俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第四十七話:戦って!

 俺! まだ倉庫の中!

 あれから色々試してはいるけど、流石にこの扉はびくともしない。

 

「うぉぉぉ! 開けゴマぁぁぁ!」

 

 呪文を唱えてみるけど無反応。ツッコミすら無いなんて悲しいね。

 いやそんなボケかましてる場合じゃない。

 さっき隙間からアナウンスが聞こえた。

 次鋒戦は無事ソラが勝ったらしいけど……そうなったら、次俺の出番じゃん!

 このままじゃ不戦敗じゃん! 冗談じゃない!

 

「とにかく脱出しないと!」

 

 俺は何度も扉に体当たりする。

 もうこの際だ、ぶっ壊してでも出てやる!

 

「開け! 開きやがれ!」

 

 そうやって何度か体当たりをしていると、突然倉庫の扉が開いた。

 

「うわっ!?」

 

 俺は勢い余って、転けてしまう。

 人の足が見える、誰かが開けてくれたのか?

 俺が顔を上げると、そこには意外な人物が立っていた。

 

「あ……貴方は」

「大丈夫かね? 少年」

 

 UFコーポレーションのCEO。

 俺もよく知るアニメのキャラクター、ゼウスがそこにいた。

 でもなんで?

 

「怪我は無いかね?」

「あっはい。大丈夫です」

「最終戦がまもなく始まる。急いだ方がいいのではないか?」

 

 言われてハっとなった。

 そうだ、今はアニメキャラに感動している場合じゃない!

 俺は勢いよく立ち上がり、ゼウスCEOにお礼を言った。

 

「ありがとうございまーす!」

「頑張りたまえ……ミスターツルギ」

 

 なんかCEOが俺の名前を言ってた気がするけど、気のせいだろう。

 そんな事よりも俺は、全速力でファイトステージへと走った。

 最終戦開始直前だからか、人の気配もない。

 そんな中、よく知った顔がこちらに向かって来た。

 

「速水!」

「天川!? お前どこに行ってたんだ!」

「説明は後でする! 黒岩が悪い! すぐにステージに行く!」

「分かった。全速力で行くぞ」

 

 速水に案内をしてもらいながら、俺達はドームの中を駆けていく。

 そんな中、最悪なアナウンスが聞こえてきた。

 

『残り2分以内に天川選手が現れなかった場合、宮田選手の不戦勝となります』

 

 マジで最悪だ。

 

「速水! あと2分でつきそうか?」

「微妙だ! 不味いぞ!」

 

 俺は高速で思考を巡らせる。

 正規ルートでは間に合うか微妙。

 だったら近道をすれば最高なんだけど……近道か。

 

「そうだ! 近道!」

「あるのか、天川!?」

「ある! ここから行ける、最短ルートが!」

 

 俺は一度立ち止まって、そこを指差す。

 それは観客席の出入り口だった。

 

「観客席……そうか!」

「速水! 派手に登場するけど良いよな!?」

「背に腹はかえられん。行け、天川!」

「おう!」

 

 俺は迷わず観客席の方へ入っていった。

 

 観客席の通路を勢いよく駆け抜けていく。

 ファイトステージでは、既にアイが諦めに近い表情を浮かべていた。

 ベンチの黒岩も憎たらしい顔をしている。

 審判が時計を見ているけど、不戦敗なんてするつもりはない!

 

『残念ですが、最終戦は宮田選手の不戦』

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺が声を張り上げると、会場にいた全員がこっちに注目してきた。

 照れるじゃないか。

 俺は観客席からファイトステージへ、勢いよく飛び降りる。

 

「おっ待たせしましたぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 華麗に着地ィ!

 うーん、これは10点。

 俺の破天荒な登場に、アイや審判、そして皆が目を丸くしている。

 

「ツルギくん!」

「悪いソラ。色々あった」

 

 俺はとりあえず審判さんに話しかける。

 

「審判さん。俺間に合った扱いでいいよね?」

『は、はい……間に合いました』

「よかったぁぁぁ」

 

 ここまでやって不戦敗とか格好がつかないもんな。

 さて……問題は、あのクソプロデューサーだ。

 ファイトステージの向こうにいる黒岩を見ると、露骨に忌々しそうな顔をしている。

 まったく、大人気ない奴だ。

 

「ツルギ……私は」

「アイ。せっかく間に合ったんだ、ファイト楽しもうぜ」

 

 俺がそう言っても、やや暗い表情のアイ。

 やっぱりあの作戦が必要か。

 俺は腰にかけてあった召喚器を手に取る。

 

『両選手、準備はよろしいですか?』

「えぇ、いつでも」

「俺の準備も完了してる! だから頼むぞ!」

 

 声を大きくして、俺はそう言う。

 届けたい相手はベンチにいるミオと夢子だ。

 頼むぜ……チャンスは一度きりなんだ。

 

『それでは両選手、ターゲットロックをお願いします』

 

 アイが召喚器に手をかけると同時に、ベンチでミオがもう一つの召喚器を掲げた。

 今だ!!!

