俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第六十二話:ファイナルトリック!

 回って来た俺のターン。

 

「俺のターン! スタートフェイズ。ドローフェイズ」

 

 ツルギ:手札2枚→3枚

 

 手札を確認する。まだ必要なパーツが揃っているとは言えない。

 かといって攻めるには、俺のモンスターはパワーが低すぎる。

 ならばここは……

 

「メインフェイズ。俺は〈ドッペルスライム〉を召喚!」

『ドッペル!』

 

 俺の場に、黒色のスライムが召喚された。

 ひとまずはこれで守りを固める。

 

〈ドッペルスライム〉P4000 ヒット1

 

「ターンエンドです」

 

 ツルギ:ライフ4 手札2枚

 場:〈【紅玉獣(こうぎょくじゅう)】カーバンクル〉〈コボルトウィザード〉〈ドッペルスライム〉

 

「ふむ、このターンは消極的な動きか。だが手札は温存している。油断は禁物だな」

 

 その通りですよ。上手くこっちの想定内に収まってくださいね。

 

「私のターン。スタートフェイズ。ドローフェイズ」

 

 試験官:手札3枚→4枚

 

「メインフェイズ。私は2体目の〈ガーディアン・ケンタウロス〉を召喚!」

 

 試験官の場に新たなケンタウロスが召喚される。

 2枚目を引かれていたか。

 

〈ガーディアン・ケンタウロス〉P5000 ヒット2

 

「ではこのターンで決めさせてもらおうか。私は魔法カード〈エヴォジャベリン〉を発動!」

 

 おっ、アレはアイも使ってたカードだ。

 

「効果で私は〈マスターグリフォン〉のヒットを+1し、更に【貫通】を与える」

 

 魔法効果で強化されるマスターグリフォン。

 あれは並みのカードでは防げないぞ。

 

〈【守護兵長(しゅごへいちょう)】マスターグリフォン〉ヒット3→4

 

「アタックフェイズ! まずは〈ガーディアン・ケンタウロス〉で攻撃だ!」

「それは〈ドッペルスライム〉でブロック!」

 

 ケンタウロスに立ち向かうドッペルスライム。

 しかしパワー負けしている。ドッペルスライムはケンタウロスの槍に貫かれて破壊されてしまった。

 だけどこれでいい。ドッペルスライムの効果はここからが本番だ。

 

「破壊された〈ドッペルスライム〉の効果発動! ゲーム中1度だけ〈ドッペルスライム〉は復活できる!」

 

 魔法陣が現れ、墓地から回復状態で復活するドッペルスライム。

 こいつは手軽に2回ブロックできるのが強みだ。

 

「だがこれは防げまい。〈マスターグリフォン〉で攻撃だ!」

 

 咆哮するマスターグリフォン。

 そのヒットは4で【貫通】まで持っている。

 俺の場にはマスターグリフォンのパワーを超えるモンスターはいない。

 まぁ普通に考えれば完全に俺の負けだな。

 普通ならの話だけどな。

 

「その攻撃は〈カーバンクル〉でブロックだ!」

『キュップイ!』

 

 威勢よくマスターグリフォンに挑むカーバンクル。

 しかしパワーの差が圧倒的すぎる。

 カーバンクルは一瞬にして、破壊されてしまった。

 

「〈カーバンクル〉は破壊されても墓地へは行かず、俺の手札に戻る」

「だが今の〈マスターグリフォン〉は【貫通】を持っている。4点のダメージを受けて、君の負けだ!」

「残念ですけど、そうはいかないです」

「なに!?」

「〈【紅玉獣】カーバンクル〉の効果発動! このカードが行う戦闘では【貫通】によるダメージは発生しない!」

 

 滅多に適用されないけど、意外と役立つんだよなこの効果。

 カーバンクルの隠されし能力によって、俺はマスターグリフォンのダメージから逃れた。

 

「ほう、この攻撃も防いだか。実に面白い」

 

 なんか試験官さんウキウキだな。

 俺そんなに見所ある?

 

「エンドフェイズ。〈マスターグリフォン〉の効果で私の〈守護兵〉は全て回復状態になる。ターンエンドだ」

 

 試験官:ライフ4 手札2枚

 場:〈【守護兵長】マスターグリフォン〉〉〈ガーディアン・ビッグゴーレム〉〈ガーディアン・ケンタウロス〉

 

 ターンが回っては来たけど、そろそろ決めないと不味いな。

 アレを使うにしても、下準備をする必要がある。

 とりあえずドローしてから考えるか。

 

「俺のターン! スタートフェイズ開始時に〈フューチャードロー〉の効果発動! 2ターンが経過したので、俺はカードを2枚ドローする!」

 

 ツルギ:手札3枚→5枚

 

 ドローしたカードを確認する。うん、いい感じだ。

 

「ドローフェイズ」

 

 ツルギ:手札5枚→6枚

 

 よし! これならいけそうだ。

 墓地のカードを確認する。

 今落ちているパーツは……4枚か。

 

