちだったからな。
別におかしくない……と、俺は自分に言い聞かせるのだった。
その時であった、バタバタとこちらに足音が近づいてくる。
「みんなー! もうすぐ出番だってー!」
既に衣装に着替えている
俺達は思わず時刻を確認してしまう。
「本当ね。出番までに終わらせられて良かったわ」
「うん。でもボク……ちょっとドキドキしてきた」
「ほらほら真波ちゃん。いっしょに行こーよ!」
「ボクの身体から心臓飛び出りゅ」
無邪気に駆け寄ってきた藍に手を握られた瞬間、九頭竜さんはまるで天に召されるような様相になっていた。
所謂ヘヴン状態とでも言うべきか、あまり人に見せられないデフォルメ状態になってしまっている。
つか、九頭竜さんもいい加減慣れろよ。
「それじゃあアタシ達は先に行ってるね!」
それだけを言い残すと、藍は九頭竜さんの手を掴んだまま、バタバタと走り去っていくのだった。
今日はまだファイトできていない筈だから少し心配だったけど、アレはよっぽどワクワクしているんだな。
……逆か、ファイトできていないからステージの方に楽しみを見出しているのか。
「速水、俺達もそろそろ」
「そうだな」
早く観客席の方へ行かないと、間に合わなくなってしまう。
縛られている反評議会連合の奴らに関しては、鳳凰院姉妹が対応してくれるとの事。
これに関しては本当にありがたいので、俺と速水は何度も2人に礼を言うのだった。
裏口から一度出て観客席へと向かう……と、その前に。
「ソラ」
「ひゃい!?」
「頑張れよ」
「……はい」
単なる、ちょっとした激励くらいのつもりだった。
だけど一瞬、だけど確かに俺の目に映ったソラの微笑み。
それがすごく綺麗で、つい胸がドキっとしてしまった。
「ツルギくん、いってきます」
ソラが振り返ると、白く長い髪がふわりと舞い上がる。
今さっき自分が見たものが夢か現実か断言できない。
ただ一瞬しか見えなかった筈なのに、ソラの微笑みが自分の記憶に刻み込まれて仕方がなかった。
「天川?」
「あぁ、悪い。行こうか」
速水に声をかけられて、意識が現実に戻る。
もう時間が圧しているんだった。
ソラとアイはステージへと向かい、俺と速水は一度裏口から出て観客席へと向かう。
そして表口から観客席へと入り席に座ると、俺はふとある事を思い浮かべていた。
(そういえば、早乙女さんはもう来ているのかな?)
昨日、ソラがステージに出ると聞くや随分と盛り上がっていたからな。
加えて本人はソラ推しだと言っていたし、恐らくどこかの席に座っているだろう。
と言っても、会場は薄暗いので見つけるのは難しいが。
「そろそろ始まるぞ」
速水がそう言うと、舞台上にソラ達4人が出てきた。
アイドルのような衣装に身を包んで、観客席に手を振ってくる。
流石にアイが本気を出しただけあり、観客席に集まった人々も大盛り上がりだ。
(なんか、たまにはこういうのも良いな)
そして始まる曲とダンス。
やっぱり4人が歌う楽曲は、前の世界だと二年生編のエンディングだった曲。
個人的な予想が的中すると同時に、なんだかこの世界限定の特別バージョンを聴いているようで、俺は少し得したような気分になっていた。
(いかにもアニメ的な文化祭か……やっぱりロマンだよな)
そんな事を少し考えながら、俺はソラ達の歌とダンスを見届けるのだった。