 

「ターゲット!」

「ターゲットロック!!!」

 

 俺の召喚器から無線接続の光線が伸びていく。

 だがそれは今アイが手に持つ召喚器には接続されない。

 接続先は……ミオが持っている【樹精】デッキの方だ!

 

「えっ!?」

 

 アイは驚いて振り返る。

 ミオの手には俺の召喚器と接続して、ランプが点灯している召喚器があった。

 

「どうして……」

「アイっちぃぃぃ!!!」

 

 ミオはアイを呼びながら、召喚器をファイトステージへ投げる。

 それをアイは反射的にキャッチした。

 

「これは……私の召喚器」

「アイっち、戦って!」

 

 ミオが叫ぶ。

 

「アタシ達の事は気にしないで、アイっちはアイっちのためにファイトして!」

「だけどミオ。そんな事すれば」

「愛梨ちゃん! 私達のことは気にしないで! 愛梨ちゃんを犠牲にしてまで、夢を見続けるなんてできません!」

 

 夢子が思いの丈を叫ぶ。

 大切な仲間の思いを知ったアイは、ファイトステージの上で動揺している。

 

「ミオ……夢子」

「なぁアイ。アイツらは大切な仲間なんだろ?」

「えぇ。私が守らないといけない」

「守りたいって気持ちは立派だと思う。だけど本当にあの二人を信じているなら、少しくらいわがまま言っても良いんじゃないか?」

「でも私のわがままは……」

「今の二人を見ても、我慢が正解だと思うか?」

 

 アイはベンチに居るミオと夢子を見据える。

 二人は涙ぐみながらも、アイに【樹精】デッキを使って欲しいと訴えていた。

 たとえ夢が消えても、それで大切な友達が救えるならばそれでいい。

 そんな強い意志が、ミオと夢子から伝わってくる気がした。

 

「日高、佐倉! 余計な真似を!」

 

 だがどの世界にも無粋な奴は居るようで。

 

「宮田ァ! 分かっているだろうなァ! そのデッキを使えば、この二人がどうなるのか!」

「アイっち! 気にしちゃダメ!」

「愛梨ちゃん、私達はいいから!」

「黙れェェェ!」

 

 黒岩は声を荒らげて、ベンチから出る。

 

「宮田ァ! そのデッキをこちらに渡せ! お前は俺の言う通りに動いていれば良いんだ!」

「……私は……」

「アイ!」

 

 一瞬俯くアイ。

 だがすぐに顔を上げる。その表情には、覚悟が決まっていた。

 

「ミオ、夢子! 本当に良いのね?」

「良いんだよ! だって仲間だもん」

「うん! 愛梨ちゃんのやりたい事をやって!」

「宮田ァァァ!」

 

 黒岩の叫びを無視して、アイは【妖精】デッキの入った召喚器をステージに置く。

 そして腰につけたのは、アイ自身のデッキ。【樹精】のデッキだ。

 

「私は……自分を失いたくない。宮田愛梨というファイターとして、ツルギ、貴方と戦うわ!」

「そう来なくっちゃな」

 

 もうアイの目に迷いは無かった。

 だがそれは黒岩の逆鱗に触れたようだ。

 

「宮田ァ! 貴様ァァァ!」

 

 怒り狂った黒岩がファイトステージに上がろうとする。

 流石に面倒な展開になるか。

 俺がそう思った次の瞬間、一人の男性が黒岩の腕を掴んだ。

 

「失礼、黒岩さん。サポーターがステージに上がるのはルール違反なんですよ」

「三神さん!」

 

 ソラの知り合いで科学者の三神さんだった。

 三神さんに腕を掴まれた黒岩は必死に抵抗するも、振り解けずにいる。

 

「クソっ! 離せェ!」

「今の貴方は大会運営に支障をきたしかねません。ベンチで大人しく選手を見守っていてください」

 

 そう言うと三神さんはすごい力で黒岩をズルズルと引きずっていった。

 科学者の筋肉ってスゲー。

 

 さて、これで邪魔者は居なくなった。

 

「アイ! 始めようぜ、俺達のファイト!」

「えぇ、始めましょう」

 

 お互いに初期手札5枚を手に取る。

 仮装モニターにライフ等も表示された。

 これで準備OK。

 

『それでは、決勝戦最終試合! 開始してください!』

 

「「サモンファイト! レディー、ゴー!」」

 

 始めるぞ、俺達の魂のぶつけ合いを!

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