「メインフェイズ。俺は魔法カード〈トリックエスケープ〉を発動! このカードは自分の場のモンスターを好きなだけ手札に戻し、その数だけライフを1点回復するカード!」

「全てを戻して2点の回復というわけか」

「その通りです! 全員戻ってこい!」

 

 魔法効果で、俺のモンスターは全て手札に戻って来た。

 

 ツルギ:ライフ4→6 手札5枚→8枚

 

 これで、5枚。

 

「だがその程度の回復量で、私の攻撃を耐えられるのかな?」

「心配いりません……だって俺、このターンで勝ちますから」

「ほう。では見せてもらおうか」

「派手にやらせてもらいますよ! まずは念入りにこれ! 〈コボルト・ウィザード〉を再召喚!」

 

 再び俺の場に召喚される獣人の魔術師。

 その召喚時効果で俺は1枚ドローをした。

 

 ツルギ:手札7枚→8枚

〈コボルト・ウィザード〉P2000 ヒット1

 

「更に俺はライフを1点払い、手札から〈トリックカプセル〉を捨てて〈メタルオーガ〉を召喚!」

 

 俺の場に魔法陣が現れ、それを破く形で全身金属の鬼が召喚された。

 

〈メタルオーガ〉P8000 ヒット2

 

「ふむ。そこそこ大型のモンスターか……だがそれでは私の〈守護兵〉は倒せないぞ」

「倒す必要なんてありませんよ」

「なに?」

「おかしいと思いませんでしたか? なんでさっき俺が、わざわざコストで捨てるカードの名前を言ったのか」

「言われてみれば……」

 

 首を傾げる試験官。

 だがこれで下準備も粗方終わった。

 

「魔法カード〈トリックリサイクル〉を発動! このカードは自分の墓地から系統:〈トリック〉を持つ魔法カードを1枚選んで手札に加えます」

「〈トリック〉の魔法? 汎用性はあるが、あのカード群では私に止めは刺せない」

「刺せるんですよ。1枚だけ」

「なんだと!?」

「なんで俺がわざわざ〈トリック〉魔法を多く採用しているのか……これがその答えだ!」

 

 俺は墓地から、1枚の魔法カードを手札に加える。

 

「俺が墓地から回収したのは〈ファイナルトリック・エクスプロージョンフィナーレ〉!」

「な、なんだそのカードは!?」

「マイナー過ぎて、あんまり知られてないけど。強力な1枚ですよ」

 

 そして今墓地にいった〈トリックリサイクル〉で6枚目。

 発動条件は整った!

 

「発動コストは、手札を2枚捨てて……更に墓地から系統:〈トリック〉を持つカードを6種類1枚ずつ除外すること!」

「な、なんだその重いコストは!?」

「重さに見合った必殺火力! 見せてやりますよ! 魔法カード〈ファイナルトリック・エクスプロージョンフィナーレ〉を発動!」

 

 魔法カードを仮想モニターに投げ込むと、俺の頭上に巨大な火炎球が出現した。

 

「〈エクスプロージョンフィナーレ〉の効果、相手に5点のダメージを与える!」

「初期ライフの半分のダメージだと!?」

「これで終わらせます!」

 

 俺は巨大な火炎球を試験官にぶつけようとする。

 しかし……

 

「させん! 私は魔法カード〈守護兵(しゅごへい)解呪儀式(かいじゅぎしき)〉を発動! 相手の魔法カード1枚の発動を無効にする!」

 

 発動コストで手札を1枚捨てた試験官さん。

 魔法効果が火炎球に放たれるが、火炎球はそれを跳ね返した。

 

「なに!?」

「〈エクスプロージョンフィナーレ〉は無効化されず、ダメージの軽減もできない」

「なんと……強力な」

「これで終わりだァ! いけッ! 〈ファイナルトリック・エクスプロージョンフィナーレ〉!」

 

 巨大な火炎球が試験官に向かって放たれる。

 試験官は逃げる事もなく、その火炎球と爆炎に飲み込まれていった。

 

「ぐォォォォォォォォォ!」

 

 試験官:ライフ4→0

 ツルギ:WIN

 

 ファイト終了のブザーが鳴り、立体映像が消えてく。

 入試ファイト、無事勝てたな。

 ほっとしていると、試験官がこちらに歩み寄ってきた。

 

「お疲れ様。良いファイトだった」

「はい。ありがとうございます」

「流石はJMSカップ優勝者だ。筆記試験に問題がなければ、間違いなく合格だろう」

 

 すいません、その筆記試験が怖いんです。

 でもまあ、こうして褒められるのは悪い気はしない。

 俺は試験官にもう一度お礼を言ってから、ファイトステージを降りた。

 ふぅ。これで後はみんなのファイトを見るだけ……

 

「ん? みんなのファイト?」

 

 そういえば藍は俺と一緒に呼び出されて……あぁ!?

 

(らん)のファイト! アニメの第一話真っ最中じゃん!」

 

 これはのんびりしている暇はねー!

 俺は急いで観客席へとダッシュした。


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